私のヒーローと世界の危機と愛しい日常風景   作:淵深 真夜

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ジェノス視点です。

またキャラ崩壊注意のカオス回です。


少年一人のボーイズトーク

 ……どうしてこうなった?

 俺はウーロン茶を片手に、事の始まりとどこから間違えてこの惨状になったのかを思い出す。

 

 始まりそのものは、フブキの一言だろう。

 あの女が一方的に勝負を吹っかけてきて先生の貴重な暇な時間を無駄に使わせた挙句、負けた分際で図々しく「この子、気に入ったから一晩貸して。エヒメもいいでしょ? むさくるしい男に囲まれてばかりじゃなくて、ガールズトークでもしましょう」と言い出したのが始まりだ。

 

 俺はもちろん「ふざけるな」と一蹴したが、先生は奴との勝負の時に珍しく先生自身がエヒメさんの地雷を踏み、フブキのとりなしで何とかエヒメさんが落ち着いたことを気にしていたらしく、「エヒメがいいのなら」と許可を出してしまい、エヒメさん自身も「私も、フブキさんともっとお話をしたいです」と言われては、もう俺に口出しする資格はない。

 

 まぁ、これはいい。気に入らないとは思っているのは事実だが、それは俺の個人的な感情でしかない。

 あの女はプライドが高い癖に打たれ弱くて卑屈で姉とは逆方向で同じくらい面倒くさいが、しようと思えばできたはずなのにエヒメさんにさらにプレッシャーをかけて潰すという卑劣な手段は取らなかった。

 エヒメさんが泣き出しそうになった時、真っ先に「これは練習!」と苦しい言い訳を押し通したあいつは、問題は色々あるが信頼に値する人間だと思う。

 

 エヒメさんの同性のご友人は、今のところ金属バットの妹とタツマキくらいであって、どちらも年の差が大きい。

 フブキとも4歳差なのであまり近いとは言えないが、それでも前述の二人よりはマシだろう。

 彼女にはもっと人との繋がり、誰かから向けられる好意に触れてほしいと先日、心から思ったところだったので、そういう意味ではフブキがエヒメさんを気に入ったことはありがたかった。

 もちろん、俺の個人的な感情は別だがな!

 

 そんな訳でエヒメさんはそのままフブキの家に泊まることになり、エヒメさんがいないのなら先生は自宅に帰る必要もないので、面倒なのとフブキ組とのゲーム勝負リベンジの為にキング宅に泊まると言い、実はバングも負けたことを気にしていたのかそれに便乗し、俺も先生ばかりに負担をかけるわけにはいかなかったので、結局男勢は全員キングの自宅に向かった。

 

 そして初めのうちこそ俺やバングは先生やキングに教えてもらいながらゲームの特訓を行っていたが、俺もバングもゲームをやればやるほどこういうものは性に合わないと実感し、先生とキングもそれを感じ取ったのだろう。

 先生には申し訳ないが、未熟な俺では戦闘技術だけではなくゲームの技術も磨くという二足わらじは無理だと伝え、先生も俺はこのまま自分のしたいことをすればいいとおっしゃってくれた。

 

 そんなわけで日付が変わるころには、ゲームの特訓はもはや強さの頂点に行き着いた先生とキングのみが行い、バングはそれを「最近のピコピコは映像も音もすごいのう。映画でも見ているようじゃ」と言いながら見ていた。

 

 ……間違いのきっかけは、いつしか俺以外の全員が飲みだしたビールやチューハイだろう。

 成人越えの人間が夜中に集まったら、下戸揃いでもない限り酒盛りになるのは当たり前だということは、未成年の俺にはわからなかった。

 もちろん、酔っ払いが引き起こす惨状というものも……

 

 俺は未来の惨状を知らずにキング宅の冷蔵庫にあるものを使ってテキトーにつまみを作り、リビングで持って行ったタイミングで無自覚に呟いた。

 おそらく、これが惨状のきっかけだ。俺の自業自得か。

 

