シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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マシンナー、ハッチャけるの巻。




第18話 機械神、殺戮す

黒い「それ」が仲間を切り飛ばしたのが殺戮の合図だった。

「それ」の瞳がこちらに狙いをつけたように睨みつける。

 

「悪いが貴様らが気に食わんのでな、死んでもらう」

 

その言葉が合図だった。

 

 

 

 

「な、なんだこいつは!」

「ゴーレム!?」

 

さっきの奴等にも言われたが、誰がゴーレムだよ?

そりゃ機械系のモンスターにはマシン・ゴーレムってのがいるけどさ。

 

序盤から相手をビビらせる為に数人まとめて叩っ斬ったが、どうやら成功したようだ。

俺は斬艦刀を地面に突き刺し、拳を合わせて火花を散らす。

モモンガさんに頼んで死の騎士を待機状態にさせ、機械の戦士も俺の命令で待機状態にさせる。

 

「く、くそったれがぁ!」

 

前にいる騎士が斬りかかってきた。

その騎士が勇敢なのか無謀なのかと問われれば、間違いなく後者だな。

あの顔はどう見てもヤケになっている顔だ。

じゃあ一発「軽く」殴って落ち着かせるか。

俺はボクシングでいう左ジャブの要領でそいつの顔に向って殴る。

 

――――ブゥン!! ゴシャ!!

 

モロに入ったそいつの顔は、まるでザクロのようになっていた…。

脆過ぎだなおい、ちゃんとカルシウム取ってる?

おっとさっき俺を「ゴーレム」呼ばわりした阿呆どもを片付けるか。

俺はアイテムボックスから二振りの大斧〈マシン・トマホーク〉を持つ。

斧の刃は赤く光っており、騎士たちの甲冑を軽く両断できそうである。

 

「〈トマホーク・ブーメラン〉!」

「げっ…!!」

「がぁっ…!!」

 

俺は失言した奴らに向って投擲する。

結果は頭を切り裂いて死亡。上半身と下半身を両断されて死亡である。

その後投擲したトマホークがこっちに戻ってきたのでそれを掴んだ。

 

「ひぃいいぃぃぃいいい!!!」

「敵だ!! コイツも敵だぁ!!!」

 

うるせえ奴らだとっとと排除…、いやまてどうせだからこいつらに色々と聞いておこう。

情報は大事だしな。

俺は両腕のロケット・パンチで二人を拘束し、目の前に引き寄せる。

 

「お前たちはどこの所属だ?」

「わ、我々はバハルス帝国の者だ…」

 

バハルス帝国ね…、一応嘘をついてないか確認の為腕の握力を強める。

 

「がぁあぁあ!!! ち、違います!! 我々はスレイン法国の者ですぅ!!!」

「馬鹿野郎! なんてことを!!」

 

どうやらこいつらはスレイン法国とかいう国のものらしい。

ならこいつらがやっているのはその国に濡れ衣を着せるための「偽装工作」って事か。

気に入らねえな、だが殺す前に聞くことがあるな。

 

「ここら辺の村を襲ったのも貴様らか?」

「そ、そうです!!」

 

予想通りこいつらの仕業だったらしいな。

ならこいつらにすることはただ一つ。

 

「そうか……ありがとう」

「し、喋ったでしょう…? だから助け……」

「死ね」

 

―――――ズドン!!

―――――ズドン!!

―――――ズドン!!

 

両腕の隠し武器である「パイル・バンカー」を使い拘束している騎士一人ずつ三発お見舞いした。

 

「神よ、あぁ神よ……どうか我等を御守り下さい」

 

ん? なに言ってんだこいつ?

周りを見てみると、他の騎士たちも「神よ」「神よ」と言っている。

散々殺し回っておいて、神様どうかお助けください?

ふざけやがって……。

 

俺は怒りからか全身から煙を排出する、なら俺が「死神達」からの御言葉を聞かせてやるよ。

 

「もういい、言葉など既に意味をなさない」

 

そして突き刺していた斬艦刀を持ち上げ、騎士たちに向って突き出す。

 

「恐れるな。死ぬ時間が来ただけだ……!」

 

「「「——————!!」」」

 

俺は背中のスラスターを噴射させ、残りの騎士たちに突撃する。

 

「貴様らぁ! あれを抑えよ!」

 

なんか叫んでるやつがいるぞ、あいつが隊長か?

なら最初につぶしとくか。

俺はあいつの方角に飛んでいく。

 

「お前ら! お、俺はこんな所で死んで良い人間じゃない! 時間を稼げ!! 俺の盾になれぇ!!」

 

うわ、こいつ屑だわ…。こんな奴の部下になっていた奴らは苦労したろうな、まあ関係ないけど。

俺はそいつの目の前に着地し右手を鰐の顎の形状の武器<クロコダイル>に変形させ、そいつの身体を挟み込んだ。

 

「あひゃぁああ!! お前ら! 俺を助けろぉ!! お、お前! この村人共に雇われたんだろ?

