『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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第十四話

 

「発射ァッ!!」

 

 二十個の球が一斉に発射されて紅に向かう。そして紅はそれを待ち構えた。

 

「はいッ!! はいッ!! はいィッ!!」

 

 紅は手足を使って、発射された球を全て弾き返した。

 

 ……んなアホな……。

 

「ふぅ……成る程。言霊ですか」

 

「知っているのか?」

 

「えぇ。昔、言霊使いと戦った事がありますよ。勿論、私が勝ちました」

 

 紅がニヤリと笑い、此方を見る。むぅ……これはさっさと勝負を決めた方がいいかもしれんな。

 

「弾幕を作るのは妖力ではなく言霊ですね。苦労するでしょう」

 

「まぁ、妖力からでも出せるけどな。今度からそうするかな」

 

 時間短縮になるし、喉が枯れずに済むからな。

 

「一気に決めてやるぞッ!! 砲符『アハトハアハト』ッ!!」

 

 俺は紅から少し距離を離れてからショートカットでアハトハアハトを出す。ちなみに俺のスペルカードの大半は武器関係だ。

 

「なッ!?」

 

「高射砲弾を避けれるかな?」

 

 俺はニヤリと笑うが……あかんな、これだと敵キャラだよな。

 

「撃ェッ!!」

 

 俺の叫びと共にアハトハアハトが火を噴いた。そして紅は構えていた。

 

「ッ!? そこだァッ!!」

 

 紅が叫ぶと超とも言える高速で、アッパーカットの要領で高射砲弾を叩き上げた。

 

「……んなアホな……」

 

 俺はもう唖然とするしかなかった。いやそうだろうな、高射砲弾をアッパーカットで叩き上げる人間が何処にいる? あ、人間じゃなくて妖怪だな。

 

 ……ん? あれは……。

 

「さぁ、次はどんなスペルカードをだ……ぷげらッ!?」

 

 その時、上空に叩き上げた高射砲弾が紅の頭に直撃をして倒れた。なんたる偶然……だけどまぁ、一応は勝ったな。

 

 それよりも紅は生きているのか?

 

「おい、紅。生きているか?」

 

 俺は倒れた紅を抱き起こす。その時、紅の双乳がプルんと震える。

 

「……デカイ……」

 

 思わずゴクリと生唾を飲み込む。……気付いていないよな。

 

 俺はそうっと紅の双乳を触る。

 

「……ん……」

 

 にゅほ~、柔らかいなぁ……。グニュグニュして脂肪の塊だって分かるな。それにこの脂肪の塊から……グフフフ。

 

 おっと、言っておくがこれでも十九歳なんだ。異性には興味あるんだぜ?

 

 まぁ紅が目覚める前に切り上げて館の中に入りますか。(すんごい名残惜しいけどさ)

 

「よいしょっと」

 

 俺は紅を門のところに寝かせた。サービスで枕を出しておいた。

 

「それじゃあな紅」

 

 俺は気絶している紅にそう言って館の中に入った。てかこの館に入るのも二回目だな。ん? 一回目? ……それは内緒だな。

 

 

 

「……気付いていたんですけどね……」

 

 誰もいなくなった正門のところで私はゆっくりと起き上がる。心臓がドキドキしてますし、多分顔の表情は若干赤いんでしょうね……。

 

「あんなに揉むなんて……情熱的ですよ~」

 

 私はさっきのを思い出して思わず身体をクネクネしながらそう言う。

 

「そういえば名前を聞いてませんでしたね。まぁ後で聞けると思いますけど……」

 

 私はそう呟きつつ門を壁にして館を見つめた。

 

 

 

「さて……迷った……」

 

 取りあえずは歩いていたんだがたまたま地下への階段を降りたら図書館へと来ていた。それにさっき、霧雨がこの図書館から出るのを見た。

 

 霧雨本人は箒に乗って上へと向かったがな。俺は本が好きだからついでに立ち寄るだけだ。

 

「へぇ……かなりの本の数だな」

 

 俺は幾つも並ぶ本棚を見てそう呟いた。うん、マジで多いな。

 

「むきゅ~」

 

「しっかりして下さいパチュリー様」

 

 ん? 近くで声がするな……。

 

「此処か……って人が本に埋もれている……」

 

 その本棚の通路では多くの本に埋もれて足だけ見えている人間と頭に蝙蝠か、吸血鬼の羽のようなのが生えた(まぁ背中にも羽が生えているけど)女性がいた。

 

 羽が生えている女性は懸命に本に埋もれている人間を救助しようとしている。

 

 ……まぁ助けるか。流石にこのまま去るというのも後味悪いしな。

 

「俺も手伝うよ」

 

「だ、誰ですかッ!?」

 

 後ろから声をかけると女性が振り向いて警戒する。

 

「まぁ通りすがりの神社の居候なんだけど……流石に見捨てられないしな」

 

「……何か引っ掛かる言葉がありますが助けてくれるなら構いません」

 

 そして俺は女性と一緒に埋もれている人間を救助する事にした。

 

 そして三十分くらいでネグリジェのようなローブを着た人間――女性を救助した。

 

「……ありがとう。ところで貴方は?」

 

「あぁ、まぁこの異変を解決しにきた友人に同行していたんだけど……道に迷ってな」

 

「……そう。まぁ貴方には助けてもらった恩もあるし小悪魔にレミィのところまで案内をゴホゴホゴホッ!!」

 

 ん?

 

「ゴホゴホゴホッ!!」

 

 突然、女性が咳き込みだしたが……大丈夫なのか?

 

「パ、パチュリー様ッ!?」

 

「大丈夫なのか?」

 

「パチュリー様は身体が貧弱で喘息持ちなんです。急いで喘息の薬を持ってこないと……」

 

「なら早くッ!!」

 

「は、はいッ!!」

 

 羽が生えた女性――小悪魔が慌てて図書館を出た。

 

「ゴホゴホゴホッ!!」

 

「……取りあえずジメジメしたところにいるよりかは……」

 

 上を見上げると、左右の壁の上に窓がある。あそこを開けるか。

 

「お待たせしましたッ!! 此方ですよタカユキさんッ!!」

 

「おぅッ!! 大丈夫ですかパチュリー様ッ!!」

 

 その時、執事服に身を包んだ男性が入って……え?

 

「……孝之?」

 

「……誠?」

 

 そいつはことはとの戦いで外の世界にいるはずの友人である敷島孝之であった。

 

 




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