シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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私生活で色々あり、小説の作成のペースがかなり落ちてしまってましたが元号が平成の時こギリギリ投稿することが出来ました!


第56話 蜥蜴人掃討戦3

機獣兵団との戦闘の傷と疲労が完全に癒えないまま翌日を迎える。

すると一人の蜥蜴人が息を切らしながら慌てて走りながら大声で叫ぶ

 

「お、おい大変だ!湖が!」

 

その問題の湖に他の蜥蜴人湖が見える丘に行くと、湖一帯が完全に凍り付いていた。

この光景を見たシャースーリューは驚愕しザリュースは隣にいるクルシュに目の前の光景がわかるか質問をする。

 

「何だと…」

 

「クルシュ、こんな事があり得るのか?」

 

彼らにとっては、あまりにも常識外れの出来事にシャースーリューは驚愕し、ザリュースはクルシュに問いかけるがクルシュもあまりの事に驚くが、この現象は初めてだということを伝える。

 

「し、知らない、こんなの知らない…!」

 

そんな時蜥蜴人の一人が震えながら声を出し指を指す。ほかの蜥蜴人がその方角を見る。

すると蜥蜴人がさらに驚愕の声を上げた。

 

「な、なんだあれは!?」

 

「まさかあれが敵の切り札…!?」

 

指さした方角には約30mの巨大なゴーレム、そのゴーレム<ガルガンチュア>は片手に巨大な岩を持ち上げ、それを思い切り投げ飛ばす。岩は凄まじい音と砂煙を出しながら落ちていった。

 

「おいおいふざけんなよ、あんなのに攻め込まれたら…!」

 

更にそこに金色のフルプレートを着込んだアンデッドの騎士と銀色の装甲を纏った自動人形が並び立ち、槍を上げる。

 

「神話の軍隊かよ…」

 

そこにアインズとマシンナーを筆頭に後から階層守護者と七大隊長が進む。

ザリュースとシャースーリューは先頭を歩いているアインズとマシンナーが敵の首領じゃないかと推論する。

 

「見たところ、真ん中の二人が親玉…らしいな」

 

「アンデッドともう一人は何だ?」

 

「わからん、甲冑を被ってるのか?」

 

片方はその見た目からアンデッドだとすぐにわかった。

しかしもう片方は黒い甲冑を被っておりその下はどうなっているのかわからない。

 

「……とりあえず会ってみるしかない」

 

意を決したザリュースとシャースーリューはアインズとマシンナー達が陣取っている場所にまで向かう。

 

「ほう…よく来たな蜥蜴人達、おっと名前を名乗るのを忘れていた。私の名はアインズ・ウール・ゴウン。そして隣に居るのが我が盟友…」

 

「マシンナーだ…よろしく蜥蜴人」

 

「蜥蜴人の族長の一人、シャースーリュー・シャシャ」

 

「弟のザリュース…」

 

その時第六階層守護者のデミウルゴスが兄弟たちにアインズとマシンナーの両名に平伏するように言うと二人は何か強い力に押さえつけられたかのようにその場に伏せられる。

 

『平伏したまえ』

 

「!?」

 

「ぐぅ!」

 

ザリュースとシャースーリューは動こうにもビクともしない。

 

「では本題に入ろう。今回の蜥蜴人との戦、当初は貴様たちの殲滅を考えていた、だが…」

 

「初戦はこちらが少々手を抜いたとはいえ、貴様たちは勝った」

 

「その結果に我々なりの敬意を表し、我々の傘下に入るのを条件に貴様達の集落の存続を認めよう、但し…」

 

「このまま黙って傘下に入るのは貴様たちも不満だろう?そこで…」

 

「こ…降伏…」

 

「何もしないで降伏は許さん…」

 

「お前たちは俺の同胞にある程度抵抗で来たんだ、その可能性をもう少し見たいんだよ?」

 

降伏を宣言しようとしたシャースーリューの言葉を制しアインズとマシンナーはそれぞれの考えを話す。

 

(見せしめということか…)

 

「貴様たちには私の信頼する側近の一人であるコキュートスと戦ってもらう」

 

「時間は日が暮れ始めた頃だ、では楽しみに待っているぞ?」

 

そう言って兄弟の金縛りを解き、守護者と七大隊長と共に自分たちの陣地に〈転移門〉を使って帰っていった。

 

 

 

 

自分たちの陣地に戻り、マシンナーとアインズはこの後の行動について〈メッセージ〉で会話をしていた。

 

(ではトブの大森林の調査はこの件が終わってからですか?)

