『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第二話

 

 

「……いやいやいや。何で俺が霊夢ちゃんと暮らすんですか?」

 

「実はね……」

 

 紫さんはそう言って俺に耳打ちをした。

 

「(この博麗神社には霊夢しかいないの。先代の巫女は去年に病で亡くなって、それ以来霊夢はこの神社で生活していたの。私もよく通ったりするんだけど仕事とかあって毎日は来れないのよ)」

 

 ……成る程。紫さんにしてみれば俺は丁度いいかもしれんと言うわけか。

 

「(見知らぬ自分によく頼めますよね?)」

 

「(人となり見てたけど貴方は信用出来る人物よ。これでも私は千年あまり生きてきているわけだしね)」

 

 さいですか。

 

「……分かりました。霊夢ちゃんが俺を嫌と思うまで博麗神社で御世話になりましょう」

 

 俺は紫さんにそう言った。

 

「ありがとう誠君。霊夢、今日から霊夢と一緒に誠君も住んでくれるわよ」

 

「お兄ちゃんいてくれるの?」

 

 霊夢ちゃんは首を傾げる。その問いに俺は頷くと霊夢ちゃんは顔を明るくさせて俺に抱きついてきた。

 

「一緒にいてね誠兄♪」

 

「あぁ、よろしくな霊夢ちゃん」

 

 俺は霊夢ちゃんの頭を撫でながらそう言った。

 

 こうして、俺は流れる感じではあるけど博麗神社の御世話になる事になった。

 

「そろそろ夕刻ね。それじゃあ誠君、薪の用意をしてくれる? お風呂は五右衛門風呂なのよ」

 

 ……薪を作るんすか。まぁ包丁はよく母さんの手伝いをしていたから使えるけど斧はどうかな?

 

「まぁ何とかやってみます」

 

 紫さんにそう言った。

 

 

 

 

「……ふぅ、こんなもんかな」

 

 俺は外で薪を割っていた。意外と薪割りは難しいな。

 

「紫さん、薪はこんなもんでいいですか?」

 

「えぇいいわよ。此方も夕飯の用意は終えたしね」

 

「紫さんが作ったんですか?」

 

「えぇそうよ。これでもちゃんと作れるわよ」

 

 ……何だろう……紫さんから非常にプレッシャーが来ているような気が……これ以上踏み込んだら危険な気もするけど。

 

『いただきます』

 

 卓袱台に並べられた夕飯を見ながら三人は手を合わせてそう言ってから食べ始めた。

 

 

 

 

「御馳走様でした。とても美味しかったです」

 

「あらあらありがとうね」

 

 俺は紫さんにそう言いながら食後の御茶を飲む。はぁ~緑茶の苦味がいいな……。

 

「御腹ぱんぱんだよ」

 

 隣では霊夢ちゃんが腹を擦りながら言う。あ、ご飯粒付いてる。

 

「ほらほら」

 

「うにゅ」

 

 俺はご飯粒を取ってあげる。

 

「じゃあお風呂に入ろうか霊夢」

 

「うん♪」

 

「お湯の湯加減見てきますね」

 

「あら、誠君も入る?」

 

「ブッ!?」

 

 ゆ、紫さん? 一応俺は中一なんだけど……。

 

「フフフ」

 

 紫さんの笑い声を聞きながら俺は風呂場へと向かう。

 

 ふむ……こんな熱さかな。もうちょい薪を入れるか。

 

「入るわよ」

 

「あ、はい。外にいますので」

 

「お風呂~♪」

 

 霊夢ちゃんが勢いよく五右衛門風呂に入り込む。

 

「こら、駄目でしょ霊夢」

 

 紫さんが霊夢を叱る声が聞こえる。そういや紫さん、胸でかかったよなぁ。覗きでも……。

 

「そうそう、覗きでもしたらスキマで何処かに放り込むからね」

 

「……イエッサー」

 

 先を読まれた……まぁ死なないだけマシか。

 

 その後、紫さん達と入れ替わりに風呂へ入った。丁度いい温度だった事を記入しておこう。

 

「うにゅ……」

 

 風呂へ入った後、暫く談笑していたけど霊夢ちゃんはそろそろ限界なのか目を擦っていた。

 

「そろそろ寝ましょうか」

 

「そうですね。自分は向こうにでも……」

 

「誠兄も……」

 

 霊夢ちゃんが俺の服を掴んで放そうとしない。

 

「じゃあ誠君も一緒に寝ましょうか」

 

「はぁ、分かりました」

 

 紫さんの言葉に俺は頷いて布団を出して紫さんが敷いていく。

 

「お休みゆかり、誠兄」

 

「お休み霊夢ちゃん」

 

「お休み霊夢」

 

 霊夢ちゃんを真ん中に右に紫さん、左に俺が寝る。

 

「スゥ……スゥ……」

 

 霊夢ちゃんは直ぐに寝始める。そして紫さんは……。

 

「ぐぁ~……ぐぁ~……」

 

「鼻ちょうちん……だと……」

 

 直ぐに寝てた。いやマジで。てか鼻ちょうちんとか……。

 

「……まぁいいか」

 

 俺は目を閉じる。そういやことはと孝之ともこんな風に寝てたな……。

 

 俺は睡魔に襲われた。

 

 

 

 

バキッ!!

 

「ぐほッ!?」

 

 な、何だ? いきなり痛いんだが……。

 

「……霊夢ちゃん?」

 

 目を開けると、霊夢ちゃんの左足が俺の右頬に直撃していた。霊夢ちゃん寝相悪いな……。

 

「……朝か……」

 

 既に外は太陽が上っていた。

 

「あら起きたのね誠君。ついでに霊夢も起こしてちょうだい。もうすぐ朝食が出来るから」

 

「はいはい、霊夢ちゃん。朝だよ」

 

「にゅう~」

 

 俺は寝ている霊夢ちゃんを揺らす。霊夢ちゃんは目をごしごしと擦りながらゆっくりと目を開けた。

 

「ぉぁよう誠兄ぃ~」

 

「眠そうだな霊夢ちゃん……顔を洗ってきな」

 

「ぅん……」

 

 霊夢ちゃんは洗面所に向かう。俺は卓袱台を出す。

 

「さぁ食べましょう」

 

『いただきます』

 

 顔を洗ってきた霊夢ちゃんも加えて俺達は朝食を食べる。お、沢庵美味い。

 

「あぁ誠君」

 

「何ですか?」

 

「朝食を食べた後、貴方の能力を見たいのだけれど」

 

 紫さんは俺にそう言った。

 

 




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