ぼっちな俺はとある理由で田舎で暮らす。   作:ちゃんぽんハット

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更新かなり遅くてごめんなさい!!
この時期は忙しくて……
そして今後も更新が遅れると思います……

とりあえず第16話、お楽しみ下さい!

それではどうぞ。


田舎暮しその16

「しゅ、しゅうがく、りょこう?」

 

俺のすっとんきょうな声が教室に響く。

クラスメイトたちの視線が一気に俺へと集まるが、今はそれどころではない。

問題なのは平塚先生が発したその言葉であった。

 

「どうかしたかね、比企谷?」

 

「いや、その、先生……今、修学旅行、とおっしゃいましたか?」

 

「そうだが……それがどうかしたか?」

 

俺の質問の意味がわからないと、平塚先生は少し眉根を寄せる。

クラスメイト達もキョトンとした顔をしていた。

 

一応断っておくが、俺だって修学旅行自体のことを知らないわけじゃない。

それは当然だ。

ていうか知らないやつの方がおかしい。

そもそも、過去に小学校と中学校で経験してきた行事なので、むしろ修学旅行というものについては詳しい。

 

まあ、班行動でいつも自分の行きたい所には行けずに皆の後ろを付いていくだけで、料理も部屋も何故か手違いで俺の分だけ無くて、集合写真にも写ってなかったあれを修学旅行と呼べるのかは甚だ疑問だが。

……甚だ疑問だ。

 

まあ過去の修学旅行(仮)はひとまず置いておき、今は目の前の問題だ。

では何故俺がこんなに驚いているかというと、それは……

 

「いや、あの俺……一言もそんな事聞いてないんですけど……」

 

はつみみハツミミ初耳。

ただそれだけであった。

この高校で、しかも来週に修学旅行があるというのを、俺は今日初めて知ったのだった。

 

てかテストの時もいきなりだったし、平塚先生はそういうとこ結構適当なのか?

まあ、テストはそれほど大きな行事ではないし、特別何か準備しなければ行けないというわけでもないからまだいい。

だが、修学旅行となれば話は別である。

色々と準備するものだってあるし、金銭も絡んでくる。

出来れば早めに伝えて欲しかったものだ。

 

「おや、ちゃんと伝えたはずだぞ?」

 

俺の言葉を受け、ふむと腕を組む平塚先生。

そして俺の頭に疑問符が増える。

 

あ、あれ?言われたっけ?いや、そんな……

記憶を遡り、修学旅行という単語を探してみる。

しかし、やはりここ最近にそれを聞いたことはなかった。

 

言われてないよな、俺?

もしも先生が本当に言っていたら、これはかなり恥ずかしいやつだが……

ん?何が恥ずかしいかだって?

それはまあ、戸部的に説明するとこんな感じである。

 

『ちょ、おま、そこ間違ってるべwww』

 

『え?ちゃんと合ってるよ?』

 

『いやwww間違ってっからwwそこはこうだからwww』

 

『でもここはこうだよ?』

 

『だからそこがそうなんなら、ここがこう……あれ?』

 

『…………』

 

『……あ……合ってるわ、これ……うん、合ってるべ』

 

『…………』

 

『……なんか、ごめん』

 

『……うん』

 

 

本当このやり取りは恥ずかしいよな。

軽く死にたくなるレベル。

てか俺の脳内戸部がとうとう草を生やしてしまった。

……なんか、ごめんな、戸部。

 

まあとにかくだ。もし平塚先生が本当に俺に修学旅行のことを伝えていた場合、俺はとんでもない恥をかくことになる。

しかも今は皆の注目を集めている状況。

その時は皆にバカにされること間違いなしだ。

 

くそっ、いつもの俺なら視線を集めないように驚いても黙ってたはずなのに……衝撃がデカすぎたか?

後で直接聞けばよかった。

 

まあなんにせよ、今更ながら自分の無用心な発言を後悔する。

いや、本当に言われた記憶がないから大丈夫だとは思うんだが……

 

「私は確かにあの日……はっ!?」

 

俺に何かを言おうとした先生。

しかしそれは最後まで聞こえず、当の先生は突如目を見開いた。

な、なんだ?どうかしたのか?

先生の妙な反応に、徐々に焦りが増してくる。

そんな俺の元に、ふと1人の女性の声が聞こえてきた。

 

『あ、あの日は……たしか、比企谷に修学旅行の事を伝えようと思っていたら突然元カレから電話が掛かってきてもしかして寄りを戻す話しかと思いきや結婚するとの報告を受けたて悲しみにくれてその日はもう何もする気が起きなくなって居酒屋で1人でやけ酒をした日……しまった!?完全に伝え忘れていた!』

 

その女性の声は口から発せられたものではく、心から発せられた声。

……いや、あの、先生?

