“まがいもの”の第四真祖   作:矢野優斗

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あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
今年初の投稿です。というか明日から学校始まるんで、そしてセンターも近いので入試前最後の投稿です。
ちょっと難易度ベリーハードになっちゃいましたが、どうぞ。


天使炎上 XI

「くそっ、やれ! とにかく撃てッ!」

 

 自棄気味にベアトリスが指示を飛ばす。相手が世界最強の吸血鬼とあっては油断も慢心もしていられない。古城が動き出す前に終わらせなければその時点で詰みだ。

 二十の銃口が古城に集中し発砲。暗闇にマズルフラッシュを閃かせて大量の銃弾が古城一人を襲う。

 常人であれば蜂の巣にされて然るべき鉄の嵐。しかし古城は第四真祖。たかが銃弾の雨霰程度でどうこうできる存在ではない。

 古城の身体から溢れ出る眩い雷光が弾丸の悉くを叩き落とす。弾の一発足りとも古城には届き得ない。眷獣の部分展開で災害並みの稲妻を放出するのだから、完全召喚をされたらそれこそベアトリスたちの勝ちの目は一切潰える。

 故にこそベアトリスが虎の子の一手を切るのは当然の帰結であり──

 

「させるかよ!」

 

 兵士たちを操作するリモコンとは別の端末を取り出したベアトリスを止めんと突貫を仕掛けようとするも、兵士たちの銃口がラ・フォリアに向けられたことで足を止める。呪式銃を持っているラ・フォリアであるがそれで無数の銃弾を封殺できるわけではない。よって古城はラ・フォリアを守るためにその場から動けなかった。

 代わりに飛び出したのはキリシマを見張っていた紗矢華。相手の意図は読めないが止めなければ不味いことになると直感し、古城とほぼ同時に駆け出していた。

 だが立ち位置が悪かった、ベアトリスたちにキリシマを解放されまいと離れた位置に待機していたがためにリモコンの起動に間に合わない。

 

「第四真祖だか何だか知らないけど、これで終わりだよ」

 

 向かってくる紗矢華に対する牽制として紅槍を顕現させ、ベアトリスは再び勝ち誇ったように笑う。

 音に聞こえし第四真祖、その力の程は歴史が物語っている。天変地異の化身とまで謳われる世界最強の吸血鬼を下すなど、“旧き世代”ですらないベアトリスには天地が引っ繰り返ろうと不可能だ。

 だからこそベアトリスは喚んだ。世界最強の第四真祖よりも更に上の次元に立つ超越者(天使)の成り損ないを。

 それは音速を遥かに超えた超音速で砂浜を睥睨する上空に飛来した。歪な翼を広げ、禍々しくも神々しい気配を醸し出す天使、その数()()

 

「三人、だと……」

 

 予想を上回る天使の人数に古城は愕然と顎を落とす。

 原作では一人、三度の儀式を終え六つの霊的中枢を手にした夏音が登場した。しかし現実に現れたのは三位の“仮面憑き”、大いに原作の状況と掛け離れている。

 

「そうか、叶瀬を保護したから一人残っていたのか……」

 

 原作乖離の原因は他ならぬ古城自身にあった。三回目の儀式を未然に防いだがために宙ぶらりんとなった“仮面憑き”の一人が今、ツケを払えと言わんばかりに古城に牙を剥いたのだ。

 またもや己の行動で自分の首を絞めてしまった。だが古城に後悔はない。あそこで夏音を救わないなどという選択肢はなかったのだ。たとえ今ここで絶体絶命のピンチに陥っていようとも。

 

「二人とも、どうにかしてベアトリスからリモコンを奪ってくれ。時間は俺が稼ぐ」

 

