私のヒーローと世界の危機と愛しい日常風景   作:淵深 真夜

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サイタマ視点です。




約束は果たせない

「しかし、また面倒なことが起こってんだな」

 無免とタンクトップ何とかっておっさんと、じーさんの弟子のチャンポンだっけ? その3人の見舞いに行った帰り、ついでにスーパーによって買い物しながら何気なく俺は言った。

 

 やっと3年前……いや、それ以上前からエヒメを苦しめていた問題が後味は良くないけど解決したと思ったら、間を置かずにまた問題が発生ってマジで何なんだよ?

 エヒメ。お前自身は本当に何も悪くないけど、疫病神かなんか取り憑いてないか?

 

「……ごめんね、お兄ちゃん」

 横でカートを押しながら歩くエヒメが、俯いて悲しそうな顔をして謝った。

 

 昨日も、こんな顔をしてこいつは俺に謝ってた。たぶん、ジェノスにも同じような反応だろう。

 謝る事じゃねーのに、お前の所為なんかじゃない、こいつに悪い所なんて何もないっていうのに、未だに何でもかんでも自分が悪い、自分のわがままに振り回して申し訳ないと思う所は、ミラージュがいなくなろうが友達と和解しようが、やっぱそう簡単には変わらねーか。

 

 まぁこれは本当に昔から、物心がついたころから今よりはひどくないって程度でこんなんだったし、しょうがねーか。

「ごめんなさい」で終わらせなくなっただけで、十分だ。

 

「話を聴いてあげて」なんて、今までのこいつだったら俺たちに悪いからと思って絶対に言わないで、自分一人で何とかしようとしやがるからな。

 

 素直に頼るようになっただけ、ずいぶんマシだ。

 だからもっとお前は素直になれ。もっと甘えろ。

 甘えすぎなら、ちゃんと叱って止めてやるから。

 

 そんなことを考えながら、俺はまたエヒメの頭に手を置く。

 

「何に謝ってるんだよ。別にお前が謝る事じゃねーだろうが。

 お前の友達かどうかなんか関係なく、ヒーロー狩りなんかしてるんならそれを止めるのは俺の仕事だし、そのついでにお前の友達なら話を聞いて、ついでにアホなことはやめろって説教するくらい、大した手間じゃねーよ」

 

 ぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜるようにして頭を撫でてやると、エヒメは嬉しそうに笑う。

「……ありがとう。お兄ちゃん」

 

 そう言って安心したように笑う妹に俺も安心して手を離したら、何故かエヒメは急に真顔になって「でもね、お兄ちゃん」と俺に詰め寄ってきた。

 え? 何だその反応?

 

「お兄ちゃん、私のわがままだけど本当に、本当に話を聴いてあげてね。

 本当にあの子は、ガロウ君は良い子だったの。ただ、口下手というか、真面目に考えすぎて色々細かい所までけっこう理詰めで考えるから、どうしても長い話になると思うけど、お願いだから『話が長い! 20文字以内にまとめて来い!』なんてこと言わないでね。

 ジェノスさんみたいに自発的に話しだしたことならともかく、こっちから訊いてるのにそんなこと言われたら、普通にキレるから」

 

 ……どうも俺は、妹にあんまり信頼されてなかったらしい。

 いや、これは仕方ねーんだけどな。なんせ前科があるし。そして俺自身も、ジェノスが初めて家にやってきた並のクソ長い話をされたら、エヒメの頼みだってことを忘れて素で同じことを言いそうだと思った。

 

「……お、おう。……もちろん、ちゃんと全部話を聞いてやるから、心配すんな」

「……一応言っとくけど、聞くだけってのもやめてね。話し終わった後に、『今の話を聞いて、どう思った?』って訊かれて『話が長い』とだけ返されるくらいなら、お互いに初めから何も聞かない話さない方がマシだからね」

 

