シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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次の話で森の賢王出したいな……。


第35話 失敗を活かしてこそ大きく成長する

「やっぱり赤いポーション渡したのってモモンガさんだったんですか?」

 

「えぇ、お詫びの品という形で渡したんですが…もしかして不味かったですか?」

 

「いえ、ンフィーレア少年の婆さんからは普通の冒険者って聞かされたので特に大丈夫だと思いますけど、何かあったらその時に手を打てば良いと思って…」

 

俺達は村のほうに入っていき、護衛対象のンフィーレア少年はこの間助けた姉妹の片割れであるエンリと話してい

る。まさか助けたあの姉妹と仲が良かったとは予想外だったな、人の縁とは奇妙なものだ。

モモンガさんと同行していた冒険者達<漆黒の剣>はそれぞれの装備の確認をしている。何が起こるかわからないから、こういう事は重要だ。

俺とモモンガさんは漆黒の剣から離れた所で昨日の事について話していた。

 

「そういえば昨日話したい事ってなんですか?」

 

「あっはい、実は昨日諜報部隊から報告がありまして」

 

「諜報部隊からですか?」

 

「はい、なんでもモモンガさんが護衛しているンフィーレア少年を狙っているらしいんです」

 

「ンフィーレアをですか?」

 

「はい、多分彼の異能目当てだと思うんですが…」

 

モモンガさんは顎に手を添え考える。

上手くいけば自分の名声に繋がるんじゃないかと考えたが、もし失敗すれば不味いことにもなる場合もあるしな。

そしてその人物達が今どこにいるかを俺に質問してきた。

 

「その人物達は今どこに?」

 

「少なくとも確認した墓地からはまだ動いていません、密偵らしき人間も見当たらないそうです」

 

「ふむ…」

 

「どうします?排除するならいつでもできますよ?」

 

アインズはひとまず考える、もしその者達がこちらより上の戦力を率いて襲ってくる可能性もあるが、

このあたりにその手の者もいないならエ・ランテルで決行する可能性がある。そうなると少数精鋭の可能性もある。

マシンナーの話によると周辺には『マキナ』からLV50からLV70のモンスター(ステルスや気配遮断スキル持ち等)をそれなりの数で待機させているという、この世界で出会ったトップクラスの戦闘力を持つと言われている戦士長のガゼフが「死の騎士」辺りのモンスターでも対処できるらしいので、仮に規模の大きい集団で来ればその数で殲滅できるだろうと考えた。

 

「いえ、まだ泳がせておいてください。ですがもしその人物達が今の我々の戦力を超えていた場合はお願いします。護衛対象のンフィーレアを守れなかったら元も子もありませんし」

 

「わかりました、なら念のため航空戦力も出しておきます。いざとなれば墓地ごと吹っ飛ばす勢いでやってやりますよ!」

 

「いや流石にそれはやりすぎですマシンナーさん……」

 

流石にそこまですれば結構な騒ぎになるのでそれは制止するアインズ。

突っ込まれたマシンナーもすかさず「冗談です」と呟いた。

 

「というかそれ昨日の<伝言/メッセージ>で言えば良かったじゃないですか?」

 

「いや~その…途中で俺もそれ気づいたんですけど結構来てたのでそのまま来てしまったんですよ」

 

「全く…せっかちな所は相変わらずなんだから」

 

「いや~面目ない」

 

基本的に温厚なマシンナーだが時々せっかちな所が少しあり、それで時々失敗したり空回りする事もあった。

そのせいで他のギルメンからも「せっかちなスーパーロボって…」やら「マシンナーさんって機械神っていうよりドラ◯もんっぽい」などと言われることもあった。

しかし異世界入りして人間をやめてしまい、機械の身体になった自分自身のそういう所が残っているというのはまだまだ人間性は残っているんだなと思うマシンナーと友人の人間臭さがまだ残っている事に少し安堵するアインズであった。

 

「というかここまでどうやって来たんですか?」

 

「えーっと高速戦闘用の<ゼファー・モード>になってシズ達を抱えて全速力…」

 

「え?」

 

「嘘です、本当はソニックの<機動兵団>からヘリ型変形機械種の「ブラック・アウト」を呼んでそれで来ました」

 

(軍団持っている人のやることってスゲー……)

 

マシンナーの移動手段を聞いて、心の中で絶句するアインズ。

そして自分も今後冒険者稼業をしている時にもし徒歩などでの移動が無理であれば、マシンナーに頼んで融通してもらおうかなと考えてしまう。

 

「今度頼んでみます?」

 

「良いんですか?」

 

