シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器 作:t-eureca
中間発表では上位10名にいなかったのに7位になっているルプー恐ろしい子……!!
シズが扉を開けるとアルティマ達とディアヴォルス達が入ってくる。
なんかアルティマがシズの薬指見てギョッとしていたが、すぐに納得したような顔をした。
何に納得したのかはわからんがまあいいか。
「…全員集まったな? では会議を始める」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
見事なまでのハモリ具合に満足しながら、俺は今回の議題を説明する。
「今回お前たちを呼んだのはこの前言った通り、ナザリック外と周辺国家への偵察だ。世界征服に乗り出すからにはいずれ他の周辺国家との衝突は避けられないだろう。アインズもこの世界の人間が使える武技やタレント等の異能持ちを捕獲するために戦力を出すつもりだ、我々の任務は周辺国家への偵察とそのサポートにある。だが困ったことにこの世界には我々以外の機械種はいない。よって、特機兵団以外の部隊は諜報と索敵に秀でた者10名ずつを諜報部隊とし、それぞれ国家に潜入してほしい」
「他にもナザリック外を調査する者達のサポートもあるが、編成は後日改めて伝える」
「はっ!」
「それとゴルド」
「はい!」
「お前と特機兵団にカルネ村の守護を頼みたい」
「えっ!」
あら驚いてるご様子…まあ確かに防御より戦闘向きだからな。
まあちゃんと理由はある。
「あの…お言葉ですが、俺よりローグやアルティマの方が適任では?」
「まあお前の言うこともわかる。理由はこの世界の人間と機械種との共存が可能かどうかを確かめるためにお前にはモデルケースになってほしい、それに特機兵団なら少ない兵力でも他の兵団の戦力を上回るからな」
それならドランザーでもいいんじゃないか?と言われてしまうが、ドランザーにはスキル『暴走』があるのでもしも発動なんかしてしまったら目も当てられないことになる。
まあ付けたの俺なんだが…。
「流石に一人でやれとか酷なことは言わん、プレアデスのルプスレギナも補佐に入る、なんか相談したいことがあれば遠慮せず言ってくれ」
「それと村人からの反感等は極力ないようにしろ。村一つ満足に支配できなければ世界征服など夢のまた夢だからな」
「御意! ゴルドソウル! 謹んでお受け致します」
「気合十分でよろしい、では今回の会議はこれで終わりだ、俺はアインズさんと少し話がある」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
・
・
・
会議を終えた俺は玉座の間を訪れる。玉座にアインズさんがいつも通り座っていた。
「来ましたよモモンガさん、話って何ですか?」
「いらっしゃいマシンナーさん、実は冒険者の件で話があるんですけど」
「ああ、あの件ですか、何か問題が?」
「ああいや別に問題とかじゃないんです」
「じゃあなんですか?」
「パートナーとして誰を連れていくかです」
「あ~…」
まあ確かに一人で行くわけには行かない、特にモモンガさんは本職ではない前衛職でやると聞いて、内心不安だが、まあ大丈夫だろう。
「モモンガさんは誰を連れていくんですか?」
アルべドかな? それもシャルティアかアウラ? もしかしてマーレ?
「俺ですか?俺はナーベラルを連れて行こうかと思っています」
あら意外、まあ真面目そうだからなナーベラル。
「マシンナーさんは?」
「俺ですか? 俺はアルティマとシズにしようかと…」
「アルティマはともかく、シズは武装的にちょっと…」
「"あ"……」
そうだった、シズの武器は銃、しかも見た目は近代火器だ、流石にそれは色々不味い。
が、そう簡単に引き下がりたくない……。
「ら、ライフルの代わりにマスケット銃を持たせれば…」
「この世界にはまだ銃器無いの知ってますよね?」
「うぐ……!」
そういえばそうだった。くそ、何で魔法とかあんのにマスケット銃とかは無いんだよ!
