「君達がわざわざお見舞いに来てくれるなんて、嬉しいよ。サイタマ君。エヒメちゃん」
ベッドの上で無免ライダーさんは、穏やかに笑って言ってくれた。
良かった。新聞やニュースで怪人に襲われて重傷って聞いた時はすごく心配だってけど、思ったより元気そう。
「……おう。バナナ、ここに置いていいか?」
お兄ちゃんもいつもと変わんない覇気のない表情だけど、声がすこしだけ安心したように柔らかくなってる事にも私はホッとする。
新聞で無免ライダーさんが重傷って記事を見て、私より先に「見舞いに行くぞ」って提案したくらい、心配してたもんね。
……でも、お兄ちゃん。病室で堂々とバナナを置いて自分で食べるのはやめて。
「君が食べるのか……」って、無免ライダーさんも困惑しちゃってるじゃない!
「ごめんなさい、無免ライダーさん! お見舞いのお菓子はこっちです! ちゃんと持ってきてますから!」
とりあえず私は謝ってお兄ちゃんを押しのけて、朝、近所のスーパーで買った菓子折りを渡す。
急だったから、かなり適当になってしまったのが本当に申し訳ない。
「いや、大丈夫だよ、気にしてないから。むしろ、気を使わせて本当にごめんね。エヒメちゃんは足を怪我してるのに……」
優しい無免ライダーさんはこう言ってくれるけど、私が入院した時はこの人も重傷だったのにすごくお世話になったから、また今度、ジェノスさんが定期メンテナンスで来れなかったから、ジェノスさんと一緒に来れた時にでも改めてもっとちゃんとしたものを贈ろうと決めた。
しばらく私と無免ライダーさんとで「大丈夫だから気にしないで」と遠慮の応酬をしていたら、朝ごはんのバナナを一本食べ終わってやっと、お兄ちゃんが再び口を開く。
「ヒーロー協会の新聞にでかでかと載ってたから。たった一人の怪人に、数十人のヒーローがやられたって。
良かったな、生きてて。バナナやるよ」
あ、一応そのバナナはお見舞いのつもりでもあったんだね。
……何にも持ってこなかったよりマシなのか、バナナ一房だけって手ぶらの方がマシなのか、もう私には判別がつかない。
何というか、本当にごめんなさい、無免ライダーさん。気に障ったらのなら、遠慮なく怒っていいですよ。
幸い、無免ライダーさんは本当に気にしていないらしく、バナナを受け取りながらお兄ちゃんの言葉というか、新聞の内容に訂正を入れた。
「……協会は犯人を怪人指定してはいるけれど、彼は人間だったよ」
「え?」
「えっ? 怪人じゃないのか?」
この時まで、私もお兄ちゃんも新聞やニュースの内容を鵜呑みしていた。
無免ライダーさんは深海王の時のように、自分の階級では手が出せないレベルの敵と戦って、重傷を負ってしまったのかと思ってた。
相手が、人ならざるものだと疑っていなかった。
「人間だった……。怪人を名乗る人間だ……。あるいは、まだ人間、と表現すべきか」
無免ライダーさんの続けられる説明に、私の鼓動を刻むペースがどんどん早くなってゆく。
協会が怪人指定する「人間」という話題を、昨日のチャランコさんの話を思い出してしまう。
……ううん。本当は、新聞やニュースで知った時から、被害者が無免ライダーさんやタンクトップマスターさんやその舎弟のヒーローだけじゃなくて、チャランコさんも被害に遭っていることを知った時点で、「まさか」と思ってた。
私が今日、お見舞いに来たのは無免ライダーさんたちが心配だったからがもちろん第一だし大きな理由だけど、私は安心したくて、新聞に書かれていた通り、彼らを襲ったのが本物の「怪人」であることをその口から証言してほしかったのも確か。
けど、私の期待は簡単に打ち砕かれた。
お兄ちゃんが、「ただの不良か……」と尋ねたけど、無免ライダーさんは「恐ろしく強い人間だよ……」と、さらに私の期待を砕いてゆく。
