双子の姉弟が送る!暗殺教室   作:コミ6目半

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第17課 LRの時間

律が来てから数日、今日も今日とて特別なことはなく、いつもの平穏なく授業が流れていく。

 

いまの時間は英会話、英語は週に5時間あるのだが、内2時間はビッチ先生の英会話が入っている。

 

「Oh...sexy guy...It's miracle. What really?」

 

ビッチ先生は英語を読みながら黒板に書いていく。

 

「日常会話なんてあんたたちが思っているよりずっと単純、日本人でもいるでしょ、「マジすげー」とか「マジぱねー」とかだけで会話を成立させるやつ、それが英語ではご存じreally、木村発音してみなさい」

 

「り、リアリー」

 

「はい、ダメー、LとRがごちゃ混ぜよ、そーねー、椿季、あんたやってみなさい」

 

「really?」

 

「よし、OK?それなら違和感なく伝わるわ」

 

「thank you」

 

 

「嵯峨、あんたやってみなさい」

 

 「え、俺?」

 

 「いいから、早く!」

 

 「really」

 

 「うん、まあまあね」

 

 

なんだよ。その中途半端な評価は

 

 

「いい、木村がそうであったようにLとRの発音は日本人とは相性が悪いの。相性の悪いものは逃げずに克服する、これから発音は逐一チェックするから、LとRの発音を間違えたら、公開ディープキスの刑よ」

 

 

それは勘弁と心の底から思う俺なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その日の放課後

 

 「さて、帰るか」

 

 「柊季、日直の仕事終わった?」

 

 「ああ、やっとな」

 

 「よし、じゃあ帰ろうか」

 

 そう言って、教室を出た瞬間に俺は廊下の違和感に気付いた。それは椿季も同じだったようで、

 

 

 「ねえ、殺せんせーって確か…」

 

 「ああ、ちょっと中国まで杏仁豆腐食べに行ってくるって言ってた、先生が出て行ったのはついさっきだから…」

 

 「まだ帰ってないよね」

 

 玄関に妙な気配を感じるのだがそれが誰だかわからない。

 

 「まあ、ここは国家機密がうろついている場所だし」

 

 「もしかしたら…」

 

 そういって俺はできるだけ音を立てずに廊下をダッシュしてみると、そこには少し年老いた東洋風の男がたっていた。

 

 「誰だ!」

 

 すると男はニッと笑い、俺との距離を詰めてくる。

 

 俺は、急いでけん制のための対せんせーナイフを投げたが簡単に弾かれ。あっという間に間合いを詰められる。

 

 「チッ」

 

 男を振る警棒上のものを何とかすんでのとこころでかわしたが第二撃は防ぎきれない、そう感じ、俺は防御姿勢を取った。

 

 

 しかし、男は第二撃を振ることなく俺から距離を取った。その理由は

 

 対戦性ナイフが二本男に向かって飛んできたからだ。

 

 男はそれを難なくかわした。

 

 「あれ?」

 

 柊季がそう思っている間もなく、男は今度、ナイフを投げた椿季に詰め寄る。椿季はすでに二本の警棒を用意し、男めがけて振り下ろす体制を取っていたのだが、

 

 

 「やめよう椿季。その人、二人がかりでやっても勝てないよ、第一遊ばれてるし、俺ら」

 

 

 そう言うと小さくため息をつき椿季は警棒をしまって、無抵抗をアピールした。

 

 

 「ほーっ、実に賢い判断だ。自分の力量を過大評価しては、暗殺者として、三流以下だ」

 

 「そりゃ、どうも」

 

 「それにしても君たちはなかなかの腕だな、思わず悪ふざけが過ぎたよ」

 

 「私のナイフを交わしたのは」

 

 「君のナイフは殺気がこもり過ぎていたよ、手練れになるほどそういったものに敏感になる。気を付けたまえ」

 

 「なるほど、参考になります」

 

 「それで、何か御用ですか?えーっと、」

 

 「ああ、俺の名前はロヴロ。昔は少しは名の売れた殺し屋だった。今は後進の育成に尽力している。今日は私の教え子の様子を見に来たんだが、その前に噂の殺せんせーはどこかね」

 

 「せんせーなら今、中国に杏仁豆腐を食べに行ってるんで、もう少ししないと帰ってきませんよ」

 

 「そうか、それなら職員室に案内してもらってもよいかな」

 

 「ええ、構いませんけど」

 

 「どこかね」

 

 「こっちです」

 

 そう言って俺らは老練の殺し屋を職員室へと案内した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして翌日。体育の時間。 烏間先生によると昨日のロヴロさんとビッチ先生で模擬暗殺をやるらしい、

