シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器 作:t-eureca
「レイヴン」
「御屋形様~」
「おお、モモン来たか」
「レイヴンさん!」
クレマンティーヌとカジッちゃんをぶっ飛ばして少し経った後モモンガさん達が来た。
息を切らせながらンフィーレア少年がこちらに走ってくる。
「無事ですかレイヴンさん!」
「ああ、ご覧のとおり五体満足だとも」
「良かった…」
胸をなで下ろすンフィーレア少年の後に漆黒の剣のぺテルさんがクレマンティーヌ達について聞いてきた。
「あの、レイヴンさんあの2人は…」
「すまない、戦闘不能にはしたんだが最後の余力で逃がしてしまった…」
「戦闘不能って…返り討ちにしたんですか!?」
「いやでもヘマして逃がしてしまった、まあ今から捕まえに行くが…」
「え?でも見失ったんですよね?」
「これがある」
俺は懐からレーダーを取り出して見せるがモモンガさんが慌てた様子でメッセージを飛ばしてきた。
『マシンナーさん!それ出して大丈夫なんですか?』
『ちょっと珍しいマジックアイテムで押し切ります、ちゃんと話さないと怪しまれると思うので』
『いやまあ確かにマジックアイテムですけど……わかりました任せます』
『すいません、ある程度の本音もこういう時大事なので』
「あのレイヴンさん、それは?」
「小さい物体を相手に着けて追跡するマジックアイテムだ、今赤い点が付いてるだろ?これが奴らだ。俺の爺さんがどこで手に入れたのか不明だが便利な代物でな」
「そんな道具あるんですか?」
「いや俺も貰うまで知らなかったんだがな…」
「へぇ~、俺も一つ欲しいなぁ…」
「ルクレットには優れた耳があるじゃないですか?」
「ニニャの言う通りである、もっと自分の力に自信を持つのである」
「そうか?ならいつかナーベちゃんに認められるまで磨きかけないといけねぇな~」
「それは永遠にありません、ウジ虫」
ルクレットさんに対するナーベラルの毒舌に内心おいおいと思いつつもそう言われてもめげないルクレットさんの精神的なタフさに感心する。彼に幸あれ。
でもそれより言わなければならなければならないことがある。
「あの~……ンフィーレア少年」
「?なんですか?」
「あのな、実は…」
「ん?ンフィーや?帰ってきてたのかい?」
「あ、おばあちゃん」
(もっと恐ろしい人来たー!?)
さっきの戦闘で家に穴あけてしまった事を少年に言おうとしたら少年の婆ちゃん、リィジーさんが帰ってきた。
個人的にはこっちの方が怖いんですけど!
そしてンフィーレア少年の隣に気づき話しかけられる。
「ん?ああアンタあの時の…」
「ど、どうも…」
「んで後ろにいるアンタがモモンかい?丁度アンタに聞きたいことがあったんだ、ちょっと中で良いかい?」
「構いませんがと言いたいところですが、今はちょっと都合が悪くて…」
「?どういうことだい?」
「レイヴン、説明してくれ」
「わかった」
リィジーさんの問いに俺は先程起こった出来事を話す。話を終えるとリィジーさんは顔を青ざめていった。
「人攫いがンフィーを?何てことだい!?」
「ああでも大丈夫おばあちゃん、レイヴンさんが撃退してくれたから僕は何ともないよ」
「そうかい、ありがとうね恩に着るよ…」
「あの…それで謝らなければいけないことが一つ有るんですけど…」
俺の言葉に少年とリィジーさんが顔を見合わせて首をかしげる。そのまま俺はあの事を話した。
「「?」」
「あの…実はですねさっきの戦闘でその…壁に穴あけてしまいまして…」
「は?」
「え?」
「本当に申し訳ありません!責任もって修繕しますので許してください!」
俺はそう言って頭が地面に激突するくらいの勢いで頭を下げる。
周囲は一瞬唖然としていたがそれでも俺は頭を下げなければならない、だって人の家の壁をぶち抜いてしまったんだもの……。
「ああ……まあそれはそこまでとやかく責めんよ、孫を守ってくれた恩人だ。これであたしが怒っちまったらとんでもない恩知らずだよ、だから頭上げな?」
