F≠S 《インフィニット・ストラトス》   作:バンビーノ

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23.マイフレンド

 トーナメントが決した当日の夜中。諸々の手続きを終えたシャルロットが部屋へと戻ると、桐也がベッドの上で待っていた。具体的にいうと胡座(あぐら)をかいたまま上体をベッドに倒し、寝息をかきながら待っていた、完全に過去形で既に待ててはいなかった。

 時刻は既に1時を回っているが、時間よりも疲労から眠りについてしまったのだろう。

 

 日中にはトーナメント決勝、夕方には授賞式、夜にはクラスメイトに他色んな面子を合わせての祝賀会。桐也も年頃の男の子らしく滅茶苦茶ハシャいでいた。それこそ一年一組の面子に負けないテンションでだ。いつもなら一歩引いてるところもなんのその、参加できるイベントには全部参加して飲んでないのに酔っぱらいじゃないかという振り切り方だった。

 

 桐也と一夏が並んで千冬に追われる事態にまで発展したと言えば、そのハシャぎっぷりもなんとなく伝わるというもの。保健室でベッド安静のラウラ・ボーデヴィッヒを一夏と担いで打ち上げに連れてきたのが主な原因。千冬には十秒で捕まっていたが、まぁよく十秒もったとも言える。その後にお説教もあったが温情もあったのか短めに終わり、ラウラも安静を厳守として参加という形になった。

 そのラウラもまた会場を盛り上げる。まずはトーナメントのことをセシリアへと謝罪、面倒な話は上に任せここは和解した。次に一夏へと蹴ったことを謝罪、ここもアッサリと許す懐の深さが見られた。

 

 そこからが佳境だった。

 ラウラは“織斑一夏は私の嫁”発言からのズキューン(KISS)ッ! で一騒動起こし、千冬の再出動。言うまでもなく侍ガールとおてんばチャイナが主に鎮圧対象だった。

 最後には千冬も真耶も巻き込んでのバカ騒ぎを見せた。

 

 

 

 それからシャルロットを待ち続けて数時間。現在、出路桐也は愉快なオブジェとなっていた。明らかに苦しそうな姿勢なのに、とても気持ち良さげな寝息がシャルロットの耳に届く。

 

「起こしにくいなぁ」

 

 近づいてベッドに腰掛けるが起きる様子もない。無理に起こさずとも姿勢くらいなんとか直せないか、そう思って手をかけ、動きが止まる。前に似たようなことをしようとしてベッドから落としたことを思い出した。

 少し思案して、そのまま肩にかけていた手を顔へとスライド。手の行き先を頬、唇、額へとちょっと迷わせ──鼻を摘まむに落ち着いた。シャルロット自身も無自覚かもしれないが一瞬“にへらっ”とした表情をした。

 

 徐々に寝苦しそうになる桐也。間違っても窒息だけはしないようにしつつも、ニコニコと楽しそうに鼻をふにふに摘まむシャルロット。

 

「ふごっ……う、ふが……ブハッ!?」

 

 割りと遅い危機感が仕事をしたのか、息苦しさが限界を迎えたのか。いくらかうなされたあと、酸素を求めてようやく桐也は起きた。睡眠からの目覚めで何故か息切れを起こしていることに疑問を感じつつも、鼻を摘まんでるシャルロットが目についた。無言なままシャルロットの手を掴み鼻から外す。

 

「……何してやがる?」

「変な体勢で寝てたから起こしてあげようかなって」

「そいつはどうも。他に方法があっただろ……あー、確かに関節がバキバキいうな」

 

 寝起きでいまいちテンションも上がらないのか日中に使い果たしたのか。桐也は大して怒ることもなく、身体を伸ばして凝り固まった関節を解す。そして満足げな顔をしたと思いきや電源を落としたかのようにベッドに倒れ込んだ。

 あっ、とシャルロットが声を漏らすも言葉は続かない。疲労困憊で眠たそうな様子、シャルロットは自分のことについての話をするために起こすことに気が引けた。少し伸ばしてしまった手を行き先なく少しさ迷わせ、引っ込めた。伝えるのは明日のお昼でもいいかな、とシャルロットはベッドから立ち上がろうとし──