「いやいやそれぐらいならかまいせんよ。それに今<機動兵団>この頃ナザリックの外出てなかったのであいつらの気晴らしにもなりますし。あ、乗物駄目なら<機獣兵団>から馬型機械種も出しますよ?」

 

「ありがたいですけどそれ変形しませんよね?」

 

「……戦闘モードになると角と翼とレーザー砲が出現します」

 

「駄目です」

 

「獣型機械種の中で空中の機動力だったらドラゴン型機械種の「ギル」シリーズより上回りますが…」

 

「いやいやこの世界だと普通に伝説の生物扱いされそうなんですが…」

 

「あ、やっぱり?」

 

途中で軽口を挟みながらも談笑するアインズとマシンナー。

一方アインズ達から離れているアルティマ達は…。

 

「いや~マシンナー様がアインズ様と楽しそうに談笑なされてなによりだよ」

 

「はい、全くですアルティマ総隊長。アインズ様とマシンナー様が仲良く談笑されているあの光景ほど微笑ましいものはありません」

 

「……総隊長、ナーベラル気持ちわかるけど呼び方戻ってる」

 

ナザリックに居る時と同じようなのがいることで平常運転な二人にシズがツッコミを入れる。

その瞳からはどういう感情なのか読み取れないが、言動には若干の呆れが混じっているような感じである。

 

「…オホン、ごめんねマグノリア。ところでナーベ昨日アインズ様がポーションを渡した女の事なんだけど、どういう人間だった?」

 

「単純な力であれば今私たちと同行しているウジ虫たちとあまり変わりません、とるにたらない存在かと」

 

「まあ、こちらに害を起こすのであれば消すだけだけど」

 

「…総隊長、目が据わってる」

 

「ごめんごめん、でももしこれを総括殿が知ったら嫉妬でその人間嬲り殺しそうだよ」

 

「……一概に否定できませんね」

 

「……マシンナー様と外に出る時にアルべド様の部屋に挨拶に言ったらアインズ様の抱き枕作ってた」

 

「ああ…うんあれは………うん…」

 

「…………マシンナー様は『完成度高いなおい』って驚いてたけど部屋を出た後『アレ(抱き枕)はアインズには黙ってような?(知ったらどうなるかわからないし)』って念押しされた」

 

「……」

 

今ナザリックには二つの派閥が存在する。それはアインズの正妃を巡るアルベドとシャルティア両名の二大派閥であった。

因みにナーベラルはアルベド寄りであるが、今の2人の話を聞いて少し頭を抱えたくなった。

 

「……そういえばマシン…んん!レイヴンさ………んはアルベド様とシャルティア様のどちらがモモンさんの正妃に相応しいと思っておられるのでしょうか?」

 

「………総括殿の相談にも乗ったりモモンさんの好きなものを伝えたりすることもあるけど、シャルティア殿の相談にも親身になって聞いたりしておりますので、どちらがなっても不思議じゃないって思ってるのかも」

 

「つまりあくまで中立?」

 

「うん、それに至高の御方の1人がどちらかに着いたらかなりの影響が出る事も考えていると思うからだからこそ中立の立場に置いてるんだと思うよ」

 

「なるほど、あくまで決めるのはモモンさんという事ですね……それとジナイーダさんもう一つ聞きたいことが」

 

「ん?」

 

「レイヴン様自身は正妃を創るという事を考えているんですか?」

 

「……………!?」

 

(ここで聞いてきたか…後シズ反応わかりやすいよ?)

 

アインズの正妃の話の流れでマシンナーの正妃の話ももしかしたら振ってくるかもと考えていたアルティマ。

ナーベラルの質問に僅かだがシズの目は反応していた。

アルティマは少し考える。ここでばれてしまえば自分達隊長達の計画にもしかしたら支障が出るかもしれない(その可能性は限りなく低いが)

それに特にバレてはいけない人物TOPの1人(もう一人はマシンナー)であるシズが知ってしまえば確実にオーバーヒートしてしまうだろう。

 

(そうなったら確実にマシンナー様素に戻る可能性大きいな。うん、ここは上手くなんとかしようマシンナー様の恋路の為に)

 

「…いや今のところマシンナー様の口から直接は聞いた事は無いよ」

 

「そうですか…ならもし創るとしたら誰がいいでしょうか?同じ自動人形としてならマグノリアが良いと思うんですけど………」

 

「……………ナーベ!?」

 

(おお、ナーベラルがこう言ってるってことは他のプレアデス達もシズを推している可能性があるかも。これはいいこと聞いたよ)

 