 逡巡も躊躇う暇もない、一方的に指示だけ出して古城は雷を全力解放する。

 幾条にも枝分かれた紫電が天使と兵士たちを襲う。雷撃は蛇の如く畝り的確に標的を穿つ。

 だが仕留められたのは兵士たちのみ。人間には有り得ない機械の破片とオイルを撒き散らしながら砕ける機械人形(オートマタ)と違い、稲妻に貫かれても天使たちは平然としている。まるで攻撃が擦り抜けたかのようだ。

 

「無駄だ。如何に強力な眷獣を従える第四真祖と言えど、不完全ながら高次元に足を踏み入れる彼女らに干渉することは叶わない」

 

 律儀に淡々と説明する賢生。一切の攻撃が通用しない敵手に紗矢華が顔を青ざめさせた。

 

「そんなのどうやって倒せばいいのよ……」

 

「倒す必要なんてないだろ。あの女が持ってるリモコンで活動を停止すればそれで終わりだ」

 

 逆に言えば、それ以外に勝機がないとも言える。だがそんなことは相手も重々承知。みすみすリモコンを奪われるような下手は打たないだろう。

 その証左に古城、ラ・フォリア、紗矢華の前に一人ずつ“仮面憑き”が舞い降りる。ベアトリスがそうするように操作したのだ。

 一人に対して一位。古城はともかくラ・フォリアと紗矢華に“仮面憑き”を倒せるだけの力量はない。戦闘となればまずラ・フォリアが脱落し、続いて紗矢華が落ちるだろうことは目に見えていた。

 考え得る限り最悪の状況と言っても過言ではない。絶望的なまでの劣勢にさすがのラ・フォリアと紗矢華も顔色が悪い。しかしそんな状況下でも古城が諦めることはない。

 古城を中心に大気が揺らぐ。意図的に放出される第四真祖の力の根源たる莫大な“負”の生命力が、世界を震わせているのだ。

 

「お前たちの相手は俺だ。余所見なんてさせるか!」

 

 曲がりなりにも“仮面憑き”は天の御遣い。神に呪われ不死の力を得た吸血鬼は天敵そのもの。それも真祖が目と鼻の先で魔力を垂れ流しにしていれば、必然彼女らの目は古城に釘付けになる。

 制御機構からの命令を振り切り、条件反射的に成り損ないの天使たちが古城に襲いかかった。

 

「こいつら、勝手なことしやがって……!」

 

 新たにリモコンで命令を送るも全て無視され苛立ちに舌を打つベアトリス。そんな彼女の前に“煌華麟”を構えた紗矢華が立つ。ラ・フォリアは余計な横槍を入れられないようにと賢生を抑えている。

 

「そのリモコンを渡してもらうわよ」

 

「はいどうぞ、って渡すとでも思ったかい。悪いけどこっちは予定が狂いまくって虫の居所が悪いのよ。手加減なんてしてやれないから覚悟しな」

 

 怒りと焦りに顔を歪ませながらベアトリスが真紅の槍を構えた。

 三位の天使と第四真祖が争う戦場の傍、紗矢華とベアトリスの戦いもまた幕を開けた。

 

 

 ▼

 

 

 当初の予定では“仮面憑き”と対峙するつもりはなかった。

 まず最初に夏音と接触し、さり気ない風を装って悩みを聞き出す。そこから“仮面憑き”の正体を那月に報せ、共にメイガスクラフトへ乗り込んで何もかも始まる前に終わらせる。その後、行方不明となったラ・フォリアを発見して大団円。これが最も穏便な結末だった。

 だが夏音と那月の予想外の行動に全てが狂った。加えて夏音の心を救いたいと欲を出したがために三人の“仮面憑き”と戦う羽目になっている。

 馬鹿だった、何故この展開を予想しなかったのか。原作でも天使に至った夏音に続いて二体の“仮面憑き”が登場していたではないか。今更ながら己の間抜け加減に笑いが洩れてくる。

