ゼルダの伝説 虚無《ゼロ》の少女と時の勇者   作:すもーくまんじゅう

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『ゼロ』② 失敗と爆発

 もう一度シエスタにお礼を言ってから別れ、ルイズとリンクは授業の行われる教室へと向かった。本塔から一度外へ出て、また別の塔へ入る。扉を開けて中に入ったルイズの後にリンクも続く。

 教室はかなり広く、数十人の生徒が入っても余裕があるように作られていて、今は昨日召喚されたばかりの使い魔がそれぞれの主人の脇に控えていて賑わっていた。

 入り口側に教壇と大きな黒板があり、それがよく見えるように、生徒達の座席は階段状に配置されて、教壇を中心にして半円状に取り囲むようになっている。

 リンクは教室の中を興味深げにきょろきょろと見回した。へぇー、という感心したような声がその口からつい漏れる。このような学校というものの中に入ることは初めてだったから、雰囲気が物珍しくてついあちこちに目が行ってしまうのだ。

 ルイズが座った椅子の横に、リンクも腰掛ける。キュルケとタバサは、その前の席に座っていた。

 

「もしかしてだけど、俺も授業受けるの?」

「受けるというか……一緒にいるって感じかしら? ほら、みんな使い魔を連れているでしょ?」

 

 言われてみれば、昨日召喚された時に見かけた使い魔たちがそれぞれ主人である生徒の傍に控えていた。タバサの使い魔の風竜は姿が見えないが、教室の中に入るには大きすぎるからだろうか。

 

「あんまり勉強は得意じゃないんだけどなぁ……」

「ふふっ。まあ、大丈夫よ。リンクが当てられたりなんかしないから」

 

 困ったように笑うリンクに、ルイズはくすりと微笑んでそう言った。それもそうか、とリンクはルイズの言葉を聞いて気を楽にした。それに、この世界の魔法がどんなものなのかは興味がある。話を聞くのもためになるかもしれない。

 そんなことを思っていると、入り口の扉を開けていかにも魔女といった雰囲気の紫色のマントと帽子をかぶった小太りの女性が入ってきた。年は四十ぐらいだろうか、柔和な笑みを浮かべている。女性は教壇に立つと声を上げた。

 

「みなさん、こんにちは。みなさんの授業を受け持つのは初めてですね。私は『赤土』のシュヴルーズ。これからよろしくお願いしますね。みなさん、春の使い魔召喚の儀式は大成功のようですね。私は毎年こうしてみなさんが召喚した使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」

 

 そう言うと、シュヴルーズは教室をぐるりと見回していたが、リンクに気がつくとはっとした表情になった。

 

「まあ、本当にエルフと同じ耳をしているのね! 本当に随分と変わった使い魔を召喚したのですね、ミス・ヴァリエール」

 

 シュヴルーズがそう言うと生徒たちから笑い声が上がった。おまけにルイズを馬鹿にした野次まで飛んでくる。

 

「最初はエルフを召喚したんじゃないかって驚いたけどね~」

「無理無理! ルイズがエルフなんて召喚して使い魔にできるわけないって! あの『ゼロ』のルイズなんかにさ!」

 

 あはははー、とその言葉に同調するような笑い声が響き渡る。ルイズは顔を紅く染め、むぅっと口をへの字に曲げた。いからせた眉がぴくぴくと動く。

 

「本当に召喚したのか~? 留年したくないからって失敗を誤魔化してるんじゃないか?」

「なあルイズ! どうやってそんなへんてこな格好の平民を連れてきたんだよ!? おまけに皆を驚かせようと長耳の変装までさせてさ!」

「ちゃんとサモン・サーヴァントは成功させたわよ! 契約のルーンだってちゃんとあるのよ! それに、あんた達にはこの耳がニセモノに見えるわけ~!?」

 

