これからもペースは落ちると思いますがごまごまと投稿していきますんでよろしくお願いします。
では夏休み編スタートです。
夏休み。学生にとってはいつもの日常がちょっとだけ、非日常になる特別なイベントである。
そんな中いつもと同じ日常を送ってる人物がここに一人
「………よし、これでとりあえず努力値は振り分け終わったな…」
柊季は部屋の中にこもってゲームをしていた。
その時、玄関でチャイムが鳴る。
「柊季、今火使ってるから、柊季出て」
「はーい」
俺は急いで階段を下りて、玄関のドアを開けた。
「やっほー、柊季。来たよ」
「おう、待ってたぞ」
「つっちゃんは?」
「今、昼飯作ってる」
今日は午後から倉橋を呼んで宿題を進めようという話になっていたのだ。
「夏休み始まって数日と経ってないのにどうしてこんなこと…」
「まあ、早く終わらせちゃえば後が楽だよ」
「そうそう、暗殺合宿の後だって予定山積みなんだから宿題はどんどんやっちゃわなきゃ」
椿季は倉橋にいらっしゃいというと、リビングに案内する。
「予定って、つっちゃん達夏休み何かするの?」
「うん。お父さんのところに行こうかなって思ってたんだ」
「お父さんって確か海外によく行くっていう?」
「うん、今はロンドンにいるんだよ」
「へー、ロンドンか…いいなぁ」
倉橋は食卓に座って、麦茶を飲みながら台所に立つ椿季の話を羨ましそうに聞いていた。
「もしよかったらだけど、陽菜ちゃんも行く?」
「え?」
倉橋は驚いた顔をしている。
「父さんが何人か友達連れて来いって言うからさ、まあ、俺ら入れて一桁くらいの人数なら問題ないだろ」
「そうは言うけどお金とかだってかかるでしょ?」
「泊まるところは父さんの会社の社員寮の空いてる部屋を貸してくれるって、高級三ツ星ホテルってわけにはいかないけど…」
「だから陽菜ちゃんがもしよかったらだから考えておいて」
「うん、お母さんたちに相談してみるね」
そんな話をしていると、椿季は昼ごはんにそうめんを出してきた。
「さ、お昼食べて、さっさと宿題やっちゃお!」
「はいはい」
「わーい!いただきます」
そう言って3人は昼食を食べる。
そして食べている途中に倉橋は思い出したかのように言った。
「あ、そうだ二人とも明日暇?」
そして次の日、柊季と陽菜乃は朝早くから、学校の裏山に来ていた。
「昨日の仕掛け引っかかっているといいな」
「楽しそうだな、陽菜乃」
「うん!毎年夏休みになると必ず一回は虫取りやるんだ」
昨日、昼飯を食べている最中に倉橋は二人を虫取りに誘ったのだ。
「よし、じゃあ俺はあっちの木から見てくるわ」
「オッケー、私ははあっちから見てこようかな」
倉橋は木に登って、昨日勉強会が終わった後に自分で仕掛けた罠の回収に行く。
「コクワガタ2匹にカブトムシか、他のところにあれがかかっているといいなぁ」
倉橋が次のトラップを仕掛けた場所に行こうとすると、どこからか声が聞こえることに気付いた。
「それにしても、前原が来るなんて意外だった、こんな遊び興味ないと思ってたぜ」
「次の暗殺は南国リゾート島でやるわけじゃん、そしたらなんかたりねーと思わねーか」
「ん?何が足りないの、前原君」
そんな話をしてやってきた渚、杉野、前原の話を倉橋は木の上から聞いていた。
「金さ!!水着で泳ぐきれいな姉ちゃんを落とすには財力が不可欠!!杉野が今捕まえたやつじゃあだめだけど、オオクワガタ、あれを捕まえてネトオクに出して大儲けするんだ!!」
「前原、旅の目的忘れてねーか?」
「うん…十五歳の旅行プランとは思えないよね」
「それに、オオクワはもう古いよ」
倉橋がそう言うと杉野達はようやく木の上の倉橋に気付いた。
「倉橋!」
「おは~みんなもお小遣い稼ぎに来てたんだね」
「それより、オオクワが古いってどういうことだ、倉橋」
倉橋は木から飛び降りて説明する。
「私達が生まれた頃は凄い値段だったらしいけど、今は人工繁殖法が確立されちゃって大量に出回りすぎて値崩れしたんだってさ」
倉橋の言ったことに前原は呆然とする。
「まさかのクワ大暴落か。1クワガタ=1姉ちゃんぐらいの相場と思ったのに…」
前原の言葉に倉橋は笑いながら答えた。
「ないない、今は姉ちゃんのほうが高いと思うよ」
「さすがに詳しいな倉橋」
「うん、生き物は全部好きだからね」
「おーい、陽菜乃。向こうのほうは全部取り終えたぞ」
「あ、柊季君」
木々の間を飛びながら柊季もみんなと合流した。
「なんだ、渚たちも来てたのか」
「うん、お小遣い稼ぎだって」
「こっちは結構取れたぞ」
柊季は虫かごを皆に見せる。
「おお、大量だな」
「まだこっちにも仕掛けてあるからみんなで捕まえよ!多人数で数そろえるのが確実だよ」
そして5人は倉橋を先頭に森の奥へと進んでいく。少しすると果物が入ったストッキングが引っかかっていた。
「ほらあそこ、あそこ」
「おー、いっぱいいるな」