うん。わかってるよ。わかっていたよ。
……あなたをこんなに痛めつけたのは、あの人なんですね。
バングさんの一番弟子だった、人間怪人。
でも、もう少しだけ私に期待させてください。
信じさせてください。
『ひぃちゃん』
私の知っているあの子では、「ガロウ君」ではないと、信じさせてください。
* * *
お兄ちゃんはいつも通り覇気のない顔で、「あぁそう……。魚類の怪人とどっちが強いかわかるか?」と質問を重ねる。
もしかしたら、無免ライダーさん達を襲った「人間怪人」が、私の知っている「ガロウ君」かもしれないという話をしなかった。
たぶん、気を使ってくれたんだと思う。昨日の話は、忘れてないはず。
だって尋ねながら私の頭を一回、「心配すんな」って言うように撫でてくれたから。
「うーん……。深海王もとんでもなかったけれど……今回は何か違うんだ」
「「?」」
妙に歯切れの悪い無免ライダーさんの答えに、私とお兄ちゃんは一緒になって首を傾げる。
無免ライダーさんも、自分で疑問に思っている部分を何とか説明しようと、ベッドの上でわずかに首を傾げながら、やっぱり歯切れ悪く語る。
「一方的にやられただけの僕でも感じた違和感……。強さの種類が違う……。何て言えばいいのか……」
「『技』だ。奴は高度な武術を使う」
その曖昧な説明と、無免ライダーさんの疑問に、隣のベッドからあっさり答えが投げ出された。
無免ライダーさんが無理して腕を伸ばして、隣のベッドが見えるようにカーテンを引く。
「シルバーファングは厄介な魔物を育ててしまったようだな」
……同じ病室だったんですね、タンクトップマスターさん。
無免ライダーさんのお見舞いが終わったら、この人の方にも行こうと思っていたから、ある意味好都合。
そんなことを思って軽く会釈しながら私は、用意していたタンクトップマスターさんのお見舞いのお菓子を出そうとしてたんだけど……
「あの人……なんか急に会話に入ってきたけど誰か知ってる?」
「タックトップマスターさんだよ! S級の! 新聞に載ってたし、会った事もあるし、お世話になったって私、話したよね!?」
相変わらず、人の顔も名前も覚えないお兄ちゃんが言っちゃった。
一応、声のトーンは落としていたけど、無免ライダーさんとの会話より少し音量を下げた程度でしかないから、確実に聞こえた。お兄ちゃん、声に覇気がないのに何故か妙に聞き取りやすくて通る声してるから、その程度の気遣いは無意味だよ。
まぁ、一番無意味なのは思わず突っ込みを入れちゃった私なんだけど。
反射で入れたから、声を押さえるどころか病室で迷惑なくらい大きな声を出しちゃった……。
お兄ちゃんとボケと私の突っ込みにタンクトップマスターさんはもうどっちに怒ればいいのやらって顔してるし、無免ライダーさんはものすごく気まずそうで、私はものすごく恥ずかしくてテレポートで逃げ出したくなったのに、お兄ちゃんはやっぱり神経の図太さがすごい。
「ああ~! そういや新聞に載ってた!! 一番ボコボコにされた人だって」
「せめて一番食い下がったと言え!」
「なんか本当にもう、愚兄がすみません!!」
私の突っ込みで思い出してくれたのは良いけど、何でそういうこと言うのかな!?
それじゃあタンクトップマスターさんが一番弱かったみたいじゃん! マスターさんの言うとおり、一番強くて食い下がったからこそ一番ボコボコにされちゃったんだよ!!
お兄ちゃんの率直すぎる言葉に私が頭を下げて謝ると、タンクトップマスターさんは「……いや、君は気にしなくていい」と言ってくれた。
そうだよね。私が気にすることじゃないよね。
お願いだから、そこでまたバナナを食べ始めたお兄ちゃん! あなたが気にして!
