やはり俺に彼女が出来るまでの道のりはまちがっている。 作:mochipurin
どうも草プリンです。昨日は日本各地で大寒波と騒がれておりましたが、皆さんは大丈夫だったでしょうか。
まあ作者の地元は雪なんて一ミリも降ってなかったんですけどね。でもなぜかずっこけました。
作品もずっこけてないことを願いつつの11話です。どうぞ。
「あっつ......」
さすがは八月といったところか。いくら影の下で風通しが良くとも、耐え難いものがあるな。
「そうかなーそこまで暑くないとは思うけど......あ、休憩する暇はないからね?早くゴール地点に行かないと」
的前さんまじ体育会系。
「わかってるわかってる」
しかし暑いものは暑いのである。数時間前までクーラーの冷気に抱かれて過ごしてたやつなめんな。ほら、こんな奴は倒れちゃう可能性があるじゃん?ね?八幡、休憩が......したいな?
あ、でもここで意識とさよならできれば、気づくとゴール地点にワープしてるんじゃない?やだ八幡!頭いい!......三途っていう名前の川にワープしそうだから遠慮しときます。
「安心なさい、地図の通りだともう二十分もすれば着くわ。頑張りましょう」
「おー!」
「なにゆえ真夏の森でそんな元気でいられるのかね小町たん......」
「だってボランティアとは言え、二日もお泊まりなんだよ?!超楽しみ!」
「あっそ......」
そう、俺たちは今、小学生に混ざって森の中を絶賛闊歩中である。
オリエンテーリングが終わった順に昼食配布して欲しいんだけど、小学生に何かあると困るから、君たちもゴール地点まで歩いてこい。
当のオリエンテーリングが始まってから言うという、まさかの事後報告。あなたは本当に社会人?
ちなみに配布する側の俺たちが先を越されると元も子もないので、最速で到着というのが条件というおまけつきである。
ちなみに平塚先生は車でゴール地点へひとっ飛び。なにそれずるい。
あとこのオリエンテーリング、本来とは少し異なるもので、今回はそれぞれのチェックポイントに用意されているクイズを解き、そのタイムと正答数を競うという、体力馬鹿が決して優位に立てるわけではないルールとなっているらしい。実に良心的である。
普通は地図とコンパスを手に、ひたすらチェックポイントに向かって猛ダッシュ!という、夏には絶対したくない事ランキングに堂々とランクインするほどのゴツいスポーツなんだけどね。てか軽く死ねる。
しかし、
「へーさっきのチェックポイントの問題がわかったんだ、すごいね。高校生の俺でも迷ったっていうのに」
「えへへーすごいでしょー」
やはりというか葉山の対人スキルにはど肝を抜かされる。その相手相応の言葉選びのうまさに至っては、下手な社会人を上回ってる風に見える程だ。てかお前迷う素振りなんて全くしてなかったやろ。
「ねえねえ先輩」
べ、別に負け惜しみってわけじゃないんだからね!ぼ、ぼくだってちゃんと喋る事ぐらいできるんだから!
「......せんぱーい?聞いてますかー?」
あ、そもそも話しかけてすらくれないじゃん。そっか〜じゃあしょうがないな〜俺の華麗な話術が飛び出したのにな〜残念だな〜。
「せんぱい!」
「......あ?おれ?」
「他に誰がいるっていうんですか......」
いや、小町以外は全員該当するだろうが。
「悪い、先輩とか言われたの初めてでわからんかった。何か用か?」
「暇なんでお喋りしましょうよー」
「あ、悪い。そういうの間に合ってるから、違うやつと喋ってて」
「間に合ってるって......先輩誰とも喋ってなかったですよね?」
いや?ね?自分の心と対話してったていうかぁなんというかぁ。うっわ普通にキモい。引くわ。
「あーまあいいが、俺なんかと喋っても暇を潰せるような、面白おかしいネタはなにもないぞ」
「それは知ってるんですけど、この中で全く知らないのって先輩だけなんですよねー。だからプチ交流会てきなことをと思いまして」
「知ってるってお前な、今日初対面の先輩に対して失礼じゃない?シメられたいの?」
「それはお互い様ですし、シメれる度胸もないですよねー。あはは」
......こいつあれか、あざとさ溢れる表面の内側は腹黒ゆるふわビッチってやつか。絡みたくねぇ......
