ガンダムビルドファイターズF   作:滝つぼキリコ

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Act.13 『画竜点睛Ⅱ』

 

 

「教頭先生、どうして…!?」

『言っただろう、最後の関門となって貴様を叩き潰すとなァ!!』

 

 こちらの通信に対し、アサクラ教頭は激昂したように返してきた。ドライセンが、人差し指を突き出したマニピュレーターでこちらを指し示す。その大きな袖口から、三連装ビーム・ガンの銃口がちらついた。

 コンソールの横画面から、テライ・シンイチが口を開く。

 

『アズマさん、どういうことなのかご説明いただけますか?』

『見た通りだが?』

 

 それに対して、はぐらかすアズマ。

 二、三秒ほどの沈黙を置き、シンイチは顎に手を添える。

 

『…うむ、なるほど。分かりました』

『ちょちょ、何が分かったんだ?』

 

 そのウィンドウの隣に、焦った様子のカネダ・リクヤの中性的な顔が映った。

 

『これは、試練だ。予期せぬ事態にも打ち勝ってみせよ、ということだ』

『"百鬼夜行"を打ち勝ってきたキンジョウに、まだ試練を課すってのか…鬼だな』

『ええいごちゃごちゃと!やるのかやらないのか、どっちだ!』

 

 痺れを切らしたアサクラが、ドライセンのビーム・トマホークをバトンのように回して構えさせた。

 一か月前の、デブリ帯でドム・トローペンと対峙した瞬間を思い出す。

 以前のバトルは、戦う相手に対する姿勢の在り方を自分に考えさせる機会になっていた。己の情熱を注いだガンプラこそ最強、それを最大限に引き出せるのは自分と、ガンプラファイターというのは手に負えないほどの気概なのが普通だとアズマに言われている。

 しかし、だからこそ。立ち向かう側としての姿勢を、自分は大事にしたいのだ。

 それを認識させてくれたアサクラの挑戦ならば、今一度、全力で戦ってみたい。

 

「これが試練と言うのなら…私、やります」

『キンジョウ、大丈夫か?さすがにあの連戦の後でアサクラとやるのは…』

「大丈夫です。私と、ラナンキュラスなら」

 

 リクヤの気を使ってくれている言葉に対し、我を押し通した。

 99連戦を勝ち抜いたが、不思議と思考は清澄に落ち着いている。コントロールスフィアを通し、愛機と一体に…というのは過言かもしれないが、今の自分達ならどこまでもやれそうな、確かな自信を覚えた。

 ラナンキュラスが握るドッズトンファー、その刃を伸ばす。

 

「教頭先生、お手合せお願いします」

『フン、言われるまでも――ないわァッ!!』

 

 刹那の間、戦端が開かれる。真っ先にドライセンが動いた。

 背面からブースターらしきユニットが左右に伸び、ビーム・トマホークを構えて勇躍、突っ込んできた。

 

『あれ、ランダム・バインダーか!?』

『ドライセンにリック・ディアスをミックスか…フフ、中々どうして、教頭先生も好き者らしい』

 

 賑やかなセコンドは無視し、ラナンキュラスに半身を取らせてカウンターを狙う。

 流派"花鳥風月"における柔術の心得、それはこちらから安易に飛び出さずに待ち構えること。そして剣術や棒術で培った基本形を、イブキ・アラタから渡されたドッズトンファーにより最大限に引き出す。

 アズマが導き出した、自分とラナンキュラスのバトルスタイルだ。

 

『真っ二つにしてくれる!!』

 

 ユニット――ランダム・バインダーを噴射させるドライセンが、ビーム・トマホークを横薙ぎにして攻撃してきた。

 

 

――バチィン!!!

 

 

 構えた右のトンファーを真反対から斬り払い、実体剣とビーム斧が交錯する。擦過の火花のように、黄色の粒子が弾け飛んだ。

 

(…ここ!)

 

 狙いのカウンターを、すかさずに打ち込む!

 硬直による一瞬の間隙に、突っ込んできたドライセンへ左のトンファーを突き出し、一息に勝負を決めにかかった。

 だが対するドライセンは、たたらを踏みそうになるところで力任せにコンクリートを踏みつけて留まる。その左腕の装甲がスライドし、露出した三連装ビーム・ガンの銃口がこちらを捉えた。

 

「これでっ!」

『喰らえッ!』

 

 同時に叫び、同時に銃撃が迸る。

 ドッズトンファーの射撃はランダム・バインダーの噴射によって躱され、三連装ビーム・ガンは、咄嗟に掲げた左手甲のフラワリング・フィールドによって霧散した。

 

『互角か…!』

 

 リクヤが感嘆の声を上げる。

 ドライセンは直様に離脱し、彼我の距離を空けていった。

 

『私はこの日のために…』

 

