「どうよこのF12ベルリネッタ!!V型12気筒エンジンだぜ!!」
紅いヘェラーリに乗った若い男が自慢気に語る
「きゃああなたすご〜い。良くこんな高い車買えたわね」
若い男の彼女なのだろうか、女がはしゃいでいる。
「そりゃそうよ!なんだって俺は海軍のお偉いさんの息子だからな!どっからでも金が湧いてくるぜ!」
葉巻を吹かしながら一丁前に語る男。まるで親を金づるだと思っている。正真正銘のクズだ。
ドドドドドドドドッ キラッ
しかし、若い男は葉巻を落としてしまった。女は口をあんぐり開けて唖然としていた。
何かの地響きと共にキラリと光る流れ星みたいな物が横を通過していったのだ。ほんのわずか一瞬。
「流れ星が通っていった…?」男が驚愕する。
「まさか…何かの生物だったり?まさか怪人!?」女が答える。
「流石に怪人でもありえないだろ…
だってこの車…」
「200km/hで走っているんだぜ」
「お、ついた」
とんでもねースピードで走っていたサイタマ、いきなり急ブレーキをかけ急停止。あたりは嵐がおきたように砂埃が舞い上がり視界が遮られる。聞こえるのは急におこった嵐で混乱する人々の叫び。「キャー!!」と叫んでいる女性の声が聞こえるのだが、スカートでもめくれたのだろうか。そんなことはお構いなしにサイタマは数秒後に迎える海の景色を無気力な顔ながら楽しみにしていた。
「おお」
広い。サイタマは素直にそう思った。
深い青色がどこまでも続き、海が太陽の光を浴びてキラキラと輝いている。決してサイタマの頭のことではない。
そして静かにささやく、耳に心地よく響く波の音がたまらない。自分の悩みのタネであるハゲや知名度の低さや生活の苦しさも、ここでは本当にちぽっけなちっぽけな悩みだと感じてしまう。
そして、久しぶりに来た海にテンションが上がる。
ポチを地面に降ろすと、初めて見る海に興奮したのか、ポチは砂浜に向かって走っていく。
「」
「おいピクミン大丈夫か?おーい」
黒い精子は気絶していた。無理もない、とんでもねースピードで移動していたのだから。サイタマは砂浜に黒い精子を寝かせ(放置)ポチを追いかけていった。まだ夏ではないので熱中症の心配はいらないだろう。
「いやージェノスも一緒に連れてくれば良かったな」
こういう時にいつも側にいる弟子がいないのは残念だ。
ポチはサイタマから400m離れたところでサイタマを待っていた。
そういえれば天気は先程晴れていたのに曇りになっている気がする。
「ワンワンワン!」
「おーヤドカリじゃんよく見つけたな」
サイタマはヤドカリを拾いあげる。種類や食べられるのかは分からない。食べられるなら持って帰りたいな。
「ワンワン!!ワワン!!」
そうじゃない!と、まるで訴えかけるように必死に吠えるポチ。
「ああ、このヒトデが欲しかったのか。そーれ取ってこーい。」
サイタマが足元にあったヒトデをぶん投げる。
「ウウーワォォォォォォォン!!」
ついに怒ったポチがツルツルのハゲ頭にかぶりつく。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ痛い痛い辞めて!今新しい発毛剤試してるばかりだから!」
無理矢理ポチを離す。痛いといいながら傷一つつかず、つるつるテカテカの頭は健在している。
もう彼の頭からは沢山の兵(発毛剤)が破れさった。
今は最近登場した「発毛の家」という発毛剤を使っている。
とある実験中に発毛効果のある成分が偶然見つかったらしく、一部の学者で注目されたらしい。CMもバンバン流れていたし、国民放送でも取り上げられていた。
「なんだよ急に怒って…ん?なんだこれ?」
サイタマはポチを頭から離すときに、大きな「何か」を背にして座っていた。
そういやデカイ大木かと思っていた。「これ」はなんなのだろうか?
妙に冷たく硬い。
大木ならこんな感触ではない。鈍感なサイタマでもわかる。
ポチが先程から大声で吠えている。何かを警戒するような声で。
ポチの目線はサイタマの後ろを刺している。
サイタマは振り返る
黒い目玉と目が合った。
そこには地獄から生まれてきたような真っ黒な化け物が
死んでいた。
「うぉぉぉあぁぁぁvdp'a#.wdpp@m'」
流石のサイタマもバレーボールぐらいの目玉と目が合ったときはかなりビビった。あの鈍感なサイタマがびびったのだ。
飛び上がった。一瞬息が止まった。
化け物は横たわって死んでいる。まるで鯨みたいな形をした化け物は、歯がむき出しで、サメやシャチなどとは比べ者にならないくらいデカくて鋭い。人間どころかA市にある馬鹿でかいビルだって噛み砕き、粉砕しそうだ。
ゴツゴツの黒い皮膚は装甲と言わしめるほど硬く、メタルナイトのミサイルも余裕で弾きかえせるだろう。
何より特徴的なのは口から跳びでている巨大な砲塔。まるで昔の軍艦を思わせるような巨大な砲は、砲撃一回で人間なんて数百人は殺せるだろう。
そして作者は今までこの化け物に気づかなかったサイタマの鈍感さを賞賛したい。
「うぉすげーでかい」
無気力な目は変わらないものの、サイタマは唖然としていた。
よくみたら化け物は砲撃みたいな攻撃をうけて死んでいるのがわかる。座っていた場所から反対側に回ってみると腹部から夥しい緑色の血と内蔵が飛び出していた。
「よく分からんが新しい怪人か?まぁ死んでるし放っておくか…てか気持ち悪りぃ!」
折角散歩に来たのにこんな気色悪いもの見せられたらテンションが下がってしまう。サイタマはそんな事を考えていた。よくわからない化け物の死体があっても、彼にとってはどうでもいいのだ。
もうほっといて散歩の続きでもするか、と歩き出すのも束の間、
ドーン!!