 だが古城に慚愧の念はない。涙を流す夏音を救ったことが間違いだなんて思えない。だってそうだろう。古城なら──()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 全身に魔術紋様を浮かび上がらせた成り損ないの天使が甲高い絶叫を上げる。黒板を爪で引っ掻くような、誰もが不快に感じる声が共鳴。まがいものでありながら神性を帯びた音の衝撃が眼下の古城を容赦なく押し潰す。

 

「──ぐ、ああッ!?」

 

 禍々しい神気の波動に身を蝕まれながらも古城は眷獣を喚び出す。血の中に眠る吸血鬼だけが使役することが許される意思を持った魔力の塊。それが宿主の声に応じて現界する。

 

疾く在れ(きやがれ)、九番目の眷獣、“双角の深緋(アルナスル・ミニウム)”!」

 

 音には音をぶつけて相殺すればいい。召喚された眷獣は衝撃波そのもの、そこに在るだけで近所迷惑となる双角の馬だった。

 衝撃波の化身たる緋色の馬が嘶く。たったそれだけで浜辺の砂が引っ繰り返ったかのように舞い上がり、夜の海が激しく波打つ。さすがは天災と称される第四真祖の眷獣である。

 だが地形すら変えてせしめる眷獣の衝撃波でも神気を乗せた音波には敵わない。ほんの僅かな拮抗の後、変わらず古城を頭上から圧殺した。

 

「があぁああ──ッ!!」

 

 魔族にとって毒そのものである神気を大量に浴びせられて絶叫が溢れる。今まで受けてきた眷獣の攻撃や物理的な苦痛とは違う痛みにさすがの古城も膝が折れかけた。

 雪菜が獅子王機関より下賜された秘奥兵器“七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)”は真祖すら滅ぼすと謳われる破魔の槍。神格振動波駆動術式(DOE)によってあらゆる結界や魔術を切り裂くそれは人工的に生み出した神気を利用している。故に真祖ですら殺し得るのだ。

 ならば不完全ながらも神気を纏い操る“仮面憑き”は古城にとって絶望的なまでに相性最悪の敵である。ヴァトラーと那月が今回の一件から古城を遠ざけようとするのも当然だ。これはあまりにも相手が悪すぎる。まあヴァトラーに至ってはそれでもなお古城を死地へ送り出す切っ掛けを与えたのだが。

 現状の古城では成り損ないであっても“仮面憑き”には勝ち得ない。雷撃と衝撃波だけでは次元の壁は超えられない。唯一可能性があるとすればそれは次元喰い(ディメンジョン・イーター)だけだが──

 

「くそっ……」

 

 凄まじい重圧に呻きながら古城は彼女らを見上げる。

 メイガスクラフトの非道な人体実験によって生み出された魔術儀式の素体。他の実験体の体細胞から創り上げられたクローンである彼女たちは今、顔に装着された仮面によってただの人形同然の状態となっている。

 元々自意識が存在するかも分からない。仮に仮面の支配から解かれたとして、人としての自我があるかも知れない少女たち。帰るべき場所すらもない彼女らを、しかし古城は傷つけることができなかった。

 これが明確に敵対するベアトリスや賢生ならば躊躇うことなく叩きのめせる。しかし彼女らは他人による支配によって望まぬ戦いを強いられている被害者だ。加えて唯一の攻撃手段が下手をすれば相手を殺しかねないものとあれば、躊躇するのも無理はない。

 だがこのままでは遠からず古城が滅ぼされてしまう。現に身動きが取れない古城に狙いを定め、光剣を撃たんと身構えている。何かしらの対策を講じなければ古城の命は此処で潰えるだろう。

 それは駄目だ。こんな所で死に絶えるなど許されない。この身は来るべき時が訪れるまで滅ぼすわけにはいかないのだ。

 それが古城(まがいもの)に課せられた運命なのだから。

 都合三つの光剣が古城目掛けて放たれる。神気の重圧下でまともに動けない古城にそれらを躱す術などありはしない。しかし、

 

「八つ裂け──ッ!!」

 