 そしてトリントン基地の倉庫の上に着地し、肩部と胸部ダクト上の装甲を開かせる。

 そこから露出するのは、無数のマイクロミサイルの弾頭。

 

『最高のガンプラと、過去を凌駕するファイター技量を磨いてきたのだ!!』

 

 弾薬庫をぶち撒けたのかという量のマイクロミサイルが発射され、濃霧のような硝煙の尾を引いて雨霰と飛来してきた。

 

『おかげで5キロも痩せたわァッ!!』

「ダイエット!?」

 

 思わずトモヒサのようにツッコミをしてしまう。

 兎も角、ミサイル群を対処しなければ。こういう状況にこそ、ジェネレーターは真価を発揮する。

 ラナンキュラスの両腕を、胸の前で交叉させた。発生したフィールドの力場を共振、増幅させる。

 

「フラワリング・フィールド、出力最大…」

 

 Iフィールド・バリアの時は、原典設定に忠実だったため物理衝撃に対して防御能力を持たなかった。しかし、この新解釈の機能は違う。

 先の"百鬼夜行"により感覚が練磨され、より確かにタイミングを掴んだ。

 

「やァッ!!」

 

 気合を放つと同時にラナンキュラスの両腕を払い、増大したフラワリング・フィールドを押し出す。

 半秒後には着弾するかと思ったミサイル群が、見えざる力場に圧されて揉みくちゃに空中でぶつかり合った。

 連鎖的に爆発し、殺風景な景色を彩るかのように眩い爆光が炸裂する。

 

『そうこなくては()る意味がない!』

 

 妙に嬉しそうな、アサクラの声。

 改めて、ガンプラを通して彼の心情を考える。

 一月ほど前のバトルでは、尋常ならざるほどの気迫を感じていた。本当に、怒り心頭といった様子だ。

 しかし、今はどうか。どこか清々しさを感じ、ガンプラの出来栄えにしても、あのドム・トローペンより頭二つほど抜きん出ている印象を受ける。その変貌には僅かばかり当惑するが、ひとまず慮外に追いやった。

 いずれにしても、交戦の最中は全力で応えるしかない。

 手加減は一切なし。心と心、技と技を真っ向から打ち返す。

 それが、"花鳥風月"の矜持なのだから。

 その先に、きっと真実を発見できるだろう。

 

「いくよ、ガンダム」

 

 愛機の鼓動を、スフィアを通じて感じた。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 テライ・シンイチは、ミサイル群を払い除けた白青の機体を見て舌を巻く。

 バトルフィールドでのキンジョウ・ホウカ、それを実際に見て、驚かされることばかりである。

 以前会った印象は、大人しそうな女子生徒、という程度だった。

 ところが、だ。"百鬼夜行"などという過酷な戦闘においても、彼女は根を上げず、それどころかバトルができることを幸せに感じているようにも見えた。その上にアサクラ教頭という乱入者である。然しもの文句の一つでも言うかと思ったが、それもなかった。

 その愚かしいまでの実直さは、あの女海賊(カンザキ・ツツジ)を想起させる。

 本人がアサクラ教頭との戦闘を拒否すれば、乱入してでも止めたところだ。しかし彼女は、大人しそうな印象を払拭するほどの自我を通してきた。

 何が彼女をそうさせているのか。その柱となっているものは何か。

 単純な興味だが、その領域に踏み入ってはならない。完全にプライベートな部分だからだ。

 いずれ本人の口から聞ける日も来よう。

 

「…む」

 

 フィールドを見ていると、アラート音が鳴り響いた。

 

『おい、この反応は…』

 

 リクヤも、それに気付く。

 ドライセンが立っている倉庫――と思っていた格納庫が震え、中から濃緑のモビルスーツ…果たして本当にモビルスーツと呼んでいいのか疑わしい機体が太い尾を薙いで壁を破壊し、ドラゴンのような鎌首をもたげて姿を現した。

 ヴェイガンの第三世代量産型、人型から大きく逸脱した巨体を持つダナジンである。

 その数、三体。

 

『ダナジン…三体も!?』

 

 ホウカの狼狽した声。

 ご丁寧にアニメの初登場シーンを再現したかのようなダナジン達が、身体を揺らせて付着した砂埃や装甲に引っかかった鉄骨を振り落とす。

 ドライセンは崩れる格納庫から降り、近寄ってくる三体のダナジンの頭を撫でた。

 

『おぉーよしよし』

 

 ダナジン達は太い尻尾をふりふりし、喜びを巨体で表す。

 まるでペットのようだ。

 

『…って色々突っ込みたいけど、これはさすがにやりすぎだろ!?』

『予期せぬ事態とは、一度だけとは限らんからな』

『暴論…』

 