 俺がエヒメの念押しに、ちゃんとわかってると答えてもまだ念押しされた。

 そしてそれも普通に俺は言いそうだったから、っていうかエヒメの念押しが無かったらマジで言ってたかもしれないので、思わず目を逸らして「わ、わかっとるわ!」と答えておいた。

 まぁ、もちろん俺のそんなごまかしが通用する訳がなく、エヒメは「言っておいて良かった」と言わんばかりの呆れたジト目で俺を見られたけどな。

 

「……それと、お兄ちゃん。話してくれないからってまずは殴って少し大人しくさせようとかも、出来ればやめてね。誰か、他のヒーローさんや一般人に危害をくわえようとしてたり、お兄ちゃんでも危ないって思えるほどの強さならもちろん無理しないで欲しいけど、そうじゃないのなら問答無用でとりあえず殴るは本当にやめて。

 それやったらあの子、もう絶対に心ひらいてくれなくなると思うから」

「あぁ、もううっせーな! 全部わかってるつーの!!」

 

 さすがに念押しの念押しの念押しをされて、キレた。

 お前は俺の事を信頼してんのかしてないのか、どっちだ!?

 

 そう訊き返してやりたかったが、それより先にエヒメにキレ返された。

「だってお兄ちゃん、あんなに頼んでたのにソニックさんを女の子にしかけたもん!!」

「ごめん! 兄ちゃんが悪かった!」

 

 そうだった! これも前科あったわ俺!

 エヒメの命の恩人だって話を聞いてて、それがこいつだってわかってたのに、わざとじゃねーけど金的かましちゃってたわ!

 ごめん、エヒメ! そりゃ信用できずに念押しするわな!

 

 ……ついでについ最近、公園で会った時もまた事故だけど金的かましちゃったのは言わないでおこう。

 

 * * *

 

「エヒメ、先に帰れ。俺ちょっと、他に買うもんがあるから」

 ゴーストタウンの入り口あたりで、エヒメに買ったものを渡して頼む。

 こいつ一人で帰すのはちょっと心配だけど、これくらいの距離と荷物の重さなら、休憩挟まず家まで一気にテレポートできるはずだし、ジェノスもそろそろメンテ終わらせて帰ってくるはずだから、大丈夫だろう。

 一緒に連れて歩くには、生もの買っちゃったし。

 

 エヒメも素直に荷物を受け取って、ついでに尋ねた。

「何買うの?」

「カツラ」

 

 何も考えずに即答して、俺は後悔した。

 おい、エヒメ。俺の答えに「あぁ……ついに……」って顔すんな。止めるべきか、「いいんじゃない?」と言うべきか悩むな。まだ俺は地毛を諦めてねーよ。

 

「変装の為のカツラだ! チャンポンがチケットくれた武術大会に出場するなら、髪型と色くらいあいつに似させておいた方がいいだろうが!」

「え? お兄ちゃん、本気で替え玉出場する気なの?」

 

 俺が何の為のカツラか説明したら、気まずそうな顔から呆れたような顔になる。どっちにしろそんな反応かよ。

 

「お兄ちゃん、賞金は確かに魅力的だけど、替え玉ってバレたらそれこそどうなるかわかんないんだよ?

 会場から追い出されるだけならまだしも、イベントを台無しにした損害賠償とか払わないといけなくなるかもしれないし、チケットくれたチャランコさんにとっても迷惑で済めばいい方だよ?」

 

 呆れつつも、エヒメは俺に忠告する。

 わかってるつーの。賞金に目が眩んだわけじゃねーよ。いや確かに日給300万は魅力的だけど……。それがなきゃ、とりあえず見とくかくらいにしか思わなかったかもしれねーけど……。

 

 けどこんな賞金を出すってことは、それなりに規模がでかい大会なのは確実だから、マジで300万の為に無理するつもりはない。

 エヒメの言う通り、チャンポンの迷惑になるし損害賠償なんて払えるわけねーから、エントリーとかで怪しまれたらすぐにやめるつもりだし、試合も無理に続ける気はない。

 

「わかってるわかってる。ばれそうになったら、すぐに棄権して逃げるっつーの」

「うーん……それならいいんだけど……。お兄ちゃん、対戦相手にちゃんと手加減できる自信ある?」

 

 安心させるつもりでそう言ったら、エヒメにはまだ不安材料があったらしく、俺にまた念押ししてきた。

 ……エヒメ。お前は兄ちゃんをなんだと思ってるんだ?