 

(そうですね、何か変わった物があったらすぐに連絡しますよ)

 

マシンナーの言う通り前から計画していた特殊合金のナノメタルとイアイが見かけた金属生命体の痕跡の調査と捜索をこの件が終わったら行動に移そうと考えていた。

 

(頼みます)

 

「アインズ様、マシンナー様」

 

「ん?」

 

「どうしたデミウルゴス?」

 

「僭越ながら御二方の為に椅子をご用意しました、どうぞご覧ください」

 

メッセージでの会話を終えてすぐ、デミウルゴスが話しかけてきたので二人はデミウルゴスの方を向く。

すると後ろには二つの椅子が置いてあった。

片方は様々な種族の骨で出来ており、もう片方はそれを金属でコーティングされている。

 

(え?何あの椅子、骨で出来てんじゃん怖!いや俺も骨なんだけど、骸骨なんだけど…)

 

(え?何あの椅子、めっちゃかっこええやん、座ったろ)

 

その椅子を見たアインズは引き、マシンナーは素直に感心した。

デミウルゴスは是非とも座ってほしいと言いたげな目でコチラを見ていた。

しかしアインズはあまり気乗りしない。

 

「(ええ…流石に気が引ける、どうすれば…!)シャルティア、確かこの間、泥酔してバレット・ローグを困らせたようだな?」

 

「え?は、はい…」

 

アインズのいう通りシャルティアは先日バーで泥酔してしまい、バレット・ローグが彼女を運び込んだという。

それを聞いたアウラは呆れやれやれと言った感じでシャルティアをなじる。

 

「あんた何やってんのよ全く…」

 

「う、うるさいでありんす!」

 

「その罰としてお前には私の椅子になってもらうぞ?拒否は許さん」

 

「……え?」

 

アインズの思いもよらないお仕置きにマシンナーは一瞬聞き間違いかと思ったがどうやら間違いではないらしい。

シャルティアは拒否するどころか何故か喜び、アルベドは歯ぎしりしている。

 

周りが何故か感心している中マシンナーは一人ドン引きしている。

 

(知りたくなかったわ~こんな形でモモンガさんの性癖知りたくなかったわ~)

 

(せ、性癖じゃないですよ!)

 

(本当っすか~?…ってアルベドが凄い顔してるし…)

 

マシンナーの言う通り、アルベドの顔はさながら般若の様になっており、何故かその場から退出する。

そして少し時間が経った後「ドン‼‼‼‼‼‼‼‼」と凄まじい音が鳴った。

 

「壁ドンって…」

 

オイオイと考えているとアインズが何気なくシャルティアに話しかける。

 

「シャルティア、重くないか…」

 

「あ、アインズ、今のシャルティアの顔見るのは……」

 

マシンナーはアインズを止めようと声を出すがアインズはマシンナーの声を聴く前にシャルティアの方に振り向く。

 

「そんな事ないでありんす!寧ろこのままずっとでも良いくらい…!」

 

振り向くとシャルティアは何故か頬を赤くさせ、恍惚な表情をしていた。

 

「うわぁ…」

 

その表情を見てドン引きしているアインズを尻目にマシンナーはデミウルゴスが作った黒い椅子に座ろうとその椅子に近づき腰かけた。

 

「じゃあ俺はデミウルゴスの作った椅子に…」

 

「よいしょ…」

 

「オぅ!」

 

マシンナーが一瞬間抜けな声を上げるのと同時に何かが壊れるような音が出る。

そしてマシンナーは地面に倒れた。

 

(え?何?何があったのよ…?)

 

一瞬混乱するがアインズが何故か焦りが籠ったような声を出しながらマシンナーに話しかける。

 

「マ、マシンナー…椅子…」

 

「え?」

 

椅子と言われてマシンナーは下を見ると、デミウルゴスの作った椅子の残骸が広がっていた。

 

(…マシンナーさんの重量に耐えられなかったようですね、酷い有様になってる…)

 

それを聞いたマシンナーはデミウルゴスの方を向くと頭を伏せ、わなわなと身体を震わせていた。

 

(やべぇ…デミウルゴス怒ってる、絶対怒ってる…!)

