『言霊使いと幻想郷』   作:零戦

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グダグダになってきた。


第八話

 

 

 霧雨とか言う魔法使いは直ぐに倒せた。何か弱かったけどね。

 

 そして私は直ぐに誠兄のところへ向かう。誠兄は弱いんだから私がしっかりしないといけないからね。

 

「誠兄ッ!!」

 

 私は急いで入り口に来て、背中から血を流している誠兄を見て思わず叫んだ。

 

「……(ニヤリ)」

 

「ッ!? 逃げろ霊夢ッ!!」

 

 私の姿を見た女性――多分だけど魅魔ね――がニヤリと笑い、私の後方に弾幕を形成して発射した。

 

 それを見た誠兄はが私に駆け寄り、私を抱き締めた。

 

 そして弾幕が誠兄に着弾した。

 

 

 

「誠兄……?」

 

「アッハッハッハ、何だい何だい? あんたも呆気なくやられたもんだねぇ?」

 

「……ぐ……」

 

 負傷した誠兄を見た女性が大笑いしている。そして誠兄は傷の痛みか小さく呻き声を出した。

 

「しっかりして誠兄ッ!!」

 

 覆い被さる誠兄を、傷口を拡げないように退かす。その時、ヌチョッと音が右手からして右手を見ると右手には誠兄の血がべっとりと付いていた。

 

「誠兄ッ!?」

 

 魅魔が放った弾幕は誠兄の左脇腹を貫通していた。地面に誠兄の血液がドクドクと流れていく。

 

「ほっときな。どうせ直ぐに死ぬんだ」

 

「……何ですって?」

 

「……ッ……」

 

 魅魔の言葉に私は殺気をぶちまける。魅魔は私の殺気に少しばかりか怯んだ。

 

「……へぇ、気持ち良い殺気じゃないか。流石は博麗の巫女か……」

 

「殺気程度なら誰でも出せるわ」

 

「いや……こんな気持ち良い殺気は久しぶりだ。あの時も博麗の巫女だったね」

 

 魅魔は笑いながら弾幕を形成していく。私も札を針に形成して封魔針を作る。

 

「代々博麗の巫女に伝わる悪霊を退治する時に使われる封魔針か」

 

「あら、随分と博識ね」

 

「前世は博麗の巫女と戦ったからね。あの時の戦いで私は死んだ」

 

「成る程、だから悪霊として蘇ったのね」

 

「私の目的は博麗の巫女を殺す事。全人類の復讐なんざ興味無いね、まぁ気が向けばやるかもしれないけど」

 

「ま、悪霊だから復讐するわけね。どうせ私が死んだのは博麗の巫女のせいだーとかなんでしょ」

 

「おや半分当たりだね。死んだのは私が未熟だから仕方ない事さ、正解は博麗の巫女に負けて全てを奪われたからさッ!!」

 

 魅魔はそう言って弾幕を発射する。私はそれを避けながら封魔針を一斉に投げた。

 

 魅魔も私が投げた封魔針を避ける。

 

「そんなんじゃ私を到底倒せないねッ!!」

 

「そんな事、百も承知よ」

 

 私は札を魅魔に向けてばらまくが魅魔は鎌で切る。

 

 今度は封魔針を作る。

 

「ところで……私の弾幕を避けるのはいいが、あの男は大丈夫かい?」

 

「ッ!? 誠兄ッ!!」

 

 魅魔の言葉に思わず後ろを振り返る。負傷した誠兄を後ろに置いたのは私だ。

 

「え……?」

 

 しかし、後ろの地面に横たわっているはずの誠兄はいなかった。

 

「ほら、直ぐによそ見をする」

 

「ッ!?」

 

 いつの間にか魅魔は私の全周囲に弾幕を形成していた。

 

 ……逃げ場がない。

 

「王手……だね」

 

 魅魔はニヤリと笑い、一斉に弾幕を発射した。

 

「誠兄……」

 

 私は迫り来る弾幕に思わず目を閉じた。

 

「……?」

 

 しかし、弾幕が私に命中しない。それどころか痛みすらない?

 

「これは……」

 

 恐る恐る目を開けると、私の周囲には多数のスキマがあった。

 

「スキマ……八雲紫かい」

 

「……久しぶりね魅魔」

 

 魅魔の言葉に、別のスキマから紫が出てきた。

 

「……あの時以来だね」

 

「……えぇそうね」

 

 魅魔の言葉に紫は扇子を拡げて口を隠す。

 

「何しに来た……と言うのは止めておくよ。どうせ博麗の巫女を助けに来たんだろ」

 

「……そうね、霊夢を助けに来たのは確かよ。でも……貴女の呪縛を解かしに来たのよ」

 

「……何だって?」

 

 紫の言葉に魅魔はそう聞き返した。

 

 

 

 

「……ぅ……」

 

 あれ……此処は……。

 

「知らない……天井だ……」

 

 ネタ乙とか言うな。いや本当に知らん天井だしよ。

 

「あ、起きましたね」

 

 そこへ、頭にウサ耳が生えた女性が視界に入ってきた。確か名前は……。

 

「鈴仙……だったな」

 

「そうですよ、此処は永遠亭です」

 

「……俺は確か博麗神社にいたはず……」

 

「八雲紫のスキマで此処に移送されたのよ」

 

 そこへまた新たな女性が部屋に入ってきた。名前は……。

 

「超年増」

 

「何ですって?」

 

「……と、鈴仙が言ってました」

 

「ちょッ!?」

 

「うどんげ~」

 

「ヒイィィィッ!!」

 

 ……済まない、鈴仙。

 

「確か八意永琳……さんでしたね」

 

「えぇそうよ」

 

 鈴仙に注射しようとしていた八意は注射器を仕舞って俺にそう言う。

 

「兎達が永遠亭の玄関前に血まみれで倒れていた貴方を見つけたのよ。それにスキマを見たというし送ったのは八雲紫しかいないわ」

 

「はぁ……って戦闘はッ!? つぅ……」

 

 魅魔との戦闘を思い出して立ち上がろうと思ったが、脇腹の激痛でベッドに沈みこんだ。

 

「あぁ駄目ですよッ!! まだ負傷しているんですからッ!!」

 

「けど……霊夢が……」

 

 マジで痛いけど此処は我慢して神社に戻らないと……。

 

「その必要はないわ」

 

「紫さん……」

 

 突如開いたスキマから紫さんと霊夢、それに魅魔と霊夢と同じ年代の少女(後に霧雨魔理沙と分かった)が現れた。

 

 




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