地鳴りがする程の砲撃音が鳴り響いた。
「なんだ?コイツ(化け物)と同じ奴がいるのか?」
「海から砲撃音がするな」
砲撃音は海の方からする、サイタマは海を見つめた。
サイタマは肉体だけでなく視力もかなり良いのである。
何やら鯨の形をした物体が何かと激しく戦っている。所々に砲撃のせいだと思われる水柱がたっている。
近くには軍艦らしき船がある。軍艦は大砲みたいな装備しているが、あれではこの化け物に勝つことなど到底無理な話だろう。それどころか化け物の砲撃を一回でも被弾すれば間違えなく海の藻屑となってしまう。
「仕方ない、行くか」
残念ながらいつものヒーローマントと服は置いてきた。
靴紐を結び直す。
いつもは間に合ってないが今日こそ間に合うかもしれない。
ヒーロー協会から評価が欲しくてやる訳ではない。
あの軍艦がやられるのも時間の問題だ。
別に軍艦の乗組員や一般人の為ではない、自分の為に、自分がやりたいからやるのだけなのだ。
「ポチ、ちょっとあいつらぶっ飛ばしてくる」
ポチにそう告げ、正義のヒーローハゲマ…ではなく、サイタマは海へ向かって走り出す。
超能力や何かの機械ではない、ただ単に水に沈まないように、足を上下交互に動かすだけ。
彼は今海面を走っている。
「おっ、あっちの方だな。」
水柱を見つけた方角に向かって走り出す。とんでもねースピードで。
段々と目標に近くなるにつれて化け物の姿を確認できた。
先程浜辺で死んでいたのと同じ化け物が3体、そしてそれをさらに一回り大きくなった化け物が2体いる。一般人からみたら地獄絵図であろう。目玉には緑色の光を宿し、化け物達は生気に満ち溢れている。
しかし、その化け物達よりさらに奇妙なことがおこっている。化け物達は凄まじいスピードで走っているサイタマに気づかず、何かを囲むように游ぎ、砲撃をあたえている。
「ん!?」
サイタマは驚いた。
自分と同じ同業者がいたのだ。そう、ヒーローだ。サイタマが駆けつる前に他のヒーローが化け物達相手に戦っていたのだ。
それは少女だった
髪型はもみあげがあり、髪を後ろで縛っている
年は13、14ぐらいだろうか
一昔前のセーラー服を来て
手に持った大砲みたいな物と太ももに取り付けてある棒を発射して戦っている。
しかし戦況は数で押している化け物達が優勢だ。少女はなんとか回避に専念しているが、ギリギリ避けている感じでかなり劣勢に立たされている。それでも少女は諦めておらず、隙あれば大砲と棒で反撃を試みている。しかし、化け物の放つ弾が少女の足元に着弾、巨大な水柱が立ち、少女の視界を遮り、ひるんでしまう。当然化け物達はその隙を見逃す訳がない。
化け物達は一斉に砲撃を開始する。
ああ、終わったな
私は悟った、ここが自分の死に場所だと。
だが悔いはない、艦娘として自分の使命を全うしたのだ。
所詮私は兵器でしかない、だけど、もうこの世界にもう一度生まれてくるとしたら…
平和な世界に生ま「ナイスファイト」
「え?」
「いやー今回は間に合った。あ、キングにゲーム機返すの忘れてた!」
化け物から放たれた5方向からの本弾は
全て男の右手によって全て弾きかえされた。
「え、あの、ちょ、え?」
私は唖然するしかなかった。だってもう死ぬんだなぁと悟っていたら、いきなり男の人が飛んできたんだもん。
「いやーしかし、その歳でキャラ作りとは大変だな。俺も学ランきてヒーロー活動するくらいじゃないと人気でないのかな」
いや、キャラ作りとかじゃなくて、これは私達艦娘の戦闘着なんですが…
私は名前を聞いてみた。
「あの…なんというお名前なのでしょうか?」
「ん?俺か?」
「俺は趣味でヒーローをやっているハ…じゃなくてサイタマだ」
サイタマの喋り方がこれであっているか分からない…
改行をたくさん使いましたが、読みにくかったらすいません。
次回からは説明文を短くしてセリフを多くしてみます。
追記
一部の誤字、脱字を修正しました。
誤字、脱字を発見された方はご遠慮なく作者にご報告ください。