ガンダムビルドファイターズF   作:滝つぼキリコ

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散りぬべき 時知りてこそ 世の中の
花も花なれ 人も人なれ

               ――明智珠


1幕・選手権編
Act.01 『月に叢雲、花に風』


 

 

――バシュ!バシュ!

 

 立て続けに発射された黄色い粒子の塊が、荒涼とした岩地を掠めながら空を切る。

 その標的たる青いモビルスーツ――アデルと呼称されるモビルスーツは、背部のバーニアを噴かせて巨岩の陰に身を隠した。

 直後、幾筋ものビームがアデルのいた岩場に着弾する。その地点が小さな竜巻のように砂を巻き上げ、点々と融解した。

 標的を仕留め損ねた紫色のモビルスーツ――ドラドは、細長いアイセンサーを光らせる。そして、テール状のビームライフルを背部に降り畳み、アデルの隠れた岩場へと飛び立った。

 掌部のビームバルカン発射口から、粒子変容効果でサーベルとして形成されたビームが飛び出る。

 ドラドは、岩場の陰に飛び込んだ。

 

「ッ!?」

 

 が、その寸前でビームサーベルが投擲される。

 危うく、ドラドはそれをサーベルで弾いた。

 間髪を入れず、アデルが巨岩の陰から飛び出し、ドラドを押し倒す。右手に構えるドッズライフルがドラドの腹部に宛がわれ、頭部前面を覆う青いカバーの奥から、ツインアイの輝きがドラドを睨みつける。

 

「させるか!」

 

 咄嗟に、ドラドがアデルを蹴り上げた。

 直後、ドッズライフルのマズルから螺旋状に集束したビームが放たれる。しかし、それは標的を貫通することなく地面を穿った。

 機体を横転させてドッズライフルの銃撃を回避したドラドは、翼部のスラスターを噴かしながら立ち上がり、更に地面を蹴って飛び退いた。

 蹴り上げられたアデルは空中で体を起こし、バーニアを噴かせてドラドに追い縋ろうとする。

 対するドラドも、再びビームサーベルを発生させて地面を蹴り込んだ。

 

「そこまで!」

 

 突然、声が響き渡る。

 アデルは、ドッズライフルの銃口をドラドの頭部に。

 ドラドは、ビームサーベルをアデルの脇腹に。

 互いに決め手となる寸前の形で凝固した。

 

『Over the time limit. BATTLE END!』

 

 電子音声が、バトル終了を告げる。

 すると、周囲の岩地と青空が緑色の微細な粒子となって分解していき、硬質なフィールド面が姿を現す。同時に、二人のファイターを囲っていたホログラムの操作コンソールも消滅した。

 

「ふー…ちょっと本気出し過ぎじゃねぇか?」

 

 少年、と呼ぶには大人びた雰囲気の男子学生――カトー・トモヒサが、息を吐いてアデルを操作していた相手へと話しかける。

 

「え?そんなことないと思うけど」

 

 艶やかな黒髪を二房に結い上げ、後頭部で纏めている少女――キンジョウ・ホウカは、トモヒサを見て小首を傾げた。

 二人共、紺の生地に白が映える独特の制服に身を包んでいる。

 

「へぇ、言うじゃねぇか。悪いけど、オレは手加減したつもりだぜ?」

 

 トモヒサはそう言いながらフィールドに歩み寄り、凝固するドラドをアデルから引き離した。

 

「そうだよキンジョウ、スパーだと言ったろう。何事も全力なのは良いが、緩急というものを学びな」

 

 赤いジャージに袖を通さず羽織る女性教員――シマ・マリコが、流麗な黒髪を揺らしながら腕を組んでホウカを見遣る。

 

「はい」

 

 ホウカは、真っ直ぐにマリコの目を見て返事をした。

 

「よろしい」

 

 それに対して深く頷くマリコ。

 

「…時々よぉ、ガンプラ部だってことを忘れそうになるぜ」

 

 トモヒサは生徒と教員のやりとりを見て苦笑いを浮かべた。

 

 

 

――ガンプラバトル。

 それは、本来動くことのないガンダムのプラモデル―通称"ガンプラ"を、思いのままに動かすことのできる画期的・先進的な競技。

 

 20年前のことである。

 PPSE社と言う謎の企業が、プラスチックに反応して流体化するという粒子物質「プラフスキー粒子」を発表した。同時に、プラフスキー粒子の特性を応用したガンプラバトルも世に打ち出し、この競技は瞬く間に世界中へ普及していった。

 これによりガンプラは空前の大ブームを巻き起こし、世界中でガンプラバトルが行われるまでに至る。

 小さな企業だったPPSE社は、ガンプラバトルに関する技術の全てを独占することで、世界規模の巨大企業へと成長した。また、社が育成したガンプラを操作する選手「ガンプラファイター」や、数々のパテントを保有することで、その地位を揺るぎないものにしていた。

 

 しかし、10年前に開催された「第7回ガンプラバトル選手権世界大会」において、プラフスキー粒子が暴走するという事件が勃発。アニメに登場する「宇宙要塞ア・バオア・クー」を作り出し、会場を半壊させてしまった。

 この事件は、参加していた選手達の働きによって終息したが、プラフスキー粒子の生成が不可能になるという原因不明の副次被害を生んでしまう。

 PPSE社側は頑なに真実を公表しようとせず、「マシタ」と呼ばれる経営責任者が謎の失踪をするという事態も発生したことで株は暴落、倒産も危ぶまれた。

 

 これを解決へと導いたのが、同世界大会の出場者でもある物理学者「ニルス・ニールセン」だった。

 彼は、衛星軌道上のISS内ラボで粒子の独自生成に成功し、これを「新プラフスキー粒子」と名付けて発表した。

 そして、件の事件によって事実上の倒産に追い込まれていたPPSE社も、彼のスポンサーである「ヤジマ商事」が技術やパテントなどを引き継ぐことで同商事の傘下となり、倒産の危機は回避される。

 ガンダムという作品の魅力だけでなく、こうした紆余曲折を経て、ガンプラバトルは今日の人気を得ているのだ。

 

 

 それから10年。

 新たな節目の年に、新世代の子供達が、青き粒子の中でその花を咲く――

 

 

 

「具合はどうだい、キンジョウ?」

 

 羽織るジャージの下は白いシャツにタイトなスカートという、いかにも女性教師然としたマリコが、横に立って話す。

 

「…射撃系はまだ戸惑ってしまいますけど、何とか」

「うん、その内慣れるだろうさ。見込んだ通りならね」

 

 そう言って、その手がホウカの肩を叩いた。

 学校法人私立英志(えいじ)学園。

 華々しい功績を残してきた、名立たる著名人達の母校として知られる名門である。その創設は古く明治にまで遡り、文明開化の夜明けと時を同じくして、新たな世代の教育に心血を注いできた歴史を持つ。

 後に、外国から流入してきた競技スポーツ等の体育系を主眼に置くようになるが、変わらず方々に手を伸ばした教育根幹は揺らいでいない。また、学部も高等部と大学部に分けられ、生徒達の希望によって自由な進路選択ができることも特徴の一つであった。

