やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。   作:mochipurin

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やー何とか遅くならない内に更新できました。
今回は区切るタイミングがなかなか掴めなかったので、やや長いです。(長いとはいってない)

では14話です。どうぞ!


14. 彼は気づくと女子小学生の悩みを聞くことになっている。

「ほらほらお兄ちゃん、愛する妹の水着姿だよ!今日のために新調してきたんだから、ねーねー感想はー?」

 

「あーはいはい、可愛い可愛い。プリティーキュート」

 

「わー雑な返しだなー。小町的にポイント低い」

 

「小町ちゃんの言う通りだよ!女の子がせっかく水着姿見せてるんだから、ちゃんとした感想言わないと!作文用紙一枚ぐらい!」

 

「由比ヶ浜、お前はその量書けんの?自分の頭とちゃんと相談して言ってる?」

 

翌日の今日、小学生が夜の肝試しまで自由行動ということで、俺たちもまた自由行動ということになり、何をするか話し合った結果、

 

「うっさいし!川遊びしてる時ぐらい勉強の話はしないで!」

 

 

そう、川に来ていた。

 

 

いや、川があるとか聞いてねえから。水着とか持ってきてないんだけど。あるって言われても持ってこなかっただろうけど。

あと由比ヶ浜、俺は勉強の話をしてるんじゃない。真にお前の頭を心配して言ってるんだ。

 

そうこうしていると、遅れて雪ノ下、的前、戸塚、一色、平塚先生がやってきた。

うわぁ、あの先生、なんであのプロポーションで男いないんだよ......。あ、昨日のメールで原因分かってたわ。

 

ギンッ

 

「ひっ」

 

ちょ、なぜ睨んでくるの!10mは離れてるだろ!

 

「ど、どうかな、八幡くん。似合ってるかな?」

 

と、超能力者染みたテレパシーを駆使してくる平塚先生を尻目に、的前が少し顔を赤くしながらおずおずと聞いてきた。

的前は、ストライプ柄のビキニだった。

正直目のやり場に困るのだが、ここで変に反応すると、「うっわぁ......こいつ水着姿程度に動揺してやんの(笑)」と内心馬鹿にされた上、確実に引かれるので、動揺を見せるな。感情を殺せ俺。

 

「お、おう。に、似合ってると思うぞ」

 

はいー知ってたー。絶対キョドる結末しか見えてなかったー。

 

「そ、そっか。よかったぁ......」

 

あ、しまった。まともに感想を−

 

「あれー?なんで優花さんだけまともに感想言ってるのかなー?」

 

ニヤニヤ、ニヤニヤと兄をこの上なく嘗めた態度で、接する妹がそこにはいた。知ってた。

 

「そうだよ!ほらヒッキー!私の水着姿に対する感想は?!」

 

うん、こうなることも知ってた。

 

「あ、じゃあ先輩には全員分の感想言ってもらう。って言うのはどうですかー?」

 

「は?」

 

それは知らん。そもそもハーレム系主人公ですら、まともな感想が出てこない鬼畜難易度イベントなんぞ、俺に乗り越えられるわけないだろ。頼むから見逃してケロぉぉぉ。

 

「そうね。こんな境遇、比企谷くんには二度と訪れないものね。更生へ導くにはうってつけだと思うわ」

 

「うん。いいんじゃないですか?」

 

雪ノ下、そんな顔が赤くなるぐらい嫌なんだったら、反対してもええんやで?というか是非反対してください。

 

「じゃあ、まずはハードルが低いであろう小町からで」

 

小町がはいはいと手を上げてぴょんぴょん跳ねる。

あ^〜マイエンジェルシスター小町たんがぴょんぴょんするんじゃ^〜

 

「てかちょっと待て、俺は感想を言うなんて一言も−」

 

「ごみいちゃん、この状況で拒否権が発動できるとでも?」

 

この後、めちゃくちゃ感想を言わされた。拒否権どころか黙秘権すらなかった件。権(件)だけに

 