「そうですよ、レイヴンさんは僕を守ってくれましたから感謝こそすれど責めるなんてできませんよ。だから頭を上げて」
「すみません、本当にありがとうございます」
2人の寛大な心に内心号泣しつつ、頭を上げ2人にお礼を言う。
そしてこの後の流れをモモンガさんと打ち合わせする。
「それでこれからどうするモモン?」
「うむ、お前の道具の反応からしてどこがアジトだと思う?」
「そうだな…こいつの反応を見ると墓地だな」
「墓地ですか?」
「そりゃまた悪趣味な所根城にしてるなぁ」
「それにしてもンフィーレア氏を攫って彼等は何をしようとしてたであろうな?」
「さあな、だがわざわざンフィーレア少年を狙ったんだ余程曰くつきの代物だろうな」
「レイヴンさんそうなると今すぐ動いた方がいいかもしれません、この都市から完全に逃げ出す可能性もあります」
「そうだな、モモン俺はジナイーダの考えに乗ろうと思う、お前は?」
「ああ、私も同じ意見だ。今すぐ墓地に向かった方が良いと思う」
「そうと決まれば…」
「ああ、ひと暴れしようとするかレイヴン。ぺテルさん」
「はい、なんですかモモンさん?」
「あなた方はンフィーレアさんの護衛をお願いします、万が一の事もあるかもしれないので」
「わかりました、任せてください!」
「俺達がンフィーレアさんを守るから安心して行ってきてくれ!」
「モモン氏、レイヴン氏、武運を祈るである」
「どうかお気を付けて」
「ありがとうございます。行くぞレイヴン」
「あいよ大将」
ンフィーレア少年を漆黒の剣の皆さんに任せ俺とモモンガさんは墓地に向かう為に歩みを進める。
そして人気のないところまで来たら<機動兵団>からヘリ型変形機械系異形種『ブラック・アウト』を召喚し、全員それに乗り込んだ。
「それでマシンナー、レーダーの反応は?」
「もう墓地に到着している、追跡させている「ファルコン」にこれから音声を聞き出させる」
俺は偵察に「ファルコンの音声記録機能のスイッチを作動させる。さっきのカジッちゃんとクレマンティーヌの会話が聞こえてきた。
『おい、どうするんだよ?』
『…多分儂らのことはもうギルドにも知られてある。そうなるとエ・ランテルの警戒網が厳重になり後日またあの小僧を攫いに行くのは難しくなる』
『そんなわかりきった事聞いてんじゃない!これからどうするかって聞きたいんだよ!?』
『黙れ!元はと言えばお前が迂闊に姿を晒しただけでなく一方的に返り討ちに遭ったのが原因じゃろうが!?』
『…んだと!?』
『……今から儀式を始めるしかない、あの小僧がおらんから召喚できるアンデッドの数は予定より減るがエ・ランテルに少なくない被害は出せる。最悪でも儂の目的を達成出来れば良い』
『…ふん』
俺はそこで音声記録機能のスイッチを切る。とりあえず「ファルコン」にはもう少しだけ情報を集めさせてもらおう。
「アインズ、もう予想は着くと思うが…」
「ああ、奴ら大量のアンデッドを召喚してエ・ランテルを襲撃するつもりだ」
「墓地に待機させている部下に戦闘態勢に入らせる。後ドランザーとソニック・スレイヤーも呼び寄せようと思う」
「わかった、だが奴らが行動を開始した時まで待機させてくれ」
「それはわかったが何故だ?」
「何事も未然に防ぐ事が一番だが何か切り札があるかもしれない、それも考慮して一旦様子見だ」
「了解した」
モモンガさんとの話を終えた後、俺は待機させている部隊に戦闘態勢に入るよう指示をし、ナザリックにいるドランザーとソニック・スレイヤーにも出撃準備をするように伝えた。
『偵察部隊こちらマシンナー、敵との戦闘が予想される、ドランザーとソニックを向かわせるが万が一の事もある。戦闘態勢に入れ』
『は!』
『だが少しでも不利だと悟れば退け、いいな?』
『御意!』
『ソニック』
『どうなされましたマシンナー様?』
『これからドランザーと共にこれから言う場所に向かえ、場所はエ・ランテルの墓地、今から座標を送る。敵の集団の戦闘が予想される。装備を整えておけ』
『御意、すぐにドランザーに伝えに行きます』