 キンジョウ・ホウカとカトー・トモヒサも、この英志学園で学んでいる生徒である。

 この日は、平日の火曜日。ガンプラ部員である二人は、バトルシステムが設置されているログキャビンでマリコの監督の下、模擬戦をしていた。

 バトルシステムが狭い部室に収まらないという理由らしく、学園側の配慮として、今は使われていないログキャビンを提供されている(かれこれ三年は使い込んでいる、とトモヒサの談)。

 木造の香りが漂う中で模擬戦を終え、三人は部室に戻っていた。

 

「この間のゼフィランサスは酷かったよなぁ、武装全部誤爆して挙げ句にゃ殴り合いときたもんだ」

 

 先程使用していたドラドを棚のケースへ収納しながら、トモヒサがケラケラと笑う。

 

「むぅ…この間の話はもうやめてって言ったでしょ?」

 

 ホウカは頬を膨らませた。

 一昨日の醜態を引き合いに出すのは、もうやめてほしいと念を押したはずだった。

 彼の愛機が使ったビームサーベルに押し切られ、バズーカやミサイルポッドを装備したゼフィランサスを誤爆させてしまったことを思い出す。

 砲撃戦の練習だったが、あれは練習にすらなっていなかった。

 

「カトー、あんたもだよ。先を予測しないと、さっきみたいに奇襲されてお終いだ」

 

 思い出し笑いか、またくすくす笑い出すトモヒサにマリコが叱責を投げた。

 トモヒサは咳払いを一つ、二人に向き直る。

 

「了解っス。しかしですよ、オレの領分は援護砲撃。ドラドじゃ、そもそも機体特性が違い過ぎなんですよ」

「キンジョウは慣れない機体でかつ徒手を使わずに白兵戦を遵守した上であの動きだったな」

「……返ぇす言葉もねっス」

 

 マリコの的確な指摘に、トモヒサは二の句が告げないようである。

 ふと、マリコが腕時計を確認した。

 

「じゃあ、私は職員会議があるから。月末の練習試合に備えて、準備しておくんだよ?」

 

 時間を確認したマリコは、二人に念を押して踵を返す。

 

「はい、先生」

「うぃッス」

「よろしい」

 

 応じる二人へと、腕を組んで頷き返すマリコ。そして赤いジャージの袖を翻し、部室を後にした。 

 英志学園のガンプラ部は、三年前に設立されたばかりである。

 部員は四名。その内訳は、一年生のホウカ、二年生がトモヒサともう一人。そして三年生は居らず、大学部の生徒が一人いるのだ。

 しかし、この大学部の部員というのは、現在のところ殆ど部員として活動することはないらしく、実質的な最年長であるトモヒサが部長を勤めている。

 今や、世界中を席巻するほどの人気を誇っているガンプラバトルの部活動にしては、極端に部員が少ないとホウカは思っていた。しかし、自分を含めたこの学園の生徒達を考えると、ガンプラ部に入部する人が少ないのも頷けるか。

 

「アデルはどうだったよ?お前、確か好きだっつってたよな」

 

 収納棚に向かっていたトモヒサが、あちこちからかき集めてきたパーツ類の収納されるケースを持ち出してくる。

 テーブルを挟んで、ホウカの正面の椅子に腰かけた。

 

「うん。色が綺麗だし、シンプルで使いやすいよ」

 

 テーブルに置かれたアデルの頭を、指先で触る。

 説明書通りの素組みに、スミ入れと半光沢のトップコートのみで仕上げられた、シンプルなガンプラである。青いカラーリングの、所謂「ディーヴァカラー」版だ。

 その右手には、簡素な作りの、故に洗練されたデザインであるショートバレルのビームライフルが握られている。腕に固定されるような大きな台尻が目立つ。

 

「このドッズライフル、手応えは良いんだけど、ちょっと難しい気もするね」

「まぁ、な。確かにお前のスタイルは射撃戦向きじゃねぇよな」

 

 トモヒサは言いながら、相槌を打つ。

 確かに、アデルの持つドッズライフルと呼ばれるタイプは、他にない手応えがあるのを理解できる。銃身が台尻によって腕に固定されることで射撃が安定し、「DODS(ドッズ)効果」という独自の設定により貫通力を強化させた特殊なビームは、重みのある語感を裏切らない威力を発揮した。

 とは言っても、慣れるにはもう暫くの時間と経験を要するだろう。

 おもむろに、トモヒサはケースを開いてその中をまさぐった。そこからパーツを一つ取り出し、こちらへ差し出す。

 

「なら、こんなんはどうだ?ダブルオーガンダムの武器なんだが、いわゆるガンブレイドってヤツ」

「あ、何となくわかるかも」

 

 ホウカはそれを受け取ると、手元で動かしてみた。

 ダブルオーガンダムは知っている。以前に視聴したアニメの戦闘シーンはとても印象的であり、射撃より実剣とビームサーベル類で接近戦をする戦闘スタイルは興味を唆った。

 

「これ、使ってみたいな」

「まぁ物は試しだ、この辺の武器持って、この後やらねぇか?」

 

 親指を立てた拳をクイクイと振って、廊下の方を示すトモヒサ。

 ホウカは頷きかけたが、「あっ」と言って立ち上がった。

 

「ごめん、この後乱取があるんだった」

 

 ばつの悪そうにトモヒサを見て、両手を合わせる。

 

「あー、そうか。しゃーなしだ。また今度にしようぜ」

 

 しかし、トモヒサは頷いて笑いかけた。

 

「うん、ほんとにごめんね」

「いいっていいって、お前に合いそうなモン考えといてやるから、部活に専念してこいよ」

 

 手をひらひらさせるトモヒサ。

 ホウカは頷くと、白地に青いラインが映えるボストンバッグを肩にかけた。

 

「じゃあ行ってくるね、トモにぃ」

「ぶっ…!その呼び方はやめろって何度も…!」

 

 思わず噴出するトモヒサ。こちらを見遣ろうとするが、ホウカは既にドアの向こうだった。

 

「…ったく、もうそんな呼び合いする歳じゃねぇだろ」

 

 ホウカはトモヒサの嘆息を耳にしながら、くすくすと笑う。そして部室を後にしながら、その表情を思い浮かべる。

 からかわれた、さっきのお返しだ。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 白い胴衣に紺の袴を着る生徒達が、それぞれ帰宅の準備を始める。

 この道場は、古武道部の活動の場である。ホウカも、周りと同じように帰宅の準備を始めた。

 ホウカにとって、本来はこちらがメインの部活動である。

 つまり、掛け持ちでガンプラ部に入部しているのだった。

 

「ふぅ…」

 

 薄らと額に浮かぶ汗を拭うホウカ。

 中学校三年生の時である。小さい頃から習っているとある古武術の経験を活かし、全国古武道演武大会に出場したのが全ての始まりだった。

 女子個人戦。披露したのは、主に柔術を中心とした護身技。さらに、習っていた古武術の技も幾つか絡めた。すると、それらが審査員達の興味を大変引いたようであり、流動的な動作の切れや淀みのない体捌きだと評価され、判定に大きく反映されたのだ。

 結果、栄えある舞台で優勝を勝ち取ったのが、去年の夏のことである。

 そのニュースは、本来大きな話題として古武道を取り上げることのないスポーツ誌でも、大きなニュースとして一面を飾ることとなった。それまで明確な希望もなく進路に悩んでいたホウカは、不意にその道が明るく照らされたのだ。

