シズ・デルタに恋をしたナザリックの機動兵器   作:t-eureca

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バレンタインデーでチョコを貰っているリア充を見ると縮退砲とイデオンガンをぶっぱなしたくなるのは俺だけだろうか?


第13話 楽しいメンテナンスと夜空での会話

「整備の…補助?」

 

頭に?マークが出てそうにシズは首を傾げる。まあそう思うのも無理もないか。

 

「そうだ。無論俺一人でも出来る事なんだが…」

 

うんごめん、本職の整備士の俺でもこんな複雑な構造だと流石に苦労する。

だから丁度いい時に自動人形のシズが来てくれたので補助を頼む事にしたのだ。

いやまあ、アルティマ達もいるけど、あいつらも仕事があるから邪魔するわけにはいかない。

「種族が機械神なのに自分の身体の整備も出来ないとかwww」思われたくない。

ましてやシズにそう思われるとか、絶望のあまり俺は自爆してしまうだろう。

という事で俺は尤もな嘘をつくことにした。

 

「一人よりも二人でやる方が効率が良い、それに一人だと見落としてしまう事もあるが二人なら大丈夫だろう?」

 

実際に整備の作業は複数でやったほうが速いし、一人が見落としてしまった所も複数人ならカバーできる。

それにシズに助言してもらいながら整備するのも悪くない。

 

「仰る…通り……です」

 

良かった、納得してもらったよ。

でもなんかちょっと困惑してるような顔をしている。

あ~もしかしたら、上司の身体に触れるのに戸惑ってるのかもしれない。

今までのNPCの高すぎる忠誠心を見ればそういう考えもあり得る。

俺としては普通に会話をして距離を縮めたいんだけどな……。

 

「うむ。何せこの前までは敵と戦ってたのでな、そろそろメンテナンスをしなければならない。それにこの世界は我々にとっても未知の世界だ。もしもこちらに敵対する勢力がいれば万全の状態で臨まなければならない。だからプレアデスであり、同じ機械種であるシズに補助を頼みたいんだ」

「……」

 

相変わらず無表情のままだったが、元々不思議系キャラとして設定されてたからそこは気にしないし、俺が好きになった所の一つだ。

 

「……わかり…ました、全力でマシンナー様の身体を完全な状態にしてみせる…」

「ああ頼む、ならまず最初にこの腕なんだが……」

 

そうやって分解しかけていた腕をシズの方に向け、構造と整備の仕方を聞くことにした。

 

「この腕の構造と配線なんだが…」

「これは…」

 

説明を受けて、俺は腕に工具を入れる。

なるほど、こういう構造だったか、思ったより難しくない。

 

「すまないシズ、右手首を押さえてくれないか?」

「…はい」

 

結構きつく締まっているボルトがあったので少し力を入れて外すため、右手が動かないようにするためシズに押さえてもらう事にした。

 

(手に温もりが...)

「マシンナー……様、何時でも大丈夫...です」

「ん? あっ、すまない」

 

シズの手の温もりに一瞬気が緩んでしまうが、俺はすぐに作業モードに切り替えた。

 

「右手は終わったな」

「...オールグリーン、異常無し……」

「次はここだが」

「そこは……」

 

 

 

 

シズから各パーツの構造と整備の仕方を聞いていく。

聞いていくにつれて、そこまで難しい内容ではなかった。

俺はシズの言葉通りに作業していく。

そうしながら作業は順調に進んでいく。

途中何度かシズをチラ見(サブカメラで)していたがバレてないよな?

 

「後はこのネジを締めれば完了だな」

「……」

 

そして俺は最後のねじを締め、確認の為に軽く身体を動かす。

うん、大丈夫だな。

 

「これで完了だな」

「全ての箇所に異常なし…問題なし」

 

そして再び装甲と装備を纏っていつも通りの姿に戻る。

 

「すまないな、手伝わせてしまって」

「いえ…」

 

手伝ってくれたし、なんかお礼しないとな。何がいいだろう? やっぱりガンナーだから銃器がいいかな…。

いや待てよ、確かシズ用に作った「あれ」があったな。丁度いいから、ご褒美としてプレゼントしようかな?

 

「……」

「ん? どうした?」

「!……いえ、なにも」

 

なんだか俺の方を見ていた気がするけど、多分気のせいだろう。しかし気になった俺はシズが見ていた方角を見る。

後ろには俺が集めた銃器類が飾ってあった。

 

(ああ、なるほど…)

 

やっぱりガンナーだから興味があるのかな? 少し尋ねてみよう。

 

「気になるか?」

「………はい」

「銃は好きか?」

「はい…」

「好きな種類とかあるか?」

「ライフル系…」

「そうか、俺はガトリング等の重火器だな。敵を薙ぎ払うのに丁度いい」

「狙撃銃もいい…」

「ふむ、なら…」

 

なら少し触らせてあげよう。同じ趣味を共有できるし、さっきのお礼も兼ねられるし、何よりシズと会話ができるし!

