AKABAKO   作:万年レート1000

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バトルアリーナ楽しいのぉおおおおおおお。

102話と103話の順番入れ換えました。


ベリーハード

模倣体(クローン)?」

「はい」

 

 翌日。

 アークスシップ・ゲートエリア。

 

 コフィーはシズクの返した言葉に、頷いた。

 

「近頃、アークスを襲うアークスの集団が確認されています。調査の結果、それがダーカーによるアークスの模倣体だということが分かりました」

「アークスの模倣体って……ダーカーってそんなことできるんですか?」

「にわかには信じがたいですが……事実です。貴方たちも十分に気をつけてくださいね」

 

 そう言って、コフィーはシズクとリィンの二人にあるものを手渡した。

 

 手のひらサイズの、ライセンス。

 『ベリーハード受注許可証』だ。

 

「ベリーハード解放、おめでとうございます。貴方たちの益々のご活躍を期待しています」

「はい!」

「ありがとうございます」

 

 ぺこり、とお辞儀してコフィーの前から立ち去る。

 

 ベリーハード解放。

 思えば、ようやくここまで来たと言えよう。

 

「うっばばー、やっとベリーハードだねー」

「そうね、ようやく半人前……いや、0.75人前くらいにはなれたかしら」

「意識高いなー、一人前って言ってもいいと思うんだけど……」

 

 だが実際、難易度ベリーハードと難易度ハードの間にある壁はそれほど高くは無い。

 才能が無い者でも、努力次第で乗り越えられる程度の壁だ。

 

 確かにアークスに入隊してから、この短期間でベリーハードが解放されたというのは実のところ凄いことなのだが……。

 

 ベリーハードの上、スーパーハードへの道のりはこれまでの道程よりも長く険しい。

 

「うばば、まあでもベリーハードならあたしにもいい加減レアドロがガンガン来てくれるだろうし、うばー楽しみー」

「あははそうね来るといいわね」

「ひっでー棒読みっ!」

 

 とまあそんな感じに雑談しながら、クエストカウンターへ行ってクエスト一覧を開く。

 

 ベリーハード解放一発目のクエストだ。

 最近よく行ってる惑星ウォパルも悪くないが……。

 

「確か今日のデイリーオーダーでウォルガーダ討伐が結構メセタ美味しかったから遺跡にしよ」

「シズク最近かなり金欠よねぇ」

「クラフトが……クラフトが全て悪いんや……」

 

 というわけで、ウォルガーダ殲滅クエストを受注した二人。

 

 こんな何気ない理由で選んだクエストを受けることによって、

 

 この時はまだ。

 "あんなこと"になるなんて、夢にも思っていないシズクとリィンなのであった。

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 惑星ナベリウス・遺跡エリア。

 ナベリウスの奥地に存在する不可思議なオブジェクトが並び立つ地帯。

 

 【巨躯(エルダー)】が元々封印されていただけあって、ダーカーの巣窟と言ってもいいほどダーカーで溢れているのが特徴だ。

 

 ナベリウス原生種もいるには居るが……殆ど見ることはできない。

 

 そこはまさに、ダーカーに支配された地域と言えるだろう。

 

「いつ来ても、綺麗な場所ね」

「そう? あたしは不気味だと思うけど……」

 

 遺跡エリアに降り立った途端、リィンとシズクは辺りを見渡しながらそれぞれ感想を述べた。

 

 正反対、とまでは行かないが相違のある感想だ。

 

「うばー……なんか見られてる感じがするんだよね、ここ」

「…………んん」

 

 今までだったら、気にも留めなかったであろうシズクの発言。

 

 でも、シズクの父親の言葉のせいで、どうにも気にかかる。

 

(シズクが見られてる感じがするってことは……マジで何かに見られてたりして……)

「うっばっば、まあ多分気のせいでしょ」

(…………大丈夫かしら)

 

 ちなみに。

 ナベリウス・遺跡エリアにおいて『妙な視線を感じる』という感想を抱くアークスは結構多い。

 

 ぶっちゃけてしまうと、ダーカーたちによるアークスへの敵意やら悪意やらそういったものが正体なので、ある程度鋭敏な感覚の持ち主ならその視線に気づくことができるのだ。

 

 何が言いたいのかといいますと、リィンは(色々な意味で)鈍いだけである。

 

(注意して挑みましょう……そうでなくともベリーハードだし)

「リィンー? どうしたの? そろそろ進むよー」

「ええ、心して掛かりましょう」

「……?」

 

 いつに無く凛々しい表情なリィンにシズクが首を傾げてから、一行は進みだす。

 

 リィンが前で、シズクが後ろ。

 いつもの布陣だ。

 

