双子の姉弟が送る!暗殺教室   作:コミ6目半

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遅くなってすいません、オリジナル後編始まります!


第59課 双子の時間

  ちょうど俺と椿季が三年生だったとき、俺は周りの奴らにこの女子みたいな顔立ちと名前のせいでいじられることが多く、そしてその俺はことが死ぬほど嫌いだった。

 

 ある日、ある意味いつものようにそのことでいじられたことを母さんに文句をいっていると、母さんは少し苦笑いしながらリビングの椅子に座りコーヒーを一口飲んだ。

 

 「それで?なんだっけ?」

 

 「だから俺の名前がどうしてこんなに女子みたいな名前なんだよ!」

 

 「分かった分かった説明するから」

 

 

 笑いながらそういう母さんを半ば睨みつけながら俺は食卓のいつもの場所に座った。

 

 

 「本当はこういう話は、柊季たちがもう少し大きくなってから話したかったんだけど」

 

 「嫌だ、今話して」

 

 「まったく、柊季はまだまだお子ちゃまね、とても私の望み通りに育ってくれる日が来るのは先かな」

 

 「望み?」

 

 

 俺はイライラしながらも母さんの話を聞いていた。

 

 

 「柊季は花言葉って知ってる?」

 

 「花言葉?よく女子が好きな男子に対して自分のことを好きか嫌いかを花びらをむしりながら聞くあれ?」

 

 「それは花占いでしょ」

 

 「……さいで…」

 

 

 俺は適当にごまかした。

 

 

 「例えば、椿の花言葉は「至上の愛らしさ」や「誇り」、ヒマワリの花言葉は「あなただけを見つめる」や「愛慕」って感じにその花によって隠された意味みたいなものがあるだよ」

 

 「椿が「至上の愛らしさ」って意味があるとしたら椿季には全く似つかわしくない意味だな、暴力的だし」

 

 「こら!お姉ちゃんのことそんな風に言わない」

 

 「はいはい」

 

 

 俺はは面倒くさそうにそういうと、母さんは話をつづけた

 

 

 「それで柊季の花言葉はね」

 

 「かっこいいのがいいな、「勇気」とかさ」

 

 「残念でした。それはポピーって花の花言葉。柊の花言葉は「あなたを守る」」

 

 「あなたを守る?」

 

 

 柊季はわけもわからず聞き直す。

 

 

 「そう、誰かが困ってるときに手を差し伸べてあげられる、守ってあげられるそんな人になってほしいから柊季にしたの」

 

 「誰かを守るって誰を?」

 

 「まずは柊季の大切なひとなんじゃない?柊季が好きになる人とか、椿季とか私とか」

 

 「ちゃっかり、自分と椿季を入れるなよ」

 

 「いいじゃない、守ってよ!男でしょ」

 

 

 笑顔でそう言う母さんに俺はイタズラをするように言った。

 

 

 「嫌だね、てか二人とも女と思えないほど強いし」

 

 

 そして、俺はいつものように母さんが「なんだと!!」なって言いながら冗談を交えて怒ってくるものとばかり思い、逃げ出す準備をしていたが、この時に限ってはそれは違った。

 

 母さんはもう一口コーヒーを飲んで言う。

 

 

 「でも、柊季。本当にもしも椿季や他の誰かが困っていたら助けられるような人になってね」

 

 

  母さんはこのとき珍しく慈しむような眼で俺を見ていた。

 

 

 「……………なんで急にそんな顔でそんなこと言うんだよ」

 

 「なんとなくかな」

 

 

 そういう母さんの笑顔に子供の俺も照れながら呟いたのだった。

 

 

 

 「……………わかった」

 

 「うむ、それでよろしい」

 

 

 そしてそこからは本当にいつものふざけた母さんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから母さんが死んでその話は何となく俺の記憶に残り続けた。

 

 別にこれといってその意味を特別意識することもなく、ただ引っかかっていたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「守る……だあ?」

 

 「ああ、口うるさくて、あれだけ言われてもまだ一人で責任背負込もうとする分からずやだけど、それでも俺の姉貴だしな」

 

 

  仲井はイライラした表情で柊季に言い放つ。

 