 アズマの他人事のような返事に、リクヤも言葉が詰まる。

 やたらと動物感溢れる動きで撫でられていた三頭(この数え方が似合う)のダナジンが、側頭部から伸びる耳のようなパーツを動かすと、それまでの動作をぴたりと止めてガンダムラナンキュラスを見た。

 まるで、野生動物が外敵の気配に勘付いたときのような。

 

「――ホウカさん!来るぞ!」

 

 こちらが声をかけた時には、既に三頭が駆け出していた。

 ズシズシとトリントン基地全体を揺るがし、怒涛の勢いで驀進する。逞しい尻尾(ダナジンスピナー)でバランスを取り、膂力のある二足で平らなコンクリート面を物ともしない。自然環境での踏破能力を追求した結果に辿り着いたとされるフォルムにより、前傾姿勢ながらも危うさが全くなかった。

 ダナジンはその見た目通りの暴虐さを見せるかと思われたが、意外にも出鱈目に襲いかからず、一直線に驀進する一頭を残して左右の二頭が散開した。

 動物番組で紹介されていた、メスライオンの狩りを思い出させる。

 

『ハハハハ!これをどう戦うか見物だな!』

 

 瓦礫となった格納庫にふんぞり返るように腰掛けるドライセンが、愉快げに紫色の太い体躯を揺らしている。

 

「なんと悪趣味な…」

『腹立ってきた…』

 

 しかし、こちらの憂いなど意に介さないように、ラナンキュラスは応戦の構えを取っている。

 真っ直ぐに突進してくるダナジンが、顎先からビームシューターを発生させて飛びかかった。

 ひらりと、ラナンキュラスは冴える技巧で、淀みなく軽やかに躱す。同時にカウンターを打ち込もうとするが、散開していた二頭のダナジンが挟撃を仕掛けてきた。

 NPCとは思えないほどの連携である。

 

『――なら!』

 

 ホウカは攻撃の手を引っ込め、背面に広がるフラワリング・ジェネレータを展開させて機体を上空に飛び上がらせた。

 突進の勢いを殺せなかったダナジンが正面衝突する。

 

(この位置取りならば…!)

 

 自分ならこうすると、愛機がドーバーガンを構える姿を思い描く。

 ラナンキュラスは倒れ込むダナジン二頭へ向かって、両腕を突き出して上からドッズトンファーの銃口を向けた。

 アズマの駆る、ガンダムAGE-1フルグランサの同時砲撃を幻視する。

 そして、ドッズの斉射が迸った。

 

「ッ!?」

 

 しかし、ドッズはダナジンの体を穿つことができなかった。

 濃緑の装甲表面で、粒子が弾けて拡散したのだ。

 

『えっ…!』

 

 予想だにしなかった結果なのだろう、ホウカも驚く。

 そこへ不意打ちをかけるように、最初に吶喊をしたダナジンが飛行形態でラナンキュラスに向かってきた。

 それを空中で躱し、一度大きく距離を取る。

 

『…そうか、電磁装甲だ!』

 

 セコンドのリクヤが指摘する。

 

「電磁装甲…ヴェイガン機に採用されている防御システムか」

『そういうこと。まぁ、ガンプラバトルだから耐ビーム(ABC)と同じようなもんだけど…えらく強力に調整されてるな』

「うむ…近接戦闘、若しくはファンネルで撃破するしかないようだ」

 

 原作では、バクトの装甲がガンダムのドッズライフルを弾いていたか。これまでに何度かバクトと交戦していたが、ドッズは難なく装甲を貫いていた。実際のガンプラではない故に、その性能も並以下なのだろう(そうでなければ1対100の戦いなど断固反対していた)。

 このダナジン達もバクトと同じくプラフスキー粒子によって再現されているはずだが…なるほど、アズマがパラメータを弄ったか。

 

("殲滅のアズマ"のダークサイドが出たようだな…)

 

 鬼神とも形容される男の覇気が、ダナジンを介して伝わってくる気がした。

 

「ホウカさん」

『聞いていました。やってみます…行って、Pファンネル!』

 

 ラナンキュラスの背面から、四枚の白き花弁が舞う。再び陣形を整えたダナジンに向かってPファンネルが飛び、その周りを包囲した。

 ダナジン達は咄嗟に掌からビームサーベルを発生させるが、四枚の花弁の軌道を全く追えていない。Pファンネルの刃が陽光を受けて閃いたかと思った瞬間、三頭の間を白い残光が駆け抜けた。

 身を捩る三頭のダナジンの腕、翼、尻尾が細かく切り刻まれる。

 

『ぬぅ…!?』

 

 然しものアサクラも動揺し、座っていたドライセンを立たせてビーム・トマホークを握らせた。

 まずい!

