ご注文は捻デレですか?   作:白乃兎

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今回のサブタイトルは俺ガイル風です。
原作一巻を18話にしてようやく書き終えたので調子に乗ってオリジナル。

さあ、お手本がない分拙いストーリーをとくとご覧あれ!




だから比企谷八幡は逃げられない

放課後、八幡は平塚先生に職員室に呼び出され、職員室を、訪れた。

 

「で?どうだ、比企谷」

 

「どうだってなにがっすか?」

 

「最近の君は、目はまだ腐っているが、どんよりとしたオーラはだいぶ薄れてきた。これも、ラビットハウスで奉仕活動をしているからかな?」

 

つまり、八幡をラビットハウスに送った人間として、近況報告を聞きたいということなのだろう。

 

「まあ、環境は悪くないっす」

 

「どうだ?友達とかはできたか?」

 

「……まぁ、五人?ですかね」

 

八幡は少し恥ずかしそうに、そう口にした。

その様子に平塚先生は、「おぉ」と少し驚いた様子を見せる。

 

「変わったな君は。……ちなみに、その五人に女子は何人いるんだ?」

 

「五人です」

 

「そ、そそ、そうか。で、でも、恋仲には発展していないだろう?」

 

かなり動揺しながら平塚先生は尋ねる。

それはアラサーになっても未だに恋人がいないからであろう。

 

「先生、まだ独り身なんすか。心配しなくてもいなーー、ぐっ」

 

八幡が言い切る前に、八幡の鳩尾に拳が突き刺さる。

ボクサーも目を見張るようなパンチに、八幡はもう平塚先生の前でこのような話題はしないと心に決める。

 

「まあ、それはともかくとして、携帯をだしたまえ。メールアドレスの交換というやつだ」

 

「え、嫌です」

 

「あ?」

 

「喜んで」

 

メアドの交換を速攻で断った八幡だが、ドスの効いた声と恐ろしい目つきで睨まれてしまっては断れないだろう。

 

「はい」

 

八幡は平塚先生にスマホをポンと投げ渡す。

 

「随分と簡単に渡すんだな」

 

「見られてまずいものなんてありませんから」

 

「ふっ、君らしいーー!?」

 

「どうしました?」

 

平塚先生は唐突に八幡のスマホの画面を見て硬直した。

不思議に思った八幡が、自らのスマホの画面を覗き込む。

 

「げっ」

 

「ひ、ひ、比企谷、これは、ど、どういうことだ?」

 

平塚先生が指し示す「コレ」とは、八幡のスマホの待ち受け画面。

すなわち、以前シャロ、千夜と甘兎庵の前で撮影した写真だった。

 

この写真において八幡と二人の距離はとても近い。

八幡を真ん中に置き、両脇にシャロと千夜。

その絵面はまるで恋人同士のように距離を詰めているのだ。

 

手こそ繋いでいないが、見る人が見れば両手に花状態のハーレム野郎が写っているのだ。

 

千夜に待受をこれにされて以来、別に変える必要もないと考えていたのが仇になった。

 

「えー、えーとですね?」

 

目の光が消えた平塚先生は、無言でメアドを交換。

すると無言で八幡にスマホを返す。

 

「バッカヤローー!!!」

 

平塚先生は泣きながら職員室を飛び出していった。

 

「ほんと、誰かもらってやれよ」

 

八幡は平塚先生の消えた職員室でそう呟いたのだった。

 

 

 

 

 

 

GW(ゴールデンウィーク)初日の朝。

ラビットハウスでの奉仕活動も休みだとタカヒロさんに告げられた時には八幡は狂喜乱舞して舞い上がった。

なので、GWは八幡はだら寝とゲーム、読書に勤しもうと前日の夜に決めていたのだが、朝七時、怒涛のメールラッシュによって目が覚めた。

 

「怖えよ、何?呪いのメール?」

 

着信履歴を見てみると、一つの名前だけが載っている。

 

差出人:平塚静

差出人:平塚静

差出人:平塚静

差出人:平塚静

差出人:平塚静

 

何これ。

超怖いんですけど!?

 

これが八幡の率直な感想だった。

先日平塚先生とメールアドレスを交換したのは間違いだったかと考えてしまうほどに。

 

ゲシュタルト崩壊を起こしそうなほど平塚先生の名前が載っている。

その中で、最新のメールを開くと、更に怖かった。

 

差出人:平塚静

題名「平塚静です。メール確認したられ んらくを下さい」

本文

「比企谷くん、GW中半分は奉仕活動も休みだという話をラビットハウスさんから連絡をいただきました。

なので、急遽GW仕様の奉仕を計画しています。

折り返し連絡を下さ い。

もし かして、まだ寝ていますか(笑)

カノジョトデートチュウ、ナンテナイデスヨネ?

先ほどからメールや電話をしているの ですが返信がないの で心配です。

ねぇ、本当は見ているんじゃ ないですか?