そんな抗議を込めてお兄ちゃんを睨み付けてみたけど、お兄ちゃんは全く気にせず朝ごはんを食べるのを続行。
そりゃこれくらいで反省してくれる人なら、とっくの昔にもう少し空気を読んでくれる人になってるはずだよね。
むしろ、タンクトップマスターさんの方が、「ボコボコにされた」という発言を気にして、片手で頭を抱えて項垂れた。
「くそッ……、情けない話だ。この俺としたことが……。
まさかあんな若造に不覚を取ろうとは……。まったく、武術とは厄介なものだ。これまで……どんな怪物が相手だろうがほとんど一撃で退治してきた俺が……」
その言葉に、お兄ちゃんが反応したのを私と無免ライダーさんが気づく。
お兄ちゃんはタンクトップマスターさんのベッドに近づいて、バナナを一房もいで手渡した。
「バナナやる」
「ん? ああ、ありがとう」
唐突なお兄ちゃんの行動に、困惑しつつもお礼をちゃんと言うマスターさん。
お兄ちゃん、ちょっとこの人を本気で見習え。
もちろん、ある意味では傍若無人や唯我独尊という言葉を体現しているお兄ちゃんが気にして見習う訳もなく、珍しくお兄ちゃんは笑った。
「で……その話。詳しく聞かせてくれ」
何かを期待するように、不敵に笑うお兄ちゃん。
タンクトップマスターさんの言葉に、お兄ちゃんは期待した。
「俺の攻撃が全てかわされ、いなされ、流される。どんな強力な攻撃でも……、まず当たらなければ意味が無いだろう」
「そりゃそうだ」
私はともかく、お兄ちゃんとタンクトップマスターさんはA市壊滅の時に会ったきりだから、当然マスターさんはお兄ちゃんの反応や質問がよくわからず困惑してる。
困惑しつつも、タンクトップマスターさんはお兄ちゃんに相手のこと、武術がどれだけ厄介なのかをわかりやすく丁寧に教えてくれた。
この人、たまに変なこと言い出すけど本当にいい人だ。
相手の攻撃の威力をそのまま利用して返すカウンターの脅威や、急所を狙われる厄介さ、従来の怪人や怪物は自分の持っているパワーをそのまま無茶苦茶に使って周りや相手を破壊するのに対して、彼は……人間怪人は理知的に、合理的に「人間を壊す方法」を熟知して使ってくることをわかりやすく教えてくれた。
ここまでわかりやすく、「ヒーローを倒す方法を知っている」と言い切られても、お兄ちゃんの表情は変わらない。
相変わらず不敵に、お兄ちゃんは笑ってる。
何に期待しているかなんて、わかりきっている。
自分と同じように、一撃で怪物や怪人を倒してきたこの人をここまで傷つけた相手なら、この人が「厄介」と語る武術なら、お兄ちゃんは自分が抱える「強い相手と戦いたい」という飢餓を満たせるかもしれない。
そんな期待をしてることなんか、一目瞭然だ。
そして私は、危ないことはしないでほしいけど、お兄ちゃんの飢餓を満たせることを望んでる。
お兄ちゃんの期待を壊したくない。邪魔したくない。
……でも――
「シルバーファングが奴を倒せるか俺にはわからないが……、誰かが止めなければ被害が拡大する一方だ」
「人間怪人」の脅威をタンクトップマスターさんが語り終えて、話はまとめに入る。
「怪人を名乗る人間によるヒーロー狩り……。これは社会全体の治安を揺るがす大問題だ。
このまま野放しにはできん……。俺もすぐに復帰するつもりだ」
タンクトップマスターさんの言葉に、無免ライダーさんも動かせる限り首を動かして、深く頷いて同意している。
マスターさんだけじゃなくて、無免ライダーさんも多分すぐに復帰するつもりなんだろう。
その行動も意思も、とても尊いもの。
私が定義する「ヒーロー」に合ったもの。
この人たちが語る言葉は、どこまでも正しいことだってのはわかってる。
わかってる。わかってるよ。
例え一般人を傷つけなかったとしても、ヒーローが重傷を負って一時的にでも現場に出ることが出来なくなれば、それだけ怪人による被害が酷くなる可能性が高い。
そもそも、チャランコさんを傷つけている時点でもう、「ヒーロー狩り」じゃない。
どんな信念や思想があったとしても、「彼」がしたことは許されていいことじゃない。
『ひぃちゃん……、怪人だって頑張ってるんだよ』
……あなたのしたことは、「悪いこと」なんだよ。
例えどんなに頑張っても、許されないことなんだよ。
許しちゃ、いけないことなんだよ……。
「何、凹んでるんだよ」
ポンッと、私の頭にいつもの暖かな重みが乗った。
そしてそのままぐしゃぐしゃに髪をかき混ぜて、私のうじうじした考えを吹き飛ばすように、乱暴にお兄ちゃんは私の頭を撫でた。
「大丈夫だ。きっと違う。こんなことする奴じゃなかったんだろ?
