シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器 作:t-eureca
ニグン「この威光の主天使凄いよぉぉぉ!!」
前半は前回の話のマシンナー視点から始まります。
監視の権天使を瞬殺したらあいつらの隊長が懐から青い水晶を取り出した。
あれ確か見たことあるぞ、確か……。
「あれは魔封じの水晶か?」
「確かにあれは魔法封じの水晶だ。それに最高位天使だと? それにあの輝きは超位魔法以外を封じるものだ……」
となりゃあ熾天使級が出てくる可能性もあるって事か…なら。
「アインズ下がれ、俺が殺る…」
「待て、もしも熾天使級だったら……」
「それの備えも打ってある。アインズ、第八階層のアンヘルをすぐに呼び出せ。あいつの天使殺しの能力なら熾天使級でも問題はない」
熾天使級等を対処するために対天使に特化したスキルビルドのアンヘルならば問題は無い。
俺は時間稼ぎをしよう。
俺が倒れた場合を想定して、アル達をモモンガさんの守備に徹させるか。
「アルティマ、シズ、アルべドはアインズと自分の守備に徹しろ!」
「マ、マシンナー様! 何をおっしゃるんですか!!」
「そのような命令はアルは聞けません!!」
「そんな命令……聞け…ない!」
「命令だ! お前たちを死なせたくない!!」
「っ!……畏まりました」
「くっ…!」
「……っ」
アルティマ、シズ、アルべドの制止を振り切り、俺は前に出る。
そして対魔法装備であるAMCマントを解除した。
出し惜しみはしねえぞこの野郎……。
「コード:デウス=エクス=マキナ……」
切り札である、<コード:デウス=エクス=マキナ>を発動させ最終形態に変形する。
更に自身のステータスを強化するスキルを全て発動させる。
「スキル<リミッター解除>、<パワーボンド>、<EXAMシステム>、<HEADES>、<明鏡止水>…」
全てのスキルを発動させたからか、全身から粒子が放出している。
そして俺は一歩前に出た。
「来い、粉微塵に貴様らの希望を破壊してやる……」
どうやらあっちも自身の切り札を召喚したらしい。
相手の天使の外見を見ると、それは光り輝く翼の集合体。翼の間から伸びる手には王権の象徴たる笏が握られている。
しかしその天使には頭も足も無い。
ん?確かこいつは……。
「見るが良い!!……この尊き姿を! 威光の主天使!!」
切り札の天使を召喚したからか、滅茶苦茶興奮して凄まじい怒号で叫んでいる。
けどこれって……。
「……は? 威光の主天使? は? なんかの冗談?」
それは意外過ぎる相手だった。
俺自身は熾天使級が来るのを予想して、自身を強化するスキル総動員までしたんだ。
しかし肝心の相手は俺にとって脅威のきょの字もない威光の主天使を召喚してきたのだ。
しかもなんかドヤ顔までしている……。
あれ? なんか無性にイラついてきたぞ?
「……俺はたかが威光の主天使如きに覚悟完了していたのか?……ふ、ふふふ…」
「アハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、アーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
うんごめん、こいつら馬鹿にしてるとしか思えないわ。
あれだけ煽っといてのこいつらの最高戦力が威光の主天使って……。
うん覚悟完了していた自分が恥ずかしいは…。
「「「ひいぃぃぃ!!」」」
「マ、マシンナー?」
「マシンナー…様?」
「マ、マシンナー様?」
「っ……!!」
「…あ~…」
そして精神作用効果無効が発動され、強制的に鎮められる。
あ、まずいモモンガさん達ドン引きしてるよやっべぇ……。
どうするべきか……仕方ないこのまま貫こう。
「……ここまでコケにされたのいつ以来かな…あ、るし★ふぁーの奴が俺が制作した戦車や戦闘機の色を全身ピンク色にして、♥マークをびっしりつけられた時以来だよな~、あの時はるし★ふぁー捕まえて、メイオウ攻撃を叩き込んだよな~あ~懐かしいな~…とまあ置いといて……」
るし★ふぁーさんとの思い出を思い出しながらぶつくさ呟く俺。
傍から見れば変質者だが、これも演出だ演出。
そして口を大きく開き…。
「オォォォォォォォォオォォォォォォォォォォォォォオォォォォオォォォォ!!」
俺はどこぞの汎用人型決戦兵器の初号機の暴走のような雄たけびを上げた。
「茶番は終わりだ……!」
「塵も残さず「地獄」へ落ちるが良い!<聖なる極撃/ホーリースマイト>!」
威光の主天使から光の柱が落とされる。
でもこれ所詮第七位の魔法だから、俺のスキルでノーダメージなんだよね~。
それに俺の後ろにはお前らが信仰している神様なんぞよりかわいいシズ・デルタという女神が見ているんだよ!