 

〈メッセージ〉で椅子が壊れた原因を推測するアインズと故意ではないとはいえ椅子を台無しにしてしまった事でデミウルゴスが完全に怒り心頭になっていると思いマシンナーはすぐにデミウルゴスに謝罪する。

 

「す、すまんデミウルゴス!まさかこんな事になるとは…『申し訳ございません!』は?」

 

デミウルゴスに謝罪しようとしたがそのデミウルゴスから意外な言葉で制された。

 

「まさかこんな欠陥品を作ってしまっただけでなく、御身にこんな姿を晒させてしまうとは…」

 

「え?いや待て、謝るのは寧ろ俺の…」

 

「その責任をここで…!」

 

そう言うとデミウルゴスは魔力が籠った右手で己の首を貫こうとしたのでマシンナーは急いで止めた。

 

「待て!やめろ馬鹿!!」

 

「全く…デミウルゴス、不慮の事故とは言えこれを壊したのは俺だ、だからお前は謝らなくて良い。謝るのは俺の方だ。すまない…」

 

「いえ、マシンナー様に非はありません!これは私の…!」

 

「いやだから…」

 

「そこまでにしろ、デミウルゴス次はもっと頑丈な椅子を作れ、マシンナー、次から気を付けて座るように…」

 

これ以上続けさせるわけにも行かずアインズは二人に注意しその言葉で漸く、二人の問答が収まった。

 

「わかってるよアインズ」

 

「かしこまりました、次こそは必ず」

 

(で?誰探すんです?)

 

(はい、さっきのザリュースって言う蜥蜴人を探そうかと…)

 

マシンナーが製作した実験体を倒したことによりマシンナーとコキュートスが興味を示し、先程自分たちの前にでた蜥蜴人の片割れを探し始める。

 

(あ、ここらしいですね、さて何やってるか…って)

 

(……)

 

探していると小さな小屋の中に居ることを知り、透視を始めると何故かザリュースがクルシュを押し倒している光景を目撃し、一瞬だけ思考停止してしまう。

 

(あの…これ、アレっすよね?)

 

(ああ…はい、アレ…ですね)

 

少し間を開けた後、二人が何をしていたのかすぐに察してしまい、気まずい気分になってしまう。

そんな二人を察したのか階層守護者があれやこれやと言い始めた。

 

「まあその…なんだ、これが今生の別れになるかもしれんから、このぐらいはな…」

 

「そだねー(棒)」

 

そう言うと「「流石至高の御方!!」」と言いて来たので二人共顔を抑えて…。

 

「「お前ら……黙れ」」

 

そう呟いたのであった…。

 

 

 

 

『キマシタナ?』

 

「ウム…」

 

次第に日が暮れ始め、約束の時刻となり、平原には蜥蜴人の戦士たちが時刻通りに集まりコキュートスとドランザーは一足先に待っていた。コキュートスは氷の門を作り、戦う意思を持つ者のみ入ることを許し、蜥蜴人達はザリュースやシャースーリュー等の族長や比較的年を取った蜥蜴人達がその門をくぐる。その眼には既に決死の覚悟を宿していた。それを見たコキュートスは4本の腕に武器を持ち完全なフル装備で出陣する。

 

「見届ケ役、頼ムゾ?」

 

『ハ…』

 

コキュートスの指示が無くても、元よりこの戦いを見届ける事を決めていた。

ドランザーは出陣していくコキュートスを見送る。

そして蜥蜴人達との最終決戦が始まった。

 

 

 

 

 

それは戦いとは言えない一方的な殺戮だった。

まず、族長以外の蜥蜴人達を一瞬で凍結させ、その後族長達も次々と斬殺した。

ザリュース、シャースーリュー、ゼンベルはある程度食い下がったがそれも蟷螂の斧に過ぎなかった。

そしてコキュートスと蜥蜴人の戦いをドランザーは見届けた。

 

(確カニ見届ケタ…)

 

ドランザーは胸の中で彼らの健闘を称え、コキュートスに近づく。

 