ナーベラルの思わぬ発言に驚くがいいことを聞いたと思い、ナザリックに帰ったら他の隊長達にも知らせようと誓

うアルティマであった。

しかし反対にシズは……。

 

「…………何を、言ってるの?」

 

「あらルプーが言ってたわよ?『シズちゃん今マシンナー様に恋してるっすよ~』って」

 

「…………ルプー帰ったら絞める」

 

表情は変わらないが目は静かな怒りが宿っている。

こんなシズ初めて見たなと思うアルティマとナーベラルであった。

 

「あ、でも安心して知ってるのは今のところプレアデスのみだから」

 

「…………総隊長が今知ったけど?」

 

「あ」

 

「心配しないで別に反対するつもりはないから、もしマシンナー様がシズを選んだんなら僕らが反対する理由なんてないよ?」

 

「……総隊長」

 

「でも確実に一筋縄ではいかないわよね?」

 

「…………それは確実」

 

シズ自体この恋が初恋なのだ、恋愛経験なんてしたこともない。

妹の恋を実らせる為にナーベラルも思わず考え込んでしまう。

そしてナーベラルが思いついたのか、顔を上げる。

 

「シズ、<マキナ>の隊長方から聞いてみたらいいんじゃないの?」

 

「……え?」

 

「マシンナー様の好きなものとか好きな髪型とかそういうのよ?」

 

「…………なるほど」

 

そう言うとシズはアルティマの方を向き、何か決意したような目でアルティマに聞いた。

 

「……総隊長」

 

「ん?」

 

「……教えて、くれますか?」

 

それを聞いたアルティマはもちろん賛同する。

上手くいけば短時間でマシンナーがシズと結ばれるかもしれないと考えたので。

 

「うん、僕らで良ければ構わないよ?」

 

「!……ありがとう、ございます」

 

(まあそちらの方が効率良いしね。全てはマシンナー様の恋路の為に…)

 

自分の創造主の悲願の為にと改めて誓うアルティマであった。

 

 

 

「なあ、あの二人何を話していると思う?」

 

「分かりませんけどでも二人とも凄く楽しそうですよね」

 

「心を許し合った仲間であるが故の穏やかな光景であるな」

 

「ナーベちゃん達も楽しそうに会話してるな~」

 

モモン一行とレイヴン一行から離れた所で薬草採集の警護の為、それぞれの装備の点検を行っていた〈漆黒の剣〉のリーダーであるぺテル・モーク、<魔法詠唱者>のニニャ、<森祭司>のダイン・ウッドワンダー、<野伏>のルクルット・ボルブの四人は自分達よりも圧倒的な強さを見せた二人の会話に興味を持っていた。

 

「モモンさんから聞いたんだけど、さっきの透明になる仕掛けだけじゃなくあの鎧まだ仕掛けが沢山あるらしいぜ?」

 

「ええ。彼…レイヴンさん自身そういった事が得意とモモンさんから聞きましたけど、簡単には出来ないことです。それが出来るあの時点であの人がタダ者じゃない事がわかりますね」

 

「その装備に見合うだけの実力の一端を先程の出来事で見せた以上、あの御仁もかなりの強者であることは間違いないのである!」

 

「そうですね。ですが小鬼の他に居たのは何だったんでしょう?一瞬ゴーレムの一種かと思いましたけど、後から出てきたゴルドソウルという者達からは確かな意思が感じられました」

 

「確かにな~金属で出来た種族なんて聞いた事無いしな…でもゴーレムじゃないな絶対」

 

「もしかして違う大陸から移住してきた種族かもしれないな?」

 

「やはりこの世の中はまだ未知で溢れてるであるな!」

 

「それよりもよ、レイヴンの大将が連れていたあの二人もやっぱり強いのかな? ナーベちゃんの妹のマグノリアちゃんはボウガン持ってたし、ナーベちゃんとは戦い方違うだろうからわかんないけど、あのジナイーダって子もでっかい刀背負ってたしな…」

 

「でもあの時レイヴンさんだけでなくあの2人の気配も俺達全然気づかなったぞ?少なくとも俺達より強いってのは確実じゃないのか?」

 

「うむ、それは確実である」

 

「それにしてもマグノリアちゃんもナーベちゃんに負けないくらいの美人さんだったな…」

 

「おいルクレット、浮気か?」

 

「バカ!そんなんじゃねえって!」

 

「いえぺテル、そもそもナーベさんはルクレットに気はありません」

 

「おいニニャ、その言葉ダメージデカいからな?」

 

「さっきまでナーベ氏が妹氏達と柔らかい表情で話してるのを見て『愛しのナーベちゃんがあんな顔をするなんて』と言って膝から崩れ落ちたというのに…」

 

