魔法先生ネギま! 子供先生と機械兵士   作:残月

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麻帆良での日々⑧

 

 

 

とある日。休日でも変わらず、街中のパトロールをしていたヴァルゼルドはネギと遭遇して共にパトロール兼散歩を楽しんでいた。

そして散歩の雑談の中でネギは上機嫌に故郷からのエアメールが来たことをヴァルゼルドに話していた。

 

 

『パートナー……でありますか?』

「うん。魔法使いになる時に自分を守ってくれる。共に戦う相棒として一緒にいてくれる人の事なんだ」

 

 

ネギがヴァルゼルドに話したのは、魔法使いのパートナーの事だった。パートナーがいる魔法使いはある意味で一人前と言える証らしく、魔法使いの誰もがパートナー選びに勤しんでいるらしい。だが、その風習も今では恋人探しの口実らしいのだが、パートナーが居る魔法使いに憧れるネギは、その事をヴァルゼルドに話していた。因みにネギの魔法の練習の一貫として、ネギは認識阻害の魔法を使っている。端から見ればネギとヴァルゼルドは他愛もない雑談に花を咲かせている様に見えている。

 

ネギの話も聞けて尚且つ、魔法の練習になるのは実に有意義だとヴァルゼルドが納得していた、その時だった。

 

 

「ネギ先生っ!」

 

 

背後からネギを呼ぶ声が聞こえ、ネギとヴァルゼルドは振り返り驚愕した。ヴァルゼルドに至っては玩具の様に首が一瞬、空を舞う。

 

 

「ぜひとも私をパートナーに!」

「ボクをパートナーにしてよネギ先生!」

「私も私もネギ王子~!」

 

 

 

砂塵を巻き上げて2-Aの生徒がネギに押し寄せてきたのだ。しかも、ほぼ全員がネギのパートナーの件を話しに来ている。

 

 

「ネギ君、パートナーを探してるんだって!?」

「それって恋人なの!?結婚相手なの!?」

「何処かの国の王子さまって噂、本当!?」

『あ、あの……何処で、その話を聞いたのでありますか?』

 

 

アワアワと慌てるネギの代わりにヴァルゼルドが問いかけると何故かネギのパートナーの話が何処かから漏れたらしく、2-Aの面々はその真相を確かめに来たと同時に玉の輿を狙ってネギに迫りに来たとの事だった。

そして2-Aの生徒達は悪ノリをしているのと、本来は止める側の人間の雪広あやかがネギLOVEな為に止めに入らず暴走超特急となっていた為に誰にも話は通じなかった。

そして完全に話が通じないと思ったヴァルゼルドはネギを抱えると走り出した。

 

 

『失礼するであります!』

「あ、逃げた!」

「追え~っ!」

 

 

そしてネギとヴァルゼルドを2-Aの生徒達が追いかける。

 

 

「逃げても無駄だよ、ヴァルゼルドは目立つからねっ!」

「ヴァルゼルドがネギ君の目印になる!」

『そうは……いかないであります!』

 

 

誰かが叫んだ通り、いくら逃げようがヴァルゼルドの風貌は目立つ。逃げるのも難しいかと思われた、その時だった。

ヴァルゼルドはネギを抱き抱えたまま、空を飛んだのだ。

突然の事態に誰もが口を開けてポカンと空を見上げた。

 

 

「あいやー……予想以上にスクランブルダッシュが上手くいったネ」

「って、超りんの仕業っ!?」

 

 

空を飛んでいくヴァルゼルドを眺めながら呟いた超の一言に、その場に居た者の視線が彼女に集まる。

 

 

「前にジェットスクランダーを作ったから、次は収納できるスクランブルダッシュを作る話になったネ。ヴァルゼルドには試作型を渡したけど予想以上の出来になったヨ」

「超りんの技術は兎も角、逃げられちゃった!」

「いないよ~!!」

「探すのよ!!」

 

 

超の技術に驚く一方で彼女達はネギに逃げられた事を悔しがる。ヴァルゼルドが飛んだ方向を目指そうとしたが少し、目を離した隙にヴァルゼルドは視界から既に消えていた。

 

一方、空を飛ぶことで難を逃れたネギとヴァルゼルドは逃亡先に学校を選んだ。

休みの日なら学校に忍びやすいと考えたからである。ヴァルゼルドは着地と同時にスクランブルダッシュの翼を収納するがスクランブルダッシュはパチパチと煙を吹いていた。

 

 

「…………壊れちゃったね」

『試作型と言っていたので耐久性に難有りと伝えるであります』

 

 

ネギはヒーローロボットの様に空を飛ぶヴァルゼルドを喜んでいたがスクランブルダッシュが壊れてしまったので、しょんぼりとしていた。それは兎も角、生徒達はネギとヴァルゼルドを探しているだろうが学校ならば暫くは見つからないだろうと思った矢先に後ろから声が掛かる。

 

 

「あーっ!ネギ君、ヴァル君。ウチやウチ!」

 

 

そこに居たのは着物を着た可愛らしい少女で、ヴァルゼルドとネギはポカンとその少女を見つめた。

ネギはその少女が誰かわかった様で笑顔を向ける。

 

 

「すごく綺麗ですね木乃香さん!」

『木乃香殿?……おおっ!』

 

 

ネギの言葉に漸く、気づいたのかヴァルゼルドはポンと自分の手のひらに拳を乗せて納得した。

 

 

『とても可愛らしいであります、木乃香殿。しかし何故、着物に?』

「それを言ったら、ネギ君とヴァル君もどうしてこんな所におるん?」

 

 

ヴァルゼルドは木乃香の姿を誉めたが何故、着物を着ているのかと聞いたが、それを遮る様に突如、黒服でサングラスをかけた数人の男がやって来た。

 

 

「木乃香様ー!!」

「何処に行ったのですかぁ!!?」

 

 

黒服の男たちは木乃香を探しているようだ。ヴァルゼルドとネギは黒服の男たちが何なのかと思ったが

 

 

「あちゃ、此処まで来てしもーた。ネギ君、ヴァル君。ウチ逃げないとアカンねん!」

『こ、木乃香殿!?』

「わ、木乃香さん!?」

 

 

ネギとヴァルゼルドの手を引いて木乃香は学校の中に入って行く。

ヴァルゼルドは先程の黒服の男達から木乃香が逃げているのを見て、何か揉め事なのかと考えていたのだが、結果は全然違うものだった。

 

 

「ええッ!?」

『お見合いでありますか……』

 

 

事情を聴いたネギは驚き、ヴァルゼルドは納得がいった。

木乃香はお見合いから抜け出してきたようだ。木乃香の着物姿はお見合い用の物らしい。

 

 

「そうなんや、ウチのおじーちゃんが見合いが趣味でなーいつも無理矢理すすめるんよー今日はお見合い用の写真を撮らされる所やったけど、途中で逃げ出してきたんよ」

 

 

プンプンと言った表現が似合うような怒り方で怒る木乃香にヴァルゼルドは苦笑いになった。

 


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