「ぐぬぬ…どうすれば…」
「銃器以外なら大丈夫なんですけどね…」
銃器の代わりになる飛び道具って後は弓…ん?
「モモンガさん」
「はい?」
「確かこの世界クロスボウありましたよね?」
「ええ、ありましたけど…まさか…」
「銃器の代わりにしちまえば問題ないですよね」
そう、銃がなければ代わりの飛び道具を使えばいい。
そして銃と同じ持ち方ができるクロスボウがこの世界にはある……!
「まあ、それなら問題はないですよ」
「よっしゃ」
シズを連れて行ける事に俺はガッツポーズをした。
「あ、でもシズにすぐにナザリックに帰還できるよう処置しておいてくださいね?」
「はいそこら辺は大丈夫です」
シズには『ナザリック内のギミックの解除方法や入室パスワードを全て把握している』という設定がある。
もしもシズが捕まって洗脳でもされたらヤバイ事に…。
いやそんな事させる前に俺がそいつらそっこう塵に返すけど…。
「なら安心です、まあ…シズがピンチになったらマシンナーさんが本気モードで駆けつけそうですけど……」
「もしシズがピンチになったらボソンジャンプで駆けつけて、開幕メイオウと他の八卦の武装をぶっ放してペンペン草すら生えないようにする自信があります」
「わ、笑えない……。というかメイオウ攻撃だけで敵全滅しそうな気がするんですが……」
「シズを傷つける奴は塵一つ残さずこの世から抹消するって決めてるんで」
「ま、まあ…マシンナーさんの専属なんでシズを呼ぶ時にはあらかじめ伝えておきますので……」
「助かります」
「あ、それとマシンナーさん、軍団の号令はいつかけるんですか?」
「さっき隊長達と会議で今後の方針の事伝えたので、そろそろかけようかと思います」
「わかりました」
・
・
・
マシンナーが部屋から出た後、シズを除くアルティマ達隊長格は『機械の楽園』の隊長格のみが入れる特別舎に入っていた。
ディアヴォルスが最後に部屋に入り、アルティマが扉の隙間から誰もいない事を確認し、扉を閉じる。
そしてどこから出したのかホワイトボードを出してきた。
「大隊長殿、これから何をするのだ?」
不思議に思ったディアォルスがアルティマに疑問をぶつける。
アルティマの代わりにローグとドランザーが答える。
「そういえば初めてこの会議に参加するんだったな?」
「……トテモ大事ナ事ダ、コレハ我ガ軍団…ヒイテハナザリックノ未来二関ワル…」
「何?」
それを聞いたディアヴォルスが眉をひそめるような仕草をする。
アンヘルも少し顔をしかめる。
「それは不敬ではないのか? 我々だけではなく、他のナザリックの者達にも……」
「いやそれは出来ない、理由が有ってな」
「何?」
「その理由とは?」
「うん、とりあえずこれを見てよ」
そう言うとアルティマはホワイトボードに書いた内容を読み始める。
「「…………」」
『マシンナー様の恋路を全力で応援するプロジェクト』
「「!?」」
その文章を見たアンヘルとディアヴォルスの頭に稲妻が走った――――!!