俺はソニック・スレイヤーにエ・ランテルの墓地に向かう準備をするように指示を出した後に<メッセージ>を切る。そのまま俺達は目的地であるエ・ランテルの墓地まで向かう。
・
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『おいおい、町一つ落とせそうな規模だぞこれは…』
『見たところ全て下級のアンデッドですが数だけはとんでもなく多いですね』
『さっきの音声記録でこの数でも少し少ないって言ってたからもしかしたらンフィーレア少年を攫おうとした理由ってアンデッドを大量に召喚するアイテムを使わせる可能性も有りますね』
俺とモモンガさんは「ブラック・アウト」をエ・ランテルの墓地の上空にステルス迷彩を展開させて待機させ墓地の現状を確認すると、目の前には大量のアンデッドの軍勢でごった返していた。召喚されたのは全員下級アンデッドばかりだが数だけは凄まじく多い。俺とモモンガさん達なら火力と魔法のゴリ押しで正面からでも叩き潰せるが、この世界の住人からすると地獄のような光景だろう。
『どのタイミングで行きます?都市まで行かれたら目も当てられないんですけど…』
『そうですね、出来れば解りやすい脅威が出てきたところが一番なんですけど、流石にそうそう起こりませんよね』
『あ、モモンガさん、<集合する死体の巨人/ネクロスォームジャイアント>ですよ。あれなら丁度良いんじゃないんですか?』
『まあ妥当ですね、じゃあ行きますか』
『了解っす』
「ナーベラル、そろそろ行くぞ」
「かしこまりました、アインズ様」
「シズ、アルティマ出るぞ」
「了解致しましたマシンナー様」
「了解…」
「ハム助、お前も来い」
「承知したでござるよ殿!」
俺達は「ブラック・アウト」から飛び降り、門の近くに着地する門に居た兵士達は俺達に驚くが、構わず俺達は名乗った。
「ドーモ、冒険者チーム『黒鋼』と…」
「冒険者チーム『漆黒』…」
「「助太刀に参上した!!」」
「でござるよ!」
最後のハム助でちょっと締まらなかったが、とりあえず名乗りは完璧だ。
「というわけでその門開けてくれよ?オープン・ザ・ドアーしてくれよ?」
「何言ってるんだあんたら! アンデッドの大軍が雪崩れ込んでくるぞ!」
「そんな事はわかっている、奴らとこの騒動の張本人を始末してやる」
「んな話信じられると!」
やっぱり取り合ってくれないか、まあ予想通りだけどな。俺はモモンガさんと目を見合わせてお互い頷き歩き出す。
「なら無理矢理押し通させてもらおう」
「さあ戦いだ!」
俺達はジャンプして壁を飛び越えてアンデッドの大軍勢に立ち塞がる。
唯一生物であるハム助にアンデッド共が集中してくるがかえって好都合だ。
「数だけは多いな」
「アインズ様、ここは私が…」
「いや俺が行こう」
ナーベラルが先陣を切ろうと前に出るがそれを制し俺が前に出る。
「そうか、ならば派手にやれ」
「任せろ」
モモンガさんからも了承してもらい、俺は迫りくるアンデッドの軍勢に立ち、右腕の人差し指を空高く上げる。
「サンダァァァァア!ブレェェェク!!」
俺の発した言葉とともに雷が俺の指先に集まり俺はその指を前に突き出した。
指先から発射された雷の光線がアンデッドの群れに向かっていく。それに当たったアンデッドたちは次々に消し炭になっていき消えていく。
このスキルは<ライトニング/電撃>のスキル版みたいなものだが、単純な攻撃力ならこっちの方が上回っている。
後、某偉大なる勇者と同じポーズで放てるので俺は気に入っているスキルだ。
このスキルと同系列で格闘型の<トール・ハンマー・ブレイカー>や全集囲放射型の<ゴッド・サンダー>、完全上位互換版の<サンダーボルト・ブレイカー>もある。
<サンダー・ブレーク>を放った後左手を構えて腕から刃を出し構える。
「めんどいからデカい方で行くか」
俺は強く念じると左手の刃は徐々に大型、刃も弓状になっていき、最終的には自分の背を追い越すぐらいにまで巨大化した。
「アイアンカッタァァァアー!!」
猛烈な速度で発射された左手はアンデッドを次々に切断しながら進んでいく。
毎度毎度思うんだがこっち戻るまでどれくらい飛んで行くんだろう?