ねぇ、見てるんでしょ?

 

 

でんわ でろ」

 

スッ、と八幡はメールを閉じる。

すると未読のメールも一斉に削除。

ゴミ箱からも削除。

そしてスマホの電源をOFFに。

 

「よし、何もなかった。二度寝しよう」

 

布団を体にかけて現実逃避を決行する。

だが、それは第三者によって防がれてしまう。

 

「お兄ちゃん!」

 

小町が当然バン!と勢いよく戸を開け八幡の身体にかかっている布団を引っぺがす。

 

「小町とお出かけしよう!」

 

「嫌だ」

 

「うわぁー即答。小町的にポイント低いよ」

 

やれやれと小町はぶれない八幡に呆れながらも話を続ける。

 

「お兄ちゃんは今呪いのメールを見てしまったんだ。だから寝る」

 

「バカなこと言ってないで早く着替えて!荷物は小町がまとめて置いてあるから!」

 

荷物?と首を傾げた八幡だが、強引に小町に起こされたので眠気もなく、渋々と着替える八幡。

小町はその間後ろを向いているが、部屋からは出ない。

これは八幡を逃がさないための措置だろう。

 

「で?どこにーー」

 

「さあ、お兄ちゃん、これ持って!」

 

小町が部屋の外に置いてあった、旅行などにでも使えそうな大きめなカバンを八幡に渡す。

 

「ほらほら、早く」

 

ぐいぐいと、八幡は玄関まで追いやられる。

されるがままに八幡は追いやられ、ついに玄関の外へ。

 

「さあ、いってらっしゃーい」

 

すると小町はドアの前で立ち止まり八幡に手を振る。

八幡は何のことだと、問い詰めようとしたがそれはかなわなかった。

 

ガシッと八幡の肩を掴む存在がいたからである。

 

「ひ、平塚先生?」

 

「さあ、行くぞ比企谷!」

 

「じゃあねお兄ちゃん!小町は行かないけど、お土産よろしくねー」

 

あっけらかんとそう口にする小町。

八幡は先ほど「小町とお出かけ」という単語を耳にしたのだが、それは嘘だったと、八幡を陥れるための罠だったとそういうことらしい。

 

妹の頼みを断ることのできない八幡を陥れるための巧妙な罠。

 

八幡は平塚先生により家の前に停めてあった車の助手席へ引きずり込み、なすすべもなく、連れ出されるのだった。

 

 

 

走行する車の中、もうすでに諦めた八幡が助手席に座って平塚先生に話しかける。

 

「で?なんで小町のことを知ってるんですか?」

 

「ああ、タカヒロさんから、その娘さんに君の妹のメールアドレスを聞いて、協力して貰ったんだ。君がラビットハウスにいないタイミングを見計らって、数日前にラビットハウスで顔合わせも済んでいる。GW中、友達を家に泊まらせたかったらしい」

 

「ってことは、コレ、泊まりなんすか?」

 

驚愕の事実である。

八幡は日帰りでさっさと帰ることを考えていたのに。

 

つまり、タカヒロ→チノ→小町のルートで平塚先生は八幡を陥れ、あろうことか泊まりで奉仕活動をしなければならないらしい。

 

一通り自分が嵌められた流れを理解する八幡。

ふと窓の外を覗くと、木組みの家と石畳の街からは少しずつ離れて行っている。

 

「どこに行くんすか?」

 

「ついてからのお楽しみ、というやつだ。途中で私の知り合いも拾っていく」

 

「元ぼっちで現コミュ症にそれはきついですよ」

 

「問題ないさ。そういうことは全く気にしない奴だからな」

 

それならば、少しずつコミュニケーション能力が向上しつつある自分ならばいけるか?とまだ見ぬ平塚先生の知り合いとやらの対策を考えていた八幡。

 

考えていたのだがーー。

 

 

 

「静さん、お久しぶりです〜」

 

「ああ、久しぶりだな翠」

 

「青山さんの下の名前、翠って言うんですね」

 

平塚先生の知り合いは八幡の知り合いである青山ブルーマウンテンだった。

 

「青山さんではなく、翠さんでもいいんですよ?私だけ八幡さん、とお呼びするのもあれですし」

 

「やめときます」

 

赤の他人どころか、普通に知り合いが乗ってきたときには八幡も少し驚いた。

平塚先生の知り合いが八幡にとっては赤の他人だった場合微妙な空気が流れて場を悪くするのは確実だったので、八幡としては助かった。

 

むしろ、こんな仲よさげに互いを下の名前で呼ばない?などとリア充カップルのような事を繰り広げているせいで、平塚先生の運転が荒く、オーラが黒くなっている方が問題だった。

 

「私は比企谷が翠と知り合いだということに驚いてるんだが」

 

片手でハンドルを握りながら、窓を開けタバコを吸う姿がとても様になる平塚先生が、八幡と青山さんに尋ねる。

 