『終ワリマシタナコキュートス殿…』

 

「ウム、良キ戦デアッタ…」

 

『デハ私ハ蜥蜴人達ノ集落ニ行ッテ参リマス…』

 

「ウム、頼ムゾ」

 

『ハ…』

 

ドランザーは残りの蜥蜴人達に戦いの結果を伝えるべく、集落に向かって飛行した。

 

 

 

 

ドランザーがコキュートスの下にクルシュを連れて行き、コキュートスはそのままアインズの所に向かう。(ドランザーは蜥蜴人達の集落に戻り監視役を務めている)

そしてアインズとマシンナーが待つナザリックの陣地に着き、アインズとマシンナーに謁見を求める。

 

「アインズ様、マシンナー様、連レテ参リマシタ…」

 

許可を貰ったコキュートスはクルシュを連れてアインズとマシンナーの両名に跪く。

クルシュも膝を着き手を下につけて平伏した。

 

「うむ、ご苦労だったなコキュートス、下がって良いぞ」

 

「ハ…」

 

アインズの指示を聞き、コキュートスは後ろに控える。アインズはクルシュに「面を上げよ」と言い、クルシュはその指示に従った。

 

「ふむ、君がクルシュか、報告通り白いのだな?」

 

「縁起が良いな蛇ではないが…」

 

「おっと…話がそれてしまったな済まない、君にある頼みをしたくてな、条件はそうだな…君の思い人、ザリュースを復活させてやろうじゃないか…」

 

その言葉を聞き、クルシュは一瞬だけ目を見開くがなんとか冷静になりながらアインズに質問する。

 

「…!一体どのような条件でしょうか?」

 

「ふむ、そうだな君にしか頼めない事だ…なに難しい事ではない」

 

アインズがジッとクルシュをその赤い目で見据える。

クルシュは冷や汗を掻きながら意を決して答えた。

 

「……それは私の体でしょうか?」

 

その瞬間アルベドとシャルティアが歯ぎしりをするが、二人は聞いていなかったのか素を出しつつ返答した。

 

「いや爬虫類はちょっと…」

 

「いや好きな女いるし…」

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「エ?」

 

「え?」

 

「え?」

 

「あ…」

 

思わず言ってしまった言葉にマシンナーはフェイスガードを装着して立ち上がると…。

 

「……自爆してくる」

 

そういって陣地から出ようとしたのでアインズは即座に止めに入った。

 

「お、おい待て!落ち着けマシンナー!お前が誰を好いているかはまだバレていない!シズだというのはまだバレていない!……あ」

 

マシンナーの自爆を止めようと焦ってしまった為かこの状況で最も言ってはいけない人物の名を叫んでしまった。

再び階層守護者再び目を見開き、アインズは「やべ」と口を覆うが時すでに遅し。マシンナーの首が「ギギギ」とアインズがいる後ろの方に振り返る。

 

「…き~さ~ま~ぁ~!?」

 

黄色い目を赤く光らせ、排気された煙が全身から出て、怒髪冠を衝く状態になっていた。

 

「す、すまん!つい口が滑って…!」

 

「…やっぱ自爆してくる」

 

「ま、待て待て待て!おいお前たち、さっきの事は誰にも言うな!言ったら確実に死ぬと思え!絶対にだ!?」

 

「「「「「「は、はい!」」」」」」

 

そのまま外に出ようとするマシンナーをなんとか抑えながら、アインズは先程の事を階層守護者達とクルシュに絶対に口外にしないように言い放つ。

 

「お前もだぞクルシュ、言ったら集落が物理的に消滅すると思え!」

 

「は、はい‼‼‼」

 

凄まじい気迫のアインズにクルシュはただ頷く事しかできなかったのもあるが、蜥蜴人全てを吹き飛ばされる訳にはいかなかった。

 

「だからマシンナー落ち着け、な?」

 

アインズにそう言われてマシンナーは全身から煙を出すと、目の色も元の黄色に戻り、ある程度の冷静さを取り戻す。

 

「ああ…すまなかった、取り乱して」

 

「お、おう…」

 

席に戻ったマシンナーを見て安堵したアインズは話を戻すべく再度クルシュに問いかける。

 

