シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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オーバーロードの11巻がもう予約受付始まってることに軽く驚いてしまった。(後特装版って事も…)


第27話 シズの恋

アルティマ以下隊長達やディアヴォルス達は驚きを隠せなかった、アルティマ達には『マシンナーが創造した強力なシモベで領域守護者の一人』ということしか知らなかった。しかし、実際に会って彼らを見たときその力をすぐに感じ取った。成程、自分達の創造主であるマシンナーが領域守護者として彼らを任せた理由もわかる。

そしてディアヴォルス達もそれは同じで驚いていた。心から敬愛する自身の創造主であり機械の神からの直々の誘い、興奮を抑えられないでいた。

 

「まことで御座いますか!?」

 

「ああ」

 

ディアヴォルスの驚きをすんなり返す俺。

 

「我等アインズ・ウール・ゴウンの目的は不変の伝説になる事、そして世界をこの手に掴む事ということは知っているだろう? その為に俺も軍団を動かす、最初は小規模だがいずれは全軍を繰り出すつもりだ、その為に軍団を増強する必要がある、それでディアヴォルス、アンヘル、お前たちの力がどうしても必要なのだ。勿論アインズの許可は取ってある、お前たちさえ良ければ是非にと思うのだが」

 

「ハッ! 我々でよろしければ是非にお願い致します!」

 

「『鉄の城』の領域守護者として申し分ない働きをして見せます!」

 

「アル達各隊長も賛成です。領域守護者が二人も我が軍に参戦してくれること、これ以上に頼もしい事ありません!」

 

ディアヴォルスの即答を皮切りに、アルティマ達も賛同する。

ディアヴォルスの卷族達もヤル気で満たされていた。

 

「気合十分でよろしい…正式な辞令は後程伝える、辞令が出たら改めてお前たちの事を伝える」

 

「「は!」」

 

「では今回はこれでお暇しよう、行くぞお前達」

 

「「「「「は!」」」」」

 

ディアヴォルス達に別れ、俺たちは『鉄の城』から去っていった。

 

「行ってしまわれましたか…」

 

アンヘルが名残惜しそうに言う。

 

「だがこれで我々はマシンナー様の下で直接働ける、これ以上に嬉しい事はない…」

 

「そうですね、今はそれを喜びましょうか?」

 

「…うむ」

 

 

 

 

俺の部屋に着いた後に俺たちは解散し、部屋に居るのは俺と大隊長兼補佐官のアルティマだけだった。

 

「それにしても驚きました」

 

「ん?」

 

「まさか領域守護者を『鋼鉄の魂』の隊長格に任命するとは思いませんでした」

 

「ああその事か、まあ切れる手札は多いほうがいいからな」

 

「流石はマシンナー様です」

 

「お、おう…」

 

そんなに大した考えじゃないんだがな。

 

(先程マシンナー様から教えられたあの二人の力、ディアヴォルス殿は『自身の眷属を大量に生産する能力』そしてアンヘル殿は『対天使に対する耐性上昇と天使に対する会心率の上昇』…あの二人の能力は我々『マキナ』は勿論、ナザリックの今後の行動にも多大な力を発揮するだろう)

 

(ディアヴォルス殿の能力で我が軍団の兵力増強、そしてアンヘル殿の力であれば今後ぶつかる可能性が一番高いスレイン法国に対する切り札にもなる可能性も高い、やはりマシンナー様はスレイン法国に対してそれほどの警戒を…)

 

あの無礼千万にも程があるニグンとか言うクソ金髪オールバックゴミクズジャンク野郎の事を思い出し、軽くニグンに対する殺意が再び燃え上がるが、今考えるのはそこじゃないので考えを変える。

 

(…その時が来れば徹底的に叩き潰せるように戦力を整えよう、マシンナー様の為に……)

 

「アルティマ」

 

マシンナーが自分を呼んだことで、すぐに頭を切り替えマシンナーの方を振り向く。

 

「はい、何でしょうかマシンナー様?」

 

「少し相談がある」

 

「はい、なんなりと…」

 

「…実はシズを『マキナ』に入れようと思うんだが…」

 