 

『ああ、私としたことがすっかり忘れていた。これは比企谷に申し訳ないことを……くそっ!これも全てあいつが悪い!あんな電話掛けてきて……しかも相手は容姿も性格もよくて料理上手で家柄もよくて趣味が裁縫で子供大好きのとっても素敵な人らしいじゃないか……ふふ、それじゃ私なんかが勝てるわけはないか……いや、そうでなくても私なんかどうせ誰とも結婚できない……私はこのまま死ぬまで独り身の可哀想な行き遅れ女になるしかないのさ……ふふ、ふふふふふふふ……はあ、結婚したい』

 

心の底からではなく地の底から響いてきそうなその声に、思わず身震いする。

 

重い!!重すぎるよ先生の心の声!!

悲しすぎてもう涙が出そう。

本当に早く誰かもらってあげて!

 

「ぷっ、ふふ、くふふふふ」

 

隣から小さな笑い声が聞こえてくる。

声の主である陽乃は、机に突っ伏して笑いを堪えていた。

てかお前、平塚先生の心の声も普通に聞いてんのかよ。

全く、陽乃さんってばマジキチ!!

 

「聞こえてるよー、八幡♪」

 

……陽乃さんってばマジエンジェー。

 

「ま、まあいい。確かに私は伝え忘れていたいたかも知れないが、それは大した問題ではないからな」

 

どうやら鬱状態から回復したらしい平塚先生は、佇まいを正すと俺にそう言ってきた。

 

いや、かもしれないってあんた……

まあ先生も辛い思いをしたみたいだし、今回はその辺は見逃してあげよう。

 

しかしだ。

伝え忘れていたことに関しては別だ。

先程も言ったが、修学旅行というのはかなりのビッグイベントで、しかも金銭も絡んでくる。

それをこんなギリギリに伝えられても、ちゃんと準備が間に合うかどうか……

それを先生あんた、大した問題ではない、だと?

それはさすがに聞き捨てならない。

いくら菩薩の八幡と言われたこの俺でも、今回ばかりはいくらかご立腹である。

あ、菩薩じゃなくて地蔵だったかも。

傘やるよとか言われて三角コーン被せられたこともあったし多分地蔵だわ。

あはは♪何それ超かわいそう♪

……本当かわいそう。

 

と、とにかく!今回俺には、平塚先生にクレームをつける権利があるはすだ。

変にクラスメイトの注目を集めた恨み、そして嫌な過去を思い出した恨み、今ここで晴らさせてもらうぞ!!

 

「先生、今回のはさすがn「どちらにせよ比企谷は修学旅行に参加出来ないのだからな」……へ?」

 

先生を責めようとした俺の言葉は、当の先生本人の言葉によって封じられた。

 

あ、あれ?おかしいな?聞き間違いかな?

いま、修学旅行に参加できないとか聞こえた気がするけど……いや、え?

 

予想外すぎる先生の言葉に、完全にパニック状態になる俺。

 

すると、クラスメイトたちもかなり驚いたのだろうか。

口々に先生に質問を投げ掛けていた。

 

「先生、ハッチーが参加出来ないってどういうこと?」

 

「意味わかんないんだけど」

 

「学校側が生徒の参加を制限とかできるの?」

 

「いや、もしかしたらハッチーはそれだけ悪いことをしたのかも!」

 

「うわー、さすがハッチーやるねー」

 

「そうそう、この前もハッチーがさー……」

 

質問……しつ、もん……んん?

あのー、後半完全におかしなことになってるんでが……

てか最後のやつ絶対戸部だろ。お前口固いんじゃないのかよ。

 

「ええい、静かにするんだ君たち!」

 

ざわざわし始める生徒たちを平塚先生が沈める。

シンとした教室の前で、平塚先生は再度同じ事を言った。

 

「これは間違いでもなんでもない。比企谷は修学旅行に参加出来ないのだよ」

 

はっきりとそう告げる先生。

 

な、何で俺は参加出来ないんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回真相が明らかに!!

 

 

 

 




いつもお読みいただきありがとうございます。

更新が遅れると思いますが、今後とも気長にお付き合いいただけると嬉しいです。

そしてお気に入り、感想や評価、本当にありがとうございます!!
感謝感謝です!!!

それでは今日はこの辺で。

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