「……エヒメさんは大丈夫でしょうか? フブキの奴が勧誘の為に余計なことを吹き込んでいないといいんですが」

「ジェノス、お前もうそれ10回くらい聞いた」

 

 フブキがエヒメさんに危害を加えるなどという心配は、勝負の時の言動で「それはない」と信頼はしていたが、本人も「勧誘を諦めるつもりはない」と言っていた為ついつい不安がよぎり、そしてそれはすべて声に出ていたらしく、先生からあきれられたような目で注意された。

 

 ……この時までは、普通だった。

 先生はいつもと変わらぬ表情で、いつもと変わらぬ平坦な声音で、缶ビール片手にゲームをしながら、俺の心配ごとを一蹴した。

 

「あいつは強情だし、俺と違って話をちゃんと聞かずにハイハイ返事するやつじゃねーから、大丈夫だって。むしろフブキが言い負けて、泣いてんじゃねーか?

 まぁ、エヒメは誰よりも何よりも可愛いから、心配するのは無理ねーけどな」

「はい、そうですね。それは分かっているんですが先生の言うとおり心配で……サイタマ先生!? 今、なんて言いました!?」

 

 あまりに自然に言われたのと激しく同意だったのでスルーしてしまった発言に、数秒遅れて俺は思わず聞き返した。

 キングとバングも、同じく言われた瞬間はスルーして、それより前の「フブキが今頃、泣かされてる」という発言で笑っていたが、俺と同じタイミングで先生の意外な言葉に気づいたらしく、同時に飲みかけた酒を噴き出していた。

 

 サイタマ先生! 貴方がエヒメさんのことを誰よりも何よりも大切にしていることは知っていますが、それをこんなさらっと口に出す人じゃなかったですよね!?

 

 俺達三人の驚愕に先生の方も驚き、きょとんとした顔だがやはりいつも通り、良くも悪くも気が抜けている顔と口調で言った。

 

「は? 何が? エヒメが世界で一番かわいいのは当たり前だろ?」

 

 ……先生の体温や心拍数を測定してみたが、平常と変化はなかった。

 しかし、だからこそ俺は確信した。

 普段通りのテンションでこんなことを言いだす先生は、間違いなく酔っていると。

 

 * * *

 

 酔っていることは確信したが、見た目に反して前後不覚なレベルなのか、ただ本音が出やすくなっているだけかまでは判別がつかなかった。

 どちらにせよ俺から脈拍などは正常と聞いたバングとキングは驚愕しつつも安心し、ついでにバングは何かを企んだように笑った。

 ……この時にでも、俺がバングを殴って寝かせてしまえばよかったのかもしれない。

 

「のう、サイタマ君。エヒメ嬢がおらず、男しかおらんいい機会じゃから、ジェノス君と腹を割って話してみたらどうじゃ?

 妹の婿になる心構えとかをのう」

「何を言ってるんだ、くそジジイ!!」

 

 とりあえず先生の本音が出やすくなっているのをいいことに、バングが先生にそんな話題を切り出して俺は怒鳴ったが、……いつもなら「何もねーよ。つーか面倒くさい」とでも言ってゲームを続行しそうな先生が、「それもそうだな」とコントローラーを置いて俺に向き直られた時は正直、弟子になったばかりの頃に手合わせで死を覚悟した時以上に緊張した。

 

 わかっていたが、本心から俺に言いたいことがなかった訳じゃないんですね、先生。

 わかってます。俺がエヒメさんに任せるにたりうる男でないことくらい、わかっています。

 ですがどうか、お手柔らかに……と思いながら、俺は先生の真正面で正座するしかなかった。

 

「俺が先生の話を聞くのはいいが、それを酒の肴にするなそこの二人!!」

 ただこれだけは言っておいたがな。

 俺の怒号など痛くもかゆくもないと言わんばかりにバングは飄々と笑いながら「花も月も紅葉も雪もないのじゃから、若人の初々しい色恋の花を肴にして何が悪い?」と言い出し、キングに至っては真顔で、「自分に縁がないのだから、他人の話を茶化すくらいしてもいいだろう」と言い切った。

 

「俺の作ったチーズ厚揚げとタコきゅうキムチでも食ってろジジイ! キングは諦めるな! まだ頑張れ!!」

 とりあえずくそジジイには俺が作ったつまみの皿を出して、キングに対しては思わず励ましてしまった。

 

 そして先生の方はというとやはり酔っているからか、俺たちの言動を呆れたようにな視線も向けず、だからと言って真剣でもない、奇妙なまでにいつも通りの表情で律儀に待ってくれていた。

 ……何なんだ、あの状況は?