「シズをですか? 勿論それは構いませんが…」

 

「役職は補佐官にしようと思うんだが…」

 

「え!?」

 

アルティマは驚愕した、自分の役職は『鋼の魂』の大隊長であり、マシンナーの補佐官でもある。

自分の役目の一つが減らされるんじゃないかというのに、恐怖した。

 

「あ、あのマシンナー様? なぜシズに補佐の役目を?…もしかしてアルでは務まらないと…?」

 

「え?いやチガ、すまん言い方が悪かった。正確に言うとシズを二人目の補佐官にしたいんだ」

 

先程のアルティマの気迫にちょっとビビったが、俺も言い方が悪かったと思い、訂正する。

それを聞いたアルティマは少し落ちついたのか少し安堵している表情だった。

 

「取り乱して申し訳ありません、二人目の補佐官ですか? 理由を聞いても?」

 

「ああ、アルティマは役職を二つ兼用しているから、負担を少しでも軽減させようと思ったんだ、隊長達から補佐官を出そうと思ったんだが、他の奴らはそれぞれ任せたい仕事があるから外せない。なら新しいシモベを作ろうと思ったが、今のところ少々時間が作れない。だから当分はシズに第二補佐官になってもらおうと思ったんだ(シズと一緒に仕事が出来るという下心はあるけど…)」

 

俺はシズを第二補佐官に任命したい理由を話す。勿論モモンガさんの許可は取ってある。

 

「ア、アルの為にそのようなご配慮を…! ありがとうございます!」

 

「お、おう」

 

そこまで感激してくれるとは思わなかった。

まあ喜んでくれてなによりだ。

 

「んじゃ、仕事終わらせるかアルティマ、書類を出してくれ」

 

「はい!」

 

出てきた書類の束を見て、「とっとと終わらせるか」と決意し、それに取り組みにかかった。

 

 

 

 

マシンナーが仕事に取り組みにかかっている時、プレアデスの定例会議を終えたシズはマシンナーの部屋に向かう。

 

「……」

 

ドクン……。

 

(……また)

 

歩いている足を一旦止め、自分の胸に手を当てるシズ。

 

ドクン……ドクン……ドクン……。

 

(段々…強くなってる…)

 

この頃感じている胸の高鳴り、それが日に日に強くなっていくのをシズは感じた。

 

(なんだろう……これ…?)

 

身体を一度精密検査しても特に異常は無し。

謎が深まるばかりだった。

 

(………マシンナー様に…診てもらった方が…良いの…かな?)

 

アインズ曰く「機械に関しての技術と知識ならばマシンナーさんの右に出るものはいない」と言っていた。

ならば自分にはわからない事でもマシンナーならばわかるかもしれない。

 

「あらシズ、どうしたの?」

 

「……ユリ姉」

 

声の方向を向くと、姉であるユリ・アルファが立っていた。

 

「……ユリ姉、どうした…の?」

 

「え? 僕? シズが考え込んでいる様子だったからどうしたのかなって思って…」

 

「……」

 

そしてシズは何を思ったのかユリに自分の胸の高鳴りの事を聞いてみることにした。

 

「ユリ姉……」

 

「なに? シズ?」

 

「実は…ここ最近…胸が…変…」

 

「え?それってどういう…」

 

「胸が…いつもより…高鳴っている…」

 

「それ…ペストーニャ様には言ったの?」

 

「言った…けど特に異常は無いって…」

 

「それは…困ったね…」

 

「あれ~2人ともなにしてるっすか~?」

 

シズの謎の胸の高鳴りについて考えているシズとユリ。

そこにルプスレギナ・ベータが加わった。

 

「あ、ルプー…実は…」

 

ユリがシズの謎胸の高鳴りの事を話す。

それを聞いたルプスレギナは驚き

 

「シズちゃん、それ大丈夫なんすか!?」

 

「落ち着いてルプー、ペストーニャ様からは特に身体に異常は無いって言ってたわ」

 

「そうなんすか、いや~ホッとしたっす~」

 

ユリの話を聞き安堵するルプスレギナ、しかし謎が解決したわけではない。

 