 がたんと椅子を蹴り倒さんばかりの勢いで立ち上がって声を張り上げたルイズは、ぎゅうっとリンクの耳を引っ張りあげて、それがハリボテなどではなく本物であることを周りに証明してみせる。たまらないのは身体ごと持ってかれそうな勢いで耳を引っ張られるリンクだった。

 

「いっ! いだだだだ! ルイズ! 痛いって!」

 

 女の子の力とはいえ、全力で耳を引っ張られたのだ。強烈な痛みに思わず叫び声があがってしまうのも無理はない。それにしたって、例え本物の耳でもちぎれてしまったらルイズはどうするつもりなのだろう。片耳がちぎれとんでだらだらと血を流す自分を想像してリンクはぞっとした。

 はっとしてルイズは手を離した。リンクはさすさすと耳を触って、それがまだきちんとくっついていることを確かめる。その様子に周りからまた笑い声が上がる。

 

「ほらほら! みなさん静粛に! 騒ぐのはそのぐらいにして、授業を始めますよ! ミス・ヴァリエールも着席なさい!」

 

 シュヴルーズは手を叩いてそう促した。教室に静けさが戻ってくる。ルイズも席に座り、ばつの悪そうな顔でリンクに謝った。

 

「ご、ごめんね、リンク……つい……」

「引きちぎれるかと思ったよ……」

 

 苦笑いでそう返すのがリンクには精一杯だった。

 

 シュヴルーズは黒板に色々と文字や図形を書きながら授業を始めた。一年の最初ということで、魔法の基礎について話をしているらしい。

 リンクがふと隣のルイズの様子を見ると、真剣な表情でペンを走らせている。彼女のノートは細々とした綺麗な文字でびっしりと埋まっていた。メモ書きのような囲いがたくさんあることから、どうやら自習の書き込みらしい。

 

「……ということで、魔法の四大系統『火』『水』『土』『風』の四つに、今は失われた系統魔法である『虚無』を合わせて全部で五つの系統があるわけですが、その五つの中で『土』は最も重要なポジションを占めていると私は考えています。何も私が『土』系統だからというわけではないですよ」

 

 こほん、と咳払いをして一つ間を置いてからまたシュヴルーズは話し始めた。

 

「何故ならば『土』は万物の組成を司る重要な魔法であるからです。重要な金属を作り出したり、建物を建てる石を切り出したり、さらには農作物の収穫まで。『土』は皆さんの生活に密接に関わっている魔法なのです」

 

 そう言って、シュヴルーズはポケットから拳大の石ころを取り出し、教卓の上に置いた。

 

「今から皆さんに教える魔法は『土』系統の基本、『錬金』です。一年生の時にできるようになった人もいるでしょうが、基本は大事ですからね。このただの石に『錬金』をかけてみますよ。よくごらんなさい」

 

 シュヴルーズは机の上の石に向かって杖を振り、呪文を唱えた。すると、石ころが光を放ち始めた。光が収まると、くすんだ灰色だった石ころは、光沢を放つ金属へと変わっていた。生徒たちから驚きの声が上がる。リンクも感心した声を漏らした。

 

「すごい! まさかゴールドですか?」

 

 中でも、その輝きに興奮した女子生徒の一人が声を上げた。

 

「いいえ、違います。これはただの真鍮です。本物の金を『錬金』することが出来るのはスクウェアクラスのメイジだけですから」

 

 シュヴルーズは得意げな表情になると続けた。

 

「自慢ではないですが……私は『トライアングル』ですから!」

「……思いっきり自慢してるじゃない」

 

 キュルケの小さな呟きはシュヴルーズには届かなかった。

 

「ねえルイズ、トライアングルとかスクウェアってのは何のこと? メイジの格か何かなの?」

 

 熱心に授業を聴いているルイズに悪いな、と思いつつもリンクは耳慣れない単語について小声で訊いた。自分以外は誰も不思議に思ってないようだから、どうやらこちらの人々にとっては常識らしい。

 