 

「ドライセンも出るか!」

 

 背部のランダム・バインダーを噴射し、翻弄されるダナジン達の間に飛び込む。両手でビーム・トマホークを回転させ、F91のような即席ビームシールドでPファンネルを払い除けた。

 散り散りになったPファンネルは、ラナンキュラスの背に一旦帰投する。

 ドライセンは損傷の激しいダナジンをモノアイで一瞥すると、三頭を率いて突進してきた。

 

『小癪なガンダムを始末するぞ、ダナジンども!』

『4対1!?卑怯だぞ教頭!』

『うるさい!卑怯もらっきょうもあるものか!!』

 

 リクヤの非難を、大声で笑って跳ね除けるアサクラ。

 ドライセンがビーム・トマホークを振り、やはりラナンキュラスは容易く躱す。しかし、そこへ左右からダナジン二頭のビームシューターが突き出された。

 それも、掲げた両腕の手甲から発生した力場によって防ぐが、続け様にドライセンの背後から両腕を失ったダナジンが姿を現す。そして跳躍しながらの前転――からの、遠心力を伴ったダナジンスピナーの叩き付けが襲う。

 ラナンキュラスは半身を翻し、尻尾の一撃を寸で回避した。

 

『キンジョウ、空だ!』

 

 リクヤからの指示が飛ぶ。

 ラナンキュラスはフラワリング・ジェネレータを開き、指示通りに空へと一時撤退しようとした。

 

『逃がさんぞ!』

『…ッ!?』

 

 浮き上がったところへ、ドライセンの追撃。ランダム・バインダーによる急加速によって飛び上がり、ボディタックルを仕掛けた。

 常であれば、そのような攻撃など食らうようなものではないだろう。しかし、4対1の連続攻撃の後では…。

 反応を取れず、ラナンキュラスのしなやかな痩身が砲弾のような強打に見舞われた。重モビルスーツのそれ自体が脅威となるタックルで吹き飛ばされ、倉庫に突っ込んで圧し潰してしまう。崩れる倉庫の瓦礫で、白青の機体が埋没した。

 やはり、"百鬼夜行"の疲労がここで出てしまったか。

 ドライセンはそこへ接近しながら、左拳を突き出して人差し指の根元辺りから白い物体を射出した。

 それが体を起こすラナンキュラスの足元に付着し、瓦礫や鉄骨を纏めて地面に貼り付けた。

 

『う…動けない!?』

「トリモチだ!」

 

 機動戦士Zガンダムでよく描写される、リック・ディアスや百式が備えるトリモチランチャーだった。ドライセンには本来ない機能だが、ランダム・バインダーを装備しているだけではなかったのだ。

 アサクラ教頭、中々やる。

 

『これで終わりにしてくれるッ!!』

 

 ラナンキュラスがもがいてそれを剥がした時には、もう囲まれていた。

 ドライセンの大上段に振り上げられたビーム・トマホーク。

 三頭のダナジンによるビームシューター。

 四つの爪牙が、獲物を捉えた。

 

(終わりか…!)

 

 いや。

 まだだ、見せてほしい。

 絶対的な苦境にあっても、それを跳ね除ける力を。

 君たちならば、できる。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 何故だか、昔の記憶が過ぎった。

 医師からの許可を得て、師匠と共に軽く山道を歩いた記憶だ。

 標高のある山ではなかったが、退院して日も浅かったあの頃の自分には、それなりに堪えたものだった。

 

 

『どうだい?風が気持ちいいだろう?』

 

 

 師匠にそう言われて立ってみた岩の上、そこから見た景色に、目を奪われた。

 どこまでも深緑と蒼穹が広がった、山の景色。狭い世界しか見たことのない自分には、あまりに広すぎる世界だった。

 そして体を吹き抜ける、木々の薫りを運ぶ爽やかな風。

 疲労さえ忘れるほど感動して打ち震える自分に、目線を合わせて屈む師匠が言う。

 

 

『体作りも大事だけど、ぼくは何より、この世界を感じてほしかったんだ』

 

 

 優しく話しかける師匠の、穏やかな表情が真摯に見つめてくる。

 

 

『"花鳥風月"が本当に伝えたいことって、この自然のような、在りのままを感じることなんだ。武術も同じ。技を通して、心を通わせ合うための手段に過ぎない』

 

 

 言っている意味が分からず、小首を傾げる。

 

 

『ごめんね、まだ分からないよね。でも、いつか君の力になってくれるはずだから』

 

 

 そう言って師匠は立ち上がり、両腕を広げて風を一身に浴びた。

 一際強い風が吹き上がり、百花斉放とばかりに咲き誇る山桜の花片を巻き上げ、自分達を包む。

 すぅ…と小さな胸いっぱいに、山の空気を吸った。

 

 

「ありのまま…ちょっと、わかるきがします」

 

 

 

 

(在りのまま、在るがままに――)

 

 

 自然と、スフィアを握る両腕が動いた。

 心に何かが吹き込む。

 これは、風――?

