双子の姉弟が送る!暗殺教室   作:コミ6目半

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第36課 責任感の時間

 

 

 

 殺せんせーの新たな弱点を発見した放課後、柊季と倉橋はプールを目指していた。

 

 

 「あのプールは気持ちよかったね」

 

 「そうだな、まさかE組専用プールを一日で作るとは思わなかったな」

 

 「殺せんせーの弱点もわかったし」

 

 「ああ、水をうまく使えば暗殺に一歩近づくかもな」

 

倉橋は柊季とそんな話をしていると。今日は椿季が一緒にいないことに疑問を持った。

 

 「そう言えば、つっちゃんは?」

 

 「今日は買い物があるから先に帰った、多分時間もあるし帰りにダーツやって帰るんじゃね?」

 

 「ダーツ?」

 

 「あいつの趣味なんだよ、結構うまいし」

 

 「柊季もやるの?」

 

 「まあ、椿季ほどじゃないけどな、母さんの趣味でもあったし、小さい頃からよくやってたよ」

 

 「そうなんだ…」

 

 

 倉橋はこの時しまったと思った。この間のことで、二人のお母さんが二人にとってどれほど大切な人であったか知ったのでなおさらだった。

 

 

 

 すると、柊季が申し訳なさそうな顔をしていた倉橋に言う。

 

 

 「ありがとうな、陽菜乃」

 

 「え?」

 

 「この間、椿季とダーツやったんだけど、あいつその時、ここ最近で楽しそうにダーツやってた。この間は楽しみながらも何となく悲しげな顔してたんだけどさ、。それって、この間の陽菜乃の言葉があいつの心を軽くしたからだと思う」

 

 「そうかな」

 

 「それに、俺が鷹岡に警棒で殴られそうになった時逆にかばってもらっちゃったし、情けない話だけど…」

 

 

 そう言って、柊季はガクッと肩を落とす。

 

 

 「ううん、気にしないで、それに私を守ろうとして殴られちゃったんだし、それに守ろうとしてくれた時の柊季かっこよかったよ」

 

 

「そりゃあ……どうも…」

 

 

 柊季はちょっと赤くなって言う。

 

 

 「そう言えば、メグちゃんになんか用だったの?」

 

 「いや、椿季にこれ渡しといてくれって頼まれて、あと暗殺のためにも久しぶりに少し泳ぎを練習しとくかと」

 

 

 そんな話をしていると、二人はプールに着いた。

 

 

 「それにしても、片岡って真面目だよな、確かに水殺って観点からいえば片岡が一番向いてるんだろうけど、あいつそのために今練習してんだろ」

 

 「うん、真面目で優しくてかっこいい、メグちゃんとつっちゃんは似ているかもね」

 

 「確かに共通する点はあるかもな」

 

 「柊季君、倉橋さん何やってるの?」

 

 

 そう言って、話しかけて来たのは渚だった、横に茅野もいる。柊季は手に持った学級日誌を見せて、ここに来た経緯を説明した。

 

 

 「渚たちは何やってんの?」

 

 「片岡さんの練習を見てたんだよ」

 

 「なるほど、なるほど」

 

 「あれ、嵯峨君に、陽菜乃、なんか用事?」

 

 

 先ほどまで泳いでいた片岡がこっちにやってくる。

 

 

 「あー、これ、椿季に頼まれたもの渡しに来た」

 

 「ああ、ありがとう。そうだな…濡れないようにあそこの木の根元においといてくれる?」

 

 「了解」

 

 

 そう言われて木の根元に日誌を置く。

 

 

 「なあ、片岡」

 

 「何?」

 

 「勝負しよう」

 

 「え?」

 

 「前、俺が向こうの学校にいたときにいた先生に心理学の話を聞いたことがって、中学生くらいの子供は特に競争心が高いから、一人で何か練習するより、誰かと競う方がタイムは伸びるらしい」

 

 

 「へー、知らなかった」

 

 「まあ、大学にも行かなければこんな話する人あんまりいないしな」

 

 

 うちの学校が特殊なんだ…と苦笑いする柊季。

 

 

 「そういうことなら、お相手願おうかな」

 

 「そうこなくっちゃ」

 

 

 俺は簡単に準備体操を済ませ、プールに飛び込む。

 

 

 「じゃあ、律お願い」

 

 「分かりました。行きますよ。よーい、どん!」

 

 

 律の合図と同時に勢いよく岩を蹴りだし、泳ぎ始める二人。

 

 二人のフィニッシュはほぼ同時だった。

 

 

 「二人とも、すごいな」

 

 「てか、嵯峨君。泳ぎ得意だったんだ…、なんか意外」

 

 「律、タイムは?」

 

 「片岡さんは26.03秒、柊季さんは26.01秒なんで、僅差ですが柊季さんの勝ちです」

 

 「さっきは何秒だった?」

 

 「26.08秒だから、少し上がった」

 

 「それにしても、本当に早いな片岡、正直なことを言うともう少し離せるかと思った、ブランクなかったら負けてたかもな」

 

 「ふふ、ありがとう」

 

 

 勝負を終えた二人に、渚、茅野、倉橋が駆け寄る。

 

 

 「柊季君の意外な特技が増えたね」

 

 「基本スポーツは得意だぞ、俺」

 

 「でも、メグちゃんに勝っちゃうとは思わなかった」

 

 「俺これでも一応男子だからな、男子」

 

 

 柊季の強調するところが可笑しくってみんなが笑う。

 

 

 「じゃあ、もう一戦どうだ」

 

 「のぞむところ!」

 

 

 そういって、柊季と片岡はまた泳ぎ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてしばらくすると、片岡にメールが来た。

 

 

 「片岡さん。田川心菜さんというかたからメールです」

 

 「あー…悪いけど律、読んでくれる?」

 

 「はい、それでは…「メグメグげんきぃ~(^^)v じつゎまた勉強教えてほしいんだ~♡トリマ駅前のファミレスにしゅ~ご~」……以上です。知能指数がやや劣る方と推察されます」

 

 「はは、」

 

 

 律の的確な指摘に思わず苦笑いする柊季。

 

 

 「……わかった、「すぐいく(^^ゞ」って返しといて」

 

 「承知しました」

 

 「ごめんね、みんな急用出来ちゃったから、私先に帰るね」

 

 「う、うん」

 

 

 そういって、片岡は帰っていった。

 

 

 

 

 「なあ、なんか、さっきの片岡、おかしくなかったか?」

 

 「うん。メール見てからなんか暗くなったよね?」

 

 「そーですね、しっかり者の彼女なだけに心配ですね…」

 

 「そーだよ……って、殺せんせーいつからいたんだ」

 

 

 さっきまでいなかった殺せんせーが、なぜか横にいる。

 

 

 「ついさっき来ました。万が一皆さんがおぼれたりしては困りますからね」

 

 「それより、メグちゃんどうしよ…」

 

 「少し様子を見てみましょうか」

 

 「そうだな」

 

 

 そう言うわけで俺らは片岡の後をつけることになった。

 

 

 


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