「ああ、そういえばそういうのは昨日説明してなかったかしら」

 

 そう言うとルイズは教えるのが嬉しいのか、ちょっと誇らしげな表情になると合わせて小声で説明を始めた。

 

「あなたの言うとおり、トライアングルやスクウェアは、メイジのランクのことなの。メイジのランクは、一度に重ね合わせられる系統の数で決まるの。系統を重ね合わせればそれだけ呪文も強力になるのよ。一つの系統だけしか使えないメイジは『ドット』。二つの系統、たとえば火を二つとか、水と風とかを重ね合わせられるメイジは『ライン』。三つの系統を使えるものは『トライアングル』。そして四つの系統を使えるメイジが最高ランクの『スクウェア』ってわけ。ミセス・シュヴルーズはトライアングルクラスだから、三つの系統を同時に重ね合わせられるって事ね」

「ふーん……シュヴルーズ先生が自分を『土』系統だって言ってたのは?」

「ああ、それはね、メイジには必ず自分が特に得意とする系統があるの。たとえばキュルケだと『火』系統って具合にね。ミス・シュヴルーズはそれが『土』ってわけ。魔法の効果も自分の系統のものを使う方がずっと強力になるわ。他の系統はやっぱりそれを得意とするメイジに比べるとずっと効果が落ちちゃうのよ。あとは系統魔法とはちょっと違って、コモンマジックというものがあるの。こっちはメイジの系統とは関係なく使える魔法なんだけど、昨日みんなが空を飛んでいたのは、コモンマジックの『フライ』を使っていたのよ」

「へぇ……よくわかったよ。ありがとう、ルイズ」

 

 ルイズはにこっと微笑んで応えた

 

「どういたしまして!」

「……それでは、ここで誰かに実際に『錬金』をやってもらいましょう。そうですね、ミス・ヴァリエール! 前に出てやってみてください」

 

『土』系統の素晴らしさを語っていたシュヴルーズがそう言ってルイズを指名した瞬間、教室の空気が凍りついた。リンクは突然雰囲気が変わったことに驚くが、生徒達にとってはこれが当然であった。去年からずっとルイズの失敗魔法でひどい目にあってきていたのだ。今またそれが繰り返されると思うと、空気が凍りつくのも無理はなかった。

 

「あ、あの、ミセス・シュヴルーズ! その、彼女だけは止めておいたほうが……」

 

 ルイズとリンクの後ろに座っていた長い金髪を螺旋状に巻いた髪型の女の子が立ち上がり、だらだらと冷や汗を垂らしながら言った。彼女の背中を嫌な汗がつうっと伝っていく。

 

「何故ですか? ミス・モンモランシー?」

 

 シュヴルーズが怪訝な顔をして彼女に聞いた。

 

「その……危険なので……」

「危険? どういうことですか?」

「ルイズを教えるのは初めてですよね?」

「ええ、ですが彼女が努力家であるとは聞いています。さあ、ミス・ヴァリエール! こちらに出てきてやってごらんなさい! 失敗を恐れては何も出来ませんよ?」

 

 ルイズは躊躇うようにぎゅっとスカートの端を握っていたが、ちらりとリンクを振り返った。リンクが勇気付けるように頷くのを見ると、ルイズは決心したように立ち上がった。

 

「はい! やります!」

 

 そう言ってルイズは杖を取り出すと、颯爽と教壇に向かって歩いていった。緊張した面持ちで杖を構えるルイズに、シュヴルーズはにっこり笑って言った。

 

「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を強く心に思い浮かべるのです。そして意志を声に乗せてルーンを紡ぐのですよ」

 

 こくりと頷くルイズの一方で、やっぱりダメかと早々に諦めた生徒達はため息を吐きつつ、自分の使い魔と一緒に机の下に潜った。

 

「リンク、あなたも怪我したくないなら机の下にもぐったほうが良いわよ。あの子張り切ってるから、きっといつもよりすごいのが来るわ」

 