 爽やかな薫風が、総身に広がる。

 それは――生命(いのち)を宿した、ガンダムラナンキュラスの息吹。

 そして見上げた先、そこにはアサクラのドライセンと、三頭のダナジン。

 動かしたスフィアを胸の前で交叉させ、力場を共振させる。

 

 

(――今できる、全力でっ!)

 

 

 刹那、

 コンソール上のフィールド出力が、有り得ない数値を叩き出した。

 

 

 

 

「ハァーーーーーッ!!!」

 

 

 

 

 裂帛を轟かせ、ラナンキュラスの両腕からフラワリング・フィールドが放たれる。

 

『な――』

 

 肉薄していたドライセンと三頭のダナジンが、その力場に圧されて後一歩を踏み出せない。

 

『この出力…!?』

 

 否、それは最早、護るための力ではない。

 ジェネレーターによって発現された力場が、その場で変質した。

 防御手段でしかないフラワリング・フィールドを超え、凝縮された力場が激しく共振し、空気中のプラフスキー粒子に伝播する。

 

 

――ゴゥッ!!!

 

 

 直後、強烈な衝撃波が、ドライセンとダナジン達を襲った。

 重量級を誇る4機が、見えざる打撃力に全身を満遍なく叩かれる。まるで風に舞い上がる朽葉(くちば)の如く、空中に吹き飛ばされた。

 その余波だろうか、フィールドとホログラムコンソールを透過して、そよ風が自分の黒髪を揺らす。

 衝撃波をまともに受けた4機は散り散りに吹っ飛び、腕が、脚が、尻尾が、胴体が、バラバラにちぎれ飛んだ。

 そして、コンクリートや倉庫の上に落下する。

 

『な、何なのだ、今のは…!?』

 

 アサクラが起こったことを理解できず、慌てふためいた。

 

「ハァ――」

 

 ラナンキュラスを瓦礫の中から立たせ、自身の呼吸を整える。

 はっきりと、今起こったことを理解できた。

 フラワリング・フィールドの先にある、愛機と導き出した答えだ。

 

「…"プラフスキーインパクト"…」

 

 捻りも飾り気もない、印象そのままに、名前を付ける。

 

『掴んだな、キンジョウ』

 

 通信越しに、ただ戦況を静観するだけの、アズマの声。

 今一度、スフィアを緩やかに握って確と実感する。

 心に吹く薫風、愛機の息吹。ここに至って、それらは茫漠とした不明瞭な印象ではなく、間違いなく感覚としてここに在る。

 然りとて、心身は清冽な静けさを湛え、羽のような軽さを覚える。

 

『おのれェ…。やはり、私では適わんのか…』

 

 倉庫に落下したドライセンが、瓦礫を払い除けて立ち上がった。

 何の偶然なのか、あの時のドム・トローペンのように右腕を破損している。肩だけ残し、二の腕から無くなって無残にフレームを露出させていた。さらに、脚部の装甲やフロントアーマーなど、分厚い鉄板に叩かれたかのように凹み、罅割れている。ランダム・バインダーも失ったようだ。

 

『しかし、このままでは終わらせん…!』

 

 アサクラは、胸の奥から押し上げるように声を漏らした。ドライセンの右肩が根元で爆裂し、瓦礫の中へ落下する。

 そして、足元に落ちているダナジンの右腕を拾い上げ、パージしたばかりの右肩へ接続した。その異形の腕が数度痙攣すると、スムーズに動き出す。

 掌からビームサーベルが飛び出し、ドライセンの真っ赤なモノアイが燃えるように輝いた。

 

『全力で、貴様を倒すッ!!』

 

 その紫色の機体に、闘志が漲っていくのを感じ取る。

 先程までの演技じみた態度とは違い、本心であろう台詞には確固たる決意、そして愉快さをも滲ませていた。

 そう、これはガンプラバトル。楽しまなければ損だ。

 

「受けて、立ちます!!」

 

 精一杯の気迫と凄みを利かせて、アサクラ教頭とドライセンへ応じた。

 そして、真っ向疾駆する。

 既に、打たせるカウンターは看破されているのだ。温存すべき二の太刀は結局のところ、ガンプラとガンプラの純粋なぶつかり合い。

 

『ッせい!!』

「やァッ!!」

 

 掌のビームサーベルとドッズトンファーの刃が剣戟する。

 弾いては斬り合い、

 蹴っては殴り、

 後退しては懐へ、

 力場で吹き飛ばしては、三連装ビーム・ガンの応酬。

 そこへ、突如のアラート音。

 

「――っ!」

 