「じゃあ一体何が原因っすか?」

 

「ねえシズそれに何か前兆とかある?」

 

「え……?」

 

「何らかの前兆があるなら対処出来るんじゃないかな?」

 

「おお!そうっすね流石ユリ姉っす!」

 

「……」

 

シズは正直戸惑った、だがこのままではいつか支障をきたすかもしれない。

シズを意を決して打ち明けた。

 

「……といる時」

 

「ん?」

 

「え?」

 

「マシンナー様……と…いる…時」

 

「え? それって……」

 

「ま、まさか……」

 

「……? 知ってるの?」

 

「知ってるも何も……」

 

「よく聞いてねシズ、その感覚はね……」

 

「……うん」

 

「「恋だよ(っすよ)」」

 

「…………鯉?」

 

「違う、そっちじゃない」

 

「恋愛の方の恋っすよ! シズちゃん!」

 

「……え?」

 

「シズちゃんはマシンナー様に恋してるって事っすよ」

 

「……わ、わからない」

 

「え?」

 

「恋ってもの自体がわからない…」

 

「ん~、んじゃちょっと聞くっすけどシズちゃん」

 

「……?」

 

「マシンナー様といる時どんな気持ちっすか?」

 

「……え?」

 

その質問にシズは少し考えてから答えを出した。

 

「……ポカポカする」

 

「おお!じゃあ喋ってる時は?」

 

「……楽しい」

 

「そして一緒にいるとドキドキするんすよね?」

 

「……うん」

 

「おお!こりゃ完璧っす! シズちゃんマシンナー様に恋してるっすよ!」

 

「……!」

 

ルプスレギナの話に驚きながらもこれまでのマシンナーとの関わりを思い出す。

 

看病した自分に労いと「ありがとう」と言ってくれたマシンナー。

 

機械種にとって最も無防備な所である自身の骨格であるフレームの整備を手伝ってくれと言ったとき。

自身の弱点であるフレームを相手に晒すというのは機械種にとってとても危険なことである、しかしそれを見せるだけでなく、整備の手伝いをしてくれというのは『お前を深く信頼している』という意味でもある。

 

お互いに銃の事で語り合った時間。

 

褒美としてマシンナー自身が制作した装備『ジャガーノート』を授けてくれたときは嬉しさのあまりオーバーヒートしてしまった。

 

ジャガーノートの実戦試験をした後に自分の頭を撫でてくれたのを思い出す。

その時の温もりは忘れることが出来ない、いや忘れたくないと思った。

 

(……そっか)

 

(……私は…)

 

(マシンナー様の事が……)

 

(好きなんだ……)

 

「あれ? シズちゃん? どうしたんすか?」

 

「……」

 

「シ、シズ?」

 

「ぷしゅー」

 

「え? ちょ、シズちゃん大丈夫っすか!」

 

「シズ、しっかりして!」

 

「ユリ姉! あたしマシンナー様呼んでくるっす!!」

 

「え! ちょ…ルプー!」

 

ユリの制止も聞かずにルプスレギナはマシンナーの部屋に直行した。

 

 

 

 

「アルティマ、モンキーレンチ取ってくれ」

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

「所でマシンナー様、このエンジンはいったい何ですか?」

 

書類を全部片付け、次の書類が来るのに結構時間があったため作りかけのベンチエンジンを組み立てていた。

 

「ああこれか? これはV8エンジンっていうエンジンでな…」

 

「マシンナー様、入っていいっすか!?」

 

「ん? 入れ」

 

ドアをノックしたので許可するとルプスレギナが慌ただしく入って来た。

珍しい来訪者に驚くも、すぐに用件を聞いた。

 

「珍しいな、シズは今いないが…」

 

「助けてくださいマシンナー様シズちゃんがオーバーヒートしちゃったすー!?」

 

「マジで?」

 

「マジっす!」

 

「アルティマぁ! すぐに修理道具一式持ってこい!」

 

「え? は、はい!」

 

この後マシンナーが急いでシズのもとに向かい、それはそれはアストナージもビックリな速度で修理したという。


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