「それは忘れろ。ああでももう一人のジナイーダちゃんももう少し大きくなればかなりの美人さんに…」

 

「「「え?」」」

 

「え?」

 

仲間の反応に首をかしげるルクレット。

他の三人は少し見つめあった後にニニャが口を開いた。

 

「男らしいですよ?ジナイーダさん」

 

「え?…………えぇ!?」

 

「おいルクレット、お前そっちもイケる口だったのか?」

 

「人の趣味嗜好をとやかく言うつもりはないがそれはちょっと引くである」

 

「え、いやちょっと待て違…俺女の子と間違えただけなんだって!」

 

「今度からお前との距離ちょっと考えた方がいいかもな…」

 

「ニニャ、気を付けるのである」

 

「そうですね、とりあえず今から対策考えないと」

 

「だ~か~ら違うんだって!」

 

アッハッハと笑う漆黒の剣のメンバーを見ていた俺とモモンガさんはそれぞれ漆黒の剣の感想を言っていた。

 

「あの人たちなに話してるんでしょうか?」

 

「わかりませんが楽しそうですね」

 

「そうですね、モモンガさんが言ってた昔のギルドを思い出しますって言葉凄くわかりますよ。懐かしく感じます」

 

「私もです、本当に懐かしい…」

 

かつてのアインズ・ウール・ゴウンを懐かしんでいる俺とモモンガさん。

お互いにとってもあのギルドは第二の我が家といっても過言ではなかったからだ。

 

「………たっちさん達はどうしてるんでしょうね?」

 

「………」

 

かつてのメンバーの名前を出したマシンナー、そしてモモンガもかけがえのない友人達である彼らの事を思い出していた。

お互い少し無言になっていたが何か思ったのかモモンガが口を開く。

 

「そういえばマシンナーさん、あの村に駐屯しているゴルドソウル達は大丈夫ですか?」

 

「ええ、村に来た時本人に聞きましたが反感や不満はあまり買ってはいないらしいです……まあ俺達機械系異形種を初めて見るのでまだ自分たちに慣れるのに時間がかかりそうですが…」

 

「そうですか…まあしょうがないですね今まで見たことないですし」

 

「ああでもそんなかからないと思いますよ?」

 

マシンナーの意外な言葉に少し目を見開いた(瞼無いけど)ような反応をするモモンガ。

 

「え?どういうことですか?」

 

「ゴルドソウルが言うには子供が一番兵団と触れ合ってるらしいんですよ、ゴルドソウルに至ってはネムに引っ張りまわされてるらしいですし」

 

「何かそれすごく見てみたいですね…」

 

マシンナーと同じくらいの体格を持つゴルドソウルがネムのような少女に引っ張りまわされてる光景は少し微笑ましい。

 

「いや~やっぱり子供にはわかるんでしょうね、ロボットの良さが!」

 

「マシンナーさん、凄く嬉しそうですね?」

 

「そりゃ当たり前ですよ!」

 

この村だけとはいえ機械系異形種が受け入れられ始めていることにマシンナーは大いに喜んでいる。

この世界の全ての機械系異形種が当たり前に存在する時代が到来するのも遠い未来ではないかもしれないと考え始めていた。

 

そんな時ンフィーレアがモモンガとマシンナーの所に急いで駆け寄ってきた。

 

「どうしたンフィーレア少年、さっきの女の子と何か話してたけどプロポーズでもしたのか?」

 

「違いますよ!いえあの……いずれは告白するつもりですけど…って、そうじゃなくて!」

 

「え?冗談のつもりで言ったんだけどマジで!?」

 

「え、ああ…はい、その…はい…」

 

「レイヴン、あまりからかわないでやってやれ」

 

「いや本当に冗談だったんだよ、その……スマン」

 

「あ、いえ、そんなに気にしてませんので……」

 

ちょっと素が出ちゃったよいけないいけない。いや本当に人の縁って凄いもんだな、まさか好きな女の子がエンリとは…。

にしても俺もシズにプロポーズしたいと思ってるんだけど、まだまだ時間が必要だ。

そう思ってると俺はこのンフィーレア少年に少々親近感が湧いてきた。

彼の恋が実ることを願っていよう。

 

「安心しろ、俺は口は固いから誰にも言わない。約束する」

 

(物理的な意味でも固いですよね、身体が超合金だし……)

 

「えっと…ありがとうございますってそうじゃなくて!……あの、2人に聞きたいことがあるんです」

 

「ん?」

 

「はい?」

 

「単刀直入にお訊きします。お2人は以前この村を救ってくれたというアインズ・ウール・ゴウンとマシンナー…あの彼らはもしかしてモモンさんとレイヴンさんなんですか?」

 

 

(え!?)

