『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第二十九話

 

 

「そんじゃあ里に行ってくるけど、境内の掃除は任したぞ魅魔?」

 

「あいよ。任しておきな」

 

 箒を持って掃除をしている魅魔にそう言って俺は石段を降りていく。

 

 が、中ほどで止まってゆっくりと登って境内を見た。

 

「いやぁ、やっと行ったね。そんじゃあ飲むよ萃香」

 

「よっしゃァッ!! 飲むよ魅魔ッ!!」

 

 ……こいつらは……。

 

「『縄』」

 

「「あ」」

 

 縄を出してあっという間に二人を縛る。

 

「お前らはぁ~~~」

 

「じょ、冗談だよ誠。ちゃんと魅魔がやるかどうか見に来ただけで……」

 

「ならその酒瓶は何だ?」

 

「う……」

 

 言い訳は終わりだな萃香。

 

「というわけで罰だ」

 

「うわッ!?」

 

 俺は縄で萃香を亀甲縛りにしといた。魅魔は無理だからな。

 

「てことでちゃんとしておけよ魅魔?」

 

「わ、分かってるよ誠」

 

「よし、なら今日の晩飯は海老フライだ」

 

「お、いいねぇ」

 

 魅魔がやる気を出してくれた事で俺は今度こそ石段を降りて、ショートカットで原チャを出して人里に向かった。

 

「抜けそうかい?」

 

「こりゃ無理だね。無理矢理すれば私のアソコが食い込むよ」

 

 誠がいなくなった神社の境内で魅魔と萃香はそう話しているとそこへ霊夢がやってきた。

 

「あら? 誠兄はどうしたの?」

 

「誠なら人里だよ」

 

「そうなの……ん?」

 

 その時、霊夢が草むらで何かを見つけた。

 

「これは……」

 

 

 

 

「やはりゆかりんは紺ハイだろう」

 

「いや、そこは黒だろう」

 

「馬鹿野郎ッ!! 白のニーハイソックスに決まっているだろッ!!」

 

 とある場所で罪袋達がそう言い合っていた。

 

「何だとォッ!? 今どき黒や白のニーハイソックスは流行らんッ!! ここは初心に帰って紺ハイだッ!!」

 

 一人の罪袋がそう力説する。ちなみに今日の議題は『もし八雲紫が体操服(下はブルマ)を着た時に履くと思われるソックスは何か?』である。

 

「黙れ小僧ッ!! 美しさなら黒だろうがッ!!」

 

「……そこは色と名前に肖って紫で良くないか?」

 

「……それもいいな」

 

「あぁ……いやだがやはり白のニーハイソックスだッ!!」

 

 白のニーハイソックスを押す罪袋はそう告げた。

 

「だから黒だッ!!」

 

「いいや白のニーハイソックスだッ!!」

 

「紺ハイだッ!!」

 

「紫……」

 

 四人の罪袋はそう言いつつ一つの答えを出した。

 

『こ う な っ た ら 戦 争 だッ!!』

 

 斯くして罪袋達の第二次ゆかりん大戦が始まったのであった。

 

 

 

 

「……という事だ」

 

『オォォォォォッ!!』

 

 人里の寺子屋で日本史を教えているはずが何故かこうなった。

 

「罪袋かっけぇ……」

 

「先生ぇ、第一次ゆかりん大戦は何で起きたっけ?」

 

「第一次ゆかりん大戦はな、ゆかりんの下着が赤のTバックか紫のガーターのどちらかで第一次ゆかりん大戦が勃発したんだ」

 

 俺はそう説明した。

 

「先生ぇ、もこたんはどうなったの?」

 

 女の子がそう聞いてきた。

 

「ちょっと待ってくれな。今、脚本を書いている奴が寝込んでいてな」

 

 最近、輝夜とは会ってないからな。また近くに永遠亭に行くか。

 

「その前に私にシバかれようか?」

 

 ……この声は……。

 

「………」

 

 振り返ると扉に上白沢がいた。ぁ~これはヤバいな……。

 

「お 前 と い う 奴 はァッ!!」

 

「ちょ、おま……」

 

 そして鈍い音が教室に鳴り響くのであった。

 

 

 

「あたた……マジで最近の上白沢の頭突きは痛いな……」

 

 授業が終わった後、俺は晩飯の買い出しのために人里の店にいた。

 

「お、八雲の兄ちゃんかい」

 

「よぅ親父。海老を十匹くんな」

 

「あいよ」

 

 ……謎だが、この魚達は何処で調達しているんだろうな……聞くのは止めておこう。

 

「さて、帰るか」

 

 俺は荷物を後ろに縄で落ちないように縛って神社に帰った。

 

 

 

 

「ただいまぁ~っと」

 

「あ、お、お帰り誠兄」

 

「ん? どうした霊夢?」

 

「ちょ、ちょっとね……」

 

「ゆ♪」

 

 ん? 今足下から霊夢の声がしたような……。

 

「ゆ♪ ゆ♪」

 

「……は?」

 

 何故か、足下には霊夢の頭が……。

 

「生首ッ!? まさか平将門かッ!!」

 

 平将門が分からない奴はググれ。

 

「誠兄誠兄。私は此処よ」

 

「お、霊夢。生きてた……」

 

「生きてるわよ。私はまだ死なないわよ」

 

 何故か溜め息を吐かれた。

 

「ゆ♪ ゆ♪」

 

 そして足下の生首は俺の右足を擦っている。

 

「ところでこの生首は何だ?」

 

「誠兄が人里に行った後、境内の草むらで見つけたのよ」

 

「ゆ♪ ゆっくりしていってね♪」

 

「そして喋るのよ」

 

「……恐ろしい生首だな。一体どうなっているんだ?」

 

 俺は生首を持ち上げて首のところをこちょこちょと触る。

 

「ゆ、ゆ、ゆぅ~~~」

 

「ん? どうした?」

 

 急に生首が頬を染めて悶えている。

 

「誠兄……変な事してないでしょうね?」

 

「するかッ!!」

 

 信用しろよ霊夢……。

 

「ところでどうするんだこいつ?」

 

「魅魔と萃香は面白そうだと言ってるけどね。まぁ非常食になるでしょ」

 

「ゆッ!?」

 

 ……それは酷いな……。まぁいいか。

 

「そして生首の名前は?」

 

「……ゆっくりと言ってるし私の名前からゆっくり霊夢と魅魔や萃香が言い出して……」

 

 ……まぁいいか。てなわけで少々怪しい生首……じゃなくてゆっくり霊夢が新たに加わった。

 

 




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