 ボロボロの満身創痍になった二頭のダナジンが、ダメージを物ともせず果敢に向かってきた。内一頭の姿が見えないが、プラフスキーインパクトで撃破していたようだ。

 ラナンキュラスを大きくバックステップさせながら、スフィアを滑らせる。

 Pファンネルが射出され、一頭のダナジンを取り巻いた。走ってくる両腕と翼のないダナジンを、コンクリートの地面スレスレに足払いして軸足を浮かせる。もんどり打って倒れるダナジンにPファンネルが突き立ち、そのまま射撃して内側から爆裂させた。

 さらにもう一頭が反対側から迫って来るが、足払いした回転そのままにドッズトンファーを振り抜き、胴体を真横一文字に寸断する。

 ダナジンを撃破したPファンネルが、ラナンキュラスの周囲に整列した。

 

『あえて、見事だと言わせてもらうッ!』

 

 ドライセンが再び駆け出し、間合いを詰めてくる。

 

「お願い、Pファンネル!」

 

 Pファンネルをラナンキュラスの前に放射状に展開させ、その空間にライトグリーンの膜が形成された。

 両腕のドッズトンファーを突き出し、同時射撃の構え。

 ライトグリーンの膜――プラフスキーパワーゲートをドッズが通過し、その威力が増幅する。ほんの半秒だけ留まったドッズが、その高威力を凝縮して標的へと発射された。

 一点集中の、フルバースト!

 

『ぐぅッ!!』

 

 ドライセンは急制動をかけて回避しようとするが、間合いを詰めすぎたことで遅れてしまった。

 凝縮された砲撃がドライセンの左肩を撃ち抜き、腕が後方で爆発する。機体が持って行かれそうになるドライセンだが、渾身の力で踏み止まって右掌からビームバルカンを乱射した。

 

「っ!?」

 

 アサクラのド根性に思わず震駭する。

 フィールド発生が間に合わず、バララララとばら撒かれる黄色い弾幕に曝された。

 致命的なダメージとはならないが、動きを拘束されてしまった。

 すかさず、ドライセンが太い両脚で地面を蹴って懐へ潜り込む。

 

『もらったァッ!!!』

 

 下から掌を突き上げ、発生した黄色の粒子刃がドッズトンファーを弾き飛ばした。

 

「ふッ――」

 

 しかし、それには構わず、逆にラナンキュラスの体を大きく沈み込ませ、脇へ引いた右腕の手甲に力場を込める。

 そして、息を吸って裂帛一声、

 

「――破ァッ!!」

 

 得物を失った、右の掌底を打ち上げる!!

 片腕から繰り出された衝撃波が、ドライセンを叩き上げた。

 ドム系統の最終強化とされる重モビルスーツが、白青の痩身たる機体によって打ち上げられる。今度は左腕を引き、同じく力場を込めて空気中のプラフスキー粒子を激しく震わし、波及させる。

 ドライセンのモノアイが眼下を見、しかし、最早抗うことはできない。

 

 

『ぬゥ…おォォォォォォ!!!』

 

 

 叩き込むは、

 

 

 渾身の、一撃!!

 

 

 

 

「プラフスキーインパクトッ!!!」

 

 

 

 

――ゴァッッ!!!

 

 

 

 足下から脳天へ、凄絶なる衝撃波が頑健な体躯を駆け上がった。

 紫の装甲がひしゃげ、稲妻のように罅が全身に走り、頭部の無色バイザーが硝子の割れるように粉砕される。

 一瞬の間を持って、ドライセンが弾けて爆散した。

 降り注ぐ破片、その只中に立つガンダムラナンキュラスが、静かに背筋を伸ばす。

 

「――ふぅー…」

 

 キンジョウ・ホウカは、強く、静かに、息を吐く。

 ガンダムラナンキュラスの青い双眸が、生きとしモノの光を湛えた。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

『そーかー!そないオモロイことやっとったンか!』

 

 部室で缶ジュースを飲みながら、体を休める。さすがに、過酷な連戦の上にあの相手の挑戦を受けた後だ、疲労は隠せなかった。と言うより、「たまにはしっかり自愛しろ」というアズマの強い口調ながらの優しさに甘んじている。

 そのアズマから借りた縦長の携帯電話(ガラケーというらしい)から、快活な声が放られた。

 声の主は、イブキ・アラタである。

 

『ホウカちゃんのために頑張った甲斐があったってもんやで~』

「キンジョウの名も、女子だということも、ワシが依頼した時には一言たりとも伝えた覚えはないぞ」

『そこは突っ込まンといてーな』

 

 机の上に置かれた携帯電話のスピーカーモード(レトロな香り)で、会話に入り込む。

 

「イブキさんのドッズトンファーがなかったら、"百鬼夜行"を完遂できてなかったかもしれません。本当に感謝してます」

『ええってええって。これも仕事やし、役に立ったンならワイから言うことはなンもあらへん。それに、ソイツはもうホウカちゃんの物やで』

 