「私、まだラビットハウスに通ってるんです」

 

「そういうことか」

 

「あの時の静さんは男らしかったです」

 

青山さんの言葉からラビットハウスのカウンターテーブルで、ブラックコーヒーを頼む平塚先生の姿が目に浮かんでしまった八幡。

 

「男より男らしいから平塚先生はモテないんじゃ?」

 

キキィィーー。

 

八幡がそんなことを言うものだから平塚先生は運転中なのにもかかわらず激しく動揺。

蛇行運転をしてしまうが、幸いなことに前後左右とも車はいない。

 

「ひ、比企谷、どういうことだ?」

 

自分がなぜモテないかの原因が判明しそうなので激しく食いつく平塚先生。

食いつきすぎて前を向いていないので危ない。

 

「わかります。静さんは昔から男よりも男らしいので、女子にとてもモテていましたから」

 

「ち、ちなみに、翠は今、か、彼氏とかいるのか?」

 

ものすごく震えた声で平塚先生は青山さんにそう尋ねた。

それはいてほしくないという願望と後輩にすら彼氏がいるのに自分がいないという恐怖感からだろう。

 

「私は未だに小説一筋ですから」

 

「青山さん、GWに平塚先生のお供なんかして、原稿は大丈夫なんすか?」

 

「…………あ、あははは〜」

 

小説のネタが思いつかず、こちらに逃げてきた人間の反応が青山さんからは帰ってきた。

 

「あまり凛を困らせるなよ」

 

「あ、あはは〜」

 

ちなみに、凛とは、青山さんの担当のことであり、真手凛というのが彼女の名前だが、八幡は何の話かもわからないので、窓の外を眺めることにした。

 

景色はだんだんと街から自然へと移り変わっている。

この先には特に何があるわけでもないと八幡は記憶しているが、平塚先生が言うには泊まりで奉仕活動できる場所があるはずである。

 

八幡は二人の会話を小耳に挟みながらも、窓の外を延々眺め続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

数時間に及ぶ距離を走った末についたのは大自然と言っても差し支えのないほどの山と川の世界だった。

 

「比企谷、着いたぞ」

 

目に映るのは幾つかのバンガロー。

寝泊まりはここでするのだろうと八幡はあたりをつけておくが、男子は自分一人。

久しぶりに完全ぼっち空間ができることを少し楽しみに思いながらも、八幡は下車した。

 

「すごいですね。これなら小説のイメージも浮かぶかもしれません」

 

静かな大自然の中にガヤガヤと騒がしい一団が居た。

小中学生レベルの子供達が引率の教師?の声の元、整列をしている。

 

「比企谷、今回の奉仕活動は、あのちびっこ軍団を裏から支える事。つまりは教師側のサポートだ。ちなみに、あれは幾つかの小中学校合同でキャンプ参加希望者を集めているからまとまりがなくて大変だぞ」

 

「俺にはハードル高くないっすか?」

 

「まあまあ、私も手伝いますし」

 

「君と翠の他にもあと一人こちら側がーー、おっ、いたいた」

 

平塚先生が少し離れたところにいる女性に手を振る。

彼女がもう一人の引率支援。

ていうかやっぱり女の人かよ!と八幡は思ってしまったりする。

 

少し赤みがかかった長い茶髪。

幼さを少し残しながらも整った美人さんといった顔立ち。

ボン!と形容するにふさわしい胸。

スラッと伸びる細く長い足。

 

超絶美人のお姉さん系がそこにはいた。

 

「ふむふむ、君が静ちゃんの言う問題児だね?」

 

八幡は引率側なのに、どうして問題児側として見られているのかという視線を平塚先生にやるが、フイっと目をそらされてしまった。

 

「結構頼りっきりになると思いますが、宜しくお願いします」

 

最低限の礼儀は見せておく八幡にニコッと微笑み口を開く。

 

「うん!お姉ちゃんに任せなさいっ!」

 

ピカァー!っと彼女の背後が圧倒的姉オーラにより光った気がした。

 

ああ、学校でモテる、俺にとっては高嶺の花のような存在。

そんな彼女と数日間やっていくとなると自分のことで先が思いやられる八幡。

 

そして、八幡は何となくではあるが今の台詞に聞き覚えがあるような気がした。

 

「あっ、八幡の兄貴ー!」

 

「ま、マヤちゃん!並ばなきゃだめだよー!」

 

テンションが下がっているからか、幻聴まで聞こえてくる始末。

そう、これは幻聴であり、幻覚。

 

八幡には自分に駆け寄ってくる中学生二人なんて見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サブキャラ大集合!
あっ、あの最後のお姉さんキャラは誰なんだー(棒)

オリジナルは何話か続くので、原作を進めろ!なんて言わないでくれると嬉しいな☆

あと、次回投稿か次の次の投稿は、定期テスト等が色々重なり、かなーり遅れると思います。
申し訳ありませんm(_ _)m

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