「わかったわかった。で、なんだ、交流会っつっても、俺の事なんぞなにも話す事はないけど」
「あ、先輩の過去とかそういうのはいいんで、主に交友関係についてお願いします。葉山先輩とより関わるためのダs......きっかけになるかもですし」
「............」
ねえ聞いた?この子いまダシとか言いかけてなかった?最近の女子ってみんなこんなの?
あとその、洞察力だけはありそうだから言葉の裏も読み取れよって顔やめろ。 まあわかっちゃたけどさ?
「なるほどな、お前葉山の事が好きなのか」
さすが葉山。後輩にまでモテまくりである。
「うわー小声とはいえ、当人が近くにいる状況でよく口に出せますねー。ちょっとデリカシーなさすぎて引きます。あとお前呼びは嫌なんで、せめて一色と呼んでください。というか一色以外の呼び方はしない方向で」
「......一色って周りにはあざとく振る舞う系の女子じゃないわけ?なんで俺だけあたり強いの?怒ってるの?」
だから初対面であざといとか言って遠ざけようとしたのに、どうしてこうなった。
「初対面でかつ、みんなの前であざといとか言ってくる人に対して、自分を見繕うほどの価値ありますか?」
あ、言葉選びをミスったからかー。自業自得かー。いやー申し訳ない。
「あれに関しては謝るが、だったらなんで尚更俺に絡むんだ。意味わからん」
「今回参加してる、葉山先輩に雪ノ下先輩、その他の人もほとんどが学校で有名な人ばっかりなんですよ?そんな人たちと知り合いとかちょっとおかしいですよねー。もしかして自覚ないんですか?」
「自覚もなにも、知り合いって言えるのは雪ノ下と由比ヶ浜、辛うじて葉山程度だぞ。交友関係の狭さなめんな」
「そこでドヤ顔されてもですね......というか的前先輩も結構有名なんですよ?彼氏なのに知らないんですか?」
へえ、的前もなのか。容姿端麗、といういうとちょっと違う気がするが......まあ、かなり高水準な容姿であることは頷ける。そう、美人というよりは、可愛いっていったほうが似合ってる感じなのだ。あいつは。
「あと一色。俺と的前はカップルでもなんでもないからな。俺の前はともかく、的前の前では冗談であってもやめてくれ。絶対嫌がる。というか最近そのネタでいじってくる愚妹がいるから普通に疲れる」
「え?!カップルじゃないんですか?!二人が喋る時の態度が、明らかに周りとは違うから絶対そうだと思ってたのに......あ、そうか、まだ両想いの段階......なるほど」
なにブツブツ言ってるのこの子。大丈夫?暑さで頭やられた?
「確認ですけど、先輩は的前先輩のことが好きなんですよね?」
「はぁ?なんで俺が的前のこと好きってなってるんだよ」
ほんとこの子大丈夫?今すぐ帰宅したほうがいいんじゃない?なんなら俺も帰らせて。
「うっわー......この人、自分の心に気づいてないのかー、鈍感なんてレベルじゃないですねこれ......」
自分の心に気づいてないってなんだよ。俺の心はピュアッピュアで真っ白だからしょうがないだろ。それ人間性喪失してる気がする......
「ね、先輩。私、葉山先輩が好きって言いましたよね」
「そうだな。お前自身は言ってないけど」
歩みを緩め、少し雪ノ下達と距離を置き、俺の顔をしっかり見て、
「ここは好きな人がいる同士、協力しませんか?」
そう告げてきた。
「だから的前は好きなんかじゃねえって......」
......こいつのあざとは、好きな人に振り向いて欲しい、の一心からきたものなのかもな。そう思った−
反面、
小町と関わらせると絶対ヤベェ......そう確信した。
つうかなんで俺と的前が付き合ってるように見えたの?至って普通に接したはずなんだけど......な?
一色のキャラ黒くね?
はい、ごもっともな感想です。作者も筆を置いた後に気づきました。じゃあ修正しろよって感じなんですけど、それはそれで違った一色を味わってもらえたらなーって(訳:書き直すモチベーション消失)
ではまた12話でお会いしましょう!