惚れた女の前で無様な姿晒せるかぁ!!
そういやあのあの隊長、地獄っていったな。
ならこう返してやる。
「地獄だと? 地獄なら目の前にあるじゃねえか?」
隊長の顔を見ると、滅茶苦茶ビビッている。
「俺達が…」
『『地 獄 だ !!』』
俺が叫んだ時と同じタイミングでモモンガさんも何故か叫んでいた。
この意外な合いの手に俺はモモンガさんの方を向いた。
(あれ?モモンガさんマジンカイザーSKL知ってたっけ?)
(何故だろう……言わなきゃいけないという使命感にかられてしまった…)
(まあ良いや、そろそろぶッ殺…)
「か、か、下等生物がぁぁぁ!!」
「こ…の…ゴミ屑共がぁぁぁ!!」
((あ))
アルティマとアルべドの声が響く。
あ、これ完全に切れてますね。
「戦闘形態起動! アルティマ・レイ・フォース…目標を殲滅する!!」
「え? アルティマ?」
あ、これアルティマが本気形態になるパターンだわ。
後ろ振り向かんどこ、怖そうだし……。
「ちょ、ちょっと待てシズ! その物騒な武器は何だ? 確か見た事あるぞソレ、確か<オーバード・ウェポン>の
<ヒュージ・キャノン>だったような…何でシズが持っている? いやそれより危ないよソレは! それは危ない!」
え?
「ユニット…接続完了……」
「シ、シズ、シズ!? それは本当に洒落にならない代物だから! ねえ聞いてる!?」
「ロックオン完了…」
「シズ!?」
「シズ・デルタ……目標を狙い撃つ…!」
「「!?」」
マジかシズ! ヒュージキャノンはダメだ! こんな最高位天使(笑)にそんなの使っちゃだめだ!!
あ~これどうしよう。
このままシズにやらせるか…いやでもここからで一丁決めてやりたいし…う~ん。
しかしシズが撃ったヒュージキャノンの弾頭は威光の主天使に真っすぐ向っていく。
よしなら……。
「量子化…」
「おい! あの化け物はどこ行った!?」
「わ、わかりません! あ! あれを!」
俺は量子化を使い、威光の主天使の後ろに回り込む。
そして俺は威光の主天使の翼を掴み、迫ってくる弾頭めがけて投げ飛ばした。
そして俺が取った選択肢は……。
「吹き飛ぶが良い!…デストラクション……」
俺はシュバルツ・カノーネ・ギガにエネルギーをフルチャージ。
「オーバ・キャノン!!」
発射された光弾はそのまま威光の主天使に向っていく。
そしてシズが撃ったヒュージキャノンの弾頭と威光の主天使を挟み込む形でぶつかった。
そう俺が取った選択肢は……。
【合 体 技】だ……!!
「あ……あ、天使が…天使がぁ!」
尻餅を付き、なんか失禁をした隊員が前を指差しながらなんか叫んでいる。
まあ切り札だった最高位天使(笑)が塵一つ残さず消滅していたならそうなるか……。
さ~て。
「全く…手こずらせおって」
俺は隊長の目の前に着陸しゆっくりと近づいていく。
「く、来るなぁ!…こ、こ、この魔神がぁ!!」
「は?」
誰が魔神だよ? 誰がマジンガーだよ?
神は神でも俺は機械神だよ!
一応なんかされないようにこの隊長を人質に取ろう。
「妙な真似はするなよ? こいつの首を握りつぶすぞ?」
俺の言葉に部下たちはおとなしく従ってくれた。
うんうん、楽で助かる。
「全く…さっきから聞いてれば俺をゴーレムだゴーレムだって呼びやがって、挙句の果てには魔神だ?」
「いいか?俺は別に『鉄の城』でも『偉大な勇者』でも『魔神皇帝』でも『髑髏の魔神』でも…」
あ、でも「髑髏の魔神」はいるか、後ろに。
俺は後ろにいるモモンガの方を振り向き、じー、と見る。
「……」
「……どうした?」
「まあアインズは「髑髏の魔神」だが……」
「え?」
「俺は貴様らが言う魔神なのではない。勘違いしているようだから教えてやる。俺はな……」
機械神<デウス=エクス=マキナ>だよ………。
「機械神? な、なら貴方は神の一人なのでしょうか?」
すごく怯えた目で見てくる隊長。
……やっぱり機械神はいないのかな?
