ご注文は捻デレですか?   作:白乃兎

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※キャラ崩壊注意!
苦手な方はプラウザバックをお勧めいたします。

申し訳ありません。遅くなりました。
それと、次回投稿も定期テストのため遅れます。
ご了承ください。


なぜか比企谷八幡は争いの渦中にいる

ふと、比企谷八幡の目は覚める。

寝覚めは悪くない。むしろ最高ではないだろうか。

いつ自分は布団についたのだろうか?と少し思考してーー、

 

「お、俺はなんであんな恥ずかしいことをぉぉぉ!!!」

 

頭に枕をかぶり布団に丸くなって悶える。

 

(死にたい!死にたいよぉう!もう今日あの二人に会いたくないよぉ!)

 

バタバタゴロゴロ。布団の上で跳ねたり転がったりを繰り返す八幡。

 

ゴン。

 

転がった末に、壁にぶつかりようやく静かになる八幡。

 

「死にたい」

 

羞恥心から死にたくなった八幡。

このままでは八幡の死因は恥ずか死になってしまうことだろう。

 

コンコンと、そんな八幡のいるバンガローの戸を叩く人が。

 

「八幡くん?起きてる?」

 

羞恥心の元凶の一人モカの声だった。

 

「八幡さーん?」

 

もう一人の元凶である青山さんの声。

 

すでに八幡は包囲されているらしい。

うぐっ、と声を漏らす八幡だったが、すぐに冷静になるように努め、落ち着いたところで戸の外に向かって声をかける。

 

「ああ、入っていいぞ」

 

ガチャリと入ってきた二人は既に寝巻きではなく動きやすい服装へ着替えている。

もしや寝坊して呼び出しに?と八幡は考え、その後に起こるであろう平塚先生の鉄拳制裁を想像して身震いする。

 

「…………お、おはよう」

 

「おはようございます」

 

少し気まずそうなモカに比べてマイペースにニコニコしている青山さん。

 

「どうしたんだ?」

 

とりあえず、昨夜のことには触れないでオーラを出しつつも、ここに来た理由を尋ねる。

 

「昨日、八幡くん、外で寝ちゃったでしょ?だから、目覚ましとかセットしてないとダメだから私たちが起こしに来たんだ」

 

寝坊で八幡を叩き起こしに来たわけではなく、善意で八幡を起こしに来ただけのようだ。

 

「でも、心配なかったみたいですね」

 

「……昨日は、寝心地がよかったんで」

 

八幡が、八幡らしくない発言をしたことにより少し驚いた様子を見せる二人は、お互いに顔を見合わせると、すぐに八幡の方へ顔の向きを戻す。

 

すると、二人は八幡に向けてふわりと優しい笑みを向けた。

 

「少しは、意識を改めたのかな?」

 

「いい傾向ですー」

 

「まだ、自分に自信が持てたわけじゃない、けど、少しずつ、変わっていこうって思ったんだ」

 

「うんうん。お姉ちゃんは弟君が頑張ってるのが嬉しいよ!」

 

「いや、まだ姉になるの諦めてなかったのかよ」

 

モカの弟になる気はない!と突っぱねる八幡。

だが、モカはニヤリと悪者顔をしながらぼそりと呟く。

 

「昨日の夜私の胸の中でなぐさめられてたのは誰だっけなー?」

 

「!?」

 

「あー、でしたら私も八幡さんのお姉さんですね〜」

 

「ちょっ」

 

そこを言われると反論できない八幡。

確かに、八幡は二人の胸の中で涙を流した。

その羞恥心と、二人の豊満な胸の中にいたという二つの理由から八幡の顔は赤く染まる。

 

「い、いや違うぞ!昨日のあれは、姉というよりは母性に近いものだ!だから姉ではない!」

 

胸は母性の象徴。そんなところからも来ているこの八幡の言い訳。

苦し紛れにもほどがある。

 

「うーん。母性かー。青山さんは結婚の予定とかないんですか?」

 

図らずも八幡は話題転換に成功したようだ。

だが、今度は別の火種を放っているとは知る由もなく。

 

「……結婚ですかー。あ、アハハー。……小説一筋だったので、そのような事は」

 

目に見えて意気消沈する青山さん。

その様子を見てアタフタしながらも地雷を踏み抜いたモカは青山さんを慰めようと言葉をかけるが、それも効果はない様子。

 

「平塚先生といい、早く誰か貰ってあげてっ。じゃないと俺が貰っちゃうよ!」

 

普段なら平塚先生に心の中で言っていること。

だが、今回ばかりは不思議と口に出してしまった八幡。

それは昨夜のことが関係しているのかは定かではないが、八幡にとっては少し、大胆なことを言ってしまった。

 

「も、貰ってくれるんですか?だったらお願いしたいなー、なんて」

 

「だ、ダメですよ!青山さん!ほ、ほら、八幡くんはまだ学生だし、捻くれてるし!目怖いし!」

 

「おい、事実だけど傷ついちゃうだろ。そもそも青山さんは俺の理想の女性像とはーー」

 

八幡の結婚したい女性の条件。

・八幡を養ってくれる→映画化も決まった大人気作家。

・八幡と相性がいい→悪くはない。むしろいい方。

・八幡の性格を許容してくれる→昨夜のことからもわかるように許容してくれる。

 

「あ、あれ?」

 

少しマイペースすぎる部分もあるが、殆どが八幡の理想の女性像と一致。

 

「八幡さんの理想と、どうなんですか?」

 

かなり興味深々に食いついてくる青山さん。

モカは、なんとか青山さんを食い止めようとするが、普段見せないような突破力で青山さんはモカをおしのける、

 