 それと時を同じくして、古武道を強化し始めていた英志学園にも報が届き、半ばヘッドハンティングのような形で英志学園への進学を果たした。

 人生、何が起こるか分からないものだ。

 

「どうだ、調子は?シマ先生から聞いたぞ、あっちでも上手いことやってるみたいじゃないか」

 

 スポーツドリンクを飲んでいたホウカに、胴着の上からでもはっきりと見て取れる筋肉質な顧問教師―イワクニ・ブライアンが話しかけてくる。

 ドリンクのキャップを閉めて、彼に向き直った。

 

「はい、何とか。今は色々と教えてもらっているところです」

「それは何よりだ。シマ先生は厳しいだろー?あれで社会史なんだからなぁ」

 

 そう言って快活に笑うブライアン。幅広の顔面がさらに大きく見えるようだ。

 

「でも、的確に助言を下さるので助かってますよ」

「その分、ガードは固いけどな!」

 

 またも声高に笑う。ホウカも思わず笑みを溢した。

 

「ま、部活に支障がなけりゃ俺は問題ないと思ってるからな。教頭先生が小うるさいと思うが、あんま気にするな」

 

 それじゃあな、と残してブライアンは男子学生達の元へ歩いていく。

 その短く刈り込まれた金髪と広い背中を見ながら、頭を下げた。

 この部活には男性と女性、二人の顧問がいる。しかし、女子部員を担当しているカンベ・アリサが会議に出ているため、男性顧問のブライアンが今日の古武道部全体を監督していた。

 部活動を掛け持つ自分へ、二人の顧問はこうして気をかけてくれている。ブライアンの言う通り、教頭先生の視線は痛い部分もあるが、気にしないように心がけていた。

 

 

 その後、胴着から制服に着替えたホウカは、道場を後にする。

 広大な敷地を保有する英志学園には、10にも及ぶ施設がある。体育館も第1~第3と分けられており、充実した施設が完備される。

 通い詰める道場は高等部校舎に隣接する3号館にあり、こちらも申し分のない広さだ。ガンプラ部はそこから最も離れている5号館にあり、使われていない空き部屋とログキャビンを利用していた。

 3号館と校舎を繋ぐ渡り廊下を、ホウカは歩く。

 その中程にあるグラウンドへの出口の柱に、トモヒサが背を預けているのを見付けた。

 

「よぉ」

 

 トモヒサも気付いたようで、こちらへ向かって右手を上げる。

 

「待っててくれたの?」

「待つって程でもねぇよ。どうせオレも、キリのいい所まで終わらせるつもりだったしな」

 

 時計の針は、既に18時を回っていた。

 夏至には早いが、五月の上旬のこの時間はまだ明るい。しかし帰路を歩く内には、日も暮れてしまうだろう。

 

「まぁ、部の先輩としての責任ってやつ?」

 

 ハハ、と軽く笑い飛ばしながら革の鞄を肩に回し、渡り廊下を出てトモヒサが先導する。

 

「えー?トモにぃがー?」

 

 ホウカも笑いながら、トモヒサに続いてグラウンドに出る。

 ちょっとした離着陸場ほどもあるグラウンドに、生徒の姿はなかった。運動部が多くある学園だが、この時間になればほとんどの生徒が帰宅している。

 

「道場に入ればよかったのに」

 

 トモヒサの右側を、少し間を空けて歩く。

 校舎は小高い丘に位置するため、遠く霞んだ山々の裾野がグラウンドから見通せた。

 

「ん?あぁ…すぐ出てくるだろうって思ってな。オレは部外者だから、そう出たり入ったりは良くねぇだろ?」

「大丈夫だと思うけどなぁ」

「…再確認するようだが、オレは一応ガンプラ部の部長なんだぞ?」

 

 小首を傾げるホウカに、トモヒサが呆れたように言った。

 そうしている内にグラウンドの幅広いコンクリートの階段を降り、長い舗道に出る。

 何組かの生徒を見かけるが、その数もまばらである。

 

「そうだ、選手権用の機体なんだけどよ」

「うん」

 

 舗道を歩きながら、トモヒサが話題を振ってくる。

 

「ファンネル…つまり、遠隔武器みたいなモン。そういうのはどうだ?」

「ファンネル……あ、AGE-FXにもあったよね?」

 

 ホウカは、少しの間考えてから思い出したように人差し指を立てる。

 トモヒサも応じて頷いた。

 

「ああそうだ。ファンネルっつっても細かく分けるとややこしいんだが…まぁ、今はそれでいい」

 

 と、トモヒサは断りを入れ、ポケットからスマートフォンを取り出す。

 そして、一枚の写真をホウカに見せた。

 

「これはな、Hi-νガンダムヴレイブって言って、あの三代目メイジンが子供の頃に使っていたガンプラだ」

 

 その写真には、白と青の映える機体が写っていた。

 宇宙のフィールドだろう、星が散りばめられた背景を背にして、四枚の板状ユニットが円を描いて本体の周りに滞空している。

 ホウカは、スマートフォンの画面に映る写真を覗き込んだ。

 

「綺麗…」

 

 機体の周囲に整列する板――フィン・ファンネルと、炸裂するビームの輝きに思わず魅入る。

 その様子を見てか、トモヒサも頷く。

 

「さすがメイジン・カワグチってとこだよな。俺じゃこんな魅せるような戦い方はできねぇよ」

 

 そうして、トモヒサはスマートフォンを制服の上着のポケットに戻した。

 

「今見てもらったやつはフィン・ファンネルだ。AGE-FXのとは毛色が違うが、オールレンジ兵器という点じゃ大きな違いはねぇ」

「私に使えるかな?」

 

 少々不安げに訊ねる。

 まだこの手の武器は扱ったことがないが、遠隔武器という字面だけでも難しそうに感じた。

 対して、トモヒサはニヤリと笑い、

 

「"やってみなくちゃ分からない"。お前の座右の銘じゃなかったか?」

 

 即座に返して、悪戯っぽく笑ってみせた。

 思わず「うっ」と零してから、恥ずかしげに身を縮こまらせる。

 

「インタビューの話はやめてってばー…」

 

 トモヒサの言う座右の銘とは、ホウカが優勝した時に受けたインタビューのことだ。当時のスポーツ誌に大々的に掲載され、座右の銘を訊かれた時に答えたものだった。

 こういうところが、彼の悪い癖だ。

 

「ハッハ、悪ィ悪ィ。でも実際やってみなけりゃ分からねぇし、お前の判断力と集中力ならイケると思ったんだぜ?」

 

 謝って軽く笑い飛ばしながら、しかしトモヒサは称賛の言葉をかけてくる。

 こういうところは、彼の良い面だ。

 

「射撃戦が苦手なら、両腕をフリーにしながら空間戦闘のできるファンネルやビットもアリって思ってな」

「空間戦闘…」

 

 トモヒサの言葉をしっかりと聞き、自分のバトルフィールドでの立ち回りを思い出す。

 

「相手してて思ったんだけどな、もっと動きたい、もっと体を使いたいっつー気持ちが伝わってくるな」

「マリコ先生は、私の徒手空拳をしたがる癖を抑えて、白兵戦を練習しろって言ってたよ?」

「でも、お前の本心はそうじゃない。違うか?」

 