「なんだ? 神を信仰している国だと聞いたのに、機械神の伝承は無いのか?」
「知らない……! そんな神がいるなんて、私は知らないっ……!」
……どうやら本当にいないらしいな。
ま、村長の話じゃ機械種のモンスターなんか見たことも聞いたこともないって言ってたからな。
「な、なら何故…貴方は六大神ではなく、あんな奴らに従っているのです? あんな邪悪な奴らに……」
「あ?」
ちょっとムカついたので絞める力を強める。
すると「が……ぐ……」と言いながらジタバタともがく。
「いいか? 貴様らが信仰している神がどんな神かは知らん、だがな俺の目の前で……俺の友と仲間を侮辱するな…!」
「も、申し訳……!」
すると突如空間が割れ、それは瞬く間に元に戻った。
俺はモモンガさんの方を向いた。
「どうしたアインズ?」
「………どうやら、お前達を監視していた者が居たようだが、私の対情報系魔法が起動したようだ。それとマシンナー、そろそろそいつを離してやれ」
「イエス・サー」
俺はそいつを離してやる、離してもらった隊長はなんかはぁはぁ言っている…なんかキモい。
「……マシンナー(良かった、いつも通りだ)、ではお遊びはここまでといこうか?」
あれ? なんかホッとしてるぞ? もしかして本気で怒ったって勘違いしてるのか?
大丈夫、怒ってない、怒ってないから……!
「ちょ、ま、待ってほしい! アインズ・ウール・ゴウン殿……いや様ぁ!! 取引を! 私たち……いえ私だけで構いません!! 命を助けて下さるのならば、望む物を望むだけご用意します!!!」
あーらら、部下見捨てちゃったよコイツ。部下の皆さん絶望しきった顔しているじゃんか…。
(どうします?)
(取りあえず情報が必要なので捕虜にしちゃいましょう)
(了解です)
「……アルティマ、あの馬鹿共に説明してやれ」
「はっ!……貴様は至高の御二人の慈悲深きご提案を自ら拒否しておきながら無様に命乞いをしているのだけれど、そのような事が許されると思っているのか?」
「そ、それは! 大変申し訳なく……」
「それに貴様らは、既に4つの罪を犯している。一つ目は至高の御二人のご提案を拒否したこと。二つ目は至高の御二人に対する無礼極まりない暴言の数々。三つめは我が創造主マシンナー様に手を上げたこと。そして四つ目はマシンナー様を不快にさせた事だ。覚悟しろゴミ屑共、死ぬことの方が一億倍もマシだというくらいの苦しみを与えてやる……!」
大丈夫だよアルティマ俺そんなに怒ってないから、怒ってないからね?
「アルティマの言う通りよ。至高の御二人に死ねと言われれば、下等生物である貴方達は喜んで跪き、命を奪われる時を感謝しながら待つべきだったの…」
モモンガさんは嫉妬マスクを外して素顔(骸骨)を晒す。
「確かこうだったな?「無駄な足掻きを止め、そこで大人しく横になれ。せめてもの情けだ」……後は、何といったかな? なあマシンナー?」
「ああ、「苦痛無く殺してやる」だったな……だがこの部分を変えるか……」
そしてスレイン法国の特殊部隊、陽光聖典全員が恐怖で悲鳴を上げた。
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あの後俺たちはスレイン法国の奴らをナザリック送りにした。
多分明日からニューロニストがヒャッハーしまくるだろうな……。
まあ取りあえず戦士長の容態を見るために、一旦村に帰ることにした。
戦士長達の様子を見に行ったのだが、体はボロボロでも眼は力強く輝いている。
うんうん、生きてなんぼだしな。
そしてモモンガさんと少し話をした後、俺の方を見てこう言った。
「ありがとう、マシンナー殿、貴殿がくれたこの刀のおかげで助かった」
「構わんさ、俺は戦士長のような人間は嫌いじゃない」
俺の言葉に戦士長は笑い、別れの言葉を口にしてくれた。「また会おう」、と言っていた。
出来れば次会う時は敵として会いたくないな……。
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「申し訳…ありません…でした…」
あの後、ナザリックに戻り、アルティマとシズとアルべドに褒美をやろうと考え、玉座に呼んだのだがアルべドがシズの命令不服従に対する協議が始まった。
「シズ、貴女の行動は間違っていない。でもアインズ様の御命令を無視するのはプレアデスとして、許されるものではないわ」
「……どんな処分も…甘んじて…受けます」
「良い、良くやってくれたなシズ」
なんだか重苦しい雰囲気になっていたので俺はその雰囲気をデストロイしにかかる。
現場の判断ってのは大事だし、何よりシズを処分させるわけにはいかない。
「ですが、マシンナー様……」
「良いのだアルベド。シズとて悪気があった訳ではあるまい。シズの罪を私は許す」
モモンガさんのこの一言で全ては片付いた。俺とモモンガさんは顔を見合わせると示し合わせたかの様に頷く。
「それにだ、シズ、俺の為にヒュージキャノンを撃ったんだろ?」
「……はい」
「……なら俺からも何も言わない、ありがとうシズ」
ナデナデ…
「……」
(……マシンナーさん?)