 

 「はっ、今更お前ひとりが加わったところで何ができるってんだよ」

 

 「できるさ!俺と椿季ならお前みたいなコソ泥倒すくらいならなあ!」

 

  

 すると、仲井は一瞬顔をさらにしかめたが、力をふと落とすとさっきと同じようにニヤリと笑って言った。

 

 

 「分かった……お前ら姉弟二人とも大好きなママのところに送ってやるよ」

 

 「やるぞ、椿季」

 

「言われるまでも」

 

 

 椿季は木刀を構え仲井に詰め寄る。

 

 そしてその瞬間またしてもさっきより強烈な鋭い殺気が椿季から発せられホールの中を飲み込んでいく。

 

 仲井はそんなことに構わず銃を椿季に向けると、数発撃つ。

 

 しかし、椿季はそれを交わし横に一閃した。

 

 

 「こんなもん食らうわけねーだろ!」

 

 

 そう言って、椿季の木刀を交わす。しかし、今度はどこからか柊季のはなったゴム弾が仲井の頬をかすめる。

 

 

 

  「何!?どこから、弾が……」

 

 

 

  仲井は一瞬動揺し、すぐに柊季の位置をとらえようとしたが、また危険を察知し前を向いた。

 

それもそのはずで刀を構えた椿季がもう目の前まで迫っていた。

 

 

  「とりゃぁあ!!」

 

 

  椿季は鋭い殺気を放ち銃を持っている腕目がけて刀を振る。

 

 

 「馬鹿が!お前の攻撃は読めてんだよ!」

 

 

 そう言いながら、今度は椿季の回避不可能な位置に銃弾を放とうとする。

 

 

「まずはお前からだ」

 

「それはどうかな」

 

「!!」

 

 

 どこからともなく声がしたかと思うと空中からスッと柊季が降り立ちゴム弾を拳銃めがけて打ち込む。

 

 

仲井は拳銃を弾き飛ばされ、突っ込んできた椿季が今度こそ、腹に一閃を叩き込む。

 

これには流石の仲井も、苦悶の表情を浮かばせた。

 

 

「チッ、ちょこまかと‼︎」

 

「言ったろ、あんたは俺ら2人には勝てないよ」

 

「ほざけガキが、こそこそ隠れやがって!!」

 

 

  今度は仲井は懐からナイフを取り出すと柊季迫る。

 

  すると柊季も警棒を取り出しナイフを受ける。

 

 

「死ね!死ね!死ね!」

 

 

  熱くなっている仲井とは対照的に柊季はいたって冷静にナイフをはじき一気に懐にもぐりこんだ。

 

  

「喰らえ!!」

 

「馬鹿が!!、ガキの力で俺に届くわけねーだろうが!!」

 

 

 仲井は柊季の渾身の一撃を片手で弾き飛ばし、さっき、椿季にやったように体重を乗せ殴りにかかった。

 

 しかし、振り下ろそうとしたこぶしを柊季の後ろから跳躍した椿季が木刀でたたきつける。

 

 

「ぐっ!!」

 

「私だって貴方なんかにみすみす弟を殴らせたりしない」

 

 

 椿季はそう言ってまた木刀を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 「すごい……」

 

 

 ここにいる誰もが、二人の動きを見てそう思った。

 

 柊季が危ないときは椿季が、椿季の危ないときは柊季が完璧にフォローし、そして確実に敵にダメージを与えていた。

 

 

 「いいえ、みなさん。これがあの二人の本当の力です」

 

 「どういうこと殺せんせー」

 

 

 茅野がそう聞くと殺せんせーはニヤリと笑い言う。

 

 

 「あの二人が得意とする戦術は実に対照的です。椿季さんが最も得意とするのは剣術を中心とした比較的相手との間合いが狭い近接系の攻撃を一撃一撃相手にダメージを当てていく戦術。対して柊季君は銃を得意とした比較的遠い間合いから、動きで相手を翻弄しダメージを与える戦術、そして二人の技術はどちらもレベルはトップクラスですが、彼ら二人の本当の強みはそこではない」

 

 

 「本当の強み?」

 

 