 トモヒサの指摘に、言葉を継げない。

 

「勿論、モビルスーツ戦には慣れておいた方がいい。でもな、もっとお前の持ち味を活かすべきだとオレは思うぜ。ガンプラバトルはそれができる競技なんだからな」

「…うん」

 

 頼もしくも優しい言葉に、ホウカも自信に満ちた笑顔で返した。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 校舎のある丘から舗道を通じて少し降りた場所に、英志学園の学生寄宿舎「翠風寮」はある。

 南棟、中棟、西棟からなる学生棟、そして食堂棟と管理棟で構成される木造の建物である。

 自然の豊かな土地に合わせ、木々に囲まれた古式ゆかしい学生寮だ。

 

「…あれ、ちょっと違うかな?」

 

 女子寮の自室で、取扱説明書とにらめっこをするホウカ。

 パーツを図と照らし合わせながら、ようやく反対に取り付けていることに気付いた。足を左右反対で股関節に取り付けていたのだ。根本から引っこ抜き、改めて差し替えてみると図の通りになった。

 最後に武器パーツを組み上げ、腰のマウントラッチに嵌め込む。

 

「うん、これで完成。…多分」

 

 完成したガンプラ「HGガンダムAGE-1スパロー」を机に立たせ、再度説明書を確認する。作り残しはないようだ。

 初めて自分で作ったガンプラを前にして、小さな感動に胸が高揚するのをホウカは感じた。

 実のところ、ガンダム作品についてはそれ程造詣は深くない。小学生の頃に再放送されていた「機動戦士ガンダムAGE」を見ていたくらいだ。ガンプラバトル自体は、師と仰ぐ人物からの指示によって稽古の一貫として経験しているが、当のガンプラは作ったことがなかった。

 しかし、選手権に出場することになり、操縦だけでなくガンプラそのものの理解を深めたいと思ったのが購入のきっかけである。

 

(トモにぃは、作ったら飾るだけじゃなくて動かしてみるといい、って言ってたっけ)

 

 模型店に同行してくれたトモヒサのアドバイスを思い出し、スパローを手に取る。

 曰く、実際に動かしてみると関節構造や可動範囲が理解できるらしい。ガンプラを動かさず、ディスプレイで楽しむのも一つの趣向だが、ホウカの場合はガンプラバトルという目的があるため、動かしてみるのが最適であると言う。

 実際、このガンダムAGE-1スパローはホウカも好みのモビルスーツであった。再放送当時、スリムなスタイルとシグルブレイド一刀のみで戦う姿に惚れ込んだ記憶が、今も薄れていない。

 

「あ、すごい。こんなに動くんだ…」

 

 腕を曲げてみたり、腰を捻ってみたり、少し慎重気味に動かしてみる。次第に扱いにこなれていき、大胆なポージングをさせて満足げに微笑んだ。

 まだ他にも色々できるのではないかと、新たなポーズをさせようとした時。

 

『~♪』

 

 スマートフォンからメールの着信音が鳴った。

 画面をタップし、メールボックスを開く。送り主はトモヒサだった。

 

『よ。まだ起きてるか?寝てたら悪い。帰りの時に言ってたファンネルのことなんだが、ピッタリのガンプラを用意できそうだ。明日そのことで改めて話す。じゃ、おやすみ』

 

 と、飾り気のない文面がメールに打ち込まれていた。

 

「えっ、もうそんな時間…」

 

 時計を見ると、既に22時を回っていた。

 早朝のランニングが日課となっているため、この時間になったら就寝するつもりだった。しかし、つい熱中しすぎてしまい時間を忘れていたらしい。

 トモヒサに返信するため、メールを打ち込む。

 

『まだ起きてたから大丈夫だよ。ガンプラの件、了解。おやすみなさい』

 

 簡素な文面で返信した。

 級友に対してなら顔文字など使い、もう少し気を利かせるのだが、トモヒサがそういう性格ではないことを承知している。彼に合わせて、メールの内容をさっぱりしたものにしていた。

 

「あ、片付けないと…」

 

 机の上に取扱説明書を広げたままで、工具やランナーなどそのままだ。残しておけない性格から、就寝前に後片付けを始めた。

 やがて片付けが終わり、スパローを鉛筆立ての横に立たせておく。妙に愛らしい姿にくすりと笑った。

 そしてパジャマに着替えたホウカは、ランニングのためにスマートフォンの目覚ましを6時に設定して、ベッドに潜り込む。

 消灯して布団を被ったホウカは、バトルへ想いを馳せながら目を閉じた。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 この日の放課後は、マリコの指示でガンプラ部の活動を優先していた。

 トモヒサが、ホウカにファンネルを使うガンプラを作ると伝えたところ、マリコがそれを聞きつけたのだ。それならばプラフスキー粒子を理解することだと、こうしてマリコの講義が始まったのである。

 

「以上がプラフスキー粒子の概要だ。理解したかい?」

 

 マリコが部室に置いている本「新訳プラフスキー粒子論/著:ヤジマ・ニルス」を教材に、ホウカとトモヒサは講義を受けている。

 この本は、新プラフスキー粒子を独自に生成することに成功したヤジマ・ニルスによる著書だ。旧姓は「ニールセン」だが、彼がヤジマ商事の専務であるヤジマ・キャロラインと結婚して婿入りしたため、現姓で執筆したものである。

 出版されたその年のベストセラーでもあった。

 

「…大丈夫、だと思います」

 

 ホウカは本のページを捲りながら、難しい顔をして返事をした。

 ダークブラウンのドレッドヘアーをうなじでひと束に結う、若き天才物理学者の写真が目に入る。テレビなどで何度も見たことのある姿だが、今の自分より若い時期には既に博士号を授与されていたというのだから、天才の存在というのも架空上ばかりではないと思い知らされる。

 

「お前、こういう科学の話は苦手だもんな」

 

 隣の席で、頬杖をつきながらパラパラとページを繰るトモヒサが言う。

 マリコは頷いて語を次ぐ。

 

「ガンプラがどのような仕組みで動いているのかを理解すればいい。ファンネルを使う予定なら、なおのことさ。まぁ、やっていく内に分かるだろう。経験に勝るものはないからね」

「…はい」

 

 ホウカは頷きながらも、ふぅ、と息を吐いて本を閉じた。

 

――コンコン

 

 それと同時に、部室のドアをノックする音が聞こえた。

 そのままこちらの反応を待たずにドアが開かれ、部室に入ってきたのは、黒い手提げ鞄を持った中年太りが目立つアサクラ教頭だった。

 

「これは教頭先生、何か御用で?」

 

 マリコが真っ先に声をかける。その声音はどこかトゲのあるものだ。

 ホウカは、内心で身構えた。トモヒサも警戒しているようで、何も言わずにアサクラの言葉を待つ。

 

「シマ先生、ご苦労様ですな。こんな部の顧問を務めるのはさぞ大変でしょう」

 

 そんな部の空気を察してか、アサクラも挑発的な態度で言った。

 学園の運営や各種大会などの敏腕が光る教頭であるが、高圧的な態度と融通の利かない性格も有名であり、生徒から頼りにされる反面好まれる存在ではない。ホウカがガンプラ部に入部した時も、アサクラによる反発が強かった。

 マリコが何かを言い返そうとすると、トモヒサが席を立って苛立ちを隠そうともせずに言い放つ。

 