よく見るとストッキングにはカブトやクワガタが結構な数かかっていた。
「お手製のトラップだよ、昨日の夕方につっちゃんと柊季と一緒に仕掛けたんだ」
「へー」
「そういや、柊季、今日嵯峨さんはどうしたんだ?」
「ああ、家で留守番してるよ。あいつは虫得意じゃねーからな」
「へー意外。嵯峨さんは苦手なものないと思ってた」
周りもうんうんと頷く。
「そうか?あいつ意外と弱点多いぞ」
「他にもなんかあるのか?」
「言ってもいいが後で椿季が知ったら俺らどうなるかわからないぞ」
「……やめとくわ」
前原の判断は正しいと柊季は思った。
柊季と前原が椿季の話をしている間に、倉橋と杉野はトラップにかかった昆虫を採集する。
「よし、ここはこんなもんかな」
「あと、20は仕掛けといたから、この様子じゃ1人1000円くらいにはなるんじゃねーか?」
「そうだね」
「まあ、バイトとしちゃあまあまあかな」
しかし、みんなでそんな話をしながら、次の場所へと向かおうとするとどこからともなく笑い声が聞こえた。
「フッフッフ、効率の悪いトラップだ。それでもお前らE組か」
「その声は…」
柊季は反射的に対せんせーナイフを振り向きざまに投げる。
「うわっ!!あぶね!何してんだよ!!柊季」
「………ナーンダ、オカジマカ、キヅカナカッタワー」
「どの口が言う!!」
柊季は悪い悪いと謝りながら対せんせーナイフを拾いながら岡島に聞く。
「それで、トラップがなんだって」
「せこせこ千円なんか稼ぐなよ、俺のトラップが狙ってるのは100億だぜ」
「100億ってまさか…」
「そうだ」
岡島は読んでいたエロ本を閉じて木から飛び降り、トラップの仕掛けてある場所へと向かう。
「南の島で暗殺する予定だからあのタコもそれまでは暗殺もないと油断するはず、そこが俺のねらい目だ」
「岡島、いくら殺せんせーでもそんな単純な手に…」
そう言いながら、岡島とともに茂みから顔を出すとそこにはカブトムシのコスプレをした殺せんせーが楽しそうにエロ本を読んでいた。
「…………」
「クックっク、かかってるかかってる、俺の仕掛けたエロ本トラップに」
「殺せんせー微動だにしないぜ」
「う、うん」
「ずいぶん研究したんだぜ、山の中を歩き回ってはエロ本を拾い、つぶさに観察したんだぜ」
そう言うと岡島はポケットからスマホを取り出して渚達に見せる。
そこには1ヶ月の間、エロ本を置いて反応を観察していた時の殺せんせーの写真が撮られていた。
好みの時とか好みじゃない時、絵柄が好みだが内容が肌に合わなかったりとその日その日で反応が違っている。
「すごいけど、だいの大人が一か月も拾い読むなよ…」
柊季や杉野があきれる中ニヤニヤしながら岡島は言う。
「ちょうどいい、手伝えよお前ら、俺たちのエロの力で覚めない夢を見せてやろうぜ」
「おい、」
柊季は岡島にツッコんだところで事件が起きた。殺せんせーの様子がなんだかおかしい。
その様子を見て、岡島を驚いた表情を見せる。
「な、なんだあの表情はデータにないぞ、どんなエロを見たときなんだ」
すると殺せんせーは触手を伸ばし木にとまっていたクワガタを捕まえて言う。
「ミヤマクワガタ!しかもこの目の色は」
「まさか…「白なの殺せんせー!!」あ、ちょっと陽菜乃!」
倉橋は自分が隠れていたことを忘れ、殺せんせーとミヤマクワガタを見て飛び跳ねて喜んでいた。
エロ本の上で…
「ニュヤ!!」
「せんせー…」
せんせーは自分がした大きな失態に気付き、顔を触手で隠す。
「面目ない…木の下に罠があることは知っていましたが、どんどんせんせー好みになる本の誘惑に耐えきれなくって」
「おい、ばれてたぞ岡島…」
「柊季…言うな……」
落ち込んでいる岡島を柊季が慰めていると、杉野が聞く。
「なあ、倉橋、それミヤマクワガタなんだろ、ゲームなんかじゃオオクワガタより全然安いぞ」
「ううん、最近ではミヤマのほうが高いんだよ」
「それに杉野君、クワガタの目を見てみなさい」
そう言って杉野は倉橋が持っているクワガタの目をじっと見ていた。
「白い」
「そうです、生物でアルビノ個体についてやりましたねクワガタの場合アルビノは目に出ます」
「へーじゃあ、これ珍しいの?」
「何言ってんだ杉野。普通に売っても数十万はするぞ」
「「「「数十万!?」」」」
杉野、前原、渚、岡島はあまりの金額に驚きを隠せないようだ。
「一度はみて見たいって殺せんせーに話したら、ズーム目で探してくれるって言ってたんだぁ!!」
そう言って倉橋はクワガタを四人に見せいたずらっぽく言うのだった。
「ゲスなみんな~これほしい人てあげて!!」
「「「「欲しい!!」」」」
「えへへ、どうしようかなぁ~」
そう言いながら倉橋は森の中を走き、ゲスなみんなはそれを追うという状況が生まれた。
「あ、おい、お前ら待てよ!!」
いつもの日常がちょっとだけ非日常になる夏休み。
殺しにエロに生き物に色々な発見がこの夏はありそうだと思う柊季なのだった。