「(相変わらず物理法則を無視した変形だな…)流石だな、相変わらず恐ろしいなその力」
「そう言ってくれると嬉しいね、それでどうする?このまま突き進んであいつらの所まで行くか?」
「いや、マシンナー、すまないがお前の兵の力も借りたい。今戦闘可能な奴らは?」
「偵察部隊は全員いつでも行けるぞ?けど単純な火力ならソニックとドランザーを呼んだ方が早い」
「なら頼む」
「承知した、ソニック、ドランザー、今どこだ?」
『こちらソニック、只今エ・ランテルの墓地上空に待機しています』
『わかった、ドランザーと共に出撃しろ。派手にやれ』
『御意、全て焼き尽くしてやります!』
俺はメッセージを切り、アンデッドを蹴散らしながら進んだ。
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マシンナーからのメッセージが切れた後ステルス爆撃機に変形し、下からワイヤーでレールガンユニットと多目的戦闘ミサイルユニットを装着したドランザーを吊るしていたソニック・スレイヤーはドランザーに話しかける。
「おいドランザー、マシンナー様から出動許可が下りた、行くぞ?」
「承知シタ…」
「久々の戦場だな?」
「アア…久シブリ二ヒト暴レシヨウ」
目的地に降下し始める二体、そしてアンデッドの群れを確認する。
「そろそろワイヤーを離すぞ?」
「アア、イツデモ良イ」
「行くぞ?鳥になってこい!」
「応!(一応龍ナンダガ…)」
そのままワイヤーを切り離され、両手に装備されたレールガンユニットからブレードを展開アンデッドを切り倒しながら着陸する。着地したと同時にドランザーは天に向かって大きく咆哮を上げる。
「景気良ク行カセテモラウ、<メガ・バスター>!」
口から光線を放ち、更に両手に装備されたレールガンから機関銃の如く飛翔体を発射する。
「<フィンガー・ミサイル>!」
両手を回転させ、指先をミサイルに換装しレールガンと同時に発射する。
ミサイルを喰らったアンデッドたちは次々と爆散する。
更に背中に装備された多目的戦闘ミサイルユニットからもミサイルが発射されその爆発を更に増やす。
「ソニック・スレイヤー、
ステルス爆撃機から人型に滑らかに変形し、滑空しながらアンデッドを爆撃やガトリングの掃射によって次々と蹴散らすソニック・スレイヤー。
「デカい花火を上げてやる、<神風特攻>!」
ソニック・スレイヤーが手を掲げると1体のミサイル型の機械系異形種が10体出現する。
尾翼には「Napalm bomb」と書かれていた。
「Lv10『ナパーム・アタッカー』突撃!!」
ソニック・スレイヤーの号令でアンデッドの群れに突っ込んでいく『ナパーム・アタッカー』それを遠目から見ていたドランザーは危機感を抱く。
「アレハ不味イ…」
急いでスラスターを最大に吹かし、上空に逃げるドランザー。
その理由はソニック・スレイヤーが先程使ったスキルである。
ソニック・スレイヤーが使ったスキル<神風特攻>は召喚したモンスター1体のLv×200ポイントをそのモンスターの元々の攻撃力にプラスさせ相手に特攻させるスキルだ。
しかし当初このスキルを習得したユグドラシルプレイヤーはそれだけならただモンスターを召喚して使役したほうが効率が良いという事であまり使用はしなかった。
しかしマシンナーはソニック・スレイヤーにそのスキルを着けさせ、まだこのスキルに召喚する数の制限が無かったので某英雄王の
それからもソニック・スレイヤーに先陣を切らせ、<神風特攻>を使ってダメージを与えた後軍団の物量で押しつぶすのが『マキナ』の戦法の一つでもあった。
