今回もバトルはありませんがご了承くださいませ。
凛とした、道場の清閑な空気。
その中で、膝に両手を添え、正座のまま彫像のように佇む。暫しの間の後、深く一礼をしてから目の前の床に置かれた日本刀を手に取った。それを袴の帯へ挿し、一度立ち上がる。膝立ちでしゃがみ直し、左手は刀の鯉口を握る。
そのままの姿勢で、一呼吸。
「――ッ!」
息を吐き出すと同時に右足で体を立たせつつ、上半身全体を使った動作で上段へと抜刀した。連動し、刀の柄を両手で握り込んで斬り下ろす。
「やァッ!!」
放った裂帛の声が、道場に木霊した。
右足を後ろへ伸ばし、腰を落とす。鞘を引き出して、腰の位置で真横に刀を静かに納めていった。
再び膝立ちにしゃがみ、呼吸が整ったところで真横に抜刀する。最小限の動作で抜いた刀を声と共に振り降ろし、腰は落とさずに刀を正眼に構える。次に握ったまま刀身の反りを右肩へ添え、柄頭を正面に向ける構えを取った。
摺り足で進み、刀を上段から振り下ろす。再び反りを右肩に添え、上半身と手首を捻って刀を突き出し、上段へ斬り上げた。
「はァッ!!」
正眼に構え直し、後退して腰を落とす。右足を伸ばして納刀し、正座。帯から刀を抜き、床に静かに置いた。
そして、礼。
「すぅ――」
丹田呼吸法で、全身に酸素を行き渡らせる。
顔を上げ、演武を見ていた人物と視線を合わせた。その人物は、線の細い顔立ちながら、胴着と袴を着た居住まいに余裕と貫録がある。その姿は、門下に入った頃から毎日のように目にしてきたものだ。数か月ぶりに相対して演武を披露し、ようやく古巣へ戻ってきたという感慨が湧いてくる。
真剣な表情で自分と視線を合わせていたが、ふっと表情筋が弛緩してゆったりとした笑みを浮かべた。
「お見事。学園でも修練を怠らず、その技を磨いていることがよく分かったよ」
「ありがとうございます」
上座の先を見上げると、大きい額が飾られているのを見る。
卓越した筆字で書かれている言葉は、"花鳥風月"。
そして、眼前の男性こそ、流派"花鳥風月"の最後の継承者。
名を、キオ・エイジ。
「ホウカさんの活躍は聞いているよ。忙しくて大会は見に行けなかったけど、英志学園のサイトで学園新聞も読ませてもらった」
「恐縮です」
「ふふ、それにいい友達もできたみたいだし」
「あ…はい、お陰様で…」
学園のことをちゃんと見ていてくれたことで、嬉しく思いつつも気恥ずかしくなる。
キオ・エイジは、道場の端に正座をしている人物へ体ごと向けて声をかけた。
「学園でホウカさんを指導してくださっているそうで、重ねてありがとうございます」
「いや、礼には及ばん。年寄りの道楽のようなものだ」
「ご謙遜を、お噂はかねがね伺っておりますよ。第5回世界大会で姿を消した"殲滅のアズマ"…その人なのでしょう?」
問われた人物――アズマ・ハルトは、少し黙ってから答える。
「…昔の話だ。今は教師を退職し、英志で用務員をやっている」
「ガンプラバトルの方は、まだ?」
「止められる訳がない。そうでなければ、ここには居らん」
「然りです」
両者とも薄く笑みを浮かべる。
現在の時刻は、午前9時を回ったところ。昨晩、シマ・マリコに師匠を訪ねると頼み込み、その同伴としてアズマが車で送迎することになったのだ(交通の便が悪い上に、電車を乗り継いで行くと費用が嵩むからでもある)。
キオ・エイジは自分に向き直り、さらに続けた。
「さて、ホウカさん。昨晩の話によれば、指導してほしいらしいけど…どういった理由からかな?」
「…先日の選手権で得た感覚を、取り戻すためです」
「それは、ぼくが指導しなければならないことかい?」
「はい。初心に戻って、もう一度自分を見直したいです」
本心からの言葉で答える。原因も答えも見つからない以上、漫然とガンプラを動かすだけでは駄目だと思ったからだ。原点に立ち返れば、見えないものが見えるはずである。
キオ・エイジは数秒目を閉じていたが、やがて言葉を続けた。
「分かった。せっかくここまで来たんだし、やるだけやってみよう」
「ありがとうございます、宜しくお願いします」
「さぁ、となれば…外に出ようか」
そう言って、立ち上がる。自分も刀を拾ってから立つ。
「外に?稽古を付けるのではないのか?」
アズマが疑問を投げかけてきた。それは真っ当な反応である。
道場から出ようとしていたキオ・エイジが、立ち止まって振り返った。
「一緒にやってみますか?気持ちが良いですよ」
それだけを言い残し、道場を後にする。
しかし、尚もアズマは釈然としない表情のままだ。
「キンジョウ、彼は何を始めるつもりなのだ?」
「えーっと…上手く表現できないんですけど、自然学習みたいな…」
「何?」
「とにかく、行ってみれば分かりますよ」