 

(なぬぅ!?)

 

予想外の言葉に呆気に取られる俺とモモンガさん、それにしても何故そう感づいた?俺は確かにこの姿でエンリ姉妹とあったが念のためボイスチェンジャーで声は変えてあるからバレてないはず。

慎重なモモンガさんもバレるような事はしてないはず?じゃあ何故?

とりあえず俺はモモンガさんに<メッセージ>で聞いてみる事にしてみた。

 

<どうします?>

 

<とりあえず聞いてみましょう、何か聞けば解決策を思いつきますし…>

 

<了解です>

 

俺とモモンガさんは<メッセージ>を切り、ンフィーレア少年に聞いてみることにする。

最初は俺が切り込んでみることにした。

アルティマ達はいつの間にか後ろに控えており横でいつでも動けるようにしている。

しかもアルティマは<メッセージ>を使っており、誰かを呼んでいるようだ。

 

「何故そう思う?」

 

「……」

 

「エンリから聞いたんですが、カルネ村が襲われてエンリが傷を負った時にゴウンさんが使用したというポーションの色がモモンさんが持っていたという『赤いポーション』と同じ物だったという話で気になって、…後はここまでの道中でナーベさんがカルネ村に来るまでの間に口にした『アルベド』という名前がその二人の部下達の方と同じだったようなのでそう思ったんです……」

 

(しまった、あれか……)

 

(やべぇ……)

 

心の中で2人とも「アチャー」となっているがナーベラルは「やってしまった……」っと狼狽している。

どうしよう…いや本当に…マジで。

勘のいいガキは嫌いだよパターンは嫌だよマジで。

 

「だからお礼が言いたいんです……ありがとうございました、この村を救って下さって」

 

「僕の好きな人を助けてくれて、本当に…本当にありがとうございました!」

 

「「……」」

 

俺とモモンガさんはお互いに顔を見て頷き、再び彼に向き直った。

 

「……頭を上げたまえ」

 

「そういう事なら別に何も言わん…」

 

俺は彼の言葉に他意は感じられなかった。

たぶんモモンガさんも同じ気持ちだろう……。

とりあえず何とかなった、とりあえずひと安心。

そして後ろに控えているアルティマの方を向き、「始末しなくてもいい」という意味を込めて首を横に振り、アルティマも了承したのかこくりと頷いた。

 

「あの……モモンガさんに実は隠していたことがあるんです」

 

「何?」

 

ンフィーレア少年が言うには赤いポーションはこの世界ではやっぱりかなり貴重な代物らしい、あの婆さんも「神の血」って言ってたぐらいだからな。

その製法を知るために今回ンフィーレア少年はモモンガさんに依頼を出したらしい。

 

「やっぱりあの赤いのは貴重なのか…」

 

「はい、僕の祖母が『神の血』って言ってました…」

 

「……悪用する意図があったのならともかく、そうでなければ問題ない」

 

ああ教えるんだ、まあこれでンフィーレア少年とアインズとしての繋がりができたから良いか。

それに教えるメリットの方がデカいし。

何か絵面が秘伝のスープの作り方を弟子に教えるラーメン屋店主みたいだな。

 

その後ンフィーレア少年がこちらに駆け寄ってきて、「今から一時間後に出発します」と確認を取った。

そしてモモンガさんはナーベラルの方を向く。

 

「申し訳ありませんでしたアインズ様、マシンナー様」

 

「そうだなナーベラル、お前がアルベドの名を出したのが原因だ」

 

「流石に迂闊だったなナーベラル」

 

そして何故ら剣を出し、首に当て……ん?首?

 

「この命で謝罪を…」

 

(オイィィィイ!?)

 

そんな事させるわけにもいかずすぐさま剣を掴む。

 

「止めろ!」

 

「マ、マシンナー様?」

 

「良い!ナーベラル、失敗は誰にでもある、それを繰り返さぬよう努力すれば良い」

 

「そうだ、俺達だって何度か失敗してそこから学んで今の俺達があるんだ」

 

「だからお前のミスを全て許そう、ナーベラル・ガンマ」

 

「……アインズ様」

 

「全く早々と自害しようとするな、心臓に悪い」

 

「申し訳ありません、マシンナー様」

 

(マシンナーさん、あなた心臓無いでしょ?)

 

アインズはそう突っ込んでみたかったが、この場の空気を読んで止めておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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