しかし余りの暴れっぷりに運営も頭を抱えたのか召喚できるのは最大10体までと制限がかかった。その為ソニック・スレイヤーに先陣を切らせる戦法は大幅に弱体化してしまった。
しかしそれでもマシンナーにとっては強力なスキルなのでここぞという場面で発動させて活躍させていた。
<神風特攻>の効果により、攻撃力が増加された<ナパーム・アタッカー>は着弾し絨毯爆撃でもあったかのような惨状になる。だがそれでもアンデッドの群れはまだ湧いてくる。ドランザーは上空に上がりソニック・スレイヤーに話しかける。
「ヤレヤレ、マダ湧イテクルナ…」
「…やはり制限がかかっていてはこの程度か」
自分のスキルの弱体化に嘆くソニック・スレイヤー。
「ダガ数ハ減ラセタ、コノ勢イニ乗ルゾ?」
「そうなると…アレか?」
「アア…アレダ…」
「「『合 体』!!」」
これは機械系異形種同士のみ使えるスキル<合体>で合体時の核になる機械系異形種にパーツとなる機械系異形種のスキルと攻撃力を付加できるスキルだ。
当初機械系異形種のプレイヤーや機械系異形種のNPCを創造していたプレイヤーに人気があり、マシンナーも自分と自身が創造したNPC達にも着けていたが、ある日こんなことを言うプレイヤーが居た。
『合体するより複数で攻めた方が効率良くね?』
その言葉が引き金となり、続々と<合体>のスキルを使うプレイヤーが激減してしまった。因みにナザリックでもマシンナーに面と向かってこの事を聞いてしまい、キレたマシンナーにより一時間のお説教を喰らってしまった者がいたと言う。
ソニック・スレイヤーとドランザーの声が重なった瞬間、二人の体が光り始める。
ドランザーはレールガンユニットと多目的戦闘ミサイルユニットをパージする。
ソニック・スレイヤーが体を分解し、ドランザーの体に装着され始める。
連装砲が装着された肩装甲が両肩に装着され、脚部には3連ミサイルランチャー付きの装甲が装着される。
腰には二つのプロペラントタンク、背中にはソニック・スレイヤーの主翼とスラスターが装着される。
左手にはガトリング付きのシールド、右手には大型レールガンが装着された。
最後に鋭角なバイザーユニットが頭部に装着される。
『爆竜合体!ソニック・ドラン!!』
合体完了したソニック・ドランはミサイルと連装砲を掃射し、更に滑走しながら爪と尾の格闘で蹴散らしていく。
接近してきた集合する死体の巨人をレールガンで他のアンデッドごと吹き飛ばす。
『我等に敵なし!!』
・
・
・
俺達はアンデッド共を剣でド突いたり、鉄拳制裁したり、魔法で吹っ飛ばしたり、ボウガンで風穴開けたりしながら例のカジッちゃんとクレマンティーヌが居るであろう霊廟にまで到達する。
カジッちゃんの吹っ飛ばした右手がまた生えているのと彼らの外見を見て二人ともそれなりには回復しているんだろう。
「よう久しぶりだなハゲ」
「な!貴様らどうやってあのアンデッドの群れを突破してきた!?」
「紹介しようモモン、先程俺達が返り討ちにしたハゲのカジッちゃんとクレマンティーヌだ」
「話を聞かんか!!」
「うるせえぞ爺さん、そんなに怒ってると高血圧でぶっ倒れるぞ?」
「そうだぞ老人、もっと広い心を持て」
「ハッハッハッ」と笑う俺達2人に怒りで顔を真っ赤にさせるカジッちゃん。
「黙れ!この場所を貴様らの墓場にしてくれるわ!!」
そう怒鳴るとカジッちゃんがまた何かしようとし、こちらも身構えるがクレマンティーヌがカジッちゃんを制した。
「ねぇカジッちゃん、悪いんだけどあいつはやらせてくんない?さっきの仕返しもしたいからさ…」
いつものふざけた感じが全くないクレマンティーヌにカジットはあっさり承諾する。