 机の下に身を隠したタバサを尻目に、キュルケは頬杖をついて面白そうにルイズを見やりながらリンクに言った。リンクはにっと笑ってキュルケに返事をした。

 

「ま、そうかもね。でも成功するかもしれない」

「そんなわけないでしょ。『ゼロ』のルイズよ。魔法の成功確率ゼロよ!」

 

 先ほどシュヴルーズに抗議したモンモランシーが、しっかりと潜った机の下からリンクに向かって呆れたように言った。

 

「成功確率ゼロなんかじゃないさ」

「は?」

 

 リンクの返した言葉に、モンモランシーは素っ頓狂な声を上げる。

 

「俺がここにいるのがルイズの成功の証だから。少なくとも一回は成功してるってことだよ」

 

 モンモランシーは目を丸くしてリンクを見ていたが、何を言っているのかとわからないと言わんばかりにため息をついて首を横に振った。リンクは真っ直ぐにルイズのことを見ていて、モンモランシーの素振りには気がついていなかった。キュルケはくすりと笑うと、リンクと一緒にルイズのことを見守った。

 ルイズはすっと目を瞑り、短くルーンを唱えて杖を石に向かって振り下ろした。その瞬間、起きたのは爆発だった。

 響き渡る轟音と吹き付ける猛烈な爆風に、リンクは思わず腕で顔を覆う。ようやく収まったところで様子を窺うと、机と椅子は木っ端微塵になっていて、シュヴルーズは床に大の字になって気絶していた。

 教室もひどい有様だった。木製の重厚な扉は、蝶番がねじ切れてぶらぶらと揺れていて、ガラスがはめ込まれていたはずの窓は木枠ごと吹っ飛び、無残な姿をさらしている。

 おまけに興奮した使い魔たちが大騒ぎだ。魔法が全部爆発するとは聞いたが、まさかこれほどの威力だとはリンクも思っていなかった。ただ確かなことは、ルイズの魔法が失敗したということだ。

 シュヴルーズと同じようにルイズは床に伸びていたが、リンクが駆け寄ろうとしたところでむくりと立ち上がった。爆風のためか髪はぼさぼさになり、服はあちこちが破れ、煤まみれになっていたが、見たところ怪我はしていないようでリンクはほっと胸をなで下ろした。

 砕け散った机と石をちらりと眺めたルイズだったが、ふっと小さく息をつき、優雅な身振りでポケットからハンカチを取り出すと、余裕の表情で顔の煤を拭って言った。

 

「ちょっと失敗したみたいね」

 

 そこらじゅうからどっと怒りの声が上がる。無論、机の下に避難していた生徒達からだ。

 

「どこがちょっとだ! 教室の有様を見てから言えよ!」

「いい加減にしろ! 『ゼロ』のルイズ! 何度爆発させれば気が済むんだ!」

 

 ふう、とため息を一つついたキュルケは爆風に煽られて乱れた髪を直しながら言った。

 

「やれやれ……成功はまだ遠そうね」

「ははは……」

 

 リンクは苦笑いで応えるしかなかった。

 

 

 

 

「あ~あ! 今日はうまく行くような気がしたんだけどなぁ!」

 

 ルイズは床に箒をかけながら、悔しさをにじませてそう言った。教室──今は跡地と言った方が良いのかもしれないが──に残っているのは、ルイズとリンクの二人だけだ。二人は、爆風で無残な姿となってしまった教室を片付けていたところだった。

 太陽は既に高く昇り、時刻は昼前になろうとしている。二人はあの後、目を覚ましたシュヴルーズから教室の後片付けを命じられてしまったのだ。

 (いびつ)にひしゃげた扉はリンクによって外され、黒板に立てかけてあった。かろうじて生き残った金具で留められていた扉は、リンクが大して力もこめずに引いただけで、簡単に外れてしまった。