「……ほぼ俺の理想です」

 

「まぁ、嬉しいです。では、式は何時頃にーー」

 

もうそんな段階まで話が飛躍している青山さん。

その様子から自分に未だに恋人がいないことに危機感を感じているらしい。

 

「あ、青山さん!あなたは勘違いしています!」

 

ドン!とそんな効果音が着きそうな勢いでモカはそう言い放った。

 

「え?」

 

頭にハテナマークを浮かべる青山さん。

モカはなぜ自分がこんな必死に青山さんと八幡がくっつくのを阻止しようとしているのか自分で疑問に思いながらも、続ける。

 

「青山さん、あなたは結婚を分かってない!結婚っていうのは好き合っている二人のゴール地点!つまり、八幡くんと、青山さんはそれに当てはまらない!なぜなら一方は理想の女性だから、もう一方は婚期を逃さないために。これのどこに愛があるんですかー!」

 

「いや、色々と妥協した夫婦だって世の中にはーー」

 

「シャラップ!」

 

八幡がモカの言い分に抗議しようとするも即座に口を閉じる結果になった。

 

「でも、私は八幡さんのこと、好きですよ?」

 

「!?」

 

八幡は青山さんの言った言葉を一瞬理解できずにいたが、すぐに理解したのか顔をまたもや赤くする。

 

「ふっふっふー、それは愛じゃなく、好意!ゆえに、結婚などと口にするのもおこがましいのです!」

 

青山さんにビシッと、指を向け、言い張るモカ。

だが、ただ一方的に言われるだけの青山さんではない。

 

「モカさんの言いたいことはわかりました。でも、私と八幡さんの関係が、このボランティアのたった一日で全貌を晒したとお思いですか?」

 

「!?ま、まさか」

 

「そう、私たちの関係は、八幡さんからの強い要望でなるべく世間に見せないようにしていた。そうは考えませんでしたか?」

 

「つ、つまり八幡くんと青山さんはすでに恋仲に!?」

 

「まぁ、恋仲ではありませんけど」

 

かなりそれっぽいことを言っておきながらあっさりと八幡との恋仲を否定。

それにモカはほっとした様子を見せる。

 

そこをすかさず攻めるのが青山翠。

その姿にいつものおっとりした青山ブルーマウンテンの姿は見えない。

 

「あらー?どうしてモカさんは、そんな私と八幡さんの関係について口を出すんですか?」

 

「そ、それはっ」

 

薄々気付き始めている、モカ。

自分が八幡に感じている感情に。

 

「モカさんこそ、いい年なんですからそろそろ彼氏の一人や二人」

 

「いや、二人はダメだろ」

 

「八幡さん、黙りましょう」

 

「……はい」

 

あの優しかった青山さんはどこへ消えてしまったのか、本気で八幡はそう思ってしまった。

 

「ぐ、で、でも私はーー」

 

「彼氏、いたことあります?」

 

「……ないです」

 

姉として弟妹のために奔走していたモカは色恋沙汰にうつつを抜かしている暇などなかったのだ。

 

「そんな人が、人の色恋沙汰に口を出すんですか?」

 

ビュオォォォー。

 

八幡は青山さんの周りで吹雪が吹き荒れているような錯覚を覚える。

そう、それはまさしく、『氷の女王』と呼ぶにふさわしい様子。

 

「うっ。……彼氏がいればいいんですね?なら、八幡くん。私の彼氏になって」

 

「!?」

 

八幡は思った。

朝からどうしてこんな修羅場になった?と。

先ほどからなんでこんな女同士の口論に巻き込まれなければならないのか、と。

 

「そ、それは今モカさんが自分で言っていたように、愛がないから認められないのでは?」

 

「私が言ったのは結婚について。恋人同士については言及していません」

 

バチバチバチと二人は火花を散らし合う。

 

八幡は既に涙目であった。

何が悲しくて、昨夜抱きしめられながら慰められた女性に泣かされなければならないのか。

 

「モカさんは、八幡さんの理想の女性像と一致していますか?」

 

「え?」

 

黙れと言われたり問いかけられたり、どうにも釈然としない八幡だが、今の青山さんの冷たい目で見られながら何かを言われると、その通りにしなければならないとなぜか思ってしまうから不思議である。

 

モカの八幡に対する接し方は青山さんとほぼ同じ。

なら、決定打は八幡を養えるかどうか。

 

そこを考えてしまうとーー

 

「そう言われると、青山さんの方が俺の理想には近いっていうか青山さんがほぼ俺の理想だったり……」

 

今日の八幡はいったいどうしてしまったというのか。

昨夜の出来事があったとはいえ、いささか正直過ぎではないだろうか?これでは捻デレではなくなってしまう。

 

「とのことですが?少なくとも私の方が八幡さんからの好感度は高いとみていいのでは?」

 

「ぐぬぬ」

 

まだこの戦いは激化するのかと八幡が現実逃避を始めかけたその時。

 

ガチャリと部屋の戸が開けられた。

 

「お前ら、比企谷を起こしてくると言ってどれだけ経ったと思ってる。そろそろ準備の時間だ」

 

八幡にとって救世主が現れた。

 

その後、冷静になった青山さんとモカは自分たちが何を言っていたのかを理性で理解し、互いに謝ったり八幡に頭を下げたりを繰り返し、二人の黒歴史となったのだった。

 

 

 

 




キャラ崩壊するのは八幡だと思った?残念青山さんでした!
それと、2日目3日目は駆け足と言ったな、それは嘘だ!

……すいません、駆け足にしようと思ったんですけど、ちょっとモカさんと青山さんとの絡みを一回しっかり書きたくて。
次こそは!(フラグ)

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