自分が習い始めた頃、形の練習などよりも先に行ったのが"それ"だ。この二か月間で、様々なガンプラバトルの局面において想起したものの根源たる"花鳥風月"の教え。これ無くして、自分の原点に立ち返ることはできない。
アズマを連れ、キオ・エイジの後に続いた。
・・・・・・・・・・
晴れ渡った青空を、窓の向こうに見る。
板書をノートに書き写していたが、イマイチ集中ができなかった。梅雨入りしたばかりだが、今日は爽快な気分にさせてくれそうな陽気である。
しかし、それでも胸の内は重かった。
(今頃ホウカは、師匠のとこか…)
今朝、ホウカは7時半ぐらいにアズマの車で出発している。英志学園から地元までは一時間程かかるため、既に到着して今頃は稽古をしているのだろうか。
気分が晴れないのはホウカの体調のこともあるが、師匠のことを考えると少し胸が痛む。
(今更そんなこと考えたってどうしようもないのは、分かってるつもりだ)
それでも、後ろ髪を引かれる思いがあるのは否定できないのだ。
師匠に理由も告げずに鍛錬から身を引いたのは、今思えばなんて失礼なことをしたんだと、小学生だった当時の自分を殴ってやりたくなる。
それでも、あの頃に師匠とホウカとで見た、この広がる青空と同じ景色は心に残っているのだ。それだけは、例え技のほとんどを忘れてしまったとしても、今も消えることはない。
様々な感情が複雑に絡まりながら、ぼーっと窓の外を見ていると、
「――痛っ」
脳天を何かが叩いた。
窓から目を離し、見上げる。机の前に立っていたのは、赤いカーディガンを羽織ったシマ・マリコであり、シャツの袖を捲った右手には丸めた日本史の教科書が握られていた。
その表情は、普段のマリコというより、完全にシーマ・ガラハウのそれであった。
「"黒い悪夢"さん、空の世界からやっとお戻りかい」
「うわ、シーマ様っぽい台詞」
「ぶつよ」
「シーマ様っぽさに拍車がかかる!ってか手遅れですよねそれ!?」
ソフトとは言え、ぶった後でそう言われても…。
マリコは握った日本史を広げて腕を下ろすと、溜め息を一つ吐いて呆れたような困ったような表情を向けてきた。
「授業に戻るよ」
そう言って、教壇へと歩き去って行く。周囲からクスクスと笑い声が聞こえたが、それは無視する。
マリコの表情が言おうとしていたことは分かった。あんたが心配してどうにかなる訳でもないだろう、と…そんな所だろう。
(言われなくたって…)
分かっているつもりだ。
しかし、頭では理解していてもどうにもならないことだってあるのだ。
諦めて板書を写そうとすると、終業のチャイムが鳴り響いた。
「それじゃ、ここまでをしっかり写して明日までに頭に叩き込んでおくんだね。軽いテストをするよ」
クラスが一斉に非難の声を上げた。マリコは意に介さず、書類を纏めて素早い足取りで教室を去って行く。
(今から写すのも面倒だな、リクヤにノート見せてもらうか)
板書はすぐに消されるだろう、すっぱりと諦めてノートを閉じた。
「ふっ…ぐあぁ~」
「なんだ、寝不足か?」
「あー…いつもと同じだ」
リラックスして大きく伸びをすると、前の席に座っているカネダ・リクヤが椅子に肘をかけて話しかけてくる。
「リクヤ、後でノート見せろ」
「学年でも5本の指に入る秀才であらせられるカトー・トモヒサ様ともあろう者が俺のようなミジンコのノートを借りるのか?」
「てんめぇ、ぶつぞ」
「冗談だよぉ、ははは」
こっちの気も知らないで、この幼馴染は勝手なことを言う。そもそも、リクヤも学年の成績は必ず10位内にはいるくせに、いけしゃあしゃあと言えたものだ。
と、冷めた視線を送っていると、リクヤの顔が真面目なものに変わる。
「キンジョウのことだろ」
「ぅぎゃ!?」
「何処から声出した」
いきなり核心を突いてくるリクヤ。
「はぁ…バレバレだっつの。昨日キンジョウが倒れて、そして今日は帰郷してるらしいじゃないか。お前が授業を上の空だった理由なんて、クラスの皆気付いてるぞ?」
指摘され、咄嗟に教室を見渡した。視線が合った同級生が悉く視線を逸らしていき、その後には笑い声が聞こえてくる。
「文句あんのかお前らぁ!」
ないでーす、と緩い返事が纏めてきた。
「その気持ちはよく分かるぜ。キンジョウを知る皆が皆心配してたんだから、一番近くにいるお前の心労は察するよ」
「…んだよ、なんか道化みてぇじゃねぇか」
「アレハンドロ・コーナーよりはマシだろ」
「金ピカにメッキ塗装してやろうか?」
日本史の教科書を丸めて、リクヤの頭をぐりぐり押す。
「やーめーろーよー」
「反応が気持ち悪ぃな…そんなにバレバレなら隠さねぇよ。そうさ、俺はホウカが心配で仕方ねぇ。今すぐ学園を抜け出して師匠のところに行きたいくらいだ」