 

「おい。怪人ならともかく、人間、しかも犯罪者でもない奴をぶっ殺すわけねーだろうが」

「うん。そこはちゃんと信頼してる。疑ったことなんてないよ」

 

 さすがにちょっと凹みつつ不満げに俺が言い返すと、エヒメは即答した。

 その答えにちょっと呆気を取られていたら、そのままエヒメは何であんな念押しをしたのかの補足をする。

 

「でも、武術のプロとお兄ちゃんは戦ったことがないでしょう?

 タンクトップマスターさんが言ったように、お兄ちゃんの攻撃を全部避けて受け流してカウンターで返せるけど、体の丈夫さは普通の人間かそれよりちょっと上くらいの人相手に手加減できる自信ある?」

「あー……確かに。ちょっと自信ないかも」

 

 言われて納得。

 確かに俺は殺すわけにはいかない、本気を出すわけにもいかない、そのくせいつもの普通の人間を相手にするくらいの力加減じゃ手も足も出ないなんて奴とは戦ったことがないわ。

 あのおっさんの言う通り、武術っていうのが一撃必殺を得意とするおっさんや俺の天敵なら、俺がフルボッコならまだしも、うっかり手加減間違えてただ試合に出ただけの一般人をいつもの怪人みたいにしてしまう可能性は確かに低くない。

 

「ま、試合だから『あ、これいつも以上の力出さなきゃ無理だ』って思ったらすぐに棄権すればいいだろ。

 っていうか、その辺のことを知るために出るんだから、それを理由に辞めたら意味ねーだろ」

「それもそうだね」

 

 エヒメに言われて俺も不安になったが、そもそも俺が武術の強い奴に当てはあるかってチャンポンに訊いたのは、そういう相手とはどう戦ったらいいかを知るためだ。

 エヒメの友達かもしれないガロウって奴相手にぶっつけ本番するわけにはいかないからそう言うとエヒメも納得して、ついでにすぐに棄権するって言う宣言に安心したのか少し笑った。

 

「うん、わかったよ。でも本当に、無理も無茶もしないでね」

「わかってるわかってる。約束するよ」

 

 約束するといえばやっとこいつは完全に安心して、「じゃ、先に帰っておくね。あんまり遅くならないでよ」と言って、テレポートで帰る。

 エヒメが消えてから、俺はゴーストタウンから背を向けて歩き出す。

 

 にしても、カツラってどこに売ってるんだ?

 なんかあれを意識したら負けだと思って、売ってる店が目に入っても頑なにそらしてきたから、どういう店を探せばいいかさっぱりわからん。

 つーか今回のことでしか使わねーんだから、本格的な高い奴はいらねーんだけどな。

 

 * * *

 

 色やら髪型やら値段が手ごろなカツラを求めて、日が暮れても町の中をブラつきながら俺は、昨日のエヒメの話を思い出す。

「いい子なんだよ。私の知ってる『ガロウ君』は」と、エヒメは何度も言ってた。

 ヒーロー狩りなんかするような子じゃ、あんな酷いことを出来るような子じゃなかったと、あいつ自身が怪我をしたみたいな痛そうな顔で、何度も言い続けた。

 

 自分に言い聞かせているというより、あいつは何かをひどく後悔してた。

 あいつの親友に、ミラージュのことを何も言えなかった時みたいな顔をしてた。

 

 どうしてそんな顔をしながら、何に後悔しているのか。

 どうしてその「ガロウ君」が、ヒーロー狩りだのなんだの出来るような奴じゃないと、今も信じてるくせに、「人間怪人」がただの同名だと思えないのかが、わからなかった。

 