 裂帛の気合いと共に振り翳した古城の右腕に触れた途端、神の天敵たる吸血鬼を貫かんとした光の剣がバラバラに裂かれた。

 文字どおり存在する次元が違う光剣が第四真祖の手によって切り裂かれた。目を疑う光景にラ・フォリアと対峙していた賢生が目を剥く。

 

「馬鹿な、高次元からの攻撃を防ぐなどそれこそ同じ神気をぶつけでもしない限り不可能だ。それをどうして……」

 

 古城がやったことは言葉にすれば単純なもの。普段から雷だけを呼び出していたように眷獣の力の一部だけを表層に出したのだ。自分に制御できるギリギリの範疇で。

 その力の正体は言うまでもなく次元喰い(ディメジョン・イーター)。紗矢華の持つ“煌華麟”のように腕を振るった次元空間だけを喰い千切ったのだ。結果として高次元からの攻撃は古城に届く前に八つ裂きとなって霧散した。

 だが忘れてはならない。古城が支配下に置いた眷獣は二体のみ。そこに“龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)”は含まれない。つまり古城は未だ手懐けていない眷獣を行使したのだ。それ即ち、

 

「ぅ、がはっ……」

 

「古城!」

 

 吐き出される大量の血塊を見てラ・フォリアが血相を変えた。掌握していない眷獣の行使による宿主への反動が古城を襲ったのだ。

 “獅子の黄金(レグルス・アウルム)”の時は全身を雷に焼かれた。“双角の深緋(アルナスル・ミニウム)”は体内を衝撃波に蹂躙された。ならば“龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)”は──?

 全身が激痛に苛まれる。愛用の黒いパーカーが滲み出た血を吸ってよりどす黒い色へと変色し、肉体に刻まれた傷跡の形を浮かび上がらせた。

 それは斜めに走る三筋の裂傷。獣の鉤爪に切り裂かれたような、或いは龍蛇の顎に食い千切られたような傷。服を取っ払えばそこには見るのも痛ましい損傷があるだろう。

 致命とまでは至らずともたった一度の眷獣行使で痛烈な負傷。とてもではないが連発できる技ではない。あと二回も使えたならば御の字だろう。

 だが天より降り注ぐ光剣の数はとても二度の行使で消滅できるものではなく、

 

「ぎぃ、がぁ……!!」

 

 容赦の欠片もない光剣による爆撃の全てを、四度の眷獣行使を以ってして掻き消す。一撃に一撃返ってくる激烈な反動に血反吐を吐きながら、しかし古城は膝を屈しない。全身を襲う想像を絶する激痛を鋼の精神力で堪え、奥歯が砕け散りそうになるほど歯を食い縛って立ち続ける。

 肉体を八つ裂かれる痛みは尋常なものではなく、到底堪えられるような代物ではない。だがそこはこの古城、拷問と言っても過言ではない苦行を乗り越えてきただけあって気合いと根性で捻じ伏せる。

 とは言え度を過ぎた無茶をしているのも事実。限界を超え続ければ遠からず精神が壊れるのは確実。

 

「負けられない……俺は──!!」

 

 滅びることは認められず、殺すことは許せない。古城に残された選択肢は唯一つ。仲間(紗矢華)がベアトリスからリモコンを奪い取り彼女らを停止させること。それ以外に道はない。

 絶え間なく降り注ぐ剣群。殺意と神気の嵐を食い千切り、その身を削りながらも古城は耐える。堪える。

 白い砂浜を血色に染めながら古城は只管に耐え続けた。

 

 

 ▼

 

 

 時間がない。早期に決着をつけなければ古城(馬鹿)がまた無茶をするのは目に見えていた。故に様子見などなく紗矢華は一気呵成の勢いで挑みかかる。

 

「ちっ、怠いったらありゃしない。どいつもこいつもふざけてんじゃねーよ! “蛇紅羅”!」

 

