『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第三十一話

 

 

「てなわけで竹林に来たわけだが……」

 

 俺は広大な竹林を見る。

 

「……相変わらず広いな……」

 

「永遠亭の場所は分かるのかい?」

 

「……微妙だな。こんな時に因幡の白兎がいてくれたらな……」

 

 よく悪戯をするけどな。皮を剥ぎ取られたはずなのに懲りてないのだろうか?

 

「きゃあァァァァァァァァッ!! 助けてェェェェェェェェェーーーッ!!!」

 

「ん? 悲鳴?」

 

 その時、竹林の奥から悲鳴が聞こえてきた。てかこの声は……。

 

「ちょっと速く行くぞ魅魔」

 

「分かったよ」

 

 俺と魅魔は悲鳴の場所へと向かった。

 

 

 

「ここら辺……ってやっぱりみすちーだったか……」

 

「ひいぃぃぃんッ!! 誠さん助けてェェェェェェェェェッ!!!」

 

 夜雀のミスティア・ローレライ(あだ名はみすちー)が泣きながら俺に抱きついてきた。

 

「あらぁ、誠君じゃないのぉ」

 

「お久しぶりです誠さん」

 

「何だ、幽々子達か」

 

 そこへ幽々子と妖夢がやってきた……幽々子いる時点である程度の予想は出来るな。

 

「幽々子……お前、みすちーを食おうとしただろ?」

 

「あら、分かる? だって美味しそうなんだもの。小骨が多そうだけど」

 

「ひいぃぃぃッ!!」

 

 幽々子のニヤリと笑う顔にみすちーが恐怖のあまり怯えている。

 

「あのな幽々子……。みすちーを食べたらヤツメウナギが食えんだろ」

 

「う~ん、でも焼き鳥も食べたいしぃ……」

 

 おいおい……。

 

「なら此処は弾幕で決着をつけようか」

 

「魅魔?」

 

 魅魔が嬉しそうに言う。よっぽど鬱憤を発散していないのか?

 

「いいわ。妖夢ぅ、出番よぉ」

 

「結局、私がするんですか……」

 

「……頑張れ妖夢」

 

 従者も大変だな。そして魅魔と妖夢の弾幕が始まった。

 

「ハハハッ!! いいねぇ、やっぱり戦いはいいねェッ!!」

 

「くッ!! ……この人……強い」

 

 竹林の上空で激しく弾幕を撃ち合っている。魅魔も本気モードだな。

 

「気を付けろよ妖夢。魅魔は霧雨の師匠だからな」

 

「その通りだよ。儀符「オーレリーズサン」ッ!!」

 

 魅魔がスペカを出した。

 

「こんな物ッ!!」

 

 妖夢は白楼剣で魅魔の弾幕を弾き返していく。ふむ、弾き方は上手いな。

 

「次は此方の「させると思ってるのかいッ!! 恋符「ミマスパーク」ッ!!」なッ!?」

 

 魅魔が三日月の鎌を出して霧雨のスペカであるマスタースパークをぶっぱなした。

 

 そして妖夢はそれを避けきる事が出来ずにマスタースパークに飲み込まれたのであった。

 

「あらぁ、負けちゃったわね」

 

 幽々子がのほほんとしながらそう言った。いや、妖夢の事を心配してやれよ……。

 

「妖夢は大丈夫よ」

 

「……さいですか」

 

 妖夢も大変な主人に仕えているよな……。

 

「妖夢ぅ、負けちゃったから帰るわよ」

 

「は、はい。分かりました幽々子様」

 

 ぴちゅられていた妖夢が復活して、二人が浮き上がった。

 

「それじゃあね夜雀。次は食べるわよ」

 

「ひいぃぃぃッ!?」

 

「だからやめぇいっての」

 

「あ、それと……」

 

 急に幽々子が此方へ近付いてきた。

 

「今回は悪霊と行動してるけど今度は私とね」

 

「へ?」

 

「フフフ♪」

 

 幽々子はそう言って扇子で口元を隠しながら笑う。

 

「おっと、そうはさせないねぇ」

 

「み、魅魔?」

 

 ずいっと魅魔が俺の前に出て幽々子を睨み付ける。

 

「「………」」

 

「……なぁ妖夢。二人に火花が飛び散っていないか?」

 

「……気のせいですよ誠さん」

 

 そして何故か妖夢に溜め息を吐かれた。

 

「それじゃあね~」

 

「お騒がせしました」

 

 幽々子と妖夢はそう言って帰るのであった。

 

「じゃあなみすちー」

 

「はい、ありがとうございました。ところで何処へ行くのですか?」

 

「あぁ永遠亭にな」

 

「永遠亭でしたらあっちですよ」

 

「ありがとうみすちー」

 

 取りあえずはみすちーが永遠亭までの道を教えてくれた。

 

「今度屋台に来たら奢りますねぇ~」

 

「おぅ」

 

 みすちーと別れて永遠亭に向かった。

 

 

 

「此処ですよ」

 

「お、永遠亭発見」

 

「まぁ、妖怪兎に連れて来てもらったけどな」

 

 奥へ進んでいたんだけど、やっぱり迷ってたみたいだった。

 

 そこへ運良く、永遠亭の妖怪兎が散歩に来ていたところを遭遇して直接教えてもらったんだ。

 

「それじゃあ私は此処でね」

 

「ありがとうな」

 

 俺は妖怪兎に御礼を言って永遠亭の玄関扉を開けた。

 

「お邪魔しまぁす」

 

「邪魔するなら帰ってぇ」

 

「はいぃ~……ってやらかすなッ!!」

 

「私じゃなくて作者に言いなよッ!!」

 

 くぅ……作者めぇ。

 

「まぁいいや。それより中に入るぞ」

 

「はいはい」

 

 俺は玄関で靴を脱いで廊下を歩く。魅魔? 魅魔は悪霊だから関係ない。足は出せるけどな。

 

「あ、誠」

 

「お、てゐ」

 

 診療室に向かう途中、てゐが現れた。

 

「丁度良かった。悪いけどさてゐ、八意さんのところまで案内してくれないか?」

 

「え、師匠のところ?」

 

 ……嫌そうな顔をしとるな。

 

「何かあるのか?」

 

「い、いやそんな事ないウサ……」

 

 何かありそうですね分かります。

 

「……今回の異変か?」

 

「……まぁそうだね。今頃は博麗の巫女達が来て師匠達と戦っているよ」

 

「そうか、なら弾幕が終わったら迎えに行くか」

 

 俺はそう呟いたのであった。

 

 




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