ご注文は捻デレですか?   作:白乃兎

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遅れてしまいすいません。
宿題とか宿題とか、部活に追われて手がつけられない状態でした。
春休み二週間ないのに宿題の量半端なさすぎだろォ。

今回は少し長め。
宿題の合間に進めたものなのでクオリティは下がってしまったかもですが、ご了承ください。


第十三羽

チノの部屋に現在ココア、チノ、リゼ、八幡が集まっており、シャロと千夜は風呂に入っている。

 

千夜達が風呂に入る前、お約束のように千夜が八幡に「覗かないでね?」とニコニコしながら言ったのだが、八幡はいたって冷静に「犯罪者にはなりたくないんでな」と返した。

 

そんなやり取りのあとチノの部屋に入れられたのだが、そこには、中学生の制服を着たココアがいた。

 

「見て見て八幡くん、似合う?」

 

チノの中学の制服がびっくりするほど似合っているココア。

 

「あれだな、精神年齢が中学生レベルだから似合ってんだな」

 

「酷い!私は高校生だよ!」

 

「一理ある」

 

「リゼちゃんまで!?」

 

八幡のココア精神年齢中学生発言に同意するリゼ。

その横のチノも声には出していないもののコクコクと頷いている。

 

「もー、八幡くんはどうしていつも私にだけそんなー」

 

ブーブーの文句を言うココア。

八幡がココアを普段からぞんざいに扱うことに腹を立てているようだ。

八幡を上目遣いで見ながらぷくっと頬を膨らませる事で怒ってますアピール。

 

最初は八幡もこれだけで多少心が揺らいでいたのだが、最近の八幡は妙に女子に関わる機会が多い。

むしろ男友達ゼロで女友達しかいないまであるのだ。

 

そんな環境で少しずつ鍛えられている八幡は動じずに返す。

 

「はいはい、あざといあざとい」

 

「お前、本当に最近ココアの扱い雑じゃないか?」

 

「ココアさんですから仕方ないといえばそうなんですけどね」

 

ココアの扱いが雑なことにはみんな気がついているようだが気にはしていない様子。

 

「うわーん、みんながいじめるー!こうなったら、リゼちゃんにこのチノちゃんの制服を来てもらうしかないね!」

 

「いや、どんな起承転結があってそうなった!?」

 

いきなり矛先を向けられたリゼはツッコミをココアに入れるが、聞く耳持たないココアは、リゼの服を脱がしにかかる。

 

「なっ」

 

「は、八幡!部屋の外に出てろ!の、覗いたら撃つからな!」

 

「わ、分かった」

 

服を脱がされ始めたことに焦ったリゼは咄嗟の判断で八幡を追い出すことに成功。

あられもない姿を八幡に見られることを防ぐ。

 

一方八幡は、少し顔を赤くしたが、すぐに頭を振って切り替える。

今からこんなことでは今晩危ないかもしれない。

八幡とて男子高校生、こんな女だらけの家に止まるとなれば理性がガリガリ削られてしまう。

 

それでなくとも今ラビットハウスにいる女子陣はグイグイ来るのだ。

なるべくATフィールドを張り対抗しようと心に決める八幡だったが、敵は部屋の中だけではなく、外にもいたようで。

 

「あら?どうして八幡くんは部屋の外に?」

 

「みんなを怒らせるようなことでもしたの?」

 

千夜と、シャロである。

だが、その服装はチノの寝巻き。

 

可愛らしくある程度のフリルがあしらってある。

千夜もよく似合っているのだが、シャロはさらにすごい。

 

「お嬢様だな」

 

「でしょ?八幡くんもそう思うわよね」

 

「チノちゃんのパジャマが可愛いからよ」

 

「元がいいからなんでも似合うのよね。ね?八幡くんもそう思うでしょう?」

 

ここで八幡に話を振るあたり千夜らしい。

だが、ATフィールドをつい先ほど張ったばかり。

ここは、抵抗の意思を見せる。

 

「なんで毎回こういう時に俺に話を振るんだよ」

 

「男の子の感想は大事でしょ?それとも八幡くんはシャロちゃんが可愛くないとでもいうの?」

 

「し、正直に言っていいのよ。似合ってないって」

 

パリーンと、ATフィールドが割れる音がした。

卑怯だと、八幡は思った。

 

千夜の質問の仕方にシャロの言葉。

これは答えざるを得ない状況ではないか。

 

「に、似合ってなくないから安心しろ」

 

「そ、そう。あ、ありがと」

 

八幡もシャロも眼を合わせようとしない。

それをふふふっと笑う千夜。

 

「八幡くん、まだ部屋に入れないのかしら?」

 

「知らん、万が一があったら嫌だから俺からは入らんぞ」

 

「じゃあ、確認してあげるわね」

 

