本編とは今回は関係ないです。
いやマジで。
文字数も少ないし完全蛇足ですので読み飛ばし可です。
私、保登モカは、妹のココアから送られてきた文通に目を通していた。
そして、読み進めているうちに、その手紙に書かれていた二文字に驚いた。
《それでね、『八幡』くんがーーー、》
八幡くん?どうしてココアから八幡の名前が出てくるのだろうか?
そう思って手紙を読み進める。
《八幡くんって素直じゃないお兄ちゃんみたいなんだよね。それでね、ちょっと色々あって抱きついちゃった。すごーく恥ずかしかったんだけど、後から千夜ちゃんに撮ってもらった写真を見たら私も八幡くんも変な顔してたんだー!その時の写真も入れといたよ》
そんな文章を読んで、同封されていた写真を調べる。
すると、我が妹ココアが八幡君に抱きついている写真が一枚。
びりっ。
不意に写真からそんな音が聞こえる。
二つに裂けるとまではいっていないが、切れ込みが入っている。
まったく、ココアったら安物の紙を使ったわね?
そう、私の手に力が入ったなんてことは絶対にない。
えっと、ココアが八幡君に抱きついた?………ふふっ。私なんて下着を見られたしおんぶもされたしスクーターで後ろから抱きつかれてるし、胸に埋めたもん。だから気にしない。うん………キニシナイ。
ふと気になり、他に同封されている写真を一枚一枚見ていく。
すると、我が妹ココアが誰かに抱きついている写真や、戯れている写真が一番多く、その次に多かったのが、ぶっきらぼうな顔をしている八幡君に密着している女の子たちの写真だった。
八幡君に頭を撫でられているチノちゃんという子。
八幡くんと二人至近距離で並んで歩いているリゼちゃんという子。
八幡くんと二人して仲良くココアをなだめているシャロちゃんという子。
八幡くんと黒いうさぎと戯れている千夜ちゃんという子。
「………ふ、ふふっ。さ、さすが八幡くん。モテモテだねぇ」
自分の頬が引きつっているのを感じる。
だが、私はこれくらいでは動じない。
正妻の余裕というやつだ。
そんな感じで写真を見ていくと、最後の一枚が私の心を酷く動じさせた。
八幡くんを後ろから抱きしめるような形で青山さんが抱きついている写真。
八幡くんもまんざらでもないような顔をしている。
だが、何よりも腹がたつのは青山さんが完全にカメラ目線だということ。
それはつまり、私に喧嘩を売っているとそういう解釈をして構わないはずだ。
これだから彼女は。
思えばキャンプの時からかなりの頻度で八幡君に絡んでいた気がする。
八幡くんは私のものだというのに。
………障害が多いなぁ。
まぁ、潰せばいいんだけど。
私はその揺れる心情のままココアに返信の手紙をーー書こうとして、宛先を変更。
宛先は比企谷八幡。
キャンプ終了後に八幡くんから律儀に自分の住所と郵便番号を教えてくれたので、それを利用。
数十分後、八幡君に向けた手紙を書き終える。
『八幡くんへ。
あのキャンプから早数週間。
お変わりないですか?
やはり夏は暑さに気をつけないとね。
ま、八幡くんの事だから大丈夫だよね。
ゆかた姿の私の写真を同封したよ!
ルンバを踊りながら、撮ったやつだから
さぁ!踊ろう!みたいになっちゃった。
なかなかテンション高めでウザ
いかもしれないけど許して!
【二枚目へ】
さてさて、前書きが長くなっちゃった。
本題に入るね。
八月八日って八幡くんの誕生日だよね?
八幡くんって今好きな子とかいるのかなぁ?
お姉さん(相棒)的には気になるんだよなぁ。
八幡くんに好きな子とかいなかったら八日の日に花火大会がそっちであるみたいだからそれに合わせて私が八幡君のために行ってあげるね?
それでそのまま夜の街に消えるのもいいかも!
そうじゃなくても、八月八日には絶対行くから!
それとも
【三枚目へ】
すごーく八幡くんはかっこいいから
きになる子を誘ったりしたのかな?
だめだよ?八幡くんには私がいるでし
ょ?
【四枚目へ】
なんちゃって!びっくりした?
さてさて、今回のところはこれくらいにしておくよ!