「そんなにか…」
教科書を机に仕舞い、次の授業の準備を始める。
「けどな、そうしてやりたい反面、昔やった俺の失態が後を引いて師匠に会いたくないとも思ってんだよ。…矛盾してるんだよ、今の気持ちは」
親友のふざけたような態度に心を解かされ、つい素直に本心を語ってしまった。
「そうかい。俺にはしてやれることはないけど、キンジョウなら大丈夫だと思う。あの根性と負けん気にはいつも驚かされてるんだからな。楽観的と言うなら好きに言えよ」
「…いや、お前の言うとおりだ。ありがとうな」
先程は心の中で非難したが、こちらの心情を察してわざと冗談めかしていたのだろう。持つべきものは気心の知れた友…などとありきたりな表現はしたくないが、心の底から感謝した。
「いいってことよ…っと、お前に来客じゃないか?」
リクヤは、教室の出入り口を指差す。
首をその方向へ向けると、意外すぎる人物がそこにいるのを見た。その人物は「失礼するよ」と断りを入れてから教室へ踏み入り、恰幅のいい中年太りの体を揺らしてこちらへ歩み寄ってきた。
アサクラ・ミツオミ教頭である。
「教頭?何か用ですか?」
「オホン、カトー君。放課後は部室へ行くのだろう?」
「は?勿論そのつもりですが…?」
両腕を後ろで組み、妙に畏まっているように見える。
アサクラ教頭とは、先のガンダムラナンキュスが行った稼働実証プログラム”百鬼夜行”の一件で打ち解けており、現在は情報交換などを取り合って、よきガンプラ部のサポーターに回ってくれている。
そんなこともあって警戒はしていないが、怪訝には思う。
「今日はホウカ君が諸事情で学園にいないと聞いた。そこでなんだが、私が練習の相手を務めるというのはどうだね?」
「それは、ありがたい話です。丁度、今日はジニアも放課後は用事があるらしいんで」
事実、練習内容がマンネリ化していると感じていたところである。普段相手にしないファイターと戦うことで、新たな刺激を得られるかもしれない。
好意的な返事をすると、アサクラの顔がパァッと明るくなった。
「そうかそうか!ならば決定だな!放課後、私も一仕事終えたらガンプラ部へ赴くとしよう!宜しく頼むよカトー君!」
「はぁ、こちらこそ」
アサクラは嬉々とした様子で握手を求めてきた。中年のおじさんと触れ合う趣味はないが、快く握手を返す。
アサクラ教頭は「では失礼する。勉学に励みたまえ!」と言い残し、あからさまに上機嫌な足取りで教室を去って行った。
「何だあれ…?」
「さぁ…でもよかったじゃないか。二人共いない穴を埋めてくれるなんて、教頭もいいとこあるよなぁ」
「今日は久々にむさい部室になりそうだ」
「テライさんも呼ぶか?」
「そこまでしなくていい」
やがて、次の科目である現代文の教師が教室へ入ってきて、チャイムが鳴り響いた。
心を入れ替え、今度は授業に集中する。ホウカへの心配は払拭し切ったわけではないが、何とかなる、大丈夫だと、気持ちはポジティブになっていた。
(師匠、ホウカのことをよろしくお願いします)
自分も、いつまでもこのままでいるつもりなんてない。
目前に迫る菱亜学園との試合、そして"茜き野獣"ササミネ・コウスケとの因縁を終わらせて、その後で師匠の元を訪ねようと決心した。そのために現在のコンディションを高め、週末のセント樫葉女子学園との試合も勝利を収めるのだ。
もう一度、窓の外に広がる蒼天を眺望する。
「セルリアンブルーか…」
プラフスキー粒子によく似た色の空は、胸の内に爽やかな風を吹き込むようだった。
・・・・・・・・・・
青々とした草木の匂いが、気持ちよく鼻孔をくすぐる。梅雨の湿った空気を吹き飛ばす陽の光を、植物は精一杯に伸ばした葉で受け止めている。
道場を出た後、裏庭から続く細い山道を歩いていた。到着した際に車窓から見たのだが、流派"花鳥風月"の道場は小高い山の麓に立地しているのだ。そのため、修行の場としてこの山道が開かれたのだと推測できるが、前を行くキオ・エイジとキンジョウ・ホウカは歩みを止めずに上へ上へと進んでいる(山道とは言ったが獣道同然であり、勾配も緩やかで登るほどの感覚はない)。
(まぁ、黙って後を着いていくしかあるまい)
一言も発さないまま、やがて一行は山の頂上に出た。
「んー…、今日が快晴で本当に良かったよ」
キオ・エイジは両腕を上げ、大きく伸びをする。
「すぅー…はぁ」
ホウカも、深呼吸して爽やかな空気を心身に取り込んでいるようだ。
自分も二人に倣い、青空を見上げながら深呼吸をする。
「このように全身で風を感じるのは、いつ以来か…」
家族と山へバーベキューなどのレクリエーションへ行ったことは何度かあるが、今のような自然体験は意識したことがなかった。
(風…?)