ガチャリと、千夜だけが中を覗き込む。

すると、すぐに閉めて、満面の笑みで八幡へ告げる。

 

「入ってokよ!」

 

「その笑顔が怖いんだが」

 

「何か企んでるの?」

 

いいからいいからと、八幡をドア前まで移動させる。

流石に着替え中ということはないだろう。

流石の千夜もその辺はわきまえているはずだ。

 

そう信じて八幡は戸を開ける。

 

「は、八幡?」

 

リゼが真っ先に眼に入る。

そして釘付けに。

 

リゼは既にココアによってチノの中学の制服に着替え終わっていた。

非常に似合っているし、リゼは女子にしては身長が高く、足も長いので、チノの制服ではスカート丈が少し短く足の大部分を晒している。

 

「わ、悪くないんじゃねぇか?」

 

「八幡くんの反応が私の時と全然違う!?」

 

「リゼさんが着て八幡さんにほめられるとなぜだか敗北感がします」

 

「ふふふっ」

 

「リゼ先輩、似合ってます!」

 

「着替える!もう着替えるから八幡はでていけ!」

 

またもや部屋の外に追い出される八幡。

 

しばらくすると、部屋の中からココアとチノが出てくる。

八幡は、もう一人部屋へと行きたいのだが、チノが中々部屋へと案内してくれないのだ。

 

「八幡さん、リゼさんの着替えはもう終わりました。今度は私たちがお風呂へ入ってきます」

 

「八幡くん」

 

「……なんだ?」

 

「覗かないでーー」

 

バタン。

 

途中まで聞いて、何を言おうとしたのか八幡は察した。

そして、最後まで聞くことなく、部屋へと戻った。

 

 

 

その後、チノとココアが風呂から上がるとリゼ、八幡の順で風呂に入った。

その際風呂が入浴剤でココア風呂になっていたのだが、八幡は気にする余裕はなかった。

 

そしてチノの部屋。

八幡は未だに寝室へと案内されない。

 

女子五人と同室で寝るなど八幡はなんとしても避けたいところ。

早めにチノから部屋を聞き出さなくてはならない。

 

なのだがーー、

 

「みんなのとっておきの怪談を聞かせて?」

 

そんな千夜の言葉をきっかけにトークがものすごく盛り上がっているのだ。

その話の流れをぶった切るのは憚られる。

 

そして、八幡そっちのけで、女子トークはコロコロと話が変わっていく。

 

「みんな、気になる男の子とかいないのかしら?」

 

そして、話を振るのはやはり千夜。

こんな女子の恋話なんてされると、八幡は居心地が悪くて仕方がない。

 

できることならさっさと逃走したいところだった。

 

「うーん、私の高校、シャロもだけど女子高だからなぁ」

 

「ですね、でも、リゼ先輩、モテるじゃないですか。女子にですけど」

 

「敬われるのは嬉しいんだけど、一女子高生としてはなぁ」

 

「私も、身近な男子って八幡だけなのよねぇ。ココアと千夜はどうなの?」

 

お嬢様学校組は、特に恋愛ごとはない様子。

そして、一般JK組へ話が振られる。

 

「うーん、男の子とはあんまり私は喋らないわ。それこそ八幡くんくらいね。ココアちゃんは?」

 

「私なんて身近な八幡くんにすらぞんざいに扱われてるんだよ?」

 

それなのに学校でなんて、とテンションが下がり気味なココア。

先ほど八幡に雑に扱われたのが堪えた様子。

 

だが、八幡はステルスヒッキーを全力行使で話の輪には入らない。

 

「チノちゃんはどう?まあ、お姉ちゃんを差し置いて、好きな人なんてーー」

 

「…………え、えと、その、気になる人なら」

 

頬を赤らめてそう口にしたチノを見て八幡は「天使」と口にしてしまったが、幸いなことに誰にも気づかれてはいない様子。

 

「だ、誰!?お姉ちゃんはそんな、許さないよ!?」

 

「姉じゃないです」

 

チノは先ほどからチラチラと八幡の方を見ている。

その視線にいち早く気が付いたのは千夜とシャロ。

 

千夜は八幡をからかうために、シャロはそれを阻止するために迅速に動いた。

 

「ねえ、八幡くん、一人で寂しいでしょう?輪に入りましょう?」

 

「八幡、逃げなさい、千夜のいつものパターンよ!」

 

輪に引き込もうとする千夜を羽交い締めで止める。

だが、敵は他にもいたのだ。

 

八幡が部屋から出ようとするのをココアが阻止。

 

「さっきまで扱いが雑だったから、そのお返しだよ!」

 

リゼは諦めろといった表情。

唯一ついていけていないチノはオロオロとしている。

 

「…わ、わかったよ」

 