 ぼろぼろにもげた窓枠は一緒にまとめられ、最後に粉々となったガラス片と煤まみれの床を箒で掃いているところだった。

 

「ははは……まあ、怪我がなくて良かったよ」

「……幻滅した?」

 

 ルイズはリンクに振り向いて、静かにそう問いかけた。

 

「あんな風にいっつも私の魔法は爆発しちゃうの……ひどいものでしょ? こんなのが主人だなんて、がっかりしたんじゃない?」

 

 ルイズは寂しい笑顔でそう言った。リンクは首を横に振って答えた。

 

「そんなことないよ。すごい爆発だから、そりゃあびっくりはしたけど」

 

 しかし、ルイズは悲しげに眉を下げ俯いた。じわりと瞳が潤む。

 

「でも、私は……失敗ばっかりで……」

 

 ルイズが消え入りそうな声でそう言うと、リンクは優しくルイズの肩に手を置いた。ルイズが顔を上げると、リンクの力強い眼差しが彼女を見つめていた。

 

「良いじゃないか。何度失敗したって。シュヴルーズ先生だって言っていたけど、失敗を恐れてやる前から諦めたら、何にも始まらないんだ。何度失敗しても、何度挫けそうになっても、それでも諦めないからいつかうまく行くようになるんだよ。魔法に限らず、何だってそうさ」

「リンク……」

 

 リンクの励ましの言葉が、ルイズには心に染み渡るようだった。肩に置かれた手から、暖かさと力強さが伝わってくるように思えた。

 

「それにさ、考えようによっては『爆発』って魔法を成功させているって言えるんじゃないかな」

 

 リンクの言葉に、ルイズは目をぱちくりとさせた。戸惑うようにおずおずと口を開く。

 

「爆発が……魔法? でも、これはただの失敗で……」

「だって俺には出来ないよ? 杖を振って、呪文を唱えるだけで爆発を起こす、なんてことはさ。立派な魔法じゃないか」

 

 リンクはにっと微笑んで、ルイズにそう言った。ルイズは爆発をそんな風に考えたことは今まで一度たりともなかった。爆発なんてそんなものはただ憎たらしい失敗で、自分の才能の無さを示しているだけのことだと思っていたからだ。

 リンクは続けてルイズに問いかけた。

 

「それにさ、他にルイズみたいに爆発させられる人はいるの?」

 

 リンクの言葉に、ルイズはちょっと考え込んだが、自分以外にこんなことが起きる人は見たことも、聞いたことも無かった。だからこそ自分は『ゼロ』なんて屈辱的なあだ名で呼ばれているのだ。

 

「いないわ……」

 

 ルイズの答えを聞いて、リンクは微笑んで言葉を続けた。

 

「それじゃあ、これはルイズだけの魔法ってことだ。そう考えると、すごいと思わない?」

「ふふっ、なんだか大げさね」

 

 ルイズは微笑んでそう言った。先ほどまでの寂しさは消え去っていた。可愛らしい、嬉しさのあふれる笑顔だった。

 

「俺にはルイズの魔法が何でうまく行かないかはわからないから、それをどうにかすることは出来ないけど……でも、ルイズなら出来るって信じてるよ。諦めなければ、きっと大丈夫さ」

 

 リンクははっきりとそう言い切った。少しの迷いも無いその言葉に、ルイズは胸の奥底から力が湧いてくるように思えた。にっこりと微笑んでルイズはリンクに応えた。

 

「ありがとう……リンク。なんて言ったら良いのか……その、すごく嬉しいわ。へこんでたけど、元気が出た! 勇気が湧いてきたような、そんな気分!」

 

 笑顔になったルイズに、リンクもにっこりと笑った。そうしてルイズは箒を両手で構えて元気良く言った。

 

「さあ、さっさと片付けちゃいましょ! もうお昼になっちゃうわ! 早く食堂に行かないとね!」

「ああ!」

 


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