 ベアトリスの呼び掛けに応じて紅の槍が震える。槍全体がまるで蛇のようにしなり、接近する紗矢華に有り得ない角度から襲いかかった。

 ベアトリスの呼び出した槍は意思を持つ武器(インテリジェント・ウェポン)。武器の形をした眷獣だった。その能力は槍の形を自在に変えて敵を襲うという、古城の眷獣と比べると火力に欠けるものの対人戦においては非常に強力な性能を発揮する代物だ。

 予想外の奇襲に一瞬瞠目するも紗矢華は襲い来る槍の穂先を紙一重で躱し、足を止めることなく駆け抜ける。時間がないがための無茶な突撃。紗矢華も古城のことをとやかくは言えないだろう。

 だが無茶をした甲斐はあり、変幻自在かつ複雑な軌道の刺突や薙ぎ払いを掻い潜り、多少傷を負いながらも紗矢華は剣の間合いにベアトリスを取り込んだ。

 紗矢華が剣を振り上げる。分かりやすい上段からの斬撃であるが、その分振り下ろされる威力は大きい。無論、ベアトリスとて黙って食らうつもりはない。形状の変わった槍を元に戻し振り下ろされる剣の一撃に身構えた。

 刹那、紗矢華の口元が微かに笑む。それに気づく間もなく槍で防御しようと構えていたベアトリスの脇腹に強烈な衝撃が走った。

 

「な……剣じゃ、ないだって……」

 

 脇腹から全身に広がる痛烈な衝撃に大柄なベアトリスの身体がふらつく。そこへすかさず追い打ちの打撃。腹部と鳩尾の二箇所に掌底を叩き込まれさしもの吸血鬼も立っていられなかった。

 膝から崩れ落ちるベアトリスに殊更勝ち誇ることもなく紗矢華は淡々と告げる。

 

「獅子王機関の舞威媛は呪詛と暗殺を生業としてるの。眷獣頼りの戦い方しかできない吸血鬼に遅れをとるような柔な鍛えられ方してないんだけど」

 

 元より紗矢華の実力は一般的な攻魔師、ましてや女子供の括りを超えている。実戦経験も積み多彩な呪術を使い熟す紗矢華は純粋に強い。雪菜ですら五回に一回勝ちを掴めたら御の字なのだ。

 詰まる所、所詮は女子供だと侮っていた時点でベアトリスの敗北は必定。始まる前から勝敗の見えた戦闘であったのだ。

 

「さあ、リモコンを渡してもらうわよ」

 

 長剣の切っ先を突き付け操作端末を要求する。完全に負かされ眷獣の召喚も解除されたベアトリスに抵抗する術はない。しかし、

 

「あーくそが、何もかもケチがつきやがって。ふざけんじゃないわよ──こんなもの!」

 

「ちょっとぉ!?」

 

 昨今の技術革新についていけず会社の経営は傾くわ、一発挽回狙った戦争用の機械人形(オートマタ)は売れず開発費用ばかり嵩むわ、挙句最終手段の人口天使にすら邪魔が入る始末。端的に言ってベアトリスは自暴自棄に陥っていた。ちょっとばかり追い詰め過ぎたとも言える。

 ヤケクソになったベアトリスは懐から取り出した“仮面憑き”の制御端末を、あろうことか力の限りぶん投げたのだ。これまで積もりに積もったストレスを発散するかの如く。

 吸血鬼の膂力で投げられた掌サイズのリモコンは、月光に煌めく漆黒の海に虚しい音を立てて着水。そのままゆっくりと沈んでいった。

 “仮面憑き”を止められる唯一の手段が失われ顔面蒼白となる紗矢華。一部始終を見ていたラ・フォリアは口元を覆い、賢生までもが軽率な行動にこめかみを抑えていた。

 

「ど、どうしよう……」

 

 割と本気で切羽詰まっている状況に獅子王機関の舞威媛は情けない声を洩らす他なかった。

 

 

 

 

 

 

 




“仮面憑き”三人と覚醒直前夏音、何方がより難易度高いのか……

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