いよいよ、嵯峨姉弟。3年E組に登校です。
それでは始まります。
転校が決まった次の日。俺はいつものように布団の中にこもっていた。
「ほら、柊季起きて、今日から少し遠くなるんだから、早く家を出なきゃ」
「大丈夫、あと五分」
「大丈夫じゃない、初日から遅刻なんて格好付かないでしょ」
「椿季は格好つけるために学校行くのかよ」
「そういうことを知ってるんじゃない」
「Zzz……」
俺は、未だ籠城をつづけた、これしきのことで布団から出てやるもんか
「そう、分かった」
そう言うと椿季は階段を下りて行った。
(やっと静かになったよ。さて、もうひと眠り…)
と思ったら、椿季がまた戻ってきた。
「そっちがそのつもりなら考えがある」
「……?」
眠い目をそーっと空けてみると、椿季は俺の布団の中にビニール袋を投げんこんだ
そう氷がたっぷり入った。ビニール袋を
「冷てーーーーーーーーーなにすんだこの女」
俺は、飛び起きて椿季に一発お見舞いしてやろうと思ったのだが、
「………なにこれ」
「今日から使う道具の一つらしいよ」
そう椿季は俺ののど元にゴムナイフを突きつけていたのだ。
「どう?目は覚めた?寝起きドッキリに暗殺を混ぜてみました」
椿季はにこりと笑いながらナイフを下げた。
「ご飯を食べて学校行くよ、柊季」
「はい…」
普通に喧嘩をすれば俺のほうが強いと思うのだが、笑顔が怖い、我がたくましい姉、椿季にはなかなか勝てないのだった。
「椚ヶ丘中学ねー偏差値66って高いよな」
「そーだね、ちゃんとついていけるか心配だよ」
「まあ、俺は無理だろうな、頭わりーから」
「そうやって、最初から決めつけないの」
前の学校では成績が悪かったことにより周りからは馬鹿にされた。いじめとまではいかなかったが、当然気分のいいものではなかった。
それに成績のことだけを考え、毎日を送っている感覚はどこか俺にとって窮屈だった。
「なあ、椿季。お前は、前の学校で成績も悪くなかったし、友達も多かった。寂しくなかったのか」
「うーん。仲のいい友達とはまたメールのやり取りすればいいし、理事長の言っていたことも気になるし」
「学ぶべきことねぇ…」
あの、理事長のことなど考えることなどわかるはずもないのだが…
そんなことを考えていると、椿季はコホンと咳払いして、
「それよりも、今年一年をどう過ごすかを考えよ。私も楽しく過ごしたいし」
「それもそうなんだけど、校舎ここなんだよな?」
「そのはずなんだけど」
俺ら二人の前にはだだっ広い山がそびえたっていた。
「おいおい、学校行くのにハイキングがついてるのかこの学校は」
「そ、そうみたいだね」
椿季もさすがに笑顔が引きつっている。
「よし、帰るか、回れ右、1、2、」
「させないから。ほら行くよ。遅刻しちゃう」
「……」
そう言って俺らは険しい山道を歩いて行った。
~20分後~
「「やっと着いた」」
山の頂上付近には木造の古い校舎がたっていた。
「ここは昭和時代かよってツッコミ入れたくなる建物だな」
「でも、緑が多くていいところだよ」
「そんなことは今、山上ってきたんだから知ってるよ。これはそう言うレベルじゃないだろ」
俺らは校舎に入って、職員室で烏間さんとイリーナ先生という外人の先生にあいさつすると教室へと向かった。
「せんせー転校生がやってくる日って今日だっけ?」
「そうそう、双子の子が来るんだよね」
「そうですねーそろそろ来ると思うんですが」
こんな会話が廊下からでも聞こえた。すると椿季は引き戸を引いて、堂々と入っていったように見えたが、
(緊張してるな、こりゃ)
「失礼します」
「おお来ましたか。早速ですが二人とも、自己紹介をしてください」
「みなさん初めまして、銀杏学園より転校してきました。嵯峨 椿季です。よろしくお願いします」
「同じく、嵯峨 柊季です、よろしく」
「こちらこそよろしくお願いしますね。あ、私のことは気軽に殺せんせーとでも呼んでください」
横にいる3m近いタコ型生物に対して、俺は思わず口に出した
「本当に先生みたいで、本当にタコみたいですね」
「先生みたいではなく先生ですよ柊季くん」
「あ、すいません」
そう、謝りつつ、俺は懐に隠していたナイフを一振り先生に向けて真一文字に振る
すると、先生はほとんど微動だにしてないように見えたが、俺のナイフはかすりもしていなかった。
「ヌルフフフ、柊季君。元気があって大変よろしいです。これからもどんどん暗殺してきてください」
「速っ」
「柊季君、そんな単調な攻撃じゃ、最高速度マッハ20の先生は殺せませんよ」
「みたいですね…」
そういう、先生は顔を緑と黄色のシマシマにになっていた。
(なんか腹立つなこの顔)
「それでは、授業を始めます。あ、椿季さんは奥田さんの後ろに、柊季君は狭間さんの後ろに座ってください」
「はーい」「はい」
一時間目は数学。
(数学ねー……)
やべえ、もう眠くなってきた。
俺がうとうとし始めると横のやつが話しかけてきた。
「ねえ、ねえ、嵯峨、お前なんでこんなとこ来ちゃったの?」
俺は昨日理事長からもらったクラスメイトの資料を思い出していた。たしか、こいつは
「赤羽 業 でいいんだよな?」
「ああ、そんなことより転校早々こんなとこ来ちゃうなんて、問題行動?それとも学力?」
なんだかおちょくられている気がするんだが。
「そうだなー。強いて言うなら両方だな」
こういう時は乗っかるというのが俺流、まだどんなやつかわからないしな、
赤羽は一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐにニンマリ笑って
「へー、中々やるね」
「それはお前もだろ」
顔を見ればわかる、こいつは狡賢いそんな言葉が似合うやつだ。
「嵯峨姉は、見た感じじゃ問題行動を起こすようには見えないんだけど」
「頭も悪くはないぞ、少なくとも俺よりは」
「へー。じゃあなんで?弟が心配出来ちゃったとか?」
「んなんじゃねーよ、理事長だよ、理事長」
「理事長?」
「ここのじゃないぞ、俺らが元いた学校の理事長がここで学ぶことがあるからとか言って俺らをこの教室に送り込んだんだ」
「へー、あのタコのこと知ってるなんて、その理事長何物よ」
「さあ、何考えてんだか全くわからん」
まあ理事長のおかげで今の俺たちがあるわけなんだが
「こら、そこ後ろ二人、授業中の私語は厳禁!静かにしてなさい」
「はーい」
そう言って5分で俺は眠りに落ちた。
「ほら、起きなよ柊季って…フフッwはははwwwそ、その顔どうしたのw」
「顔?」
俺は椿季から借りた手鏡で自分の顔を確認するとそこには見るも無残な落書きがかかれていた。
カシャ パシャッ
「!?」
赤羽が携帯で写真を撮ってこっちをみてにやにやしていやがる、向こうのやつは中村ってやつかってそんなことより……
「赤羽!これお前の仕業だろーーー」
俺の叫び声は校舎を悲しくこだました。
感想、評価、誤字脱字の指摘よろしくお願いします。
あとがきコーナーも考えられたらなぁと思うのですが…