また手紙書くからね!
P.S.
ココアからの文通で八幡くんの日常を見ました。
………女の子多くない?
ダメダヨ。ワタシガーー、【字が荒れていて読めない】』
「あはっ」
我ながらなかなかの出来である。
さて、これを八幡君へ遅れば私のことも意識してくれるよね?
† † †
「お兄ちゃーん。お兄ちゃん宛に手紙が届いてるよ!保登モカさんだって!」
我が最愛の妹小町から手紙を渡される。
小町は俺に手紙を渡すと、早く、早く!と目で急かしてくる。
俺宛の手紙など見てなにが面白いのか。
「だってお兄ちゃん宛に女の人から手紙だよ!?これはおもしろ………お兄ちゃんがいじめられてないか確認しないといけないでしょ!」
「いや、本音聞こえたんだけど……てか、モカからだし、そんな変な内容じゃないよう。……今の八幡的にポイント高いよな」
「小町的にはポイント超低いよ」
俺渾身のダジャレだったのだが、バッサリと切り捨てられてしまう。
辛口小町も可愛いけどね!
「てか早く開けてよお兄ちゃん!」
「わかったよ」
小町から手渡されたハサミで封を切ると中からは手紙と数枚の写真。
「……なんだこれ」
モカが浴衣姿で踊っている写真が数枚と、少し浴衣がはだけた花魁のような姿になった写真が数枚。
こんな写真を送りつけてモカはなにがしたいのか。
「……お、お兄ちゃん。この美人さん誰?」
「ココアの姉」
「なんでこんな美人さんとお兄ちゃんが!?……これは事件だよ大事件だよ!小町的にポイント高すぎるよ!」
確かにモカは美人の部類に入るのだろうが、モカも中々に残念系ヒロインなのだ。
普段は完璧なのに、節々でココアのようなオーラを出すのはやはり血筋。
「で、手紙は?」
「わーってるよ」
四枚の手紙だが、一枚一枚の文字数が少ないのは何か意味があるのだろうか?
モカに限ってそんな頭の良さそうなことをするとは思えないが、とりあえず目を通す。
なぜか、手紙から黒いオーラのようなものが見えるのはきっと気のせいだ。
もしくは、モカが念能力者なのだ。
具現化系かな?
ちなみに俺は特質系で常時目に凝をかけている。
オーラで目が腐るのかすげえな。
なんてバカなことを考えるている余裕も少しずつなくなる。
隣から手紙を覗き込んでいる小町も少し顔を青くしている。
「お、お兄ちゃん。この手紙の一枚目と三枚目」
「ああ」
俺が気づいてしまった、気づかなければ良かったことに小町も気づいてしまったようだ。
「「怖っ」」
図らずも同時に声を上げた俺と小町。
なにこの手紙!
てか、青山さんになんの恨みが!?
「お兄ちゃん、どこでこんな女の人ひっかけてきたの!モテないからってこんな人に手を出したらダメでしょ!小町的にポイント低いよ!」
「いや、前はこんなんじゃなかったんだけど」
「ていうかもう少しでこの人来ちゃうじゃん!……小町、八日は友達の家に泊まるから」
「待て小町!俺を置いてかないで!」
我が妹は危険を感じたらしく、早々に撤退を決め込んだ。
だが、俺の言いたいのはモカが来ることではなく。
「小町に誕生日を祝ってもらえないのは嫌だ!」
「うわぁ。シスコンだなぁ」
「なんとでも言え」
小町に祝ってもらえなければその日俺の枕はびしょびしょに濡れることになるだろう。
逆に祝われればもうプレゼントなんていらない。
妹さえいればいい!
そんなバカな事を考えていると、ピンポーンとインターホンが鳴る。
「はいはーい」
小町がすくっと立ち上がり玄関に向かう。
ガチャリと戸を開ける音と、小町が驚く声が聞こえる。
「小町?どしたー」
俺も誰が来たのか少し気になり、玄関に脚を運ぶ。
するとそこにはーー、
「あはっ、来ちゃった」
手紙の送り主、保登モカが立っていた。
やったね八幡、モカからのバースデーカードだよ(白目)
一応言っておくとモカの手紙の1、3枚目は縦読みですよ。
すっげぇクオリティ低いのが嫌になるっす。
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