『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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輝夜はパチュリー同様に着痩せするタイプだと思う。(多分)



第二十一話

 

 

 季節は秋を過ぎて冬となり、大晦日であった。

 

「……今日も雪だな」

 

 俺は障子を開けて外を見る。外は一面の雪景色となっている。

 

「こんにちわ誠君」

 

「こんにちわレティ。今年も雪を降らすのはいいけどやり過ぎは注意してくれよな」

 

「分かっているわよ。分かっているけど……やってみたいわね」

 

「いや、やるなよ」

 

 俺はレティにツッコミを入れた。

 

「今日は大晦日だけど蕎麦でも食べるか?」

 

「博麗神社での年越し蕎麦大会でしょ? 勿論食べに来るわ」

 

 今日は神社で皆が集まって年越し蕎麦を食べる予定だ。

 

「それじゃあまた後でね」

 

「おぅ、また後でな」

 

 レティはそう言って飛び上がって再び雪を降らせるために幻想郷を駆け巡るのであった。

 

「さぁてそろそろ昼飯の準備でもするかな」

 

 俺は障子を閉めて竈がある台所に向かった。確か朝の残りの味噌汁があったな。

 

「ショートカット『チャッカマン』」

 

 こういう時は便利なんだよな言霊は……。

 

「フハハハ、燃えろ燃えろ燃えろ。皆燃えてしまえッ!!」

 

「……まだそれを引っ張るの誠兄?」

 

「言ってみたかっただけです……」

 

 いつの間にか後ろに霊夢がいた。無茶苦茶恥ずかしい……。

 

「早く作ってよ誠兄」

 

「……はい」

 

 少し背中が小さくなるのを感じながら昼飯を作るのであった。

 

「ところで霊夢の兄ちゃん。境内の雪掻きをしないのか?」

 

 ん? そういやここ三日はしてないな。ちなみに昼飯後に霧雨が遊びに来ている。

 

「てか今日の雪掻きは霊夢の当番じゃなかったか?」

 

「……忘れてたわ。ごめん誠兄」

 

 霊夢が今気付いたようにそう言ってきた。

 

「まぁそれなら仕方ないか。そんなら今からするか。それと霊夢は蕎麦の準備を頼むぞ」

 

「分かったわ」

 

 俺は立ち上がって外に出る準備をする。外は寒いからなぁ。

 

「さぁてやるか」

 

 俺は雪掻きのスコップをショートカットで出して外に出る。

 

「……かなり積もっているな。霊夢の奴、昨日一昨日もやってないな絶対……」

 

 かなり積もっているし……。

 

「……ま、やるか」

 

 そして雪掻きをしていくが……けっこう腰に来るな。ぎっくり腰とか止めてくれよほんとに……。

 

「お、誠も雪掻きか?」

 

「何だ孝之? どうしたんだ?」

 

 執事服を着た孝之が石段から登ってきた。

 

「最近、雪が凄かったから神社の方を見にきたんだよ」

 

「助かった。取りあえず雪掻きを手伝え」

 

「拒否っていいか。俺も朝から館の雪掻きをしていたし……」

 

「知らん」

 

「即答すんなッ!!」

 

「兎に角手伝え。こんだけの雪の量は俺一人では無理なんだよ。取りあえず孝之は左な、俺は右をする」

 

「……するのかよ……」

 

 孝之が溜め息を吐いているが知らん知らん。

 

 そして雪掻きをしていくが……少しキツいな……。

 

「ぐぉッ!?」

 

「どうした孝之ぃ?」

 

 俺は孝之の方を見るが孝之は腰を押さえて膝から地面についていたが……やったのか?

 

「孝之……まさか……」

 

「……腰痛めた……」

 

 涙目で此方見るな。けど気持ちは分かる。

 

「……永遠亭行くしかないよな」

 

「……湿布あったか?」

 

「まぁ超年増の事だからあるはずだ」

 

 

 

「……今、私の悪口を誰か言っていたような……」

 

「何か言いました師匠?」

 

 

 

「まぁ、孝之の犠牲もあってある程度は雪掻き出来たからいいか」

 

 ちなみに孝之は永遠亭に行った。原チャで。

 

「蕎麦の準備は出来てるかな……」

 

 俺は中に戻って台所で蕎麦の準備をしているはずの霊夢を見に行く。

 

「霊夢ぅ、蕎麦の準備は出来たかぁ?」

 

「あ、誠兄。取りあえずは何とか五十人前は出来たわ。魔理沙と魅魔を使ってね」

 

 霊夢の後ろでは手伝った霧雨と魅魔が畳に寝転がっていた。

 

「用意は出来たな」

 

 後は皆が来るのを待つか。

 

 

 それから時刻は夜の九時を過ぎた。神社には永遠亭の八意さんやニート、レティ、秋姉妹、もこたん、慧音、文、ルーミア、紅魔組、アリス、藍、橙(紫さんは冬眠中のため欠席)等が出席している。

 

「はぁい、皆持ってきた丼を霊夢に渡してな」

 

「蕎麦なのかー」

 

「誰か七味持ってません?」

 

「藍しゃまぁの丼は油揚げが多いですね」

 

「流石誠。やる事は分かってますね」

 

「孝之お兄ちゃん、腰は大丈夫?」

 

「だ、大丈夫ですよ妹様……」

 

「御嬢様、ネギが口元に……」

 

「そ、それくらい分かっているわ」

 

「……中々美味しいわね」

 

「温かい蕎麦ですね~」

 

「はい姫様。熱いので気を付けて下さいね」

 

「大丈夫わよ永琳……あっつぅッ!!」

 

 ……駄目だこの姫、早く何とかしないと……。

 

「ところで誠、おっケーネともこたん物語はどんなのだ?」

 

「……何の事かなぁ? なぁ輝夜?」

 

「そ、そうね誠。私も何が何だが知らないわね~」

 

 もこたんからの指摘に俺と輝夜は口笛を吹いてもこたんから視線を反らした。

 

「嘘つけェッ!! 慧音から聞いたぞッ!!」

 

「やっべッ!! 済まん輝夜ッ!!」

 

「わ、私を生け贄にしないでよッ!!」

 

「お前は不死だろうッ!! 俺は死ぬッ!!」

 

「仲良く吹き飛べッ!!」

 

「「うひゃぁ~~ッ!!」」

 

 もこたんからの攻撃で俺と輝夜が吹き飛ばされて地面に直撃した。

 

 ……痛い……ん?

 

「「ぁ……」」

 

『………』

 

 気付けば輝夜が俺に覆い被さるようになっていた。(普通は俺が輝夜を覆い被さるになるけど違うね)

 

「……姫様、漸く就職ですか?」

 

「八意さんメタ発言しないで。輝夜、大丈夫か?」

 

「……ふぇ?」

 

 漸く我に気付いた輝夜が急激に顔を赤らめていく。

 

「誠兄……ぴちゅる準備は良いかしら?」

 

「私の拳も唸りますよ」

 

「………」

 

「はっはっは、良い酒の肴になりそうだね」

 

 笑うな魅魔。

 

「え~と、霊夢と美鈴も落ち着いてな。な? それとパチュリーさん、無言でスペルカードを構えないで下さい」

 

『問答無用ッ!!』

 

「ちょ、ま……アーーーッ!!」

 

 そして新年が明ける前にぴちゅられた俺であった。

 

 その後、皆が神社で初詣をしてくれた。(勿論賽銭も入れてくれたので霊夢は大喜びであった)

 

 




御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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