 

✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎

 

 

ひとしきり川で泳いだ後、一旦昼食を挟もうという流れになり、バンガローに向かって森の中を移動中である。

ちなみに的前と昨晩いたところはもうちょっと下流だった。

 

「あー、楽しかった。葉山くんとかみんな来たらよかったのにね」

 

「ほんとですよねー。でもあそこで子供達の安全を優先するのが葉山先輩らしいっていうか」

 

「まったくだ。比企谷、君も少しは見習ってみたらどうだ」

 

「ハハハ、心に留めておきます」

 

そうなのである。葉山、三浦、戸部、海老名さんを率いる4人は、夜の肝試しの準備も控えているっていうのに、なんと、子供達の安全のため警備すると自ら名乗りでたのだ。

と言っても、葉山以外の3人は奴の意見に賛成して従ったまでなのだが。

やだ、葉山のイケメンオーラが半端じゃない。

ちなみに一色に、なぜ葉山についていかなかったのかを聞くと、押してダメなら引いてみろ。とのことだそうだ。はいはい、策士策士。

 

「ヒッキー絶対見習う気ないよね」

 

「まあ比企谷がこの程度の進言で更生するようなら、奉仕部に入部させるほど苦労はしていない。本当、君には困らされる」

 

「まったくですね。でも、そんな自分が嫌いじゃないです」

 

「あはははは.......」

 

なぜか的前に苦笑いされる俺。

 

「そんなのだから、あなたはいつまでたっても比企......ヒキガエルなのよ」

 

「おい待て、なんでお前が小学生の頃の俺のあだ名知ってんだよ。ソースどこだそれ」

 

「え......ごめんなさい......冗談で言ったつもりだったの」

 

「おい、急に態度変えて、まるで可哀想な奴を見るような目をするな」

 

別にいいだろ、ヒキガエル。小学生の頃の話なんだから多少はいい思い出に、なるわけねえだろ。

 

「あ.......は、はは......」

 

的前、というか全員、乾いて引きつった笑みを浮かべていた。みんなどしたん?

 

「はは......あ......」

 

と、ふと的前が声を漏らした。

その視線を辿ると、森の出口、その一番外側に生えてる木に背を預け、まるで休日の俺みたいにほけーっとする、黒髪ロングの女の子がいた。

あー覚えてる。小学生ながら妙に達観した価値観をお持ちのお子様だ。

 

「......っ!......っ......」

 

「............」

 

なるほど昨日途中から、的前の気が沈んでいたのはこれが原因か。

チラリと平塚先生に目配せをし、的前と例の女子小学生を交互に見る。

 

「......ふむ。そういえば肝試しの準備のために荷物の搬入があるんだった。すまんが、比企谷と的前以外はついてきてくれないか?比企谷と的前は、付近で生徒が、怪我でもしていないか見回っててくれ」

 

どうやら俺の考えを読み取ってくれたようだ。みんなもその指示に異論はなさそうである。

しかし、こういう時の平塚先生の察しの良さは、さすがとしかいいようがない。

 

「どういう経緯かは知らんが、的前のこと、ちゃんとフォローするんだぞ」

 

「......ウィッス」

 

その上俺の横を通り過ぎながら、超カッコいいセリフ吐いていったよ......。やばい、惚れた。

そしてこの場には俺、的前、そして例の女の子が残ったわけだが。

とりあえず声をかけないとな。的前のフォローも頼まれたことだしな。

 

「よ、どうした、こんなところでぼーっとして」

 

そうここは優しいお兄さんキャラで、

 

「......別に、私がしたいからこうしてるだけ。というか無理してキャラ作りしなくていいから。どうせ友達いないんでしょ?」

 

ごめん先生......フォローなんてできそうにないよ......