「そういえばさ、お父さんからさっきメールで『来月にまた帰ってくるように、その時はリィンちゃんも連れてね』って着たけど、いい?」

「ああ、それなら私にもメール着たわよ。勿論行くわ」

「え? メルアド交換したの?」

「ええ」

 

 シズクの眉が、ぴくりと動いた。

 その表情は、嫉妬――というよりも、『懸念』。

 

「まさか……あたしの昔の写真とかをメールでこっそり受け取っていたり……しないよね?」

「…………さすが察しがいいわね」

「うばー! そういうの良くないと思います!」

 

 周囲警戒をしながらも、リィンは背後から聞こえてくる怒声に反論するように声を張り上げる。

 

「だって、シズクの子供の頃って可愛すぎるんだものー!」

「うば!?」

「なんかこう、シズクをそのままミニチュアにした感じやばいっていうか……その可愛さと表情の冷たさのギャップがたまらんっていうか……」

「ストップ! ストップ! なんか……その、そう……! その感じ、リィンのお姉ちゃんそっくりだよ!」

 

 早々に切り札を繰り出すシズクであった。

 

 リィンにとっては、最大にも等しい侮辱。

 その効果はとてつもなくリィンの心を抉り取る――!

 

 ――だが、

 

「う、ぐ……いや! 例え何と言われようとシズクの幼少期の写真は欲しい……!」

「なん……だと……!?」

「それに、別に友達の写真を数枚持ってるくらい普通だし!」

「うばば……」

 

 最大の切り札が通じなかった今、何を言おうと無駄だろう。

 

 シズクは意気消沈するように、大きなため息を一つ吐いた。

 

「うばー……分かったよ……でも他の人にむやみやたらと見せないでね?」

「どうして? こんなに可愛いのに」

「待ち受けにしてる!? や、だってその頃のあたしはあたしにとって黒歴史というか……人間味が無くて嫌なんだよね」

 

 と、シズクのセリフと同時に、前方空間が歪み始めた。

 

 突然だが、ダーカー出現の予兆である。

 

「リィン!」

「分かってるわ……!」

 

 即座に気持ちを切り替える。

 どんな雑談をしていようと、彼女たちはプロアークスである。

 

 敵性生物が現れた瞬間、戦闘態勢へと流れるように移った。

 

 現れたダーカーは、【巨躯】の眷属である魚介系ダーカー。

 

 ガウォンダ一体と、ダガッチャ、ダーガッシュが合わせて六体。

 遺跡エリアとしては普通の沸きだろう。

 

「さて、ベリーハード初の戦闘……」

「どんなものなんかねー」

 

 武器を構える。

 

 リィンはアリスティンを、シズクはクラフトしたブラオレットを。

 

「ふっ――」

 

 まずはリィンが切り込む。

 ガードスタンスとマッシブハンターで自身の防御力を上げ、真っ直ぐに。

 

「ノヴァストライク!」

 

 敵の中心に入って、全方位をなぎ払うフォトンアーツを放つ。

 

 刃は見事に宙へ浮かぶダガッチャとダーガッシュ六匹に命中した――が、

 

 一撃で倒すには、至らず。

 怒ったダガッチャたちは口を大きく開きリィンへと襲い掛かった!

 

「アディションバレット!」

 

 シズクの銃弾が、ダガッチャらの眉間とコアを貫く。

 

 弱点を射抜かれたダガッチャは流石に限界に達したのか、消滅した。

 しかし、ダーガッシュは未だ倒れず。

 

 その大きな口で、リィンに噛み付いた。

 

「とっ……!」

 

 すかさずジャストガード。

 ダーガッシュの牙は通らない。返しの刃でダーガッシュの身体は真っ二つに切り裂かれた。

 

「リィン、後ろ!」

「っ!」

 

 シズクの叫びと同時に、前方に跳びのきながら振り返る。

 

 右手に付いた巨大な盾を振り上げる、ガウォンダの姿がそこにあった。

 

「あっぶな!」

 

 ずしん、と巨大な盾が地面に振り下ろされた。

 

 ガウォンダ。

 右手に付いた大盾を常に前方へ突き出していて、正面からの突破が困難なダーカーだ。

 

 弱点は背中にあるので、通常なら頑張って背後に回って倒すものだが……。

 

(これは……私が攻撃するより……)

 

 ガウォンダの背を、シズクに向くよう誘導するようにリィンは駆け出した。

 

 二人であることの利点であるといえよう。

 目論見どおりシズクへ無防備な背を晒したガウォンダは、その弱点に銃弾を受けた。

 

 だがしかし、ガウォンダはまだ倒れない。

 

「うば!?」

「…………」

 

 (そもそも発声器官があるか怪しいが)無言のまま、ガウォンダは振り返りシズクをターゲットに定めたかのように動き出した。

 

