『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第三十四話

 

 

「……マジでルーミア?」

 

「だからそうだと言っているでしょ?」

 

 俺の言葉にルーミアは少し怒ったように反論した。

 

「霊夢、これは一体どういう事だ?」

 

「……それがルーミアの真の姿よ」

 

 霊夢は「まためんどくさくなったわね」という表情をしていた。

 

「私も詳しくは知らないけど、簡単に説明すると昔のルーミアは人食いの衝動が激しくて怖れられてたらしいのよ。それで昔にとある僧侶がリボンの御札でルーミアの力を封印したのよ」

 

 霊夢がそう説明してくれた。

 

「ルーミア自身は御札は取れないようになってたんだけど……」

 

「それを俺が間違って取ってしまったと……」

 

 何てこったい。

 

「これだから誠兄は……」

 

 霊夢に溜め息を吐かれた。……目から汗が出てくるが気にしない。

 

「まぁこぉとぉ~」

 

「わぷッ!?」

 

 そうこうしていたらルーミアが俺に突進してきた。胸、胸が俺の顔に……エヘヘヘ……。

 

「……イヤらしい表情だぜ」

 

 五月蝿い霧雨。役得だ役得。

 

「飲もうよ誠ぉ~」

 

「……あのルーミアさん? 普通、こういう展開だと「私の力は解放されたわッ!!」とか言って皆を襲う展開ですが?」

 

「めんどくさいわ」

 

 ……その一言が来るとは思わなかった。

 

「それに……誠は私の下着を見たじゃない。もう私は誠の嫁に行くしかないわ」

 

 ルーミアがキャーキャー言いながら俺に言ってくるが……下着?

 

「……どういう事かしら誠兄?」

 

 後ろを振り返れば武装した霊夢を筆頭に魅魔、美鈴、パチュリー、幽々子、そして何故か輝夜がいた。

 

「……あの皆さん、勘違いしてませんか?」

 

「どういう事よ? 返答次第ではぴちゅるわ。返答してもぴちゅるわ」

 

 ナニソレコワイ。

 

「魅魔と霧雨が一時、ルーミアを操ってただろ? その時にルーミアを神社に泊まらせて俺がルーミアのパンツを洗濯したからじゃないか?」

 

「あらバレた? 面白くないわね」

 

 残念がるなルーミア。

 

「……わ、私はそんな事知ってたわよッ!! 誠兄を試すつもりだったわ」

 

「何を試すんだぜ……」

 

「苦しい言い訳ね」

 

 霧雨とアリスがそう呟いた。てかそれよりも……。

 

「何で輝夜がいるんだ?」

 

「い、良いじゃない別に」

 

「いやまぁそれは構わんけどね」

 

 八意さんは何故か離れたところで微笑んでいた。あ、そうだ。

 

「記事にしようとするなよ文?」

 

「あややや。バレてしまいましたか?」

 

 コッソリと手帳に書いていた文にそう注意しておいた。

 

「もし記事にしたら……妖怪の山を無くすからな」

 

「や、山を無くせるんですか?」

 

「外の世界の兵器を使えば一日で無くなるぞ。例えば大和の四六サンチ砲や八十サンチ砲のドーラとか……」

 

「大和やドーラは分かりませんが、それは止めて下さい」

 

 俺にジャンピング土下座をする文であった。

 

「取りあえず、ルーミアにはまた新しい御札を付けるわ」

 

「それは良いけど、この姿で変化出来る妖力は残してよ」

 

 霊夢にそう注文するルーミアである。

 

 

 

 

「此処にいたんですか」

 

「あら誠君」

 

 紫さんは境内から鳥居の近くで藍さんや橙と一緒に飲んでいた。

 

「今回は私の落ち度ね。まさか異変を私達がしていたなんてね」

 

「妖怪の賢者もそういったミスがあるんすね」

 

「……言わないで」

 

 紫さんの言葉に苦笑する俺である。

 

「……貴方は幻想郷に来させられて後悔はしていないのかしら?」

 

 不意に紫さんはそう聞いてきた。

 

「……少ししてるかもしれません。ことはや秋名達に一言言えませんでしたからね。勿論、紫さんが悪いわけじゃありませんよ」

 

「……そう」

 

「でもね……楽しくやれてますよ」

 

 俺はそう言って紫さんに笑った。

 

「……そう。それを聞けただけでも一安心したわ。ところで……」

 

「へ?」

 

 その時、俺の目の前にスキマが開いて中から紫さんの頭が出てきた。

 

「人里の寺子屋で面白い事をしているようね? 罪袋の第二次ゆかりん大戦とか……」

 

 ……やべぇ……俺オワタ。

 

「私はハクタクみたいに頭突きはしないわ。さぁ、少し話しましょうか」

 

 ……そう言われて俺はスキマに飲み込まれ、紫さんにしこたま絞られるのであった。

 

 

 

 

「……やっと片づいた……」

 

 宴会終了後、俺と霊夢は後片付けをしていた。ちなみに魅魔と萃香とゆっくりは寝ている。

 

 魅魔と萃香は言わずもがな、酔っぱらって寝ている。たまには後片付けも手伝えよな。

 

「霊夢、先に風呂入れよ」

 

「分かったわ」

 

 霊夢は欠伸をしながら風呂場へ行った。俺は台所で食器を洗ってる。

 

 三十分が過ぎて霊夢も風呂から上がったため、俺も風呂へ入っていた。

 

「ぁ~いい湯だなっと」

 

 懐かしい歌を歌いながら風呂へ入り、身体を拭いて居間に行くと力尽きたのか霊夢が寝ていた。

 

「……全く……」

 

 俺は寝ている霊夢をお姫様抱っこをして霊夢の寝室に向かい、布団を敷いて霊夢を寝かせた。

 

「さて、俺も寝ると……ん?」

 

 部屋を出ようとしたが、霊夢が右手で服をギュッと握っていた。

 

 ……これは動けんな。

 

「……明日怒られるか」

 

 取りあえず少し離れておくか。そして俺は畳みで寝た。

 

 

 

 

 朝起きると私は誠兄に抱きついて寝ていた。

 

「……そう言えば昨日、うっすらと誠兄の服を握ってたような……」

 

 ……駄目だわ。思い出せば出すほど恥ずかしくなってくる。

 

 布団を叩きたいけど、そうすれば誠兄が起きてしまう。

 

「……もういいわ」

 

 私は諦めて誠兄に抱きつくのであった。

 

 余談だけど、起きてきた魅魔にからかわれたので魅魔に夢想封印しておいた。

 

 




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