 「そうです、矢田さん。皆さんも思い出してみてください。彼らが一番初めに烏間先生にナイフを当てたのはどんな攻撃だったか」

 

 

 殺せんせーにそういわれて皆は思い出し、磯貝がつぶやいた。

 

 

 「コンビネーションと死角を突く動き……」

 

 「そう、死角からの正確な攻撃は相手からの回避を難しくする上に今のあの二人は動きこそ違えど、呼吸、感情、殺気、すべての要素がまるで一人の人間であるかのようにシンクロしている」

 

 

  殺せんせーがそう言うと烏間が強化練習のときの話を思い出していた。

 

 

 「互いに互いの気配を紛れさせている、ロブロがあの二人に言っていたな」

 

 

 烏間はたった1週間ほどの期間で、ここまで完成させていたことに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 「一見このスキルは一流の殺し屋だったら誰でも持ってそうなスキルです。しかし、ここまで完璧に同化させることができるのはお互いがお互いのことを深く信頼してないとできない。まさに双子ならでは、いや様々な苦難を共にした彼らならではと言えますねぇ」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

「くそっ、何が死角だ!シンクロだ!気持ち悪い!そんなもん1人殺せば意味ねーんだよ!!」

 

 

 

 この数分間一方的に押されっぱなしの仲井が目を血眼にして柊季に襲い掛かる。

 

 すると警棒を構えていた柊季も仲井に突っ込んだ。

 

 

「お前には絶対わからない」

 

「何!?」

 

「他人からものを奪い、苦しめ、それを見て笑っているような奴に誰かを守ろうと心が!!」

 

「黙れ!!!!」

 

「貴方には絶対わからない、命をかけても誰かを守ろうとする人の強さが!」

   

「「だから!」」

 

 

そう言うと、柊季の後ろに潜んでいた椿季が柊季の肩を踏み台にし高く飛び上がる。

 

「「俺達(私達)はお前なんかに絶対負けない‼︎」」

 

「ガキがぁアァアアア!」

 

 

そう叫ぶ仲井に椿季が首元に木刀を柊季がみぞおちに警棒を叩き込むと、遂に仲井は膝から崩れ落ち、意識を失った。

 

そしてそれを見た寺坂や吉田が仲井を素早く簀巻きにして行く。

 

 

 

 

 

そして、死闘を終えた二人は…

 

 

「「お、終わった…」」

 

 

柊季は力なく座り込み、椿季は一瞬ふらっとしそのまま倒れた。

 

 

「椿季ちゃん!」

 

 

倒れこんだ椿季に女子達が群がる。

 

 みんなに囲まれた椿季は苦笑いしながら立とうとする。

 

 

「あはは……ごめんね…またやっちゃった」

 

「まったく、無理しちゃダメ!!」

 

「えへへ」

 

「とりあえずまずは応急処置を」

 

 

  殺せんせーがそういうと、椿季と柊季は手当てを受けた。

 

 

「柊季君すごかったね」

 

 

  柊季の手当てをしながら、渚がそう言う。

 

 

「あぁ…なんか、必死で」

 

「うん、見ててそれはわかったし、姉弟ってすごいなっておもったよ、僕一人っ子だから」

 

「そ、そうか」

 

 

  柊季は軽く笑ってそう答えると、椿季も手当てを終えたらしく殺せんせーが言う。

 

 

「さあ、そろそろ行きましょう、取引までもう時間が……」

 

「おい、待てクソガキ」

 

 

  その声にクラス全員が縛り上げられた男を見ると、気絶したはずの中井がまさしく鬼の形相をした仲井がいた。

 

 

「言ったろ、勝負は殺し合い、俺とお前らどっちかが死ぬまで絶対終わらねぇ……」

 

「おい!いい加減に……」

 

「いいんだよ、寺坂君」

 

  

 そういうと、椿季は足を引きずりながらもまた一段と黒いさっきをまとい、仲井のそばに行って、ナイフを取り出す。

 

 

「そうだ、それでいい、お前のその目はこっち側の人間の目なんだからなぁ」

 

「おい!つば……」

 

「五年前!」

 

 

  制止する柊季を椿季は大きな声で遮った。

 

