双子の姉弟が送る!暗殺教室   作:コミ6目半

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 進藤君180㎝って中学生とは思えませんよね…

 野球は3編でお届けします!お楽しみに!

 


第26課 野球の時間

 

 

 雨天なら球技大会は中止になるのだが、その日はこれでもかって言うほどに晴れ、まさに快晴のお天気だった。

 

 

 

 「女子のほうはそろそろ終わったかな」

 

 「まあ、あいつらなら心配ないだろう、うまくやったさ」

 

 

 杉野とそんな話をしているとこちらにもアナウンスが入る。

 

 

 「えー、それでは、ただいまよりE組対野球部のエキシビジョンマッチを始めます選手の皆さんは集合してください」

 

 

  その合図とともに俺らはホームベースの前に集合する。

 

 

 「えーそれでは、ただいまよりE組対野球部の試合を始めます」

 

 

 審判がそういうと、向こうのキャプテンである進藤が、早速杉野に挑発をかけていた。

 

 

 「学力と体力を兼ね備えていたエリートだけが選ばれたものとして、人の上に立てる。それが文武両道だ、杉野、選ばれざる者が表舞台に立ってはならないそいつら共々二度と表を歩けないようにしてやるよ」

 

 

 もはや心理戦から試合は始まっている。なら……

 

 

 「はぁ……何もわかってないね…」

 

 「何?」

 

 

 進藤は俺のほうを見て、イラついた顔を見せた。

 

 

 「この勝負、もちろん俺らは勝つ気満々だが、はたから見ればあんたらのコールド勝ちがあたり前のゲーム。負けるなんてことは言わずもがな、万が一にもいい勝負なんてことになったら、野球部の面目は丸つぶれ、果たしてあんたたちにとってハイリスクローリターンのこの試合、いつものメンタルを保ってやっていけるかね」

 

 

 俺は挑発するようにニヤッと笑って見せた。進藤は一瞬顔をしかめたが、

 

 

 「ふん、雑魚が、お前らごときが何を言っても負け犬の遠吠えだ」

 

 

 そういうと、進藤はベンチへと戻っていった。

 

 

 「じゃあ、杉野。俺らもベンチ戻ろっか」

 

 「おう」

 

 

 そう言って俺らはベンチへと戻る。他のみんなも簡単な準備運動をするなどして準備をしていたのだが、

 

 

 「あれ、ころ監督どこよ」

 

 「あそこ」

 

 

 渚の指さす方向に野球ボールの顔色をした殺せんせーがいた。

 

 

 「烏間先生に目立つなって言われてるから、遠近法でボールに紛れてる、顔色とかでサイン出すってさ」

 

 

 いや、普通にばれそうなもんだけど……

 

 すると、殺せんせーは三回顔色を変えサインを出す。

 

 

 「あれなんて言ってるんだ、渚」

 

 「えーっと、あ、殺す気で勝てだってさ」

 

 

 そう言われて、E組男子の目の色が変わる。

 

 

 「確かに、俺らにはもっとでかいターゲットがいるんだ、あいつらをやれないようじゃ、せんせーは殺せないよな」

 

 「そうだな、じゃあいっちょ殺るか」

 

 「「「「「おーーー」」」」」

 

 

 こうして俺らの球技大会はスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「一番サード、木村君」

 

 「はぁ、学校のスーパースター相手に先頭打者とはな…」

 

 「大丈夫だろ、とりあえず一球目は見た方がよさそうだけど」

 

 「了解」

 

 

 そういって、木村はバッターボックスに入る。

 

 

 

 

 プレイの合図とともに進藤は球を投げる。

 

 

 「ストライク」

 

 

 その速さに会場も湧き上がる。

 

 

 「これはすごい剛球!さすがピッチャー進藤君。E組木村は棒立ち、バットくらい降らなきゃかっこ悪いぞー」

 

 

 放送がやかましいヤジを飛ばす。

 

 

 「あれは、やっぱりストレートだな」

 

 「そうだね」

 

 

 ベンチで見ていた俺は進藤のデータをもう一度見る。身長180cm、球種、ストレート、カーブ MAX球速140.5㎞/hね。中学生とは思えねーなこいつ。

 

 すると木村は殺せんせーからサインを受け取ったのか、

 

 

 「よっしゃー、いくぞ」

 

 

 そう宣言してバットを構える。進藤は鼻で笑うような態度を取り、ボールを投げる。

 

 進藤の剛速球に対して、木村がとった行動は、

 

 カンッ

 

 バントだ。

 

 

 内野が一瞬だがどちらがとるか迷っていた。その間に木村は一塁ベースを踏む。

 

 

 「よっしゃー」

 

 「いいぞー木村」

 

 

 E組ベンチが盛り上がる。

 

 

 「チッ、小賢しい真似を」

 