 インターネット通話という便利な手段もあるが、イブキが移動中で連絡先を自分が知らないということもあったため、アズマに頼んでこのような通話の形となっていた。

 ちなみに、シンイチは自治会の業務があるらしく、リクヤはトモヒサの進捗具合を確かめるために翠風寮の方に行っている。

 そして、問題の人物であるアサクラ教頭はと言うと、バトルの直後に想定外のことを言われたのだった。

 曰く、初めて戦った時のことを謝らせて欲しい、今回の乱入はアズマ用務員との打ち合わせがあった(これは薄々気付いていた)、今後はガンプラ部のサポートに尽力したい、など。

 最初の部分については殊更に言及しており、ガンプラを作るのも操縦するのも今一つで、加えて性格の悪さなども()い交ぜになったコンプレックスを抱えていたと語る。ガンプラ部に対して羨望の気持ちもあって、あの時のことはそれらの裏返しだったらしい。教師失格だと言いながら泣き始めたときは、全員で必死に励ました。

 全身全霊のガンプラで気持ちよく敗北し、しかし立派なヒール役を全うして生徒の最大限を引き出せた今回のことで、吹っ切れることができたとも言う。小屋を後にする40代後半の中年太りの背中には、哀愁のようなものを感じた。

 ともあれ、密かに気にしていた懸案がさっぱりと解消されてほっとしている。同時に、彼のお陰で(結果論ではあるが)愛機との新たな世界を拓けたことで、疲れていながらも気持ちは晴れやかだ。

 

『そーいえば、昨日は演武大会だったんやってな!お疲れちゃん!』

「あ、ありがとうございます。あれ?どうしてそれを…」

『んっふっふ~、それは〇秘や』

 

 悪戯っぽい声が携帯電話から流れ出る。

 

『あ、そうや!』

「?」

 

 と、イブキは暫時の沈黙。

 

『えとな…ホウカちゃんの連絡先知りたいな~…思てンやけど~…』

「あ、そうですね」

『ええの!?』

「え…?ええ…」

『我が世の春ゥゥゥーーー!!』

「あ、でしたらトモに…カトー先輩の連絡先は」

『あ、それは遠慮しときます』

 

 ぴしゃり、と拒否されてしまった。

 ともかく、連絡先を伝える。電話越しに何やら嬉しそうな鼻歌が聞こえてきた。

 しばらく黙っていたアズマが、イブキに話しかける。

 

「イブキよ、一つ尋ねておきたい。例の件…お前は乗り気のようだとあの男から聞いているが、そうなのか?」

『あぁ~アレかー。めっちゃオモロそうやん?ワイはもう構想練ってあるで』

「ふむ、そうか…」

 

 何のことを話しているのかは分からないが、アズマが顎に手を添えて渋面を作っていることから、重要な内容らしい。気になるには気になるが、聞き出しにくい雰囲気があった。

 

『おっと、そろそろ電車来るわ。ほなまたな~』

 

 イブキはそう言い置き、通話が切れた。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 梅雨入り前の、乾いた風が会場前を通り抜ける。

 健やかに晴れ渡った青空の下、大勢の中高生がここに集結していた。

 

「そーいえばさ、この県の地区予選って他より三週間も早く始まるよね?なんで?」

「あ、私も気になるな」

 

 シマ・マリコ顧問の車に乗せてもらい、地区予選の会場があるこの街の地を踏む。ここはセント樫葉女子学園の地元でもあり、県内一の都会ということもあって会場の規模は中々の迫力だ。

 隣を歩くジニアが、色取り取りの制服姿の人混み(ほとんどが出場者だろう)を黄金色のぱっちりした両目で見回す。

 真っ赤なカーディガンを羽織り先導するマリコが、こちらの疑問に答えた。

 

「単純な話さ。ここは都会だけど、他の街は田舎同然だからね。開催するイベントがなくて、この会場が暇なんだよ」

「えぇー、そんな理由なんだー」

「と、いうのは半分冗談。もう半分の理由は、梅雨入り前の方がガンプラを完成させるのに最適なのと、学生達の期末試験の時期に合わせているんだよ」

「まだあるぞ。ここの地区予選はストイックでな、準決勝に残った4チームだけダメージレベルAだ」

 

 最後尾を歩くトモヒサが、補足を加えた。

 後ろに顔を向けて訊ねる。

 

「ダメージレベルAって、全国大会の規定だよね?」

「そうだ。全国に行く前に一度味わって覚悟を固めろ、という運営方針らしい。でもそれだと、ガンプラが大破した時の修復とかが大変だろ?それで、長くインターバルを取る必要も出てくる。そんなんで、シーマ様の言った理由も併せて三週間早いんだ」