ふと、何かの歯車がぶつかるような気がしたが、直後に霧散する。
それが何なのか気になったが、エイジがこちらを向いたので意識をそちらへ傾けた。
「ではホウカさん、座禅を」
「はい」
そう言われたホウカは、まるで設えられたような大きな岩の上にしゃがんで座禅を組む。一切の迷い無く背筋を伸ばして顎を引く姿は、何度も繰り返してきたが故に体が覚えているのだろう。
「アズマさんもどうぞ。やってみてください」
次にエイジは、自分にも座禅を促してきた。
奇妙な行動を見せられているのだ、体験できるのなら頼みたいほどである。ホウカの隣へ腰を下ろし、見よう見真似で座禅を組んだ。エイジは、自分達より数メートル離れた場所で、一段高い岩の上で座禅を組む。
「開始の合図はありません。私語を慎むことも強制はしないので、思うままに感じてください」
「う、うむ…」
そして、沈黙。
言葉が消えると、様々な音が聞こえてくる。葉擦れの音、鳥の囀り、町からは車の音。そして、視覚では空の青、草木の新緑、座禅を組んでいる足元に咲く小さな花の色さえ、意識せずとも鮮やかに感じた。
どのくらい感じるままに身を任せていたか、やがてエイジが口を開く。
「――
一言一句が、はっきりと聞こえた。
「天地は、自ら何かを為そうとはしない無為である。しかし、無為でありながら、その働きはこの世の全てを動かし、影響している」
「風が世界を巡り、命を育み、雲は雨を降らし、陽は大地を照らす。自ずから然り、即ち在るがままに委ね、生きること」
ホウカが、言葉を継ぐ。
二人の言葉の意味を、深く考えず、直観的に理解した。
「在りのまま、在るがままこそか…」
「そうです。それこそが、流派"花鳥風月"の教えの極致です」
この分野に明るくはないが、変わった流派だと思った。極致は道場にはなく、自然の、当たり前の中にこそあると言う。
「さぁ、このくらいにして戻ろうか」
エイジが岩から降りた。ホウカも続いて立ち上がり、自分もそれに倣う。
にこやかな笑みで、エイジは訊ねてきた。
「如何でしたか?」
「中々に貴重な体験をさせてもらった。感謝する」
「いえ、礼などいいですよ。晴れた日は毎日やってることですから」
何の衒いもなく、そうエイジは言う。
欠かすことなく、これを日常の中で当たり前に行っているからこその態度であろう。ホウカもきっと毎日のように行っていただろうし、現在の場合は毎朝のランニングがそれに当たるのだ。
「戻ったら昼食の準備をします。お二人への歓迎の意を込めて、庭で栽培してる野菜を使ってもてなしましょう」
「「あ、そこまで気を…」」
ホウカと台詞が重なってしまった。互いに咳込んで誤魔化そうとすると、エイジが朗らかに笑う。
「あっはっは!…いや、すみません。あんまり似ているもので、まるで祖父とその孫のように見えたのでつい」
「師匠~!」
膨れっ面になるホウカ。
「まぁまぁ、とにかく戻りましょう。それと、昼食の後はバトルシステムを使います」
「ん?ああ、そうか。個人用のものを持っているらしいな」
「ええ、友人の伝手で譲っていただいたものです」
個人用にバトルシステムを所持しているとは、どのような交友関係なのか。ホウカが言うには、自分が門下生になった時には既にあったらしく、エイジ自身もガンプラを趣味にしているらしい。
小高い山を下り、道場に着いた頃には時計は午前10時半を指していた。
(ガンプラバトルでの鍛錬か…何をしようとしている?)
ホウカの悩みがそれで晴れるのか疑問を抱くが、何か考えがあっての提案なのだろう。無論、ホウカはこれを想定してガンダムラナンキュスを持参してきている。
コーチとして、しっかりと刮目させてもらおう。
Act.25『灯台下暗しⅢ』へ続く