「教頭先生、まさかそんな世間話をするために来たワケじゃないですよね?」

 

 アサクラはハッと笑った。

 

「相変わらずだねカトー君は。確かにそんな話をするために来たわけでも、君に用があるわけでもない」

 

 明らかな逆撫でにトモヒサは言い返そうとするが、その厚ぼったい瞼の奥の目がホウカに注がれた。

 

「キンジョウ君、そろそろ演武大会が控えてるんじゃないかね?こんな所で油を売ってないで、部へ行ったらどうなんだね?」

 

 険しい視線をホウカに送るアサクラ。

 様々な分野を学ぶ生徒を指導する側として、彼の言い分は尤もである。部を掛け持つことの難しさをよく分かっているホウカは、上手く言い返す言葉を見付けられなかった。

 トモヒサが見かねて前に出ようとするが、それをマリコが腕を横に出して制する。

 

「教頭先生の仰る通り、教員として同意することではあります。では、こうしましょう」

「ほう?」

 

 アサクラは言ってみろとばかりに分厚い胸を反らす。

 

 

「簡単なことです、ガンプラバトルでキンジョウの実力を証明させます。勿論、教頭先生が相手で」

 

 

「なっ!?」

「ッ!」

 

 堂々と宣言したマリコに、トモヒサとアサクラは驚愕する。

 トモヒサは慌てて、マリコに言い寄った。

 

「先生、そんなの教頭が受けるわけ…」

「教頭先生、今日も持ってますよね?」

 

 しかしマリコは、それを無視して涼しい顔で言った。

 アサクラは、暫し目を泳がせて何かを言おうと口を開いていたが、やがて観念したように項垂れ、手提げ鞄を開いた。

 そして、取り出されたのは黒と紫に塗装されたガンプラが一つ。肩とコクピットハッチが赤いことから、主にガンダム0083などに登場する「ドム・トローペン」のようだと分かった。

 

「「……えぇ!?」」

 

 それを見たホウカとトモヒサは、目を丸くして驚く。

 

「シ、シマ先生、いつから私がこれを持ち歩いていると…?」

 

 アサクラも、先程までの態度が嘘のようにおどおどする。

 

「分かりますよ、同じガンダムバカならそのくらい。で、如何です?」

 

 ぐっ、と押し黙るアサクラ。

 しばらく黙っていたが、やがて鞄を放り捨てた。

 

「そ、そうだ!ここには灸を据えるために来たのだ!この私が、若造に戦いの厳しさを教えてやろう!」

 

 ドム・トローペンを片手に持ちながら、アサクラはホウカを指差して演技臭く宣言した。少し必死な様子で、マリコに見抜かれていた恥ずかしさからか顔が紅潮している。

 

「あの教頭が…」

 

 トモヒサは笑っているのか呆れているのか、微妙な表情をする。ホウカも、アサクラ教頭のこんな姿を見たのは初めてだった。

 困った状況になってしまい、マリコに救いを求めようと視線を送る。

 マリコは、微笑みながら頷いた。

 

「存分に暴れな、ルーキー」

 

 その言葉を聞き、ホウカは目を閉じた。

 ガンプラ部に入部して、一ヶ月。その間に練習したことが、ここで試されるということになる。

 背中を押してくれる人達のためにも、確かな姿を示さなければならない。トモヒサとマリコ、そして眼前の教頭先生にもだ。

 丹田に力を込め、ふー、と深く息を吐く。

 常のように、精神統一。

 

「はい!」 

 

 気合充分、精一杯の声で応えた。

 

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 

 小屋へ移動し、マリコがバトルシステムを起動させた。

 

『GUNPLA BATTLE. Combat mode, start up』

 

 静かな起動音と共に、妙に抑揚のある電子音声が発せられる。

 

『Mode damage level, set to "C". Please, set your GPbase』

 

 ホウカはそれに従い、ユニットにGPベースを接続した。

 

『Beginning, "PLAVSKY PARTICLE" dispersal』

 

 液晶にライトブルーの文字が表示され、プラフスキー粒子が散布される。

 

『Field1, "SPACE"』

 

 粒子がシステムの指示を受けて変容し、宇宙空間を形成。戦艦やモビルスーツの残骸など、宇宙ゴミが無数に漂うデブリ帯だ。

 そして、青く輝くヘックス型の盤面に向かうホウカの周囲を、ホログラムの操作コンソールが取り囲む。

 

『Please, set your GUNPLA』

 

 続いて電子音声がガンプラの用意を促し、ホウカはそれに従って花のような後ろ姿が印象的な白いガンプラ――GP03ステイメンを、GPベースの接続されているユニット台に置いた。

 プラフスキー粒子が機体へ浸透し、ステイメンが顔を上げてツインアイが輝く。その周囲にも、アニメのようなカタパルトデッキが再現される。

 

『BATTLE START!』

 

 そして、電子音声が開戦を告げた。

 

「キンジョウ・ホウカ、GP03ステイメン、行きます!」

 

 出撃を宣言するとカタパルトが滑走し、ステイメンが射出された。

 腰部背面に備えるテールバインダーのバーニアを噴かし、勢いよくフィールドに躍り出る。

 武装はビームライフルと、肘のアーム及びハードポイントの二点で保持するフォールディングシールドを携帯している。

 ステイメンは、トモヒサの制作によるガンプラだ。彼から「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」を勧められ、視聴したところすっかり魅了されてしまったのだ。

 その時に気に入った機体が、このステイメンである。

 

「アサクラ・ミツオミ、ドム・トローペン、出るぞ!」

 

 対するアサクラも、宣言と共に機体を発進させた。

 宙域を進みながら、ホウカは索敵を行う。マリコから指導された白兵戦の基本を思い出し、まずは敵機を確認しようとする。しかし、宇宙世紀のフィールドらしく、アニメでミノフスキー粒子が散布された時と同様の効果が起こっている。レーダーの利きが悪い。

 公式の選手権などでは、基本的にミノフスキー粒子などの設定はOFFにされており、細かな索敵は専用の改造をガンプラに施さない限り、適用はされないと聞かされている。

 だが、このバトルではアニメさながらの実戦仕様がON設定となっている。マリコが設定したのだろう。

 

「目視でも確認…」

 

 ステイメンのツインアイを介して、フィールドを注視する。

 そして、不鮮明だがレーダーが反応。アサクラもこちらを捉えているらしく、2kmほど先から真っ直ぐに向かってきていた。

 それならば、とビームライフルを両手持ちにする。

 初撃に備えようとフォールディングシールドを開いた途端、アラート音が鳴り響き攻撃を報せた。

 

「ッ!」

 

 ムサイ級らしき巡洋艦の残骸の向こうから、弾丸が二つ飛び出してきた。ドム・トローペンが携帯しているラケーテン・バズのものだ。

 ホウカは焦らず反応し、開いたフォールディングシールドでそれを受ける。着弾の衝撃でステイメンが後退するが、スラスターの噴射で留まった。

 さすがはトモヒサ製のシールドだ。バズーカの直撃を受けても傷一つ付いていない。

 

「見つけたぞ!ガンダム!」

 

 アサクラの通信が届いた。

 しかしそれには返さず、迫る機影に向かってビームライフルをニ射、放つ。

 それを難なく交わしたドム・トローペンは、ラケーテン・バズを構えた。

 