「んん…!話が反れてしまったな申し訳ない、頼みというのは君に蜥蜴人達の監視をしてもらいたいのだよ?」

 

それを聞いたクルシュは少し眉を顰めながら、アインズに言葉を返す。

 

「監視…ですか?」

 

「ああ、我々の勝ちとはいえ反抗する者たちが居なくなったわけではない、そういう奴らを早い時期に始末したいのでな、その為の監視役を君に頼みたい」

 

「我々の中にそのようなものは…!」

 

クルシュは否定しようと言葉を出すも、アインズとマシンナーがそれを制する。

 

「お前は賢い蜥蜴人だ、少なくともお前は確実に裏切らない。だが時がたつにつれ反乱を企てる馬鹿はいずれ現れる、生憎俺たちは臆病でね?泥棒に入られない為に扉にしっかり鍵をかけるだろ?誰だってそうする、俺もそうする」

 

「心配せずともこの事はこの場にいる者しか知らない、だから君やザリュースに敵意が及ぶ事はまずない。だが万が一君たちにそのような事が起きれば遠慮なく助けを求めるが良い」

 

それを聞いたクルシュは否応にも従うしかないと覚悟を決めた。

 

「……わかりました」

 

「では聞くぞ?この頼み聞いてくれるか?」

 

 

 

 

「…ここ…は…?」

 

目覚めたザリュースは朦朧とした意識の中で記憶をたどる。

そしてコキュートスと戦い、そして敗北をし、自分は死んだということを思い出す。

 

「ザリュース!」

 

ここはあの世か?と考えた時、目の前にクルシュが現れ自分を抱きしめる。

 

「ク…クルシュ?何故?」

 

まさかクルシュも、と考えた瞬間、アインズの声を聴きアインズの方を向いた。

 

「ふむ…気分はどうかな?」

 

アインズとマシンナーの姿を見たザリュースは目を大きく見張る。

しかし場の状況を察するに、この二人のどちらかが己を蘇らせたのではないかと予想した。

 

「!…特に…異常は…」

 

「そいつは良かった」

 

しかしザリュースは一つ疑問に思った所があった。

なぜ自分を蘇らせたのかと?

 

「な、何故…私を蘇らせたのですか?」

 

「ふむ、なに簡単だ。そこにいるクルシュにお前の蘇生を頼まれたのでな?」

 

「え?」

 

「それもあるが、お前たちと戦ったコキュートスから強く勧められた。一級の武人であるコキュートスがあそこまで言うのも興味があってな…」

 

「では問おう、貴様たちの願いはなんだ?」

 

その問いにザリュースとクルシュは一瞬だけ目を合わせ、そして頷き、二人に平伏する。

そしてザリュースは答えた。

 

「…蜥蜴人の永遠なる繁栄を…」

 

「それだけで良いのか?」

 

「「はい」」

 

ザリュースとクルシュの言葉を聞き、マシンナーとアインズは顔を見合わせ、小さく頷いた。

 

「ふむ、わかった。では帰るかマシンナー」

 

「了解だ」

 

そういって後ろを向き、歩を進めるが、何故かマシンナーは一旦止まり、ザリュースの所まで行く。

そしてその顔を覗き込んだ。

 

「あ、あの何か…?」

 

「…お前隣のクルシュと付き合って何年位なんだ?」

 

「へ?」

 

思ってもいなかった質問に呆気に取られるがすぐに我に返り、その問いに答える。

 

「いえ、その…実は数日前初めて会って私が告白をしました」

 

「つまり一目ぼれしてすぐに申し込んだと?」

 

「は、はい…」

 

「凄いなお前…」

 

「え?」

 

「尊敬するぞ、ザリュース・シャシャ。今度会ったら酒を飲みながらその経緯を教えてくれ」

 

ポン、とザリュースの肩に手を置き、マシンナーはその場を後にした。

 

「は!はい!喜んで!」

 

((アア…成程…))

 

それをみたコキュートスとドランザーはどこか納得したように少し頷いた。

 

(大丈夫ですよマシンナー様、マシンナー様のペースでシズとの距離を縮めて行ってください)

 

マシンナーの隣で歩いていたアルティマはそう考えながら僅かに微笑んでいた。

 

 

 


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