八幡を加えた六人で輪になりトーク再開。

 

「で?この前のチノちゃんへのフルールでの告白はなんだったの?」

 

いきなりぶち込んでくる千夜。

だが、それには意外にも冷静に対応する八幡。

 

「チノの妹オーラが凄かったんでな」

 

「チノちゃんは渡さないよ!」

 

「ココアのじゃないだろ」

 

「チノちゃんも大変ね」

 

「あらあら、モテモテねチノちゃん」

 

チノは八幡の言葉を聞いて少し落胆したような様子を見せたか、そこまで大げさだったわけではなく、誰にも気づかれることはなかった。

 

「八幡さんにとって、私は妹なんですか?」

 

「妹分って感じだな」

 

「………今はそれで構いません」

 

「?」

 

妙なところで鈍感スキルを発動させる八幡はチノの真意に気がつかない。

 

そして、その後も中々八幡は寝室を教えてもらえず、五人が話し疲れて寝た後、タカヒロに部屋へと案内されたのだった。

 

 

 

 

 

 

深夜、ラビットハウス。

あれだけ騒がしかったラビットハウスには人の声はしなくなり、聞こえるのは雷と豪雨の音だけ。

 

その中、新たに床が軋む音が増えた。

 

「う〜、寝る前にトイレに行っておけばよかったなぁ。みんな寝てるし、雷は鳴ってるし、暗いし。……こ、怖くなんてないんだから!」

 

ココアは、尿意によって目を覚まし、暗闇の中一人トイレへと向かっていた。

 

ピカッ……ゴロゴロ。

 

雷が鳴るたびにココアは体をビクッと震わせる。

すでにココアの目には涙がたまっている。

 

「や、やっぱり止めよう。だ、大丈夫。朝までならきっとーー」

 

ガタン!

 

「ひうっ」

 

暴風により窓が叩かれ大きな音を立てる。

それにびっくりしてその場にへたり込んでしまうココア。

 

「う、うぅ。だ、誰かぁ」

 

ココアの涙腺は決壊寸前である。

 

へたり込んでいるココアに一つの人影が近く。

 

ピカッ。

 

直後、雷が光る。

その光で人影の存在に気がついたココアはさらに体を震わせる。

 

「ひっ、だ、誰?」

 

「ひっ、とか言うなよ。昔ゾンビとかって呼ばれてたトラウマが蘇っただろ」

ココアの泣きそうな声に八幡は少し動揺しながらも答える。

すると、ココアの涙腺は決壊。

 

「は、八幡くんっ!!」

 

ダキッ。

 

ココアは即座に立ち上がると八幡の胸めがけて飛び込んだ。

 

(えぇぇぇぇ!!??ナニコレナニコレナニコレ、柔らかい柔らかい、いい匂いーーー!!??)

 

内心物凄く動揺した八幡だったが、ココアのすすり泣きを聞き正気に戻った。

 

「で?どうした」

 

「ぐすっ、……そ、その」

 

羞恥心から頬を赤らめ、八幡から顔を背け、一言。

 

「と、トイレに……」

 

「ちょうど俺も行きたかったところだ」

 

それだけ言うと八幡はココアの手を引き、トイレへと向かう。

 

(昔、小町ともこんなことしたなぁ)

 

お兄ちゃんスキルを発揮する八幡。

ココアは就寝前、扱いが雑だったことなどすっかり忘れ、今はこの大きな手を握り、歩を進めた。

 

 

 

「じゃあ、俺はこっちだから」

 

トイレを済ませ、部屋に戻ろうとする八幡だったが、寝巻きの裾を離してくれないココア。

 

「おい、部屋に戻るだけなら一人でもーー」

 

「……みんな、寝てるから、その、一人怖くて」

 

「いや、俺にどうしろと」

 

「……一緒に寝よ?」

 

あざとい。これは誰が見てもそう言っただろう。

だが、八幡は息を飲んだ。

 

昼間のように、からかわれたことで浮かべた涙ではなく、純粋に恐怖から出る涙と、懇願する目。

 

男ならば、保護欲をそそられること間違いなし。

少なくとも、八幡は胸をATフィールドごと貫かれた。

 

「いや、でも」

 

「私が寝るまで。お願い」

 

「………わかったよ」

 

だが、ココアが向かったのは他四人が眠る部屋ではなく、八幡の寝室。

八幡は、ココアの涙を見てしまったために断り切れなかった。

 

 

 

そして翌日の朝、八幡の寝室から、八幡だけではなく、ココアが出てきたことで騒ぎが起きるのだが、それはまた別の話だろう。

 

 

 




ココアちゃんマジ天使(挨拶)

お泊まり会&ココア回。
お泊りの描写が薄くてすいません。
ココアの可愛さに免じて許して☆

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