仮になんかの間違いで、道を踏み外してこんなことをしてるのなら、ちゃんと話は聞いてやる。聞いて、『バカなことしてんじゃねぇ』って注意してやる」
そう言って、お兄ちゃんは私に笑いかけてくれる。
何かを期待するような、さっきまでの不敵な笑みじゃなくて、いつものように「心配すんな」って言って私を安心させてくれる笑顔。
……あぁ。本当にちゃんと、昨日の話を覚えていてくれたんだ。
* * *
昨日、もしかしたらバングさんの一番弟子だった、怪人と名乗る人間が私の知る「ガロウ君」じゃないかという話は、途中で脱線したらそのまま本題に戻ってこれず、グダグダなまま話は終わってしまった。
まぁ、真面目に本題から離れずに話していたとしても、昔すぎる話だから結局のところ、何も出来ることなんてなかったとは思う。
で、いつの間にかただの雑談になって、フブキさんやキングさん、チャランコさんが帰って、いつも通りお兄ちゃんとジェノスさんと晩御飯を食べた後、お兄ちゃんとジェノスさんはそれぞれ別々にだけど、同じことを言ってくれた。
「エヒメ。お前はどうしたいんだ?」
「エヒメさん。貴女は何を望みますか?」
二人とも、私にそう尋ねてくれた。
皆から「きっと違う」と言ってもらっても消しきれない不安に気づいて、気を使ってくれた。
その気遣いは嬉しいけど、ものすごく申し訳なくて、「大丈夫です」とか「なんでもない」と言ってごまかしてしまいたかった。
自分のわがままであることをわかっていたから、言うべきじゃないと思った。
でも…………
『……ひぃちゃん』
信じたくない。
信じられない。
違ってて欲しい。
でも、もしも本当にあの子なら、あの子が道を踏み外してしまったのなら、その理由はきっと……
『だって……たっちゃんが……クラスの皆が……先生が……お父さんが……』
誰も、聴いてあげなかったから。
周りの人が言ったことを全部、真面目に受け取って、考えて、だからこそ納得できなかった、訊きたかった、訴えたかった、叫びたかったたくさんの何かを、誰も聴いてくれず、聴いてあげなかったからだと思ったから。
だから、私はお願いした。
「ごめん、お兄ちゃん」
「ごめんなさい、ジェノスさん」
最近、ミラージュの事で迷惑をかけたばっかりなのに、お兄ちゃんにもジェノスさんにも、私は縋り付いてしまった。
「どうか、お願い」
わがままだけど、タンクトップマスターさんでも、S級でも勝てなかったくらいだから、私の望みを優先して戦おうとしなかったら、ジェノスさんどころかお兄ちゃんさえも危ないのかもしれないけど……、それでも、私は二人に縋り付いて頼んでしまった。
「話を聴いてあげて」、と。
もう、嫌だから。
ヘラの時みたいに、私が何らかの行動をしておけば、あんな結末にはならなかったと後悔するのは嫌だから、だから他力本願で恥ずかしいけど、頼み込んだ。
……お兄ちゃんは、そんな私のわがままを実行しようとしてくれるんだね。
ねぇ、お兄ちゃん。
本当に私の友達だったら、たとえミラージュのように怪人に成り果てていても、きっと私はあの子をミラージュのように見捨てることが出来ないことも、わかってるんでしょう?
