双子の姉弟が送る!暗殺教室   作:コミ6目半

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久しぶりの更新です(最近全く書けなかった…)

ゆっくりになってしまうと思いますがこれからもよろしくお願いします。


第49課 異変の時間

 

 

 殺せんせーのはなった光と衝撃波によって柊季達は吹き飛ばされた。

 

 

 「きゃっ!!」

 

 「うわっ!!」

 

 

 そしてその後みんなであたりを見回すが、殺せんせーの姿はない。

 

 

 「油断するな!奴には再生能力がある。磯貝君、片岡さんを中心に水面を見張れ!!」

 

 「はい!」

 

 

 あれだけ濃密な弾幕に水の檻、せんせーも無事であるはずでないと誰もがそう思っていた。

 

 その時・・・

 

 

 「あ!あれ!!」

 

 

 茅野が指し示す先には小さな泡がブクブクと出て来ていた。

 

 みんなも息を飲み、柊季も銃を構える。

 

 泡はだんだん大きくなり、そして…

 

 

 「ぷぅー…」

 

 「………なにあれ…」

 

 

 水の中から出てきた殺せんせーはいつもの形ではなく、顔だけが残ったオレンジ色と透明な球体に変わっていた。

 

 あまりの驚きに唖然とする生徒たちの構わずせんせーは説明を始める。

 

 

 「これぞ先生の奥の手中の奥の手。 完全防御形態!」

 

 「完全防御形態?」

 

 「この外側の透明な部分は高密度に結集したエネルギー体になっています。この形態になった先生はまさに無敵、水も対先生物質も効きませんよ」

 

 「じゃあ、ずっとその形態でいたら殺せないじゃん」

 

 

 矢田がそう言うとせんせーは説明を続ける。

 

 

 「ところがそううまくはいかないのです。矢田さん。まずこの形態はきっかり24時間後に消滅します。つまり、この形態は24時間、全く身動きが取れないのです。その間に、ロケットで遠い地球外に捨てられたら不味いですが、その点は抜かりありません。今のこの地球には24時間以内でロケットを発射することは不可能ですからねぇ」

 

 

 ここで全員悟ってしまった。せんせーに完全一枚上手をいかれてしまったことに…

 

 すると、寺坂が浮いていた殺せんせーをどこからか持ってきたスパナでたたき始める。

 

 

 「ふっふー、無駄ですよ寺坂君、核爆弾でも傷一つ付きませんからね」

 

 「へー、何もできないいんじゃしょうがないよね」

 

 

 そう言うカルマに寺坂は殺せんせーを渡し、カルマはスライドショーで殺せんせーがエロ本を読んでいる写真を流し始める。

 

 

 「ニュヤァア!!やめてくださいカルマ君!!手がないから顔も覆えないんですよ!!」

 

 「じゃあ、これでも張りつけといてあげるよ」

 

 

 そう言って、柊季はウミウシを張り付ける。

 

 

 「さて、この後どうしようかカルマ…」

 

 「そうだね…とりあえず不潔なおっさんのパンツの中にでもねじ込んどく?」

 

 「や、やめてくださぃいい!!二人とも!!」

 

 

 殺せんせーがテンパっている中、悪い顔をしている二人から烏間先生が殺せんせーを取り上げた。

 

 

 「とりあえず解散だ…上層部とこいつの処分方法について検討する」

 

 

  そう言って殺せんせーをとりあえずビニール袋の中へ入れると携帯電話を取り出しどこかと連絡を取り始めた。

 

 そして、海の中からみんなが次々に上がっていく。その表情からは大きな落胆と疲労が見て取れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗殺が終わり三年E組の全員がテラスの備え付けてある椅子にもたれていた。

 

 

 すると千葉が自らの携帯を取り出し言う。

 

 

 「律、記録はとれてたか?」

 

 「はい。可能な限りのハイスピード撮影で、今回の暗殺の一部始終を」

 

 

 すると、千葉は小さくため息をついて続ける。

 

 

 「俺さ...撃った瞬間分かっちゃったよ。ミスった。この弾じゃ殺せないって」

 

 「……断定はできません。あの形態に移行するまでの正確な時間は不明瞭なので」

 

 「千葉君の射撃があと0.5秒早いか、速水さんの射撃があと30cm近ければ、気付く前に殺せた可能性が約50%程存在します」

 

 「自信はあったんだ。リハーサルは勿論、あそこより不安定な場所で練習しても外さなかった。」

 

 「でも実践になると指は硬直して、視界も狭まった……練習とこんなにも違うなんて…」

 

 

 そういって、千葉と速水が下をうつ向いていると、倉橋が立ち上がり誰にも何も言わず海のへと歩いていった。

 

 

 「あれ、陽菜ちゃん…どこ行くんだろ」

 

 

 椿季がそう言うと、柊季も席を立ち椿季に言う。

 

 