 

 俺は改めて向き直った時、先生は缶に残っていたビールを一気に呷って飲み干してからまず言った。

「ジェノス。うちの妹はアホだし大人しそうに見せかけて全然大人しくないし気も弱くねぇ意地っ張りだ。そのくせにすぐ泣く面倒くさい奴だけど、世界で一番可愛い。だから、好きになるのは当然だ」

 ……あぁ。全面的に同意しますが、やっぱり先生は酔っているなと思った。

 

 俺がそう思った瞬間、先生の顔が真顔になり、先生は床にビールの缶を叩き付けてそのまま勢いでフローリングを少し割り、缶を潰して平面にして俺に言った。

「だけどな、まだ嫁にはやらねーからな! 最低でも成人するまでは絶対にやらん!! 以上!」

「はい! 肝に銘じます!! って、え!? 以上!?」

 

 俺が先生の言葉に返答し、言葉通り肝に銘じるために頭の中で反復してやっと短すぎる、というか最低限過ぎる言葉であった事に気付く。

 ちょっ、先生!? 本当にそれでいいんですか!?

 最低でも成人するまでって、1年ありませんよ!!

 

「何じゃサイタマ君。言っておきたいことはそれだけか?」

 俺と同じく先生の短くシンプルなおかつ緩い条件に呆気を取られていたバングが尋ねると、先生は再び新しい缶ビールを開けて飲みながら、「おう。だって一番大切なのは、エヒメ自身の気持ちじゃねーか」と答えた。

 そこは本当に本心であることに、俺は改めて先生の人としての出来の良さに敬意を抱いた。

 

「ふむ、本当にサイタマ君は兄の鑑じゃのう。という事は、サイタマ君はジェノス君に『妹が欲しければ、自分と勝負して勝て』などとは言う気はないのか?」

「ある訳ねぇだろ。エヒメが一生、結婚できなくなるじゃねーか」

 

 そしてその後にサラッと行われた会話は、正直心からホッとした。

 いえ、言われても諦めませんし絶対に何度負けても必ず勝つ気でいますけど、本当にその条件を出されたらエヒメさんは誰が相手でも一生結婚が出来なくなる。

 

 が、そんな俺の安堵は酔っ払いジジイの発言で台無しになる。

「ふむ、じゃあやはりその役目はわしに任せてもらおうか」

「お前はエヒメさんの何なんだ!?」

「大丈夫じゃよ、ジェノス君。わしは本気でわしに勝てる相手じゃないと認めんとは言わん。ただこう言われても、そしてわしに叩きのめされても諦めない気概があるかどうかを知りたいだけじゃから、それさえわかれば負けても許可してやろう」

「ふざけるな! 貴様に負けることを前提で語るな! 結婚する前に貴様の葬式を上げてやるわ!!」

「ジェノス氏、落ち着いて。まだ君はエヒメちゃんにプロポーズしてないから」

 

 キングに指摘されてその通り、まだ前提条件に立っていないことに気付いて俺は羞恥とジジイにからかわれた苛立ちで茶を呷る。

 その後何故か、キングがやはり真顔で俺の肩に手を置いて言った。

「それに、まだシルバーファングだからいい。たぶんエヒメちゃんとジェノス氏が結婚すると聞いたら、タツマキちゃんも同じことを言い出すし、本気で殺しにかかるから気をつけて……」

「…………あぁ。もうその光景が目に浮かんだ」

 

