『言霊使いと幻想郷』 作:零戦
「……マジでルーミア?」
「だからそうだと言っているでしょ?」
俺の言葉にルーミアは少し怒ったように反論した。
「霊夢、これは一体どういう事だ?」
「……それがルーミアの真の姿よ」
霊夢は「まためんどくさくなったわね」という表情をしていた。
「私も詳しくは知らないけど、簡単に説明すると昔のルーミアは人食いの衝動が激しくて怖れられてたらしいのよ。それで昔にとある僧侶がリボンの御札でルーミアの力を封印したのよ」
霊夢がそう説明してくれた。
「ルーミア自身は御札は取れないようになってたんだけど……」
「それを俺が間違って取ってしまったと……」
何てこったい。
「これだから誠兄は……」
霊夢に溜め息を吐かれた。……目から汗が出てくるが気にしない。
「まぁこぉとぉ~」
「わぷッ!?」
そうこうしていたらルーミアが俺に突進してきた。胸、胸が俺の顔に……エヘヘヘ……。
「……イヤらしい表情だぜ」
五月蝿い霧雨。役得だ役得。
「飲もうよ誠ぉ~」
「……あのルーミアさん? 普通、こういう展開だと「私の力は解放されたわッ!!」とか言って皆を襲う展開ですが?」
「めんどくさいわ」
……その一言が来るとは思わなかった。
「それに……誠は私の下着を見たじゃない。もう私は誠の嫁に行くしかないわ」
ルーミアがキャーキャー言いながら俺に言ってくるが……下着?
「……どういう事かしら誠兄?」
後ろを振り返れば武装した霊夢を筆頭に魅魔、美鈴、パチュリー、幽々子、そして何故か輝夜がいた。
「……あの皆さん、勘違いしてませんか?」
「どういう事よ? 返答次第ではぴちゅるわ。返答してもぴちゅるわ」
ナニソレコワイ。
「魅魔と霧雨が一時、ルーミアを操ってただろ? その時にルーミアを神社に泊まらせて俺がルーミアのパンツを洗濯したからじゃないか?」
「あらバレた? 面白くないわね」
残念がるなルーミア。
「……わ、私はそんな事知ってたわよッ!! 誠兄を試すつもりだったわ」
「何を試すんだぜ……」
「苦しい言い訳ね」
霧雨とアリスがそう呟いた。てかそれよりも……。
「何で輝夜がいるんだ?」
「い、良いじゃない別に」
「いやまぁそれは構わんけどね」
八意さんは何故か離れたところで微笑んでいた。あ、そうだ。
「記事にしようとするなよ文?」
「あややや。バレてしまいましたか?」
コッソリと手帳に書いていた文にそう注意しておいた。
「もし記事にしたら……妖怪の山を無くすからな」
「や、山を無くせるんですか?」
「外の世界の兵器を使えば一日で無くなるぞ。例えば大和の四六サンチ砲や八十サンチ砲のドーラとか……」
「大和やドーラは分かりませんが、それは止めて下さい」
俺にジャンピング土下座をする文であった。
「取りあえず、ルーミアにはまた新しい御札を付けるわ」
「それは良いけど、この姿で変化出来る妖力は残してよ」
霊夢にそう注文するルーミアである。
「此処にいたんですか」
「あら誠君」
紫さんは境内から鳥居の近くで藍さんや橙と一緒に飲んでいた。
「今回は私の落ち度ね。まさか異変を私達がしていたなんてね」
「妖怪の賢者もそういったミスがあるんすね」
「……言わないで」
紫さんの言葉に苦笑する俺である。
「……貴方は幻想郷に来させられて後悔はしていないのかしら?」
不意に紫さんはそう聞いてきた。
「……少ししてるかもしれません。ことはや秋名達に一言言えませんでしたからね。勿論、紫さんが悪いわけじゃありませんよ」
「……そう」
「でもね……楽しくやれてますよ」
俺はそう言って紫さんに笑った。
「……そう。それを聞けただけでも一安心したわ。ところで……」
「へ?」
その時、俺の目の前にスキマが開いて中から紫さんの頭が出てきた。
「人里の寺子屋で面白い事をしているようね? 罪袋の第二次ゆかりん大戦とか……」
……やべぇ……俺オワタ。
「私はハクタクみたいに頭突きはしないわ。さぁ、少し話しましょうか」
……そう言われて俺はスキマに飲み込まれ、紫さんにしこたま絞られるのであった。
「……やっと片づいた……」
宴会終了後、俺と霊夢は後片付けをしていた。ちなみに魅魔と萃香とゆっくりは寝ている。
魅魔と萃香は言わずもがな、酔っぱらって寝ている。たまには後片付けも手伝えよな。
「霊夢、先に風呂入れよ」
「分かったわ」
霊夢は欠伸をしながら風呂場へ行った。俺は台所で食器を洗ってる。
三十分が過ぎて霊夢も風呂から上がったため、俺も風呂へ入っていた。
「ぁ~いい湯だなっと」
懐かしい歌を歌いながら風呂へ入り、身体を拭いて居間に行くと力尽きたのか霊夢が寝ていた。
「……全く……」
俺は寝ている霊夢をお姫様抱っこをして霊夢の寝室に向かい、布団を敷いて霊夢を寝かせた。
「さて、俺も寝ると……ん?」
部屋を出ようとしたが、霊夢が右手で服をギュッと握っていた。
……これは動けんな。
「……明日怒られるか」
取りあえず少し離れておくか。そして俺は畳みで寝た。
朝起きると私は誠兄に抱きついて寝ていた。
「……そう言えば昨日、うっすらと誠兄の服を握ってたような……」
……駄目だわ。思い出せば出すほど恥ずかしくなってくる。
布団を叩きたいけど、そうすれば誠兄が起きてしまう。
「……もういいわ」
私は諦めて誠兄に抱きつくのであった。
余談だけど、起きてきた魅魔にからかわれたので魅魔に夢想封印しておいた。
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