 「俺ちょっと様子見てくるわ、こんなに暗いし何かあっちゃまずいから」

 

 

 そういって、柊季は駆け出し倉橋の後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日はお疲れさま、ありがとう…」

 

 

 倉橋は壊れた桟橋の端っこに立ち、イルカにえさを与えていた。

 

 

 「はぁ……」

 

 

 倉橋は自分の向いている方と逆のほうにいたイルカにえさをあげようとしたのだが、塗れていた桟橋で足を滑らす。

 

 

 「あ、やばっ…」

 

 

 倉橋の視界はだんだん上を向き満天の星空が見えたときに、手を何かに引かれそこで視界がそこで止まった。

 

 

 「いくら何でも一人でこんなところにいたら危ないんじゃないか?」

 

 「柊季…」

 

 

 もう一回手を強く引っ張ると、倉橋は体勢を立て直す。

 

 

 「ありがとう…」

 

 

 そういう倉橋の顔を見て柊季は言う。

 

 

 「ちょっと浜辺で話さないか?」

 

 「えっ?」

 

 「いいから!」

 

 

 柊季は握った手を引きながら浜辺まで倉橋を連れて行き、浜辺に座り込んだ。

 

 

 「どうしたんだ…って言うまでもないか」

 

 「あはは…私そんなに顔に出てた?」

 

 「見たらすぐわかるよ」

 

 

 倉橋も柊季の横に座り、星を見ながら倉橋は話した。

 

 

 「今回の作戦…うまくいくと思ったのになぁ」

 

 「そうだな」

 

 「何がいけなかったんだろ…」

 

 

 そう言い倉橋は柊季のほうを見たが柊季は空を見上げたまま答えた。

 

 

 「千葉や速水は自分たちの射撃がってかなり落ち込んでいたし、俺のナイフだってもう少し何か工夫があってもよかったのかもなんて今になれば思う……」

 

 「……」

 

 「陽菜乃はどう思う?」

 

 「私もいっぱい後悔がある。つっちゃんに教えてもらった投剣術もまだ全然完成してなかったし、もっといっぱい練習して、もっと…もっと……」

 

 

 そう言う倉橋の顔はやはりどこかつらそうな顔をしていた。

 

 そしてそれを見ていた柊季はだからこそこう言い訳をした。

 

 

 「ただ、あの瞬間俺は全力出した……計画自体も今振り返ってもそんなに穴だらけだったとは思わない。だから俺は次また殺りたい…負け惜しみに聞こえるかもしれないけど、次もう一回頑張るよ。そしてその時は…」

 

 

 柊季は立ち上がり、海に向かって叫ぶ。

 

 

 「絶対俺が殺ってやる!次こそは絶対に!」

 

 

 立ち上がって叫んだあとの柊季はどこか遠くを見ていたが、それでもまっすぐ前向いて力強い目をしているように倉橋には見えた。

 

 

 そして、倉橋は笑いながら言う。

 

 

 「柊季って時々情熱的というか熱血漢になるよね、普段はだるいとか、めんどくさいとかいうくせに」

 

 「いや、今のは!暗いお前を励ましてやろうとわざとやっただけで…別に素なわけじゃなくて…」

 

 「ふふふっ」

 

 「笑うなよ陽菜乃…」

 

 

 そうは言うものの笑う倉橋を見て、柊季からも思わず笑みがこぼれた。

 

 

 そして倉橋に手を差し伸べて言う。

 

 

 「さあ、戻ろう陽菜乃。早く戻らないと椿季もみんなも心配するから」

 

 「そうだね」

 

 

 そう言って倉橋は柊季の手を取り立ち上がって、みんなのいるホテルのほうへと歩き始めようとした。

 

 

 しかし……

 

 

 「あれ?」

 

 

 倉橋は一度は立ち上がったものの、もう一回転ぶように膝をついた。

 

 

 「陽菜乃?」

 

 「ああ、ごめん…なんか座ってたせいで足に力入らなくって」

 

 「なんか、顔赤くないか?」

 

 

 柊季から見て陽菜乃の顔は風呂上がりでのぼせたように顔が赤かった。

 

 

 「そんなこと…ないよ。私はだいじょう……」

 

 

 しかし陽菜乃はそう言いかけて、柊季によりかかった。

 

 

 「陽菜乃?陽菜乃?」

 

 

 柊季は倉橋に呼びかけるが倉橋から返答はない。

 

 そしてそんな時、椿季から電話がかかってきた。

 

 

 「もしもし、椿季か?今陽菜乃が…」

 

 「柊季!大変なの!すぐに陽菜ちゃん連れてホテルまで戻ってきて!」

 

 

 椿季はらしくもなく焦っていたのかそう言うと電話を切ってしまった。

 

 

 「いったいどうなってるんだ…」

 

 

 この時の柊季は自分たちがとある陰謀の渦中にいることにようやく気づき始めたのだった。   

 

 

 

 


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