 

「なんか話か?」

 

 不意の桐也の声に動きを止めた。

 寝転がったまま非常に面倒そうな顔をしているものの、顔だけは横に座っているシャルロットへ向けている。

 

「えっと、僕のこと、じゃなくて私の話だし、桐也も眠そうだし……明日でいいよ?」

「…………」

 

 無言の間が出来る。もう寝てしまえよと言いたくなる程に、桐也の眉は不機嫌そうにしわを寄せ目蓋が落ちかけている。しかし、寝るとは即答せずに何か思案し、ガバッと起きた。

 

「待ってろ、シャワー浴びてくる」

 

 いつかのように足元が覚束ないながらも適当なタオルをぶん取り脱衣所へと入っていった。取ったタオルが適当すぎて、簡易台所の手拭いだった。なんとも言えない顔で見ていたシャルロットは、中からシャワーの音が聞こえてから、こっそりバスタオルと変えておく。

 うっかり脱衣所で鉢合わせるという誰得ラッキースケベなイベントを起こすこともなく、桐也は脱衣所から出てきた。幾分かは目が覚めたようでバスタオルで髪を拭きながらベッドに胡座で座る。

 

「ちっとは目ぇ覚めた。そんで話ってなんだ?」

「そんな無理してくれなくてもよかったのに」

「聞いてほしそうなくせして隠されりゃ気になるっての」

 

 遠慮の言葉に予想だにしなかった返答。目をパチクリさせているシャルロットに構わず桐也は話す。

 

「さっき、僕っつったろ。今まで阿呆みたいに器用に室内では私、それ以外では僕って分けてたくせに」

「あー、そうだね。うん、そう言っちゃった」

「だからなんか、俺に合わせて誤魔化そうとしてんじゃねぇかって思っただけだ。聞いてほしそうってのはただ雰囲気でなんとなく」

 

 他人に自然体に見せながら合わせるように出来ているシャルルになったから、なにかを隠したと思う。これがもしも他の人間が相手であれば、桐也は一夏以外察せることはなかっただろう。少ないとは言えない期間、同じ部屋で過ごしたからこそ普段との差異に気づけたというだけ。他なら確実に聞き流して寝ていたと自分で確信する桐也は、まぁ友人にだけはそれなりに義理堅いのかもしれない。

 

 シャルロットはシャルロットで違和感を感じさせてしまうくらいには気が緩んでいた、よく言えば気を許していたと改めて自覚した。

 気を使わせたかとする必要のない反省する反面、友達っていいなぁと頬を緩ませる。母親が亡くなって以来、正しくはデュノア社でテストパイロットになってからは友人と呼べる者はいなかった。同情や憐れみから気を使ってくれる大人はいれどそれだけ、対等な気の許せる関係が出来たことがなかったのだ。だからこそ桐也という友人との出会いが一際良い出来事に感じられた……ただしシャルロットがボッチだったわけじゃない、断じてない。

 

「いつもは察しが悪いくせに、こういうときに察しが良いのはズルいよ」

「ってことは話したいことがあんだな。ほら、さっさと話せ」

「雰囲気が話す雰囲気から離れたんだけど……あぁ、ごめんシャワー浴びても眠いよね話す話す! 話すから無言で睨まないで!」

 

 コホンッ、と小さく咳払いをしてから姿勢をただして桐也に向かい合うシャルロット。

 

「えっとね、単刀直入に本題から話すけど、男装を明かすことにしたんだ。トーナメントが終わったことで学園も落ち着いたから、学園としても色々後処理とか出来るようになったみたいで」

「そりゃめでたいな。シャルル君にゃサヨナラだ」

「うん。だから、私も部屋移動になるんだ。ちょっと寂しいけど思春期の男女がいつまでも同室だと色々問題になるし。急になるけど、早朝には移動することになって」

 