きっと、お兄ちゃん自身も殺せないこともわかってるんでしょう?
本気で戦えなくなることをわかってても、お兄ちゃんは私の願いを叶えてくれようとしてくれるんだね。
私の期待は壊さないでいてくれるのに、自分の期待は諦めてようとしてくれるんだ。
私が凹んで落ち込んでいるから、そう言ってくれるのなら。
その為に自分の期待を捨ててくれるのなら、わたしがするべきことはひとつだけ。
「……うん。……大丈夫。もう、本当に大丈夫だよ。
ありがとう。お兄ちゃん」
笑って、伝える。
本当に本当に大丈夫だってお兄ちゃんに信じてもらえるように、本当にお兄ちゃんの言葉が嬉しかったから、私は精一杯笑って伝える。
酷いわがままだけど、私はお兄ちゃんが自分と同じくらい強い敵と戦うなんて危ない目にあって欲しくないし、人間怪人がガロウ君なら、例え殺さないように手加減しても、問答無用で殴って終わらせるなんてことして欲しくない。
だから、お兄ちゃんの期待を捨てないでなんて言えないから、言えないのなら私は、お兄ちゃんが望んだことを実行できるようになりたい。
落ち込まないで、あの子じゃないと信じて、笑って、お兄ちゃんが全てを解決するのを家で待って、お兄ちゃんが帰って来る居場所を守らなくちゃいけないって思った。
そうしないと、何のためにお兄ちゃんが自分のしたいことを我慢したのかがわからなくなっちゃうから。
「……そうか。ならいい」
私はちゃんと笑えていたみたいで、お兄ちゃんは少し安心したように笑ってから、またタンクトップマスターさんに向き直って言った。
「まぁ。その『人間怪人』が何にせよ、とりあえず見つけなくちゃ話になんねーよな」
「あ、あぁ。そ、そうだな……。階級を無差別、ヒーローを見つけては手当たり次第だから、こちらから見つけるのは困難だがな」
お兄ちゃんにいきなりまた話を振られて、マスターさんは少し戸惑いながら答える。
っていうか、当たり前だけど私とお兄ちゃんのやり取りは、タンクトップマスターさんと無免ライダーさんには意味不明だったらしく、二人ともポカンとした顔で見てるのにようやく気付いて、私は恥ずかしさで逃げたくなったのに、お兄ちゃんは何にも気にしないで話を続行できるのがやっぱりすごい。
尊敬はしたくないけど。
「なーに、ヒーロー狩りをしてるんなら大丈夫だろ」
「? サイタマ君、何か考えでもあるのかい?」
妙に自信満々に言ったお兄ちゃんに、無免ライダーさんが尋ねると、お兄ちゃんはドヤ顔で言い放った。
「考えなんて立派なもんじゃねーよ。ただ、S級を倒してノリにノッてるとしたら……、そろそろ俺を狙いに来るってことだろ!」
…………病室に、気まずい沈黙が落ちた。
お兄ちゃん。私はお兄ちゃんがもはや人類の枠にとどまらないくらい強いのは知ってるし、無免ライダーさんもどこまで正確かはわかんないけど、お兄ちゃんの実力が階級にあってないのは理解してるよ。
でも、お兄ちゃんは世間ではB級上位で割と強いヒーロー扱いかもしれないけど、わざわざ「ヒーロー狩り」で積極的に狙いに来るほどじゃないからね?
そのことを冷静に指摘すべきかどうか、私と無免ライダーさんは迷った結果、ノーコメントを貫かせてもらった。
タンクトップマスターさんの、生暖かい視線がものすごくいたたまれなかった。