「……あの子、ヒーローが嫌いだったの。怪人が、悪役の方がかっこよくて好きだって……。

『人気者が勝って嫌われ者が負けるなんて、悲劇だ』って、あの子は言ってたの」

 

 そう言われるまで、わからなかった。

 教えられて、あいつがあんなにも何を悔やんでたのかがわかって、さっそくエヒメの「話を聴いてあげて」って頼みを果たせなくなりそうだった。

 

 何、ウチの妹に抱え込まなくていい罪悪感を背負わせてるんだよ? って八つ当たりしそうだわ、俺。

 

 ……どうしてあいつはマジで、いらないものばっか背負って抱え込んで手放さないんだか。

 お前の後悔は、そこか。

「ガロウ君」ってやつがいい子だってことを今も信じて疑わないのに、同じ名前の別人だって思えないのは、そこか。

 

 お前は、いつかそいつがいい子だからこそ、いい子のまま「怪人」になるかもしれないことをわかっていたのに、何もできなかった、何もしなかったって思って悔やんでるのかよ。

 

「人気者が勝って嫌われ者が負けるなんて、悲劇だ」か。

 確かにそうだな。

 同じようなことを考えたこともあった。

 

 中学に上がった頃とか、俺には俺の言い分があるのに教師やクラスメイトは何も聞いてくれなかったこととか思いだしたじゃねーか。

 まぁ、あれは今思えば普通に俺が悪い部分の方が多いけどさ。宿題やってこなかったとか、呼び出されてたのに遅刻して来たとか。

 

 けど、したくなかったからやらなかったんじゃなくて、本気で存在を忘れてたから頑張って昨日と今日の分の宿題をちゃんとしようとしたのに、「この遅れは一生取り戻せない」って言われたら訳わかんねーし、それを普通に正直に答えたら「教師を舐めるな」って何なんだよ?

 

 未だにあの教師の言い分は理解できないで、理不尽だと思う。

 あの教師、俺みたいに禿げろ! いや、俺みたいにいっそツルツルじゃなくて、うぶ毛みたいな貧弱な毛がちょぼちょぼ残ってる、一番カッコ悪いのに諦めがつかないタイプの禿げになれ! とか割りと本気で思うくらいに、今もムカつく思い出だ。

 

 ただ、俺は嫌なことはさっさと忘れるタイプだ。

 そんで、ヒーローやってる立場で言うべきことじゃねーけど、別に優しくもない。

 守る相手を選ぶつもりはねーけど、エヒメとかジェノスとか無免とかを守るのと、俺の事をハゲとか言ってついさっきまで馬鹿にしてた奴を守るのは、さすがにやる気が全然違う。後者の場合、守るのはさすがにそんなんでも目の前で死んだら後味悪いから見捨てられないだけで、そいつが怪人の血や内臓でもひっかぶったら、「ざまぁ!」と素で思う。

 

 そんな俺だから、ムカつくことを言われてもそれが納得がいかない理不尽な言い分でも、「うるせーな」で終わらせて、そういう奴は俺の話を聞かないんだから俺だって聞く必要はねーだろとか思ってろくに話を聞かずにすぐ忘れるから、ストレスもあんまりない。

 

 ……それが、出来ない奴だったんだろうな。

 

 エヒメは言った。

 優しくて、真面目な子だったって。

 

 きっとそいつは、俺と似たような体験をした。

 俺よりひどかったかもしれないし、傍から見たらずっと軽い、些細なことだったかもしれねぇけど、まぁきっと何か理不尽な目に合わされたんだろう。

 

 それを俺みたいに忘れてスルーして、「言いたい奴は言わせておけばいい。俺は俺で好きなことをする」って考えが出来ない、優しい奴だったんだろう。

 俺とは違って相手の話をちゃんと聞いて、大真面目に受け取って考えてどうして相手がそんなことを言うのか、自分はどう思っているのか、自分はどうしたらいいのか。

 そういう面倒くさいことを考える奴だったんだろうな。

 