 だろうな、と口には出さないが桐也はそう思った。齢15~16歳の男女の同室が公的に認められるわけもない。それに学園には美少女が多く、桐也に女への耐性が出来たとか悟りを開いたとかそんなことは一切ない。実際ムラッとして夜中に駆け出したこともある。なんか風呂上がりとかいい匂いが部屋に満ちて脳が沸騰しそうになったこともある。そのたび夜道を駆け回り、時おり織斑千冬に見つかり、追われ捕まっていた。ある意味、既に問題は起きていたのだがシャルロットが知る由もない話だ。

 トーナメントを制す体力が付いた一因が性欲かもしれないと眠気以外からの理由で桐也は遠い目をした。

 

 それでも慣れたルームメイトではある。思い馳せる記憶と眠気から意識を引き戻し、シャルロットへ向き合う。

 

「世話になったな」

「私の方こそだよ。なんてお礼を言ったらいいかってくらい」

「また言いやがる。礼を言われるようなことは」

「してないって言うのはわかってるからね。だからこれはただの押し付けの感謝──桐也、ありがとう」

 

 確かにシャルロットはスパイとして送られていたわけではなかった。だから桐也がなにもしなくても結局行き着く先は変わらなかったかもしれない。けど、シャルロットにとっては桐也が葛藤しながらでも、自分を友人と呼んでくれて手を伸ばしてくれた。シャルロットには、それが嬉しかったのだから礼のひとつくらい仕方ない。

 

 しかし、そんなことを露ほども知らない桐也は、真っ直ぐな感謝など言われ馴れておらず、顔をしかめムズ痒そうにしていた。そんな様子にシャルロットはつい吹き出してしまう。そして、そのせいで余計に桐也は顔をしかめる。お礼を言ったのにここまで嫌そうにされるのも珍しい。

 

「ハッ、礼言うくらいならISの理論とか教えてくれ。公式の暗記はともかく応用がさっぱりだ」

「あ、そういえば試験も近づいてきてたね。赤点で夏休みも補習だっけ?」

「やめろ、現実を突きつけるな」

 

 桐也は今日一番深刻そうな顔をする。らしいと言えばらしいが、シャルロットは自分が部屋を移ることよりも衝撃を受けてそうなことに少し納得いかない。

 ぷっぷくぷーと頬を膨らませるも今回は着信拒否、桐也に不機嫌は届かない。こういうわかりやすいサインを出したうえで察しが悪いときには、桐也が意図的に無視している可能性にシャルロットは気づけなかった。

 

「金輪際の別れでもねぇし必要以上にしんみりすることないだろ」

「……はぁ、そうだね。また適当に遊びに来るから歓迎してね?」

「好きなだけ来ればいい、俺に試験勉強を教えにな」

「遊びにって言ってるんだけどなぁ。ま、教えたげなくもないけどさ」

「サンキュ、マイフレンド」

「どうってことないよ、マイフレンド」

 

 それから二人は夜が更け、朝日が顔を出すまで話し込んだ。なんだかんだ言ってどこか名残惜しかったのだろう。出会ったときのこと、なんでもない日常であったこと、つい昨日のトーナメントのこと。話は尽きることなく朝日がちらつき、室内が明るくなった頃ようやく時間がどれだけたっていたのか二人は自覚した。

 

「あー、もうこんな時間。そろそろ荷物まとめておかないと山田先生が迎えに来ちゃう」

「山田先生に始まり、山田先生で終わるシャルロットの1025号室生活……ってか朝日? なんか朝日が見えてね?」

「徹夜しちゃったねぇ」

「やっべ、今日の授業って……あ、一時限目が織斑センセか。死んだな」

 

 元からある程度まとめていたのか、バッグをいくつか肩に掛け、シャルロットは手早く荷物をまとめきった。桐也は徹夜の責任転嫁をするかのように朝日を憎たらしげに見つめている。いくら睨んでも沈むことはなく、諦めたようにため息。

 対して、一晩くらいの徹夜ならお肌への影響を無視すればそこまで堪えないシャルロット。悪いことしちゃったと思いながらも、どうにも話すのが楽しかったから仕方ないかと適当に罪悪感をポイする。

 ノックの音が室内に響いた。部屋の外にいるのは山田真耶だ。

 