「小癪な。だが当てられなければッ!」

 

 アサクラは言いながら弾丸を放ち、機体を横に滑らせる。

 ホウカも同じようにステイメンを横滑りさせ、モビルスーツの残骸の影に隠れてラケーテン・バズの砲撃をやり過ごした。そして爆煙に紛れながら飛び出し、デブリの間を縫うように飛び抜ける。

 アサクラは反応が遅れたようで、機影を探していた。ドム・トローペンのモノアイが縦横に動き回る。

 ホウカはラケーテン・バズを構えるその右肩に、ビームライフルの照準を合わせてトリガーを引いた。

 

「上かッ!?」

 

 直後、アサクラがこちらの所在に気付くと同時にビームが直撃し、ドム・トローペンが爆発に煽られる。重モビルスーツはすぐに下へ回避し、二次被害は免れたようだった。

 一先ず、上方からの狙撃は成功だ。

 アサクラは「ちぃ!」と舌打ちしながら、グリップを投げ捨てて機体を発進させる。

 

「シマ先生の指導のお陰か、カトー君の技術か…それとも君自身の実力とでも言うのか?いずれにせよ、伊達でガンプラ部に入ったわけではないと言うことだな」

 

 アサクラがドム・トローペンを横に滑らせながら、長い口上を喋った。いかにもアニメの敵勢力らしい台詞がとても似合っている。

 追走するホウカは、しかし深追いせずに隙を窺いながら返す。

 

「ありがとうございます…?」

「ふん、だが私を甘く見ないで欲しいものだ……ね!」

 

 そうアサクラが言った瞬間、ドム・トローペンの胸部装甲が開いてマイクロミサイルが発射された。

 ホウカは驚き、ステイメンに制動をかける。不揃いな軌道で迫ってくるミサイルに対して、ビームライフルでの応戦を試みたが、数発を撃ち落としただけだった。逃れようとステイメンを発進させる。

 それを見ていたトモヒサが、驚愕の声を上げた。

 

「ミサイルを仕込んでた!?」

「やるね、教頭先生」

 

 同じく観戦するマリコも、思わず唸る。

 アサクラのドム・トローペンは、一見するとセオリー通りのガンプラに見えるが、バトル用にオリジナルの改造が施されているものだった。

 胸部に内蔵されたマイクロミサイルだけでなく、本来は砂漠・熱帯用の機体であるが宇宙空間にも対応できるよう、推進器も強化されているようだ。ミサイルの命中精度も高めてあるらしく、残骸を器用に交わしながらステイメンを狙っている。

 いい腕を持つビルダーが手塩にかけて作ったガンプラを使うという図式は、単純ながら、故に驚異的。

 

「ッ、…だったら!」

 

 だからと言って、負けてはいられない。

 ホウカは避けきれないと判断し、巨大なスペースデブリの前でステイメンに急制動をかけた。

 

「ホウカ!?」

 

 声をかけるトモヒサを無視して、コントロールスフィアを動かす。

 急制動をかけながら眼前のデブリに両脚をつけさせ、テールバインダーと足裏バーニアを同時に噴射。それに追従し、デブリを強く蹴って跳ね上がった。

 直後に、軌道を変更できなかったミサイル群が直撃し、デブリを爆発させる。

 

「よし…!」

 

 策が功を奏し、ホウカは静かに頷いた。

 無茶な策ではあったが、トモヒサ制作であるこのステイメンの運動性能ならば実現できると確信していた。どの道、被弾は避けられなかっただろう。

 フル・フロンタルの真似事とトモヒサに揶揄されたこともあった(教えられるまで誰のことか知らなかった)が、無重力空間でどう動こうかと考えた時に、オブジェクトを蹴るという方法を思い付いたのだ。

 ホウカはステイメンの体勢を直し、デブリを蹴ってドム・トローペンに向かおうとする。

 

「どこに…?」

 

 しかし、漂流物や遠く星の光る宇宙が見えるだけで、ドム・トローペンの姿がなくなっていた。

 慌てずに、索敵を行う。ぼんやりと赤い点が浮かび上がった。どうやら、ドム・トローペンは漂流する戦艦の影に隠れているようだ。

 ホウカは隠れた戦艦へと機体を動かす。レーダーは機影を捉えているが、隠れた場所から動く様子はなかった。

 次の手を考えながら、慎重に戦艦に近付く。

 が、ボン、ボンと、数回何かが炸裂したかと思った瞬間。

 戦艦が爆発した。

 

「ッ!?」

 

 ステイメンがそれに巻き込まれ、爆煙を被る。

 咄嗟にフォールディングシールドで機体を守りながら後退するが、煙と破片にまみれて視界を奪われてしまった。

 間髪入れず、分裂していく戦艦の奥からドム・トローペンが煙を裂いて飛び出してくる。

 

「もらったァ!!」

 

 アサクラが雄叫びながら、赤熱したヒート・サーベルでステイメンに斬りかかってきた。

 

「っ…まだ!」

 

 気圧されまいと視線を逸らさず、ホウカは素早く武器スロットを操作する。

 「BEAM JUTTE」と表示されている項目を選択し、ビームライフルの銃身からビームジュッテを発生させた。

 振り下ろされるヒート・サーベルを、ジュッテで受け止める。

 

「ジュッテか!?」

 

 防がれたアサクラは驚愕の声を上げた。

 数秒、鍔迫り合いの攻防をしていたが、ホウカはジュッテを斬り払いしてヒート・サーベルを弾く。体勢の崩れたドム・トローペンにすかさず、テールバインダーを噴射させながら機体を捻り、その横腹に回し蹴りを見舞った。

 噴射の推力を乗せた回し蹴りを食らい、吹っ飛んだドム・トローペンがデブリに突っ込む。

 

「ぁぐッ!」

 

 まともに右腕を打ち付け、肘関節が逆に折れ曲がった。その手に握られていたヒート・サーベルが放り出される。

 関節内部のポリパーツが複雑骨折のように外へ露出し、アサクラのコンソールではアラート音が鳴り響いている。

 

「…これなら!」

 

 ホウカは、直様ステイメンを飛ばした。

 対するアサクラも、モノアイカメラを動かしてステイメンを補足する。

 

「舐めるなァッ!!」

 

 アサクラは雄叫び、ステイメンへ向かって残る左腕を突き出した。

 だが、ホウカはテールバインダーを直下に向けて噴射し、その拳を上方へ回避する。

 

「避けたッ!?」

 

 ドム・トローペンの頭上を捉えたステイメンは、脳天へビームライフルを向ける。

 

「これで!」

 

 だが、

 

「舐めるなと…言ったッ!」

 

 即座にドム・トローペンがデブリを蹴りながらバーニアを噴射させ、その射撃を寸で回避した。と同時に、胸部装甲が開いてマイクロミサイルが再び発射される。

 ホウカは回避行動への切り替わりの早さに驚き、一瞬動きが遅れる。

 近距離で放たれたミサイルの雨を、咄嗟に構えたフォールディングシールドで受け切った。しかし、その内の二発がシールドを逸れ、ビームライフルに直撃する。

 誘爆を避け、咄嗟にビームライフルを捨てた。大きく後退してデブリに着地する。

 