俺は椅子から立ち上がり、銃器の中からハンドレールガンの「YWH16」を取り出し、シズに持っていった。

 

「触ってみるか?」

「…え?」

 

相変わらず無表情だったが、それでも目には動揺の色が出ている。

 

「で、出来ない!…マシンナー様の物を…」

「なに、さっきの礼だ、それに銃は嫌いじゃないんだろう?」

「…はい」

 

少しの間が空き、シズは静かにこくりと頷く。

 

「ほら持ってみろ」

「…」

 

俺はシズにハンドレールガンを手渡す。

最初は少しオロオロしていたが、すぐにいつも通りに戻った。

 

「ハンドレールガンYMH16…」

「またの名を「産廃超電磁砲」だ」

「…産廃?」

「こいつはあるボスが持っていた神話級の武器でそいつを倒さなければ手に入らない武器でな、チャージ式で一応チャージ無しでも撃てるんだが……」

「……?」

「チャージ無しだと下級モンスターも一撃で倒せないというクソみたいな威力でな…」

「うわぁ…」

 

まあそう言うのもわかる。現に実際に試射したところ、下級のゴブリンも倒せなかったので当時の俺も同じ反応をした。

だがまあ一応フォローすべきところもある。

 

「まあフルチャージすれば上級のドラゴンも一撃で殺せる」

「おぉー…」

「でもフルチャージまでの時間が長い。だから産廃超電磁砲っていうあだ名が着いた」

「うわぁ…」

 

フルチャージの下りで一瞬だけシズは目を輝かせたが、すぐに輝きは消えてしまった。

まあ俺も使ったの一回だけだったし。

 

「他に見たいのはあるか?」

「じゃあ…右にあるものを……」

「ああ、これか」

 

俺は飾っている銃器の中で一際長いライフルを持った。

 

「これはロングレンジバスターライフルといってだな…」

 

そのまま俺はシズが気になったと言う銃を解説していった。

 

 

 

 

モモンガはプレアデスのナーベラルを伴って第九階層を歩いていた。

向かっている場所はマシンナーの私室である。

 

「ここだな」

 

歯車とロボットをイメージしたエンブレムが描かれた扉の前で停止する。

後ろに控えているナーベラルが扉を叩き、中にいるプレアデスのシズに来訪を伝える姿を見ていた。

 

「どうぞ…お入りくださいモモンガ様…」

 

扉を開けて出てきたシズがそう言うのを確認すると、モモンガはナーベラルと共に、マシンナーの部屋へと入っていった。

 

扉を開けるとマシンナーが部屋のソファに座っていた。

黄色の眼光をギラリと光らせながらモモンガを待っていた。

 

「おお、一体どうしたモモンガさん?」

「急に来てすまないマシンナーさん、実は個人的な話があって来たんだが…」

「うむ、そうか。すまないシズ、一旦退出してくれ、これからモモンガさんと大事な話がある。後でまた呼ぶ」

「はい…わかりました…」

 

マシンナーの命に従い、シズとナーベラルが退出する。二人が退出するのを見届けたマシンナー達は素の状態で会話を始めた。

 

「マシンナーさん、どうですか身体の調子は?」

「いや~メンテしたら身体が軽くなった感じがしますよ~しかもシズに手伝って貰ったり、お話ししたりで気分上々ですよ」

「ハハハ。よかったですね」

「本当にありがとうございますモモンガさん。今ならモモンガさんに一万回五体投地できですよ」

「ハハハ、大袈裟だなぁ…」

 

絶賛片思い中のシズに癒されているマシンナーを見て、モモンガは少し羨ましさを感じる。

自分にもプレアデスの一人であるナーベラルがいるが、堅苦しく自分に仕えている。

無論それをとやかく言うことはないが、やはり少し苦労してしまう。

 

「で?話ってなんですかモモンガさん?」

「ええ、実は…」

 

 

 

 

「…てわけで気分転換に散歩しようと思って、マシンナーさんもどうかなって…」

「いいですね、俺も行きますよ。でも誰か付いてきそうですよ、そこんとこどうするんですか?」

「変装してお忍びで散歩しようかな~って考えてるんですけど」

「いやいやいや即行でばれると思うんですけど! てか今ナザリックって警戒態勢敷いてるんですよね? NPC達に誤解されて攻撃仕掛けられたらどうするんですか!」

「ばれなきゃ大丈夫ですよ! 多分…」

「えぇぇぇ……」

 

それは流石に軽率すぎると思うんだけど。何とかモモンガさんを止めようとしたが、すでに<上位道具創造>により、目の前に黒い騎士となっているモモンガさんが立っていた。

 

「さ、行きましょう!」

「絶対ばれるって……わかりましたよ。人間形態になるんで待っててください」

 