(………“あ”)
しまった!無意識にシズの頭撫でていた! 急いで俺は手を引っ込める。
「す…すまん」
「い…え」
やばいよやばいよ、凄い気まずいよ! しかもモモンガさんとアルティマとアルべドにも見られちゃったし!!
「おほん……では此度の件で厚い忠誠を示した三人には褒美がある。アルベドは私から、アルティマとシズにはマシンナーから褒美を渡す」
アルベドはモモンガさんから褒美を手渡され、身体を小刻みに震わせている。表情や佇まいに特に変わった様子は無い。今の所は……。
一方アルティマとシズは俺の前まで来ると深々とお辞儀した。そして、顔を戻すと、俺は二人の褒美を渡した。
「ガ…ガーベラ・ストレート…!」
アルティマに渡された刀は神器級にあたる武器だった。
その切れ味は数ある刀の中でも上位に入る程であり、入手方法もかなり難しい武器だった。
「それをお前に授ける、俺とモモンガさんの為にその力をこれからも振るってほしい……」
「は……はい! 生涯、アルの宝にします!」
そしてアルティマは背中に紐でガーベラ・ストレートを結び付けた。
なんか昔あった刀剣乱舞の蛍丸ってキャラみたいになったな…。
「シズにはこれを」
俺はズン、と巨大なボックスを取り出した。
「これ…は?」
「少し待っててくれ、パスワードを入力する」
俺はボックスにあるパスワード入力の為のキーボードに『CZ2128DELTA』と入力した。
ガシュン、とボックスが展開し。中からパワードスーツが出てきた。
両肩には巨大なキャノン砲とミサイルポッドが搭載しており、腕は太く、拳は殴れば岩くらい簡単に粉砕しそうな程頑丈そうだ。背部には大型のスラスターがあり、両足にはホバー用の装置とミサイルポッドが装備されている。
身体の中心には人が装着するスペースがある。
「多目的戦闘用強化外骨格NZ-CZ2128ジャガーノート、俺の最高傑作の一つだ……」
「…え?」
「こいつは近距離・中距離・遠距離用の武装がふんだんに内蔵されていてな、単純な火力ならこれ一つで一個師団を殲滅させる事ができる。装甲も頑丈だし、防御用の電磁シールドも装備されている。機動力も十分高い装備だ」
そしてシズ用に開発したパワードスーツである。
あと、自律AI機能も付いてるから、ジャガーノート単体で動かすこともできる。
「これを明日試運転しようと思う。マニュアルを渡しておく」
そして俺はシズにマニュアルを渡した。
「あ……ありが…ありが…とう…ございままま…」
「え?」
あれなんか煙出てないか?
嫌な予感が……。
ボッ!!
「え!」
「ぷしゅー……」
アイエエエエエエエ!?シズがショートしたー!?
「お、おいシズ大丈夫か!? おいアルティマ、すぐにリペアキットだ! あ、でもオーバーヒートの可能性も…!」
「「「マシンナー(様)!」」」
この後俺が落ち着くのに15分くらいかかったらしい………………。
…………………………死にたい。
マシンナーからもらったジャガーノートの外見は、忍殺のモーターツヨシやガンダム0083のデンドロビウム等を参考にしております。