なら金をやる! 200金貨!

いや、500金貨だ!」

 

おいおいこいつ、救いようが無さすぎだろ……。

というか金で助かろうというのが気に食わん。

なら俺から簡単な要求を出してやる。

 

「なら、あるものをくれたら助けてやる」

「な、なんだ! 言ってみろ!」

 

そんなの決まっているだろう?

 

「お前の命だ」

「え?」

 

俺は〈クロコダイル〉の顎の部分からチェーンソーを展開させ、作動させた。

 

—————ギュィィィイイイン!!

 

「や、やめろ! やめてください!! お金! 払える限り、払いますから!! おねがい……」

 

〈クロコダイル〉の顎の力を強くさせそいつを「処刑」する。

 

「いぎゃおぎゃぎゃぎゃねおぎゃぎゃぎゃねおぎゃぎゃかねねあげまぁぁぁじゅう!!!」

 

やかましく断末魔の悲鳴をあげながらそいつは死んだ。

 

「いやだ…死にたくない!!!」

「助けて、助けてください神よ!!!」

「―――落ち着け、撤退だ!! 急げ!」

 

おっと他の騎士たちをまとめているやつがいるな。

どうやらさっきの隊長よかましな人間だな。

 

「俺が時間を稼ぐ!! お前らは先へ行け!!!」

 

そう叫んで俺に斬りかかってきた。

 

「いい台詞だ」

 

俺は剣を掴んでへし折り。

 

「感動的だな」

 

斬艦刀を両手で大上段に振り上げ。

 

「……だが無意味だ」

 

思いっきり振り下ろす。

 

――――ズォン!!!

 

そいつの死体は、斬られたような潰されたようになっていた。

やだ俺の腕力強すぎ……!?

 

そこへ聞き覚えのある人物の声が聞こえる。

 

「そこまでだマシンナーよ」

 

お、ようやくお出ましか。

 

「遅かったじゃないか……」

 

俺はモモンガさん改めアインズさんの方を向いたが、アインズさんの格好に唖然とした。

 

(え?何で嫉妬マスクかぶってんの?)

 

クリスマスイブに一定時間ユグドラシルにいると、問答無用で手に入ってしまう、通称嫉妬マスク。

クリスマスの時にログインしているプレイヤーに強制的に配信されるアイテムで某大型掲示板から「運営狂ったか」と書き込まれるほど。

俺も一応持っており、貰った時は「いいもん! 俺にはシズがいるもん!!」といったら「あの人」に半殺しにされた思い出がある。

 

「はじめまして、諸君。私の名はアインズ・ウール・ゴウンという」

 

しかし、さっきの事もあるのか、特に反応しない。

 

「投降すれば命は保証しよう。まだ戦いたいというのであれば話は別だが…」

 

その言葉にすぐさま剣が投げ捨てられる。立っている騎士達全員が剣を捨てるのにかかった時間は一秒にも満たなかった。

 

「……よほどお疲れのご様子。だが死の騎士の主人である私と機械の戦士の主人であり、私の友であるマシンナーを前に頭が高いな」

 

その言葉に騎士達は黙して跪き頭をたれる。

 

「……諸君等には生きて帰ってもらう。 諸君らの上司…飼い主に伝えろ」

「この辺りで騒ぎを起こすな。騒ぐようなら『私に心臓を潰されるか、我が友に挽肉にされるか好きな方を選べ』と伝えろ」

 

モモンガさんの言葉に騎士は震える体で頭を何度も上下に動かす。

張り子の虎みたいだな。

 

「確実に主人に伝えろ。行け」

 

その言葉を最後に、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

その後は死の騎士と機械の戦士に自身が殺してゾンビ化させた連中と俺が殺した連中の後片付けを命じ、村人から情報を貰おうとする前にモモンガさんから声を掛けられる。

 

「そういえばマシンナーさん大丈夫ですか?」

「? なにがですか?」

「いや、俺は仮面を被っているから大丈夫ですけどマシンナーさんはほら…」

「あ~…」

 

そういえばいつもの姿で行ったんだよな~。

しかもゴーレム扱いするし。

 

「あ~…なら「元は人間だったが不幸な事故で瀕死になって、アインズさんの手で脳味噌以外は機械の身体に作り変えられた」って設定で」

「なんか俺悪役みたいな感じなんですけど」

「大丈夫です、どっからどう見ても魔王ですし」

 

その後<火球/ファイアボール>が飛んできたのは言うまでもない。

 

 

 

 

(バハルス帝国、スレイン法国、リ・エスティーゼ王国か…)

(全部初めて聞く国ですね)

 

その後、俺はモモンガさんと共に村長夫妻から報酬としての情報収集が終わり、村長の家から出た。

 

(予想してましたが機械種のモンスターはいないらしいっすね)

