『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第二十六話

 

 

 そして夕刻、幻想郷の大体の奴等(まぁ殆どが妖怪で、人里からは上白沢ともこたんが来ている)が集まっていた。

 

「ぇ~今日は暇人な奴等ようこそ博麗神社へ。今日は無事に異変が解決したので宴会だァッ!!」

 

『イヤッホォォォォォォォォーーーッ!!!』

 

 ノリがいいなほんと……。

 

「そんじゃまぁ……異変解決に乾杯ッ!!」

 

『乾杯ッ!!』

 

 そして春雪異変の宴会が始まった。

 

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁッ!! 助けてもこたんッ!!」

 

「ぐぇっへっへっへ。もこたんは既に私の部下が片付けているはずだ。つまり、此処にいるのはケーネとこの私、グーヤしかいないのよッ!!」

 

 顔がいやらしいグーヤが手をワキワキさせながらゆっくりと怯えているケーネに近づく。

 

 ケーネは恐怖のあまり後退りをするが、壁にぶつかってしまう。

 

「いや……いや……もこたぁぁぁぁぁぁんッ!!」

 

「ぐぇっへっへっへ、呼んでもこたんはいないと……「待てグーヤッ!!」何ッ!?」

 

 グーヤが振り返るとそこにはプリッツサラダ味を加えたもこたんがいた。

 

「き、貴様もこたんッ!? 馬鹿なッ!! 貴様は配下のウサ公達が倒したはず……」

 

「残念だったなグーヤ。あの時は死んだふりをしていたのさ」

 

「もこたんッ!!」

 

「待たしたなケーネ。行くぞグーヤッ!!」

 

「おのれもこたんッ!! ゆけ私の下僕中二病ッ!!」

 

「く……目が紅くなる……私のそばに近寄るなッ!!」

 

 目を押さえ、そう言いながら中二病が登場する。

 

「シャイニングバードッ!!」

 

「ぐはッ!!」

 

 しかしもこたんのシャイニングバード(ただの蹴り)で中二病がやられた。

 

「後はお前だけだグーヤッ!!」

 

「くそッ!! 此処は一時退却よッ!!」

 

 そう言ってグーヤは煙幕玉を使った。

 

「さらばよもこたんッ!!」

 

「ちぃグーヤッ!!」

 

 グーヤは煙幕に紛れて消えたのである。

 

「もこたんッ!!」

 

「ケーネ」

 

 そしてケーネがもこたんに抱きついた。もこたんもケーネを抱き締める。

 

「怖かったかケーネ?」

 

「大丈夫よもこたん。もこたんがいれば怖くないわ」

 

「ケーネ」

 

 もこたんがそう言ってケーネを強く抱き締める。

 

「おっケーネよもこたん……」

 

「ケーネ……」

 

 そして二人の影が合わさったのであった。

 

 

 

「とまぁ、悪人グーヤと戦うもこたんとケーネの物語でした」

 

「おぉぉ……もこたんカッコいいッ!!」

 

「あわわわ……」

 

「流石は私の脚本ね」

 

 紙芝居をしている俺と輝夜である。ちなみに上からチルノ、大ちゃん、輝夜だ。

 

 大ちゃんは最後のところが気になるみたいだ。

 

「まぁこぉとぉ~」

 

 ……ヤバい。今振り返れば俺は死ぬ。何せ後ろには上白沢ともこたんがいるからだ。

 

「……あれほどやるなと言っていただろうがァッ!!」

 

「ちょ……ま……」

 

 そして博麗神社に鈍い音が三回響いた。勿論上白沢の頭突きだ。

 

「……誠」

 

「どうした妹紅?」

 

「……続きはまだなのか?」

 

「………」

 

 案外もこたんには好評だった。

 

 

 

 お、霊夢と霧雨がいるな。

 

「かくて世は事もなし……か。ま、苦労したかいはあったみたいだな」

 

「はぁ~~」

 

「ん?」

 

 霊夢は溜め息を吐いた。

 

「だから嫌なのよねぇ」

 

 霊夢はそう言って宴会をしている妖怪達を見る。

 

「異変を解決するとすぐ妖怪どもが神社に集まって宴会になるんだから」

 

「楽しいからいいだろ?」

 

「にゃははは♪」

 

 あ、チルノがリグルを蹴飛ばした。

 

「主犯も来てるし」

 

「まぁまぁ御詫びの印にね」

 

「酒肴もお持ちしましたので」

 

「お、美味そうだな」

 

 俺はひょいっと刺身を食べる。てか半人半霊は何時の間に用意したんだ?

 

「はぁ……参拝客が逃げるわ~。しかも後片付けは全部と私と誠兄でしょ。だから異変解決って嫌なのよ」

 

「ちょっと待てッ!! お前まさかそんなつまらん理由でッ!!」

 

「………」

 

 霧雨の指摘に霊夢が視線を剃らした。

 

「……おい霊夢、私に言わなきゃならない事があるよなぁ?」

 

「……はぁ、魔理沙の言う通り異変でしたw私が悪かったわぁwごめんなさいねwww」

 

 ……謝ってるのかそれは?

 

「心が込もってないんだよッ!!」

 

「なによッ!!」

 

 まぁ今のは霧雨に一理あるな。

 

「巫女のくせに面倒くさいから異変を放置って、だからこの神社は人気が無いんだろッ!! 人里じゃあ誠の兄ちゃんが神主じゃないのかって言われてるぞッ!!」

 

 それは初耳だぞ。

 

「……それは良いかもね」

 

「良いのかよッ!!」

 

 霊夢にツッコミをする俺である。そして幽々子は何故かクルクルと踊っている。

 

「……何してんだ幽々子?」

 

「回ってるのよぉ~」

 

「ゆ、幽々子様ぁ」

 

 ……駄目だ、この空間はカオス化しているな。

 

「ってあら?」

 

「うわっと。大丈夫か幽々子?」

 

 クルクル回っていた幽々子が石に躓いて俺に寄り掛かってきた。

 

ムニュン。

 

 ……俺の胸に幽々子の胸が当たってます。

 

「あら? 誠君、鼻血が出てるわよ?」

 

「幽々子のせいだ」

 

 不思議がる幽々子に俺はティッシュを出して鼻を塞ぐ。

 

 く、ボインボインなんだよ。

 

「……誠兄?」

 

 ……背筋が凍りそうなんだが……。

 

「早く離れなさいよ」

 

「……すいません」

 

「……むぅ~」

 

 何故か不満げな幽々子だった。

 

 




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