 キングに言われて俺は思わず遠い目になった。

 S級の大半がそうだがあの女、タツマキは何故かやたらとエヒメさんを気に入っている。

 それだけならやはり俺の個人的感情さえ抜きにすれば別にいいことなのだが、あいつは他の奴らよりその執着が妙に強く、エヒメさんから他者を引き離して自分の手元で独占したがっている節がある。

 

 まず間違いなく、俺に限らずあいつはエヒメさんが誰かと交際する、結婚すると言ったらバングのように相手の実力や気概を確かめる為ではなく、エヒメさんに近づく悪い虫認定して排除しようとするだろう。

 

 ……本当にバングよりも厄介だな!

 先生にそれをされたら恐ろしいどころか絶望しかないが、排除されてもまだ納得できる分マシだが、お前だと釈然としないにも程があるわ!

 あいつは本当にエヒメさんの何なんだ!?

 

 俺が本気でタツマキとの戦闘を想定して考え始めた時、キングが先生に「それにしても言いたいことがそれだけって、サイタマ氏はジェノス氏を信頼してるんだな」と言い出した。

 それに対して先生は、やはりとても酔っているとは思えない様子でさらりと答えた。

 

「何言ってるんだ? エヒメが良けりゃ俺は誰でもいいんだ。ジェノスは確かに信頼してるけど、別に俺はあいつが良けりゃソニックでも良いぜ」

「先生!! そいつだけは!! そいつだけはやめてください!!」

 

 あの忌々しい音速の残念忍者の名が出た瞬間、俺は土下座で頼み込んだ。

 あいつに奪われるくらいなら、タツマキの方が億倍マシだ!!

 

 俺の土下座の懇願にキングとバングが引いたのは、顔を上げなくてもわかった。引きながら、二人は「ソニック」について尋ねて先生は「エヒメの命の恩人」を答えてしまい、バングが何やら誤解した。

 

「いかんぞジェノス君。男の嫉妬は見苦しい。サイタマ君に頼るのではなく、自分で自分を磨かなければ意味はないじゃろ」

「あいつは確かにエヒメさんの命を助けたかもしれんが、もうその恩はエヒメさんの胸をわし掴んだことでマイナスでいいだろうが!!」

 

 俺の暴露で先生含め3人が酒を噴き出し、バングが訳知り顔で俺を叱責したことをとりあえず詫びた。

 そして先生から殺気が滲みだし、詳しい話を促された。

 が、さすがに捏造して先生の怒りを煽るという卑劣なマネはしたくなかったのと、先生には悪いが奴だけは俺の手で殺したかったので、正直に割と事故に近かった事の起こりを話すと先生は殺気を引っ込めると同時に、何故か真顔になった。

 

 先ほど、「まだエヒメを嫁にはやらん」発言よりも真剣な面持ちになって、先生は俺の肩に手を置いて言う。

「ジェノス。それに関してはソニックが正しい」

「サイタマ先生!?」

 

 何を言ってるんですか!? と言葉を続けたかったが、それより先に先生は真顔のまま真剣に語りだしたので俺は何も言えなかった。

「ジェノス。俺はエヒメのに関しては、抱き着かれて押し当てられても『何か柔らかい物体』としか思わねーけどな、それが他人だったら、別に好みでも何でもねーフブキでも揉んでいいのなら揉みたい。手の内にあったら、揉む。

 それが男ってもんだ」

 

 ……先生の言葉が終わっても、「何を言ってるんですか!?」とは言えなかった。

 俺の場合は人物が逆だが、先生の言い分に同意してしまった……。

 もう本当に、エヒメさんすみませんごめんなさい。

 

 俺が自己嫌悪と凄まじい罪悪感に襲われていることを察したのか、バングが同情するような目で俺の肩に手を置き、そして言った。

「ジェノス君、気にするな。男は乳が好きで当たり前の生き物なんじゃ。わしも今ではもうすっかり枯れきっておるが、あと10ほど若けりゃサイタマ君と同じように思う」

「お前は何を言ってるんだ!?」

 

 それで励ましているつもりか、ジジイ!