「機体の損傷は…、大丈夫」

 

 コンソールの画面を見てダメージを確認する。本体は無事のようだ。

 

「おのれ、右腕がこうでは…」

 

 同じくドム・トローペンを後退させたアサクラも、機体をチェックしているようだ。アラート音が報せる損傷の激しい右腕は動かず、だらりと垂れ下がっている。このままではデッドウェイトになると判断してか、胴体から右腕がパージされた。

 互いに、100mほどの間隔を置いて睨み合う。

 ホウカは思った。

 このバトル、負けたくない。

 そして何よりも、楽しいと感じている。

 

「教頭先生、強いんですね」

「最初は驚かされたが、伊達にガンプラを40年やってはいないよ」

 

 ホウカの声に、アサクラは鼻を鳴らしながら返した。

 様子を見ながら、ホウカは攻撃を仕掛けるタイミングを計る。

 あちらは右腕を損失しているが、すぐにでもヒート・サーベルを残った左腕で拾って攻撃にも防衛にも対処できる。その上、胸部装甲内にはまだ残弾があるはずだ。

 一方、こちらは五体満足ではあるが射撃武器がない。ビームサーベルはバックパックにマウントされているが、距離を取られては意味がなかった。

 ドム・トローペンのモノアイが動く。その赤い単眼は、宙を漂うヒート・サーベルを見ているのだろう。同じようにタイミングを計っているようだ。

 ここが正念場。

 しかし、ホウカは思った。

 これではダメだ。教頭先生に見せなくてはならない。

 "自分のガンプラバトル"を。

 観戦しているマリコへ言葉を向けた。

 

「先生…勝負を、かけます」

 

 赤いジャージを羽織るマリコは、一瞬意外というような顔して、しかしすぐに笑みを浮かべた。

 

「言っただろう、存分にやれとね」

「一体何をしようと言うのかは知らんが、ほぼ丸腰のその機体で…」

 

 アサクラはそこで言葉を切り、ステイメンの挙動を見る。

 ホウカは、フォールディングシールドを捨てた。コントロールスフィアの動きに追従し、ステイメンが動く。掌を開いた右腕が、ゆったりと顔の位置に上げられ、左手は胸元へ寄せられる。続いて両脚を肩幅に開かせ、僅か前傾させながら体を左側へと半身を取らせた。

 合気道に近い、が、異なる構え。

 これがホウカの答えだった。

 

「…それは何のつもりだ」

 

 アサクラが、額に青筋を立てる。

 流派、"花鳥風月"。

 ホウカが幼少の頃から習い、修練を重ねてきた古武術の一派。

 ある事情から、ガンプラバトルを交えてこの武術を師事しており、嘗て同門だったトモヒサもこの流派を身に付けている。

 学園新聞などでは天才と持て囃されたホウカだが、そうではない。

 連綿と続けてきた稽古で培ったこの技こそが、今のホウカの全て。

 これでアサクラと戦わなければ、意味がないと思った。

 

「私を甘く見るなと言ったはず…」

「いいえ」

 

 怒りを顕にするアサクラに、静かな声で返すホウカ。

 

「これが私の、ガンプラバトルです」

 

 

 

――プツ

 

 アサクラの中で、張り詰めていた何かが切れた。

 むかっ腹が立つ。

 待て、相手は生徒だ。

 …それは本心か?

 いや違う。

 相手はガンプラファイターだ。

 ここではお互い、只の戦士だ。

 むかついて何が悪い。

 そう意識した途端、もう抑えられなかった。

 

「叩き潰してくれるッ!!!」

 

 轟と吼え、ドム・トローペンのバーニアを最大出力で噴射させる。

 ヒート・サーベルも、まだ残弾のあるマイクロミサイルさえも思考から消え失せ、型も何もない突進を仕掛けた。

 ブチ切れてしまった。

 

 

 

「…ッ!!」

 

 叫んだアサクラがドム・トローペンを突っ込ませてくる。

 その気迫に一瞬戦いたが、脇目も振らずに飛びかかってくるドム・トローペンの真っ赤なモノアイを、ホウカは真っ直ぐに見据え返した。

 

 

――相手の目を見て。その目を通して、心を知るんだ。

 

 

 師匠の言葉が、語り掛けるように胸中で反響する。

 申し訳ありません、怒らせてしまいました。

 

 

――大丈夫。本気で返すんだ。それが誠意というものだから。

 

 

 はい、師匠。

 

「このォォォーー!!!」

 

 怒号の如く叫びながら、アサクラがドム・トローペンに残った左腕で殴りかかる。

 避けない。避けてはいけない。

 真正面から、その拳に乗った怒りに返す。

 淀みない挙動で、掲げた右手を鳥の羽のように鋭く、そしてふわりと。

 その拳を、ステイメンは弾いた。

 

「ンな!?」

 

 僅か腰を落とし、あらぬ方向へ逸れた太い左腕を、胸元に寄せていた左手で掴み上げる。

 同時、バックパックのアフターバーナーと腰のテールバインダーを噴射させながら上体を捻り、後方へと半回転。

 風のように、流れに乗せて。

 無重力の宇宙に、白き花はその身を翻す。

 ホウカは、気合の一声を叫んだ。

 

「…はァッ!!」

 

 その遠心力を乗せ、足場のデブリへ向かってドム・トローペンを叩き付けた。

 

「ぐおぅッ!!」

 

 渾身の強打。

 重モビルスーツが頭から叩き付けられ、脳天から股関へ真っ直ぐに駆け抜ける衝撃。足場のデブリすらひび割れた。

 ドム・トローペンの頭部が砕け、装甲の隙間からミシミシと音が漏れる。

 内部フレームが、粉砕されていく音だ。

 それらは一瞬のこと。だが、アサクラにはゆっくりした体感で伝わっていた。

 コンソールではアラート音が鳴り響き、表示されているドム・トローペンのフレームが暗転し、機能停止を告げた。

 

「技あり、です」

 

 デブリに突っ込んで倒立するドム・トローペンに、サーベルの切先が突き付けられる。ステイメンのビームサーベルだった。

 次第に、ドム・トローペンのモノアイカメラが光を失っていき、爆発することなく、沈黙した。

 アサクラは唖然とし、声が出せないでいる。

 

『BATTLE END!』

 

 そして、電子音声がホウカの勝利を告げた。

 

 

 

「ヒヤヒヤさせやがって…」

 

 勝利を収めたステイメンを、労を労うかのように大事に抱える。

 バトルが終了した途端駆け寄ってきたトモヒサが、ホッと胸を撫で下ろした。

 

「上出来だ。だが、行動予測は今後の課題だよ」

 

 マリコも歩み寄り、監督としての助言が送られる。

 

「…はい。頑張ります」

 

 ホウカも真摯にマリコに向き直い、気を引き締め直した。

 

「み、認めんぞ!あんな戦い方はガンプラバトルとは認めん!」

 

 アサクラが激昂して、ホウカへ詰め寄って来る。

 彼に対しても、誠心誠意応えたつもりだ。

 ちゃんと伝わっているかは、甚だ疑問だが。

 しかし、彼もまたドム・トローペンを大事そうに掌に乗せており、自分のガンプラを愛しているのだと感じる。それは、ガンプラの出来栄え、手の入れ込みを思えばすぐに分かることだった。