てかなにこの子、歳上にこんな失礼な口きくとかどんな教育受けてんの。

 

「お、おまえな......」

 

「おまえじゃない、灯崎、灯崎美咲」

 

「............」

 

名前にサキが多いんだよ、この野郎。

 

「は、八幡くん落ち着いて」

 

「......おう」

 

挙げ句の果て、俺が的前に宥められる始末。許すまじ。

 

「じゃあ、サキサキ」

 

「......そのさきさきっていうのやだ。普通に名前で呼んで」

 

「ああ、わかった。で、サキサキ」

 

「「......大人気ない」」

 

悪かったな。俺は根に持つタイプなんだよ。まあ、さすがに冗談だが。

 

「一体どういう経緯で美咲は......粗方予想はつくんだが......」

 

何らかの原因で、周りからハブられている。これは確実だろう。

そしてサキサキもまた、その現状を改善、変えようともせずに、ほぼほぼ諦めてる。恐らくこれも当たりだろう。

だが問題はその根本、サキサキが周囲から浮いたところにある。こればかりは仮説がいくつか挙げられるだけで、真相には辿り着けない。

 

「あー、そのことなんだけど......ちょっと美咲ちゃん」

 

「ん」

 

と、的前がサキサキと何か小声で話し始めた。え、目の前でひそひそ話されると私、気になります!

 

 

 

 

 

「じゃあ、そういうことでお願いね」

 

「わかった」

 

どうやら話が終わったようだ。

3分程度だったとはいえ、完全に蚊帳の外というのは、なかなか心にくるものがあったな。八幡寂しかったです。

 

「ごめんね八幡くん。ちょっとデリケートな話だったから」

 

「さすがにデリケートな話ってぐらいわかるけどな。で?話し合った結果どういった結論に至ったんだ?辛いのなら別に俺が席を外せばいい話−」

 

「ううん、八幡がいい」

 

「............」

 

......キュン

ってダメだろ俺。さすがにJSは刑法ものだって。

 

「ほんとずるいよねー八幡くんは。私ですら、私生活でうまくいってないんだーって言ったから、情報の共有って形で教えてくれたのに。それが八幡くんは、美咲ちゃんに一目見られて、この人なら教えても大丈夫、って思われてるんだもん。このたらし魔」

 

「おい待てこら。俺がどこで誰をたらしたってんだよ。誰も俺に恋愛感情なんて持ち合わせてないから、その貶し文句はおかしいだろ。」

 

「はぁ......そう言うと思った。いいよいいよ、他人の好意に気付けないまま独身でいればいいんだよ。この無自覚たらし魔さん」

 

「今の数十秒のうちに、何があって無自覚って言葉が付与されたの?ねえ」

 

「二人とも、話が脱線してる」

 

ジロ......

 

「「あ、すいません」」

 

何だろう。今雪ノ下と平塚先生を想起させる眼光が放たれた気がした......

そしてこの小学生に怒られる高校生情けない二人。

 

「じゃあ美咲、これだけは教えてくれ。ほんとに俺でいいのか?」

 

「うん。だって、八幡ちょろ......超カッコよかったんだもん」

 

「あーはいはいそういうことね。おーけーおーけー理解した」

 

頼らられて内心喜んでた過去の俺を殴りたい。

 

「あーもう、また話が逸れてきてるよ。八幡くんはちょっと黙って、ね?」

 

「あ、ハイ」

 

......あれ?今の俺が悪かったの?

 

「じゃあ、美咲ちゃん」

 

「......うん」

 

そして彼女、灯崎美咲は喋り始めた。

ポツリ、ポツリと。己の過去を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ね?長くないでしょ?
次回の更新の予定は未定です。
はい、いつも通りですね。

感想、評価ありがとうございます!
また次回お会いしましょう!

追記
原作のルミルミが登場しない訳は、的前というオリジナルキャラからなる、オリジナル展開があるからです。ルミルミ好きの方には申し訳ありませんでした。
また完全に新しいオリジナルキャラを作中に登場させていたことを後書きに書き忘れるという愚行、お許しください。

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