「ん?まあいいじゃろう……だが止めは残しておけ、わしに刺させろ」
「良いよ、ちょっとわかるし」
どうやら俺はクレマンティーヌとの第二回戦が確定らしい。
「悪いモモンご指名が入った、あの爺さん頼む」
「わかった、気をつけろレイヴン」
「シ…マグノリア、ジナイーダ。モモンのサポートを頼む、あと任意で全力を出す事を許可しておく」
「わかりました」
「…お気を付けて」
「ああ」
「じゃあ場所変えるか?」
俺とクレマンティーヌは霊廟を少し離れると、ゆっくりと俺の方向に振り向いた。
顔は笑っているが目は殺気でギラついている。
「さっきはよくもやってくれたよねぇ~」
「人攫いが来たらぶっ飛ばすってのは常識だろ?」
「まあそうだけどさぁ、でもやっぱり負けるのはいい気分しないんだよね?」
クレマンティーヌは「だからさぁ…」と言ってスティレットを取り出す。
「今度こそお前をぶっ殺してやるよぉ!?」
先程とは桁違いのスピードで突っ込んでくるクレマンティーヌ。
どうやらこれが本領発揮らしい。まあ狭かったしね。
てかぶっ殺すってアンタ、さっきのハゲに止め譲るって言ってなかった?まあいいや。
俺は斬艦刀を抜刀し、それを迎え撃つ。
スティレットを斬艦刀で受け止めていなし、斬りかかる。
クレマンティーヌはそれを難なくかわす。
やっぱりこいつそこそこ強いな。
クレマンティーヌは先程よりも速いスピードで刺突してくるが俺は斬艦刀と手甲で受け流し、カウンターで殴りかかる。
「チィっ!」
クレマンティーヌは舌打ちしながらその攻撃もかわす。かわされた拳は地面に当たり、地面にめり込んでいた。
その後も暫く攻防を続ける。
「……さっきから思ってたんだけど何なの?アンタ」
戦闘前から浮かべていた笑みは消え、その顔は苛立ちに満ちていた。
「何ってなんだ?ご覧のとおり駆け出しの銅プレートの冒険者としか言いようがないんだが?」
「ふっざけんなよテメェ!さっき私をぶっ飛ばしたくせにそれでも銅だと?組合の連中は全員目玉腐ってんのか…」
「何それ褒めてんの?怒りながら褒めてんの?出来れば笑顔で褒められると嬉しいけどよ、なら種明かししてやる。俺はこの前まで傭兵やってて冒険者になりたてなんだよ、わかった?」
まあ傭兵やってたって言っても某フロムゲーの事なんだけどね?
それを聞いたクレマンティーヌはフンと鼻を鳴らしているが顔はある程度納得した顔をする。
「ふん、傭兵崩れかよ。まあそれなら多少は納得したけどアンタのような奴は聞いたことないけど?」
「有名にならないようにしてただけだ、名が売れると狙われやすくなるんでな?これでも結構臆病なんだよ」
「ふぅん…まだ疑問が残ってるけどとりあえず今は良いや」
「そうかい。なら続けようぜ殺し合いを?って言いたいが仲間の援護も行かなきゃいけないんでとっととケリを着けさせてもらう」
「チッ!……まあ良い。こっちも次で終わらせてやる」
舌打ちをしながら四肢を地につけ、頭を限界まで下げた格好になるクレマンティーヌ。
俺も◯グルイの「秘剣 流れ☆」か「無◯ 逆◯れ」で対抗したいけど漫画で得ただけの知識じゃあまり役立ちそうにないし、後剣術は素人だし。
え?お前スーパーロボットなら、
俺は剣を上段に上げ身構えると同時にクレマンティーヌは突っ込んでくる。
斬艦刀の届く範囲に入った瞬間、俺は斬艦刀を大剣形態に変化させる。
そのままクレマンティーヌは哀れそのまま真っ二つに割断されるかと思ったが驚くべきことがおこった。
なんと大剣形態になった斬艦刀の一撃を受ければひとたまりも無いであろうスティレットで攻撃を完璧に受け止めたからだ。そのまま俺の首に突き立てクレマンティーヌは笑みを浮かべる。