 故に、感謝の言葉を送る。

 

「教頭先生、手合わせ、ありがとうございました」

「ぬ、ぬぅ…!?」

 

 頭を下げるホウカの挙動に、アサクラは口籠もった。

 マリコがアサクラへと言う。

 

「教頭先生、お分かりになったでしょう。キンジョウなら大丈夫です」

「ぬ…ですが、しかし…」

「何より、生徒の自由にやらせてあげようじゃないですか。私が責任を持って、このガンプラ部を指導します」

 

 マリコの有無を言わせぬ堂々とした態度に、アサクラは困ったように顔をしかめて唸った。

 ホウカの誠意が伝わったのか、それとも諦めたのか(マリコの態度に気圧されたのか)、アサクラは踵を返して小屋の出口に向かう。

 

「…なら、見せてみるがいい。その可能性とやらをな」

 

 アサクラはそれだけ言い残し、小屋を後にした。

 ドアが閉まり、元の平穏を取り戻したように静かになる。

 

(…これで、よかったのかな)

 

 勝利を得たが、それでも胸中にはモヤモヤが残った。

 勿論、ガンプラバトルを甘く見ているわけではない。好きなのには変わりないし、選手権に向けて練習も重ねている。

 それでも…いや、だからこそ、教頭先生のようなガンプラへの情熱が自分にはあるのかと思わされてしまうのだ。

 

「…何だい、その顔は。勝ったんだから、もっと喜びな」

「マリコ先生…」

 

 マリコが腕を組みながら、嘆息した。

 

「もし不安があるなら、そんなものはガンプラで押し返すんだよ。それがガンプラバトルってやつさ」

 

 厳しくも、その美貌の奥に覗く優しさを感じ取る。

 まだ完全にモヤモヤは消えないが、それでも前へ進む勇気は確かに受け取った。アサクラ教頭の言う「可能性とやら」を、はっきり示すためにも。

 

「"月に叢雲、花に風"か…」

 

 ぼそりと、マリコが口を開く。

 

「え?」

 

 ホウカは、マリコを見る。

 

「事を成すには、必ず邪魔が入ってどうにも上手くいかないという意味だよ」

「ああ、そういうことですか」

 

 トモヒサが、納得した顔で頷く。

 しかし、マリコはかぶりを振った。

 

「いや…キンジョウなら、"月にかかる雲を払い除ける、風である花"という意味が、似合うかい?」

 

 そう言って、いつになく優しい微笑を浮かべてこちらを見る。

 ホウカは、なんだか気恥ずかしく思いながらも強く頷いた。

 

 

     ・・・・・・・・・・

 

 

 自動販売機に小銭を入れ、オレンジジュースのボタンを押す。

 ガコン、と缶が排出され、それを取り上げてタブをカリカリと爪で引き上げようとする。

 

「んー?」

 

 しかし、中々爪が引っかからない。段々と腕に力が入ってくる。

 

「…んもう!」

 

 と、苛立つ。

 そこへ、外の施設へと続く廊下の向こうから太った男性が歩いてきた。英志学園に入学して一ヶ月近くだが、既に見慣れたそのジオン製量産型のような体型はよく覚えている。

 明るいマゼンタに映える長いサイドテールを揺らしながら、男性へと駆け寄る。

 

「"キョートー"せんせー、丁度よかった。これ空けてくれない?」

 

 声をかけると、キョートー先生が怖い目つきでこっちを見た。一体どうしたのだろう?

 

「ああ、ラインアリス君か。どうしたのかね?」

 

 と思ったら、いつも通りのすぐ退場しそうなムサイ級軽巡の艦長のような声で答えた。

 タブの空かないオレンジジュースの缶を差し出す。

 

「だから、これ空けてくれないかなぁって」

「そんなことかね…」

 

 呆れたように溜息を吐きながら、缶を受け取ってタブを難なく空ける。

 さすが先生、頼りになる。

 

「はい」

 

「ありがっとー!」

 

 渡される缶を受け取って、ぐいっと一口を飲む。

 

「う~ん、美味しい!」

 

 やはり、日本のオレンジジュースは美味しい。アメリカのものは、無駄に味が濃い上に添加物たっぷりな味がするのだ。

 

「では、私は失礼するよ」

 

 妙に無表情な顔で言いながら、キョートー先生が校舎の奥へと去っていく。

 

「どうしたんだろ?」

 

 ちょっと気になるが、乾いた喉に優しいジュースの味に浸ろうと、再び缶を煽る。

 

「…んっ…ぷはー!」

 

 大袈裟なくらいに味わって、私―ジニア・ラインアリスは西日が差し込む学園の廊下を歩き出した。

 

 

 

   Act.01『月に叢雲、花に風』END

 

 




 

●登場ガンプラ紹介
・RX-78GP03 ステイメン
 現在のキンジョウ・ホウカの使用ガンプラ。制作はカトー・トモヒサ。
 練習用機体として渡されたものであり、各関節テンションやビームライフルの連射性能など、ホウカに合わせたチューンが施されている。
 RX-78GP03デンドロビウムの制御ユニットとして有名だが、このステイメン単体でもグリプス戦役のモビルスーツに匹敵、或いは凌駕するという設定を再現するべく、トモヒサの技術が集約されている。型式番号からデンドロビウムと区別した「S」が省かれているのも、このためである。
 また、観賞用としての完成度も高く、展示品として通用するほど。
 ちなみに、HGUCステイメンのビームライフルではなく、ジュッテの発生を安定させるためにRGゼフィランサスのものが流用されている。
 GP03のテストパイロットがデフラ・カーという女性だったのと、キンジョウ・ホウカの使用ガンプラになったことは、悪戯な因果のめぐり合わせか(トモヒサ談)。
・兵装
 ビームライフル×1
 ビームサーベル×2
 フォールディングシールド


・RGE-G1100 アデル(ディーヴァカラー)
 素組みにスミ入れとトップコートのみで仕上げられたガンプラ。
 青と白のツートンカラーが美しいとホウカも気に入っている。英志学園ガンプラ部の創設時から部が保有しているものであり、主に部員の練習機体として活躍。
 なお、二番機も存在する模様。
・兵装
 ドッズライフル×1
 ビームサーベル×2


・ovm-e ドラド
 アデルに同じ。
・兵装
 ビームライフル
 ビームバルカン/ビームサーベル×2


・MS-09F/TROP-A ドム・トローペン・アサクラカスタム
 アサクラ・ミツオミが制作したガンプラ。
 オールラウンドを想定して改造されており、無重力/重力下のどちらでも運用が可能。今回はラケーテン・バズを携帯しての出撃だったが、他にも様々な武装が用意されているらしい。胸部装甲下にはマイクロミサイルを内蔵し、不意打ちにも役立つ。
 また、彼のお守りとしての側面を持ち、常に鞄にケースごと仕舞われているようだ。これにシマ・マリコがいつ気付いたのかは、本人のみぞ知る。
・兵装
 ラケーテン・バズ×1
 ヒート・サーベル×1
 胸部内蔵マイクロミサイル


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次回、ガンダムビルドファイターズF
Act.02「通常のグーンの三倍の速さ」

「疾きこと赤い彗星の如く、ってね!」

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はじめまして。ハーメルン初投稿です。
ご意見・ご感想などありましたら是非。
 


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