「ま、待て大隊長殿! これは…これは一体!」
「そのまんまの意味だけど?」
「マ、マシンナー様がこ、恋を!? い、一体お相手は誰だ!」
「プレアデスのシズ・デルタだよ?」
「「なん…だと!」」
自分達の創造主が恋をしているという事実に驚愕する2人。
「だが何故大隊長殿がそれを? マシンナー様から聞いたのか?」
「いや、シズの創造主様がマシンナー様に「シズを嫁にしてもいい」と言っていた。それを聞いたマシンナー様は深々と頭を下げながら「ありがとうございます!」と仰られている場面に偶然僕は立ち会ったよ。それ以前からマシンナー様は時間がある時には必ずシズの様子を見に行かれてた。マシンナー様が御帰還になった後にシズはマシンナー様の専属メイドになり、さらにご自身が作った装備である『ジャガーノート』をシズに褒美として授けた……」
「なんと…」
「至高の御方が決められた密約、確かにそう簡単には広げられない…だが我々が介入していいことでは…」
「そう……残念ながら僕らはささやかな援護しか出来ない」
アルティマは少々残念そうな顔をする、だがすぐに真剣な眼になる。
「だけど今回のマシンナー様の行動を見て、シズがマシンナー様の奥方になる日も近いと僕は確信した……」
「何…?」
「どういうことだアルティマ?」
「何カ進展ガアッタノカ?」
アルティマの言葉に隊長達は疑問を持つ。
アルティマも一呼吸置いて隊長達に話す。
「……シズの左手の薬指見たかい?」
「……薬指?」
「……ア」
「どうしたドランザー?」
「…指輪」
「ん?」
「……シズノ髪色ト同ジ色ヲシタ指輪ヲ嵌メテイタ」
「「「「「―――!?」」」」」
再び頭に稲妻が走る隊長達(アルティマとドランザー除く)
「なんと…」
「本当か?」
「マジか…」
「……」
「なんという…」
「そう、シズが嵌めていた指輪はリング・マシンフォース。きっとマシンナー様がシズの為に用意したものだろう…」
「ならマシンナー様はシズに告白なされたのか?」
ソニックは頭の中に浮かんだ疑問をアルティマに話す、しかしアルティマは首を横に振った。
「いや、告白はされてないと思うよ」
「何故わかる?」
「もし、告白されてシズと婚約したならあの場でマシンナー様は言ってたと思うよ。でもあの場で言わなかったって事は…」
「言ってないという事か…」
「でも、マシンナー様とシズが婚約するのもそう遠い未来じゃないと思うよ?」
「何?」
「マシンナー様が指輪を嵌める場所を指定すると思うかい?」
「ないな、あの方は慈悲深くお優しい方だ」
「じゃあシズ自らの意思で付けたってこともあるかもしれないよ?」
「何?」
「ということは…」
「シズもマシンナー様を少なからず想っている……と?」
「Exactly(そのとおりでございます)」
・
・
・
「…………」
ナザリックの通路を渡っていたシズはマシンナーがくれた、不意に指輪を見つめた。
「……綺麗」
自身が愛してしいる方からの贈り物、それを貰ったという事だけでも嬉しいが、薬指に嵌める事を許してくれた。
「あら、シズ何見てるの?」
「…!……ユリ姉…」
思わず手を後ろに回すシズ。
しかしそれを見過ごすユリでは無かった。
「? 何を隠したの?」
「……何でもない」
「……何でもないなら見せれるよね?」
「…………」
一番上の姉であるユリには流石に逆らえないので観念したのか恐る恐る左手を出す。
「あれ?、この指輪……」
「マシンナー様から…貰った」
「え!」
「リング・マシンフォース……任意でサポート用の機械種が出せるって」
「え? な、何だ驚いた……」
至高の御方のマシンナーからの指輪と聞いてユリは驚くも指輪の用途に一旦落ち着くが、すぐに新たな疑問が湧いた。
「でもシズ…指輪を左手の薬指に付けるって意味わかってるの?」
「…………うん」
ユリの問いに顔を少し赤面しながらもコクリと頷いた。
「でも…マシンナー様……許してくれた」
「え?」
「あ、ここにいたのかシズ。探したぞ?」
「マシンナー様!」
現れたマシンナーに驚くユリ、シズは少し赤らめながらも一礼をする。
「……なにやら話している様子だったがもしかして邪魔だったか?」
「い、いえ、ただの世間話なので大丈夫です」
「そうか、ならシズ連れて行って良いか?」
「はい、大丈夫です…」
「?まあいいか、行くぞシズ」
「……はい」
ユリの慌てぶりに首をかしげるマシンナーだが、まあいいかと思いシズとともに歩いていった。
(やっぱり……マシンナー様は…)
この瞬間かつて考えたユリの推測は確信に変わった……。