 バカな俺でもわかる。そんなことをしてたら、自分の意見を言う前にパンクしてぶっ壊れるってのが。

 

 エヒメがそういうタイプだ。

 だからあいつは今、不安で仕方がないんだ。

 そいつがどんな破滅に向かって行ってるのかが、あいつには想像できるんだろう。

 

 傷ついて考えて傷ついて考えて考えて考えて考えて、考え抜いて傷つき抜いた先の答えが何故か「人間怪人」やら「ヒーロー狩り」なんて迷走してどうしてこうなった? な結論じゃ、本気でそいつは救われない。

 

 始まりは、自分を傷つけた相手さえも受け入れて、分かり合おうとしたことなのだから。

 

 だからエヒメの頼みごとをきいてやりたいし、俺だってそんな奴を「怪人」と呼んでぶっ殺すのはもちろん、戦いたくない。

 

 ……けどな、ぶっちゃけた話、俺の考えた通りだとしたらこれ、話を聴く程度で何とかなるもんか?

 エヒメと同じタイプならそれこそ、更生するのに年単位かかるんじゃね?

 

 まぁ、だからと言って何も聞かずに問答無用でブン殴ったら、それこそ何も解決しない。

 例え何年かかってもまずは話を聴いてやらないと何も始まらないだろうから、エヒメの信頼を取り戻す兄貴の面目躍如も兼ねて、真面目にやるとすっか。

 

 と言っても俺の考えは見当はずれかもしれないし、そもそもやっぱり同じ名前の別人って可能性も別に低くないはずだから、とりあえず今は「人間怪人」の事よりも明日の試合の事を考えよう。

 

「あ!」

 

 グダグダとした考えに結論を出して切り替えたタイミングで、こんな時間まで探してたお目当てのものを発見する。

「ようやく見つけた!」

 

 ディスカウントストアの店頭に並んだ、パーティー用のカツラを見て思わず声が上がる。

 やっぱこういうものを探すなら、こういう何でも屋的な店だな。安いし。

 

「探したぜ……」

 しかも髪形も色もちょうどいい感じのが一つだけあるわ。

 色は少しチャンポンより茶色っぽい気がするけど、まぁそこまでこだわる必要もねーか。

 よし、変装用のカツラはこれで決定だな。

 

 ……決まったのはいいんだけど、何か前に立ってるにーちゃんがどいてくれねぇな。

 何を悩んでるんだよ? 一発芸でもやらされんのか? そのカツラは選ぶなよ。っていうか、取れねーからどいてくれよ。

 

 ちょうどそう頼もうかと思ったタイミング、前のにーちゃんが振り返った。

「え?」

 同時に、何故か俺の肩におもっきしチョップをかましてきた。

 

「……何すんだ。誰だテメー」

 別に痛くもなんともねーけど、さすがに出会い頭どころか振り返りざまのチョップはムカついた。

「カツアゲする気か?」

 

 結構ガタイが良い奴だから俺に入れた一撃に自信があったのか、ケロッとしてる俺を見てめっちゃビビってるにーちゃんの首筋に俺もチョップを落としておいた。

「買い物の邪魔すんな」

 

 カツアゲしてきたにーちゃんをとりあえず寝かせて、俺は目当ての物を買う。

 その後、店を出てもにーちゃんはまだ気絶してたから、他の通行人の邪魔にならないように、端にでも寄せておいた。季節柄、まだ外で寝ても凍死の心配はねーだろう。

 

 * * *

 

 もちろん、俺は気付いてなかった。

 この時、俺は盛大にエヒメとの約束を破ってしまってたことを。

 

 って言うか、気付けるか! この時のカツアゲしてきたと思ってたにーちゃんが、「ガロウ君」だなんて!

 俺、悪くねーよな! 仕方ないよな、あの状況は!?

 

 けど、ごめんエヒメ!

 話聞かずに問答無用で殴っちゃった!!


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