(まさかこういう武技があるとは正直驚いた…)
しかし、それは不発に終わった。首に突き立てても俺がピンピンしている事実に慌ててバックステップでクレマンティーヌが距離を取る。
「……嘘?」
「嘘じゃねえよ、この通りピンピンしてるよ?まあさっきの武技には驚いたが…」
「ふっざけんな!いくらその甲冑が固くても隙間から突けば皮膚に当たるだろ!?てめえまだ隠してやがるな!」
「まあ確かに隠してるな、だがそれを知る必要は無い、さあ終わらせようか?」
俺はスキルを一つ解放させ、クレマンティーヌに突っ込む。
突っ込んできた俺を迎撃するかのようにクレマンティーヌはスティレットを突き立てる。
スティレットは俺に当たるがそれは一瞬で光となりそして消えた。
「!質量のある残像だと!?」
「正解だ!そして……」
俺はそのままクレマンティーヌの身体を両腕でベアハッグのように締め付ける。
さっき使ったスキルは<M.E.P.E>というもので、機械系異形種のみ習得できるスキルであり機械系異形種の装甲表面の塗装や金属が剥離して撒き散らされるという現象を起こし相手に分身しているかのように錯覚させる事が出来るスキルだ。
「!?」
「捕まえた!」
「ぐっ!この…離せ!?」
拘束されたクレマンティーヌは尚ももがくが離すつもりはない。
「まあ『人間』にしてはよく頑張った方だよお前、凄いよ」
「は?」
俺は身に着けていた甲冑をパージし中身である金属骨格の姿を見せる。
おれの姿を見たクレマンティーヌは目を見開き驚愕している。
「何だよ……それ……?」
「ご覧のとおり人間じゃなくてな?まあ簡単に言うと金属生命体って奴だ」
「何だよ……何なんだよてめぇはぁっ!?」
「だからさっきも言ったように金属生命体だ、もっとも俺は…」
腕の力を強めクレマンティーヌを締め上げる。
締め上げられたクレマンティーヌは血を吐きながらも抵抗した。
「そいつらの一応神ってところかな?」
「……え?」
「というわけで楽しませてくれてありがとう、お礼にこの技をを喰らわせてあげる」
そして俺は更に強くクレマンティーヌを締め上げた。
「ジーグブリーカァァァアー!!死ねぇっ!」
「ガ、アァァァァァァァア!!」
某磁石のロボットのネタになってしまった台詞を喋りながら俺は締め上げる。
クレマンティーヌは更に吐血しながら抵抗するが段々その抵抗は少なくなっていき、とうとう完全に意識を失った。俺はクレマンティーヌを放し脈を取る。
「……一応ギリギリ生きてるな」
俺は死んだら困るのでポーションを僅かに飲ませる。これで暫くは持つだろう。
そして暴れないように幾重にも鎖を巻き、両手両足に手錠をかけた。
え?なんで助けたかって?まあ簡単な理由ではあるが、こいつが武技持ちだからだ。
さっき俺の攻撃を正面から受け止めて尚且つカウンターまで決めてきたのだ。
俺は武技の力を改めて知り、その研究の為にコイツをナザリックに連行すると決めた。
「さて、コイツをとりあえず適当な所に置いた後モモンガさんの所に……」
しかし俺が言葉を言い終える前に後ろで轟音が響き俺は後ろを振り返る。
「え?何?え?何の光ぃ!?」
俺が後ろを振り返ると丁度モモンガさん達が居る場所から爆炎と煙が大きく上がっていたのだ…。
※因みにシズも合体スキルあります。
ソニック・スレイヤーのスキル<神風特攻>の元ネタはソニック・スレイヤーの外見の元ネタ、遊戯王のシンクロモンスター、ダーク・ダイブ・ボンバーの効果ですね。
この効果のせいで登場から290日で禁止カードになってしまいました。というかなんで最初こんなぶっ壊れ効果にしたんだKO●AMIよ……。