 

 「五年前のあの日、こいつのせいで、私が不甲斐無かったせいで、男の子もお母さんも死んだ、そして五年間そのことを毎日のように考えてきた……お前のことをずっと、ずっと殺してやりたいと思ってた!!」

 

 

 

 泣き叫ぶように椿季はそういうとナイフを大きく振り上げ、そして刺した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 仲井の首元すれすれに

 

 

 

 

 

 「だけど、今日、柊季とか、みんなを見て、思い出した……この剣道も、投剣も、お母さんが私を、誰かを守るために教えてくれたものだって、だから私はこの技術はそのために使う、人を傷付けるためじゃなくて、恨みを晴らすためじゃなくて、誰かを守るために、だからあなたを殺さない」

 

 

 

 椿季はそう言うと立ち上がり、後ろを向かず立ち去ろうとする。

 

 

「そうか…なら、覚悟しておけ!必ずもう一度!お前の大切なものを奪いに行く!絶対に!絶対だ!」

 

「うるせー!!」

 

 

 そう言って、柊季が仲井の顔を思いっきり蹴とばす。

 

 

「お前が何度来ようと一緒だ!そのときは俺がみんなが椿季を守ってやる!」

 

「クソガキが……」

 

 

 柊季がそう言い放つと、3Eの生徒たちは扉を開け黒幕のもとへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、それから何分もしないうちに再びホールの扉が開いた。

 

 

 そして一本の針が仲井の腕に刺さる。

 

 

「!?」

  

「その針には強力な筋弛緩剤が塗ってある、多分しばらくは全身が動かなくなるな」

 

「ああ?」

 

 

  仲井の前に現れたのはオレンジ色の髪の少年だった。

 

  

「なんだ、てめぇ…あのガキの仲間か?」

 

「まあ、どっちかと言われればそうなんだけど、そんなことよりあんた、今この状況分かってる?」

 

「何わけのわかんねーこと言ってやがる!!殺すぞ!」

 

「いや、だから……」

 

   

  その瞬間、仲井の右足が弓で打ち抜かれる。

 

  

「ぐわぁあああああ!!」

 

「今、機嫌が悪いのが一人いるから、あまり調子乗らない方がいい、さもないと……」

 

 

 シュッ

 

   

「ああぁぁぁあああ!!」

 

   

 今度は中井の左足が弓で打ち抜かれた。

   

 

「おい、流石にやりすぎだろ、それくらいにしろよ」

 

「まだ。右腕と左腕がある、二人のことを考えればこれくらいのことは当然よ」

 

「おい、おい」

 

  

  オレンジ色の髪の少年が頭をかいてそういうと、白衣を着た灰色の髪の少女が少年のもとにやってきてどこか遠くに向かって言う。

 

 

  

「楸原、そのくらいで、あくまで動けなくして運ぶだけなんだから」

  

「…………分かってる」

 

  

  白衣の少女は縛られている仲井に近づきそっと注射をすると、今度は仲井の意識が急激に遠くなり始める。

 

 

「残念だけど、あの二人に復讐する機会はないかもね、あの人があなたをどうするか私は知らないけれど」

 

「何を言って……」

 

「さようなら、もう会うことがないことを願うわ」

 

  

 そこで仲井の意識は完全に途切れた。

 

 

 意識が完全に落ちたことを確認した、白衣の少女はトランシーバーを取り出し連絡を取る。

 

 

「こちら神宮寺、対象を確保しました」

 

「ご苦労様、じゃあ、指定の通りに引き渡してください、榎本君と楸原さんもご苦労さま」

 

「失礼を承知で聞きますが、こいつをどうする気ですか?暦さん」

 

「あなたはどうだと思いますか?楸原さん」

  

「………」

 

「フフフッ、2,3聞きたいこと聞くだけですよ」

 

「……そうですか」

 

 

  これ以上は聞かない方がいいと思ったのかそれ以上誰も何も言わなかった。

 

 

「では、5分後指定の場所で」

 

「「「了解」」」

 

  

  こうして、3ーEのみんなが知らないところで、仲井は連れ去られたのだった。

  

  

 

 

   


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