「じゃあ、また教室で」

「おう、また明日」

「ナチュラルに今日休もうとしないで、今日もちゃんと来てね?」

「おかしい、シャルロットが言葉の綾で誤魔化せなくなってる」

「桐也のせいだよ。それじゃあ、ほらシャキッと目を覚まして! また今日の教室でね!」

「おっと……うい、今日の教室で」

 

 冷蔵庫から出した缶コーヒーを投げ渡してシャルロットは1025号室を出ていった。閉まりそうな扉の隙間から最後に見えたのは笑顔で手を振るシャルロット。バタンと扉が閉まり、室内に一人となった桐也は手元の缶コーヒーを眺める。

 

「シャルロット、俺がコーヒー飲めねぇの知ってて渡していったな……? にがっ」

 

 かくして、桐也とシャルロットの共同生活は幕を閉じたのであった。

 

 

▽▽▽▽

 

 

 シャルロットが部屋を移った当日。目蓋が重力に逆らうことを放棄しそうになりながらも、山田先生から重大発表があった。なんとシャルルはシャルロット、男ではなく女だった。うん、知ってた。

 当然のように騒がしくなるクラス内。貴公子とも言える美少年が幻想であったことを嘆く声に、やけに綺麗だからおかしいと思っていたと言う奴もいれば、もう女の子でもよくない? って聞こえ──おい、最後の誰だ。そんな騒ぎの最中、更に燃料が投下された。

 

「んん~? でも今までデュッチーってでっちーと同じ部屋じゃなかったけ?」

 

 のほほんさんが放った一言で騒動の矛先が俺に向いたのがわかった。ハッハッハ、やらかしやがった。一夏に助けを求めるも手を合わせて南無南無じゃねぇんだよ、助けろって。シャルロットは普通に顔真っ赤にしてバグってる。誰か叩いて直してやれ。

 

「何かなかったの? むしろナニしなかったの?」

「アバンチュったの? 一線越えちゃったの!?」

「さぁ、テキパキ吐きなさい!」

 

 シャルロットが男装してたことに深く触れないのは気遣いか、そういう風に教えられているのか。どちらにせよ、こうしていらぬ所には触れず楽しげに流すいいクラスメイトたちに恵まれたと思う。ただし話題の矛先が俺じゃなきゃな。楽しそうな話題は絶対に流さねぇもんなぁ!

 織斑センセがまだ来てないのをいいことにクラス内の騒動エネルギーが全て俺に向かってきた。タイムセールで主婦に押し寄せられる商品の気持ちがわかる。美少女かオバサンかとか関係ない。普通に怖い。

 

「うっせー! なんもしてねぇしナニもしねぇよ!」

 

 たまにシャルロットの防御が甘かったとか、そのせいでムラッとして夜中に何度も走り出したとか言えるか。こちとら思春期の男の子なんだぞ。下半身とか直ぐに暴走しそうになんだ、どんだけ辛かったと思ってやがる。

 

「チキンー」

「へたれー」

「むっつりー」

「おいコラ泣くぞ」

「でっちー、安心して~。そんな事実に関係なく~、噂には尾ひれがつくものだからね~」

「尾ひれ付ける気満々じゃねぇか!」

「えへへ、つけなくても勝手についちゃうんだよー」

 

 この頃わかってきたことがある。このクラスメイトたちは多少雑に接しても微塵も気にするような奴らじゃない。代わりにくせ者揃いだ。曲者じゃなくて癖が強すぎる的な意味で癖者。字面が違うだけで意味は同じだが他に合う言葉が見つかんねぇ。

 もう騒動を収めるのは諦めた。織斑センセが来るまで待つ。しかし、このままここにいるのは辛いので一夏へ視線を送る。

 

「いやもう、あれだ。皆の前でキスする一夏と比べりゃへたれだろうよ」

「おい桐也!?」

「道連れだこの野郎!」

「くっそ、表出ろぉ!」

「上等だァ!」

 