(ええ、マシンナーさんについての紹介をすると、目を瞠ってましたしね)

 

さっきの騎士たちの反応を見ると、機械種のモンスターは一切見たことないらしい。

そうなると俺の存在はこの世界だとオーバーテクノロジーというわけになる。

 

(で、取りあえずこの後は村人達の葬儀に立ち寄った後に帰って整理しましょう)

(そうですね、んじゃ行きますか…)

 

騎士達に殺された者達の埋葬が終わり、俺達は村人達から少し離れた所で葬儀に参加している。

皆が皆、悲痛な面持ちで死者を悼んでおり、その中には先程俺達が助けた「エンリとネム」の姿もあった。

 

モモンガさんと俺も蘇生アイテムを持ってはいるが、さすがに使う気は無い。

理由としては単純に「面倒事に巻き込まれたくない」という事でだ。

 

「さてこれからどうするか…」

「取りあえず、したいことはしましたし、帰りましょうか」

「そうですね、ん?」

 

この後の事について話し合っていた俺とモモンガさんの前に、アルティマとアルベドとシズの他にナザリックで待機している筈のローグがいた。

しかも後ろにはLV80の機械種モンスター「レッドショルダー」が数体控えていた。

 

(マシンナーさん、これは?)

(多分アルティマが言っていた後詰めの部隊でしょう)

 

ここにいる理由を聞く為に俺はローグに話しかける。

 

「アルティマ、どうした?」

「は!ローグがアインズ様とマシンナー様に急ぎ報告したい事があると」

「どうしたのだローグ何故ここに?」

「はっ! アルティマの命令により、私以下50名の兵を連れてモモンガ様とマシンナー様の護衛をするために同じく護衛を任された八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジアサシン)と共に馳せ参じました」

 

不可視化が行える八肢刀の暗殺蟲を後詰めの部隊として選抜するなんて流石モモンガさん。

 

「わかった、それで報告とは?」

「は、先程この村の上空で監視しているソニック・スレイヤーから報告で先程の騎士とは違う騎兵がこの村に近づいて来ているとの報告を受けました」

「なに?」

「また面倒事か…」

 

ローグの報告に俺は舌打ちをするのを我慢する。

モモンガさんもそれは同じで苛立ちを顕にしていた。

 

「それでソニックは?」

「は、現在<ステルス>で姿を隠し、部下を連れて追跡を開始しています。ご命令とあれば即座に爆撃を行う事も可能とおっしゃっております」

(どうしますモモンガさん?)

(そうですね、まだ敵かどうかもわかりませんので泳がせましょう)

「(了解です)いやそのまま泳がせておけ。だが念には念を入れて、他のシモベ達が攻撃を何時でも出来る状態にさせておけ」

「は!」

 

村長にその話をするために村長のところに向うが、村長も俺達を見つけて近づいてきた。

どうやら村人も騎兵を見たらしい。

 

「分かりました。我々の力、今回は特別にただでお貸ししましょう」

「おぉ……ありがとうございます!」

「なら村の代表として村長は俺達と共に来てほしい。安心してくれ、村長の身は必ず守る」

 

その言葉に村長さんはまだ震えていたものの、しっかりと返事をした。

怖い思いさせてごめんよ村長。

 

 

 

 

俺とモモンガさんと村長の他にアルティマ、シズ、アルべドと死の騎士と機械の戦士が後ろに控えている。

 

現れたのはそれぞれの装備がバラバラの傭兵のような騎兵だった。

俺は自分の眼のカメラを拡大させそれを見た後に自分の警戒レベルを上げる。

一人一人の武装は統一性がなく、自分たちが使いやすいように武器を改造されてある。

それを見た俺はこいつらがベテランの戦士集団だと察した。

 

「アインズ、先制攻撃を仕掛けていいか?」

「え?」

 

俺は即座に自分の身体を砲撃特化の身体である<へカトンケイル>に変形させる。

全身のありとあらゆる火器を騎兵たちに向ける。

 

「一斉発…」

「ちょ! ちょ待て! 待って待てぃ! 気が早すぎるぞ! マシンナーよ! 落ち着け! 取りあえず落ち着け!」

 

アインズは慌ててマシンナーを制止し、開幕一斉発射を阻止した。此方から敵対行為をしてしまう事は避けたかったのだ。

流石のマシンナーも軽率だと思ったのか武器を下ろし、通常形態に戻る。

その中から馬に乗ったまま一人の戦士が進み出た。

 

「私はリ・エスティーゼ王国、王国戦士長ガセフ・ストロノーフだ」

 

 

 

 

 

 




パイルとトマホーク・ブーメラン炸裂!

前回の投稿でシズの装備の事書くの忘れてました。

シズの装備の外観はメイド服にメタルギアソリッドのバトルドレス装備をつけたような感じになっております。
急襲突撃メイドなので、それ用の装備もあるんじゃないかと妄想したのがきっかけです。

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