「複雑なんだね…」

「お陰様で、去年は俺らもほとんど作り直しだったんだぜ?」

 

 高身長を見上げる形になって、トモヒサの苦笑を見た。

 と、マリコの声が。

 

「カトー、私が聞き流すと思ったかい?」

 

 やや棒読みの、空恐ろしい声音。

 途端にトモヒサから苦笑の表情が消え、野生の熊にでも遭遇したかのような鬼気迫るものへと変わった。

 そういえば、「シーマ様」と呼ばれるのをマリコは酷く嫌っていることを思い出す。常日頃からジニアがそう呼んでいるため、つい忘れがちになっていた。

 そうして一行は歩き、会場の入口前に立つ。

 

「さぁ、いよいよだ。気を引き締めていくぞ」

「うん」

「あいあいさー!」

 

 三者三様の言葉を交わし、入口を潜った。

 

 

 

 

 星空を覆い尽くす、青く輝く炎を胸に。

 

 遥かな宇宙(そら)、彷徨える光はガンプラに。

 

 熱き闘志を漲らせ、憧れの大地に立つ。

 

 そして今、曇りなき空の下を踏み出す。

 

 

 あの、場所へ。

 

 

 

   Act.13『画竜点睛Ⅱ』END





●登場ガンプラ紹介

・RFX-AGE03R ガンダムラナンキュラス改
 対『天照す閃光』にて深いダメージを負ったラナンキュラスを、キンジョウ・ホウカによるパーツ選定・ジェネレーター構成・粒子変容フィールドの新解釈を施した姿。
 前述の戦闘にて発覚した強度問題から、両腕をAGE-FXへ戻し(肩のみステイメンのシルエットを意識してAGE-1のもの)、さらにテールバインダーを排してクリアランスを確保している。これは、インファイトでの挙動を意識してのことで、基本的な推力は既存のもので事足りている/それ以上は不必要、という結論に至っていた。
 主武装は変わらずPファンネルを固定し、ドッズライフルに代わる複合兵装「ドッズトンファー」を新たに両腕に備えている。アズマ・ハルトが纏めたバトルスタイルの発注を受け、イブキ・アラタが見合った武器を選定したものであった。このドッズトンファーの前身となったのは、隣県の埼玉にある「清炎学園」に在籍していた、当時高校一年生の「ソウマ・ツバサ」、俗に"炎トライのツバサ"と呼ばれるファイターが生み出した複合武器「フェイダトンファー」である。イブキ・アラタが彼と交流があったのかどうかは、不明。
 稼働検証プログラム"百鬼夜行"とアサクラ教頭&ダナジン三頭による激戦を経て、ガンダムラナンキュラスは我が身を委ねたる主――キンジョウ・ホウカと共に大きく成長し、真の意味での"完成"を見た。
 ・兵装
 ドッズトンファー(ブレード/ドッズライフル)×2
 ビームサーベル(脹脛部)×2
 Pファンネル×4


・AMX-009A ドライセン・アサクラカスタム
 アサクラ教頭の全身全霊を込めて完成させたガンプラ。5キロの減量に成功し
 ドム・トローペンと同じくオリジナルのマイクロミサイルを内蔵し、新たにリック・ディアスの持つ「ランダム・バインダー」を装備する。トライ・ブレード接続部を利用しているため、この武装は撤去されている。
 また、両手の人差し指付け根に「トリモチランチャー」が装備されており、相手の拘束ができるほどに粘着性が高い。
 また、各関節部が強化されており、これはキンジョウ・ホウカと互角に戦えるように加工を施した結果である。それもすべて、生徒の全力を引き出すため。
 今回、アズマとの打ち合わせで「ヒール役脚本」なるものを準備しており、達者な喋りはこの脚本によるものらしい。
・兵装
 ビーム・トマホーク(ビーム・ランサー)×1
 内蔵マイクロミサイル
 トリモチランチャー×2


・EB-06rs グレイズリッター<一般機>
 "百鬼夜行"のプログラムにあるガンプラデータから再現されたもの。
 RESULT:トンファーのブレードで撃破。

・o-vva バクト
 同上。
 RESULT:胸を撃ち抜かれて撃破。

・o-vvf ガフラン
 同上。
 RESULT:Pファンネルで細切れにされて撃破。

・o-vvaf ダナジン
 プログラムに保管されていたダナジンを、作為的に出現させたガンプラ。
 戦術パターンは何故か捕食動物のそれであり、いつ、どこで、何のために組まれたデータなのかは一切不明である。
 RESULT:曇り無きラナンキュラスの供物とされ、撃破。


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次回、ガンダムビルドファイターズF
Act.14『遭逢、睥睨、地区予選』

「せっちゃん先輩はやめろって何度も言ってるだろ!」
 
 

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