 急に喧嘩腰な俺たちにクラスメイトの波が少し引くが気に止めず、先頭の席の一夏へズカズカと向かっていく。そのまま一夏と胸ぐら掴み合いながら勢いのままに廊下へ転がり出る。上手く足を引っ掻け教室のドアを閉めて、一息つく。

 一夏と無言でハイタッチ──脱出完了。

 

「なんとか出れたか……一夏、助かった」

「気にするなって。けど割りと本気で巻き込もうとしてなかったか?」

「上手く逃げられなかったときには死なばもろともってな!」

「この野郎!?」

「逃げられたんだからいいじゃねぇか、ハッハッハ!」

「そうだな、ハッハッハ!」

 

 男同士のアホみたいな関係ってやっぱりいいなぁ。お互い上手く気遣ってたシャルロットとの生活もよかったが、遠慮なく馬鹿できるのは学園内じゃ一夏くらいだからな。

 

「けどシャルルが女だったとは……桐也は知ってたのか?」

「知ってた。事情を説明できなかったのは悪かったと思ってる、が俺のせいじゃないから謝らん」

 悪いのはデュノア社とIS委員会、俺悪くない。

 

「それはいいけど、そうかぁ、男は結局俺たちふたりかぁ。こんなこと言っていいのかわからないけど、ちょっと残念だ」

「わかる、めっちゃわかるわ……」

 

 女に囲まれた生活に憧れる奴なんて妄想好きかよっぽどの女誑しだろ。こちとらモテたいヤりたい付き合いたいの三拍子だけ揃った健全な男の子。周りに特に親しくもない美少女が大量にいる環境はむしろツラい。

 それなら同じ馬鹿して騒げる男が増えてほしい。気兼ねなく接することの出来る人間が増えてほしい。

 

 現状、学園内外問わずに俺の男友達は一夏ひとり。重要参考人保護プログラムのせいで憎ったらしい友人(アイツ)らも連絡がつかねぇ。せっかく携帯の番号まで覚えていてやったのに番号も変えられてちゃどうしようもない。この頃政府が嫌いになってきた。

 

「男性IS操縦者増えねぇかな」

「増やすために全国で試験した結果見つかったのが桐也だけだったんだけどな……」

「そうだったわ……絶望的じゃねぇか」

「でも、俺は桐也だけでも居てくれてよかったよ。この環境でひとりじゃ辛すぎるし」

「だろうな」

 

 美少女のなかに男ひとりとか一見天国、その実地獄だ。まぁ、一夏ならラッキースケベ起こしまくってそうな気もする。あれ、なんかイラッとしてきたな。

 

「なんにせよ今日からまた同室だ」

「おう、よろしくな。あと窓側ベッドは再び俺がいただいた」

「予想はしてた。別にいいけどノート見せてくれよな! この頃は頑張ってるけど未だに追いつけない授業があるんだ!」

「もういつものことだからいいけど、俺もこの頃はまとめ直すのサボってたし、また頑張らねぇとな」

「「……はぁ、めんどいな」」

 

 お互いに勉学の怠さにため息を向いてた俺たちは忘れていたんだ。ここが教室の前だってことを、今が朝のホームルーム中だったってことを。

 そして織斑センセがそろそろ来る時間だってことをな!

 

 目前に出席簿が突き立ってからそれに気づいた俺たちは圧倒的にスロウリィだったのは間違いない。

 

「随分と楽しそうだな阿呆ども……ホームルーム中だ、さっさと教室に戻れ!」

「「イエッスマム!」」

 

 教室に俺たちが転がり込むとクラスメイトらはきちっと座っていた。さっきの騒ぎはどうしたと言いたい。なんかズルいわ。




ここまで読んでくださった方に感謝を。
シャルロットとの同室に幕を閉じ、入学当初と同じく一夏との日常戻ったあたりで二巻の終わりです。

・フレンド:シャルロットにとっては長年出来ることのなかった存在。断じてソシャゲで申請とか承諾するやつではない。
・にがっ:結局残されたコーヒー。
・癖者なクラスメイト:極めて個性的な癖の強い強者揃いなクラスメイトの略。
・お風呂イベント:存在しない。山田先生の多忙により、大浴場の解放はまだ。

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