 

 苛立つ進藤に内野が声をかける。

 

 

 「落ち着けって進藤、あいつら初心者なんだぜ、警戒してればまずバントなんかさせねぇ」

 

 

 そうだなと進藤もうなずき、次のバッターに構える。

 

 二番は渚だ。

 

 今度も殺せんせーからサインが出る。

 

 (三塁側にプッシュバントね…)

 

 渚は指示通り、三塁側にプシュッバントをした。するとボールは面白い具合に三塁手の脇をすり抜けていく。

 

 

 「なにーーっ」

 

 

 これにはさすがの進藤も焦った表情をしていた。

 

 

 一方E組ベンチでは…

 

 

 「思ったよりうまくいったなこの作戦」

 

 「逆にいうとこの作戦しかないいんだがな」

 

 

 俺らは笑いながら、言いあう。

 

 バントはただボールを当てるだけに思えるが速いボールの勢いを殺し、自分の思い通りに転がすことは意外と難しい。もちろん練習はしたんだが…

 

 

 「こっちの練習は超人的なものばっかりだったからな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 球技大会5日前。

 

 

 

 「殺ピッチャーは時速300キロの球を投げる」

 

 

 そう言いながら、殺せんせーは自分の分身がやっているキャッチャーに向かって思いっきり投げる。

 

 

 「殺内野手は分身守備で鉄壁も守備を誇る」

 

 

 そう言いながら先生は4人に分身し、互いにボールを譲り合っているが、結局そのうちの一人が拾い木村のバントをアウトにする。

 

 「殺外野手は、レーザービームで外野からホームベースまで0.0004秒でボールを届ける」

 

 

 そういうと、三塁にいた磯貝が、タッチアップを見て走り出そうとした時にはすでにキャッチャーミットにボールが入っていた。

 

 

 「殺キャッチャーはささやき戦術でバッターの集中を乱す」

 

 

 そういうと、バッターに入った三村に対して

 

 

 「校舎裏でエアギター……ノリノリでしたね三村君」

 

 「!!」

 

 そう言われると、三村は顔を真っ赤にして完全に集中力を切らしていた。

 

 

 「ゲスいなぁ、殺せんせー」

 

 「次、柊季君」

 

 「はーい」

 

 

 そういわれて、俺はバッターボックスに入る。

 

 

 「よっしゃー一本うってy…」

 

 「そう言えば、柊季君この間、水族館の前で何やら考え事をしていましたが、もしかして、倉橋さんをd…」

 

 「死ね!このタコ!!」

 

 

 俺は殺せんせーに向けて思いっきりバットを振り捨てて、隠し持ってた拳銃でせんせーめがけて連射する。

 

 

 「ヌルフフフ、いいですね。青春ですね」

 

 「黙れタコ!死ね!」

 

 「なにやってんだ、柊季は…」

 

 「さぁ、でも今はかかわらない方がいいと思うよ」

 

 

 渚と杉野はただそれを呆然と見ているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に磯貝も難なくバントを成功させる。

 

 

 「何と三番磯貝もバント成功。これでノーアウトランナー満塁だ。調子でも悪いんでしょうか、進藤君」

 

 

 放送もさっきと打って変わり焦ったような声を出している。

 

 

 「四番、ピッチャー杉野君」

 

 

 杉野はバッターボックスに入り、殺せんせーのサインを見るとバントの構えを見せる。

 

 

 「これは、バント警戒でひょっとすると…」

 

 

 進藤の投げた球は内角高め、すると杉野はバントの構えからスクイズした。

 

 

 「打ったー、打球は右中間を深々破る、この間に二塁ランナーに続き一塁ランナーもホームに向かう、打った杉野も三塁へ走者一掃のスリーベースヒット」

 

 

 「うそ、だろ、」

 

 

 ピッチャーの進藤は信じられないという表情をしていた。まあ、無理もないだろうが…

 

 

 「五番、ライト、嵯峨君」

 

 

 そう言って俺はバッターに入る。

 

 

 「どうだい、スーパースター、俺の言ったとおりになっただろ?果たしてその精神状態でアウトがとれるかな」

 

 「こいつー……」

 

 

 進藤はいらだちを大きくし、投げる。

 

 (こんな時もストレートとは正直な奴だね…安い挑発に乗っちゃって)

 

 俺は思いっきりスイングをしてボールをセンターの前まで運ぶ。

 

 この間に、杉野が生還して4-0E組の圧倒的リードだ。

 

 

 「さて、あと何点稼げるか…」

 

 

 俺はそう思ったが遂にここで招かれざる客が向こうのベンチに入ったことの気付く。

 

 

 「はぁ……前言撤回。勝負はここからだな…」

 

 

 この後の試合は波乱になるそんな予感しか俺にはしないのだった。

 

 

 


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