 というか、あと10若くてもお前は古希だろうが! もっと枯れて落ち着け!!

 

 俺がバングにそう突っ込んだが、先生はなぜか嬉しそうに「じいさん、話が分かるな!」と言い出してしまい、そのまま先生とバングで女性の胸の話になっていった。

 ……先生がこういう話題をあげた事などなかったのでストイックな方だと思っていたが、酔っているからかそれとも普段はエヒメさんに気を遣っているからなのか、嫌いではないんですね、こういう話題。

 

 幸いながらバングはこういう話題で俺をからかう気はないらしく、二人は俺に対してコメントを求めることはなかったが、それでも聞いているだけでエヒメさんに土下座で謝りたくなる内容に俺は頭を抱えた。

 本当にごめんなさい、すみませんエヒメさん。男はバカな生き物なんです。そうです、俺も好きです。胸。

 そうじゃなかったら抱きつかれて当たるたびに動揺もしませんし、とっくの昔に指摘してました。正直、役得だと思ってました。というか何ですかあの、「何だこれは!? 餅か!?」と思うほどに柔らかくて理性の大半が一気に溶けるほどの破壊力は!?

 

 ……俺が話を聞いているだけで混乱したのか、エヒメさんに土下座しようが切腹しようが多分許してもらえないことを考え始めたタイミングで、先ほどから黙っていたキングがいきなり、床に拳を叩きつけた。

 その音で俺も先生もバングもキングの方に視線を向けると、キングはキングエンジンを盛大に鳴らしながら重々しく言った。

「……お前ら、いい加減にしろ」

 

 言われて、バングと先生が気まずげに笑って顔を合わせ、俺も安堵した。

 あぁ、意外とゲームをする俗物っぽいところがあったが、やはりこの男は戦いに心血を注ぐストイックな男なのだろう。だからこういう話題は嫌がって止めてくれたと思い、感謝したのは大きな間違いだった。

 

 キングはもう一度、床を叩いて主張した。

「巨乳だけじゃなくて、貧乳も話題にあげなくちゃかわいそうだろ!!

 巨乳には夢と希望が詰まってるのは確かだが、貧乳は周りに夢と希望を与えるんだ!!」

「貴様は何を言ってるんだ!?」

 

 本日一番通報した方がいい発言をかましやがった。別にキングに対していい印象などほとんどなかったが、この瞬間に俺のキングの株が大暴落したのは言うまでもない。

 俺だけじゃなく先生とバングも盛大に引いた様子を見せたが、キングはそれをものともせずに貧乳について熱く語り出し、それに対して先生とバングは反論したりと、白熱した議論になるのには数分もいらなかった……

 

 

 * * *

 

 いろいろ全部を思い出して、また頭が痛くなっていた。

 

 もういい。別に悪いことばかりではなかったのだから、これもいつかはいい思い出になると思おう。

 疑ってなどはいなかったが、先生がどれだけエヒメさんを大切に思っているかが分かっただけでもいいことだ。そして、なんだかんだでバングも先生の代わりにエヒメさんの結婚相手がどれほどの覚悟を持つものなのかを確かめようと思うほどに大切に思っている。

 他者の好意を信じることができない、認識できない絶望の中にいる彼女だが、これだけの好意や愛情に囲まれて包まれているのだから、いつか必ず彼女はあの絶望から抜け出せる。

 

 俺はそんな未来を思い浮かべて、ウーロン茶を呷る。

 ……いつの間にか、先生たちの議論は胸の話から逸れて尻だの脚だのといったマニアックな話題に移行した猥談を続ける現実から逃避しながら。

 

 ちなみに、全員が語りつくしたからか酔いがやっと回ったのか、眠りについた時には既に日が昇り始めていた。





サイタマさんって毒も効かなさそうだから、アルコールで酔うかな?と思いましたが、ここは面白さ優先で酔っていただきました。

次回のガールズトーク回で、ジェノスVSソニック編は終了です。
……どうしよう、ガロウ編に追いついちゃった。

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