シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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第14話 マーレにお詫びと周辺調査

「あれは…」

「どうしたモモンガさん?」

 

モモンガさんが不意に下を向いたので、俺もその方向を向くと地形改造中のマーレが居た。

偽装工作頑張ってんなー…あ、闘技場滅茶苦茶にしたの謝んないと…。

 

「モモンガさん、闘技場の件でマーレに謝罪に行ってきていいか?」

「もちろんですよ、丁度私も陣中見舞いに行こうと思っていましたから…」

「詫びの品に何がいいと思う? やはり菓子折りか?」

「ふむ…そうだな、私も何が褒美として何がいいか…デミウルゴス、アルティマ何がいいと思う?」

「モモンガ様がお声をかけられるだけで十分かと…」

「アルもそう思います」

「うむ…」

 

NPCの忠誠心を見れば確かにそれだけで十分だろう。でもあっちが誠意を見せれば、こっちも誠意を見せないといけない。

ん~何がいいかな。

 

そう考えているとモモンガさんはマーレの所に向かって行くのを見て、俺たちもそれを追うようにマーレのもとに降りていった。

マーレがこっちに気付いたのかこっちに向かって走ってくる。

 

「モモンガ様! マシンナー様! どうしてこちらに? 僕何か失敗でも…」

「違うともマーレ…」

 

まあいきなり組織のトップ二人がアポなしで来ればそうなるよね。

でも別に叱る気は全くないのよ? 寧ろ褒めに来たのよ。

 

「ナザリックの発見を未然に阻止するお前の仕事は最も重要な物だ…」

「はい!」

「私がどれだけ満足しているか知ってほしい…」

「はい、モモンガ様」

「よし、ではこれを…」

 

そういうとモモンガさんが手の平から一つの指輪を出した。

おろ?それは確か…。

 

「り! リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン!!」

 

その効果は「ナザリック内のほぼ全ての名前が付いている部屋に回数無制限で自在に転移できる」というもの。

部屋から部屋への転移はもちろん、外から一気に内部への転移もできる。

特定箇所間以外での転移魔法を阻害しているナザリックでは、ギルメンにとってはこれほど便利な指輪は無い。

 

「これは至高の方々しか所持されるのを許されない物! 受け取れるはずが…」

「冷静になるのだマーレ」

「そうだ、落ち着け」

 

この転移した世界ではNPC達は命が宿り、意思を持って動いている。

ならこれからの仕事の効率や防衛上の必要性から守護者達に渡した方がいいと思う。

そういう配慮を思いつくとは流石モモンガさん。

現実世界で本当にただのサラリーマンだったんだろうか?

 

「さあこれを着け、ナザリックの為に貢献せよ」

「は、はい…」

 

マーレはおそるおそる指輪へと手を近づき自分の薬指にはめた。

ん? なんで薬指にはめてんの? 君男だろ? 男の娘とはいえ男だろ?

モモンガさんもなんか言えよ?

 

(ちょっとモモンガさん、マーレ薬指にはめてますよ?)

(え? いや大丈夫ですよ、マーレに深い意味はないですって…)

(いやいや大昔には小姓というのがいてですね…まあいいや)

「マーレ、俺からも渡すものがある」

「え?なんですかマシンナー様?」

「まあ…モモンガさんが渡した指輪のような凄いものではないが」

 

俺は手のひらからお菓子を少し出し、それをマーレに差し出した。

 

「えっ」

「少なくて悪いが、詫びの品だ」

「え? お詫びってなんですかマシンナー様?」

「模擬戦の時闘技場にでかいクレーター作ってしまったろ?

悪かったな、中々加減が利かないものでな」

「い、いえそんなお詫びだなんて!」

「これは褒美も兼ねての物だ、貰ってくれ」

「い、いいんですか!?」

 

素直に貰ってくれるか心配だったが、喜んでくれたようだ。

オッドアイをきらきらと輝かせてお礼を言われた。

 

「ありがとうございます! マシンナー様!」

 

この後、アルべドが来てマーレの指輪を見て嫉妬の炎を燃え上がらせているのに軽く引いてしまった俺はモモンガさんにはやく指輪を渡すようにメッセージを飛ばしたのはまた別のお話。

 

 

 

 

「蹂躙された村か……」

 

あの後から一日経った後、身体の整備を終わらせた後に周辺の調査をしていた二グレドからメッセージが来た。

どうやら調査の途中に何者かに襲撃され、蹂躙された村を見つけたらしい。

どうもナザリックからかなり離れているらしく、襲撃者まではわからないらしい。

 

(さてどうするか……)

 

二グレドからはその村の周辺には誰もいないらしく、いたとしてもこちらには無害な野生動物くらいらしい。

ならば、と思い俺はモモンガさんにメッセージをとばす。

 

《モモンガさん、これからその村に行って調査しようと思っているんですが、よろしいですか?》

《構いませんけど、一人で行くとか言わないですよね?》

 

流石にそんな軽率な真似はしない、この世界の生物がどれぐらい強いかもわからないしな。

 

《護衛としてアルティマとシズを連れていきます。シズにはもし敵が襲撃してきた時の撤退の援護を任せようと思います》

《わかりました、念のためセバスも連れていってくださいね?》

《了解です》

 

 

 

 

「お待たせ致しました」

 

セバスがシズを伴って俺の部屋に入ってくる。

一緒に来たシズはメイドとして隙の無い動きでセバスと合わせて一礼してくる。

 

先程俺の武器を興味深そうに見ていた時とは違い、完全な仕事モードに切り替わっていた。

ならこっちも上位者として振る舞わないとな。

 

「よく来てくれたなセバス」

「はっ!」

 

そしてアルティマとローグも到着する。

 

「遅れて申し訳ございません」

 

アルティマは深々と一礼し、ローグはジャキっと敬礼をしたので俺も敬礼で返した。

 

「アルティマもよく来た、ではこれからやることを話す」

「これから二グレドによって発見された村の調査に入る。二グレドの情報によると人間種のみの村なんだが、何者かに襲撃されたらしい。襲撃者の方は発見できなかった。周辺にも危険な生物はいないらしいが、もしこちらに襲い掛かってくる者がいたら、即座にナザリックに帰還しろ。今のところ確認されているのは人間種の姿のみなので、異形種を嫌悪するものがいるかもしれない。だから外見が人間に完全に擬態しているもので編成した。よって俺も人間態になる」

 

そう言ってマシンナーは機械の身体から人間の姿になる。

黒髪の背の高い青年の姿となった。

衣装は上から黒いコートと黒い長ズボン、黒い手袋をしている。

 

(人間態の姿がこんな所で役に立つとは思っていなかったな…)

 

マシンナーが人間態を作ったのは20世紀のあるSF映画の影響だ。

その映画に出てくる人間に擬態したロボットを見た当時のマシンナーは凄まじい衝撃を受けた。

そのため、ユグドラシルでは外装は機械種だけでなく、人間の外装も作ったのだ。

アインズ・ウール・ゴウンに入ってからは、ログアウトするときに時々「I'll be back」といってログアウトすることもあった。

 

因みに元ネタを知らないメンバーは毎回頭に?マークが浮かんでいたという。

 

 


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