俺のその言葉と共に身体が光りだす。光が消えるにつれて先程の黒い装甲がなくなり、代わりに人間の皮膚が見えてきた。

光が完全に消えると。俺の身体は身長が190cmくらいありそうな青年の姿となっていた。

身体付きもよく、筋骨隆々で逞しい。顔も渋く、男前で目は黒い。髪も目と同じ黒髪だった。

服は上半身はグレーのTシャツの上に黒いレザースーツを着ており、下も同じ色のレザーのズボンを穿いている。

最後にサングラスを装着した。

 

「毎度毎度思うんですがター◯ネーターみたいな格好ですね」

「カッコいいからいいじゃないですか」

 

そんなやりとりをしながら俺とモモンガさんは部屋を出ていくが…。

 

「マシンナー様! モモンガ様!」

 

扉を開けた瞬間、アルティマが俺達の前に立っており、すぐに跪いた。

開けた瞬間でもう終わっちゃったよ……。

 

(だから即行でばれるって言ったじゃないですか…)

(いやいや、いくらなんでもこれは予想外ですよ!)

「どうしたのだ、アルティマ? 何か用事か?」

「はい!マシンナー様とモモンガ様に機械の楽園周辺巡回の定時報告に来ました!」

「ご苦労、それで異常は?」

「はっ! 異常は全くありませんでした!」

「そうかご苦労だったなアルティマ」

「勿体なき御言葉…それでマシンナー様、モモンガ様、何故いつものお姿ではなくそのお召し物を?」

「あ~…それは…」

「!…成程…そういうことですか…」

((え?))

「正に至高の御方として素晴らしいお考えです。アルは改めて感服致しました…」

 

いやいやいや、特別なんか考えての行動じゃないぞアルティマ。

俺達はただ散歩したいだけなんだけど!

 

(なんか勘違いしてません?)

(元々参謀役として頭脳キャラとして設定したんですけど…何を思ったんだ?)

 

「ですがやはり供を付けずに行くのは少々危険です、どうかアルを護衛として付けてくださいませんか?」」

「……よかろう、付いてこいアルティマ。モモンガさんもいいだろう?」

「ん? ああ勿論だとも、お前も来いアルティマ」

「感謝します…」

 

 

 

 

あの後デミウルゴスにも見つかり、アルティマとデミウルゴスを引き連れてナザリックの外に行き、夜空を見上げている。

モモンガさんが飛行魔法用のネックレスを取り出すのを見て、俺は本来の姿に戻り空に舞い上がった。

俺とモモンガさんが同時に飛んだ後に、アルティマとデミウルゴスも飛んできた。

アルティマは背中から赤い翼を出し、デミウルゴスも変身して羽を広げて飛んでくる。

 

「……すごいな」

「ああ、正に宝石箱だ…」

 

モモンガさんの言葉に俺は同意した。この満天の星を宝石箱と言わず、なんと言えばいいんだろう。

まさしく絶景だ……。

ブルー・プラネットさんにも見せてやりたかった。

 

「……この夜空を見ていると、俺が作っていた物がちっぽけに見えてしまうな…」

 

第六階層の夜空や広大な自然を創り出したブルー・プラネットさん。

俺が作っていたものはこの美しさとかけ離れた、言ってしまえば破壊兵器ばかり作ってたな…。

 

「そんなことはありません、マシンナーさんが作ってきたものも皆凄いものばかりですよ、それにマシンナーさんが作ってきたものにはフェツルム・レギオーや、アルティマ達もいるじゃないですか」

 

その言葉を聞いて俺はアルティマを見る。そうだったな、こいつも俺の作ってきたものの一つであり、最高傑作の一つだ。

 

「…そうだったな、アルティマ達とフェツルム・レギオーが俺の最高傑作だ…」

 

最高傑作と言われたアルティマはその言葉に感極まった表情をしており、それに対してデミウルゴスは羨ましそうにアルティマを見ている。

 

「……だがこの夜空を俺たちだけで独占するのは贅沢だな、もし他の皆が戻ってきたら、皆で分け合いたいものだな」

「なら世界征服でもしてみますか? この世界を手に入れれば、全てのこの宝石箱がナザリックや他の皆とも分け合えますよ?」

「「!?」」

 

モモンガさんの冗談に俺は破顔してしまう。確かに面白そうだが、実際にやってみると長い道のりになりそうだ。

 

「ふふふ…それはおもしろいな。なら世界征服ついでに俺もこの世界でフェツルム・レギオーの名を世界に轟かせてやろう、アルティマ、お前はどう思う?」

「はっ、流石はマシンナー様でございます」

「今の御二人の言葉、私もアルティマもこの胸に刻み付けさせて頂きます……」

「ふふ…そうか」

 

二人の問いに俺は満足気に笑いながら、再び夜空を見上げた。

 




マシンナーの人間態の姿はターミネーターのシュワちゃんのイメージです。

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