 

 「というわけで今日一日、模擬暗殺が俺周囲で行われることとなったが、君たちに迷惑はかけないようにする」

 

 烏間先生も大変だな、とクラスの大半が思っている中、問題の女がやってきた。

 

 「烏間先生!」

 

 そう、水筒を持ったビッチ先生だ。

 

 「お疲れさま!はい、冷たい飲み物」

 

 その瞬間、クラスのみんなが若干引いたのは言うまでもない。

 

 「ねぇ、あのお茶って」

 

 「うん。多分、睡眠薬か筋弛緩剤でも入ってるんじゃない?」

 

 「だよな、さすがにあれじゃあ無理だよな」

 

 「だよねぇ」

 

 「これじゃあ、ビッチ先生に勝ち目ないんじゃね」

 

 「うん」

 

 案の定、烏間先生にかわされていた。

 

 その後も二人とも何度となく烏間先生に暗殺を仕掛けたらしいが、結局成功することなくお昼休みになってしまった。

 

 「模擬暗殺どうなったかな」

 

 倉橋がそういいながらやってきた。 

 

 「さぁ、まだ二人とも烏間先生にナイフを当てられてはいないし、そしてその烏間先生は、ほらあそこ」

 

 烏間先生はよく昼食を校庭の木の下で食べている。今日もそれは変わらないのだが…

 

 「いつもと違うのはそこに近づく女が一人…」

 

 ビッチ先生が食事中の烏間先生に近づく。

 

 そして、クラスメイトもビッチ先生の暗殺を一目見ようと窓際に集まる。

 

 「ん?」

 

 「どうしたの?さがっち」

 

 「いや今何か烏間先生の後ろでひっかった気がしたんだけど…」

 

 「んー。なにもみえないけどなぁ」

 

 確かに光った気がしたんだけどなぁ。

 

 そうやってじっと見ていると俺はあるものに気が付いた。

 

 ロヴロさんも殺せんせーと見つめる中、ビッチ先生の暗殺が始まった。

 

 

 「ねぇ、烏間。ちょっといい」

 

 「何だ、これ以上は模擬暗殺でも容赦しないぞ」

 

 相変わらず烏間先生には隙がない。ビッチ先生の色仕掛けが利くとはとても思えない。

 

 「ねぇ、いいでしょ。烏間。私はどうしてもここに残りたいの、わかるでしょ?ちょっとあたってくれるだけでいいの」

 

 ビッチ先生は相変わらず色仕掛けで行くようだ。上着を脱ぎ烏間先生の近くに放る。

 

 「これじゃあ、さっきと同じだよね」

 

 

 倉橋は苦笑いしてみている。

 

 

 「いや、そうとも限らないぞ」

 

 「え?」

 

 「俺はこれがただの色仕掛けとは思わないからね」

 

 「それってどういう…」

 

 「みてればわかるよ」

 

 

  俺はそう言うとビッチ先生の様子を見守った。

 

 

  烏間先生は、やはりビッチ先生の暗殺は色仕掛けと思っているので、近づいた時を狙ってナイフを取る機会をうかがっているようだ。

 

 

 「いいだろう。やれよ。どこにでも当てればいい」

 

 「嬉しいわ。じゃあ、そっち行くわね」

 

 

 そういって、ビッチ先生は烏間先生の座っている気の後ろに回りそして、走り出した。

 

 それと同時に地面に落ちていたビッチ先生の上着が烏間先生の足を刈り取り、烏間先生は体勢を崩す。

 

 

 「これはっ!」

 

 

 その様子を見ていた。クラスのみんながざわつく。

 

 

 「あれって…」

 

 「ワイヤートラップだろうね、自分の上着に仕込んでたんじゃない?殺せんせーを暗殺するために何度も練習してたみたいだし」

 

 

 そして気が付くとビッチ先生は烏間先生の上を取り、烏間先生めがけてナイフを振り下ろす。

 

 烏間先生はそれを何とか抑え、しばらくの間二人は攻防していたが、しばらくすると烏間先生は手を放し、ビッチ先生はナイフを烏間先生に当てた。

 

 

 「お、当てたな」

 

 「すごーい、本当に当てちゃった」

 

 「ビッチ先生残留決定じゃん」

 

 

 クラスの中では歓喜が沸き起こっていた。なんだかんだでみんなビッチ先生と仲良しだよなぁ、とこういう時思う。

 

 

 「よっしゃーーーーー」

 

 ビッチ先生も校庭で叫んでいた。

 

 

 こうして、なんだかんだお騒がせのビッチ先生解任騒動は先生の存続ということで、幕を閉じたのだった。

 

 

 

 


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