「くっ……ライドスラッシャー!」

 

 即座にリィンは駆け出し、フォトンアーツを繰り出す。

 

 ソードに乗り、柄の部分からフォトンを噴射して相手に突っ込むフォトンアーツである。

 『移動しながら攻撃ができる』というのが最大の特徴であり、今背を向けてシズクに向かっているガウォンダを追って攻撃するのに最適なフォトンアーツといえるだろう。

 

 切っ先は見事にガウォンダの弱点へと突き刺さった。

 

「どう、だ……!?」

「…………」

 

 剣から降りて、ガウォンダのコアから剣を引きずり出す。

 

 瞬間、ガウォンダは消滅した。

 流石にもう限界だったのだろう。

 

「……ふぅ、流石に、敵の体力がハードとは段違いね」

「リィン、怪我は無い?」

「ええ、問題ないわ」

 

 アリスティンを背に仕舞いながら、リィンは頷く。

 シズクのほうも、怪我は無さそうだ。

 

「しかし、雑魚戦であのレベルとは……」

「ウォルガーダ、苦戦しそうだなぁ」

 

 流石はベリーハード、と言ったところだろう。

 上がりたてほやほやの二人では、中ボス以上はまだ苦戦必至だ。

 

「うばうば、まあボス戦にはウィークバレット使うから中型雑魚より楽かもしれないし」

「そう上手くいけばいいけどねぇ……」

「うっばっば、……うば?」

 

 ふと。

 シズクが何かに気づいたように立ち止まった。

 

「……シズク?」

「……あそこ、リィンにはどういう風に見えてる?」

 

 あそこ、とシズクは何も無いところを指を差した。

 あえて言うならば遺跡エリア特有のオブジェクトとか木々草々があるが、そういうことでは無いのだろう。

 

「……何も無いけど、シズクがそういうこと言うってことは何かあるのね」

「うば。流石にもう慣れた反応するね」

「流石にね。それで、あそこに何があるの?」

 

 シズクの海色の瞳が、微かに光る。

 

 彼女の瞳には、見えている。

 完璧に偽装されているはずの、『道』が。

 

「認識阻害の結界が張ってある、それも並大抵のものじゃないやつ」

「結界?」

 

 リィンの言葉に、シズクは頷く。

 

 結界。というとちょっと時代錯誤な感じがするが、この状況を表す言葉としては確かに適格だろう。

 

 シズクの指差した方へ近づいて、手を伸ばす。

 リィンの肘から先が、何も無いはずの虚空へと埋まるように視認できなくなった。

 

「うっわ……」

「ここから先は、視認できないようになってるみたいだね。うばばー厄介ごとの予感が「入ってみましょうか」即決!?」

 

 ずぷり、と既にリィンの腕は肩まで向こうに入っていた。

 

 怖いもの知らずというか、何というか……。

 

「少しだけ、少しだけよ」

「リィンって意外と好奇心旺盛だよね……」

 

 言いながら、まさかリィン一人に行かせるわけにもいかないのでシズクも手を伸ばす。

 

 ……特に嫌な感じはしない。

 覚悟を決めて、二人同時に結界の中へと足を踏み入れた!

 

「…………」

「……うば」

 

 二人の視界に広がったものは、不可思議なオブジェクト、木々、草花。

 ようするに、普通の遺跡エリアの風景と、あと一つ。

 

 地面に顔だけ埋まった、赤い服を着たアークスだった。

 

「むぐー! うぐぐ……」

「……あ、あの、大丈夫ですかー?」

「ぷはぁっ! あー、死ぬかと思った!」

 

 心配そうにリィンが声をかけた瞬間、赤い服のアークスは地面に埋まっていた顔をあげた。

 

 シズクより少し明るい、赤色の髪。

 顔面に大きな傷のある、精悍そうな青年。

 

「あ……」

「ん?」

 

 初対面だったが、シズクとリィンはその人を見たことがあった。

 

 何せアークスシップの有名人。

 いつもゲッテムハルトと喧嘩をしていたあの男。

 

 『ゼノ』。

 目下、行方不明中である筈のアークスである。

 

 




そういえば最近ようやくPSO2のアニメ見ました。
イツキが女の子だったらとても百合百合してていい作品だったと思うけど、男だったのが残念でした。

PSO2世界の地球に異世界転生した主人公が、エーテル適正を持っていたからPSO2内にダイブして、
モニカを腹パンしてアークス側に捕まったり、
クーナに「三位さんチィーッス」とか言ってファンにぼこられたり、
ルーサーにニコニコ動画のルーサー関連動画を見せたり、
初期服マトイの胸の部分の布地を捲ったり、
でも危なくなったらログアウトして逃げる小説誰か書いて。

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