流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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スバル
「そういえば、熱斗君のロックマンの呼び方が定まっていない気がするね」

フレイムナイト
「今まで、友達として接してきたからね。 熱斗の中では、まだロックマンと彩斗兄さんの境界があやふやなんだよ」

ウォーロック
『早くその境界が無くなることを願ってるぜ・・・』


第九十話   VS ダークロックマン!!!

「バトルチップ・ロングソード、スロットイン!!」

 熱斗がPETにバトルチップを転送する。

スバルの左腕が細長いソードに姿を変える。

 

「ロングソード!!」

『ホーリー・ダークブレード!!』

 スバルのロングソードとダークロックマンVer.ナイトマジシャンの剣がぶつかり合う。

 

「ウォーロック!」

『ビーストスイング!!』

 スバルの後ろからウォーロックが現れ、ダークロックマンに向かってその爪を振り下ろす。

 

『クッ・・・!』

 ダークロックマンは爪を、剣を持っていない方の手で受け止めようとするが、力負けして横に吹っ飛ばされる。

 

「バトルチップ・ハイキャノン、スロットイン!!」

 そこに追い打ちをかけるように熱斗がバトルチップを転送する。

スバルの腕が青色のキャノンに姿を変える。

 

「ハイキャノン!!」

『甘い!』

 スバルがキャノンを撃つ。 しかしダークロックマンはそれを剣で弾く。

その時、スバルがダークロックマンに向かって駆けだす。

 

「ウォーロックアタック!!」

 スバルは一瞬でダークロックマンの懐に入り込むと、キックで剣を弾き飛ばす。

 

『バトルチップ・ダークドリル!!』

 剣を弾き飛ばされた瞬間、ダークロックマンは右腕を黒いドリルに変え、スバルに向かってドリルを突き出す。

 

「くっ!」

 間一髪、スバルは横に身を傾けてドリルの直撃を避けたが、ドリルはスバルの右肩を掠めた。

 

再び距離を置くスバルとダークロックマン

 

『あんまり長々と戦うつもりは無いからね。 これで終わらせる!』

 ダークロックマンの体がまたも黒い光に包まれる。

 

「また・・・!?」

 

『クロスマジシャン、Ver.スザクマジシャン!!!』

 紫の翼に黒き炎を身に纏ったダークロックマンが現れる。

 

『クソッ! 味方なら心強い能力だが、敵に回ると厄介だぜ!』

 ウォーロックが愚痴る。

 

「何か、何か無いのか? クロスマジシャンの弱点は・・・!?」

 熱斗は必死に頭を働かせる。

 

クロスマジシャンの変身は五つ。 スノーマジシャン,アースマジシャン,ナイトマジシャン,スザクマジシャン,そして・・・

 

その時、熱斗の頭の中で何かが引っ掛かった。

 

『炎の翼!』

「ロックバスター!!」

 炎を纏った羽がスバルに向かって飛ぶ。

スバルはバスターで撃ち落とす。

 

『炎の槍!!』

「熱斗君、バトルチップを!!」

 赤い槍を持って突っ込んで来るダークロックマンに、スバルは熱斗にバトルチップを転送するよう促す。

 

「バトルチップ・エンゲツクナイ、スロットイン!!」

 スバルは転送されたクナイでダークロックマンの槍を受け止める。

 

「でやぁ!!」

 スバルはクナイを一気に振り切り、槍ごとダークロックマンを吹き飛ばす。

吹き飛ばされたダークロックマンは空中で一回転して地面に着地する。

 

「スバル! これ使ったら直ぐに息止めろ!」

「えっ、熱斗君?」

『何やらかす気だ?』

 スバルとウォーロックは熱斗の言葉の意味に首を捻る。

 

「バトルチップ・バクボム、デスマッチ3、ポイズンアヌビス、トリプルスロットイン!!」

 熱斗がバトルチップを転送すると、スバルとダークロックマンの間に紫色のファラオ像が現れる。

 

『なっ! 正気か!?』

「なんか嫌な予感・・・!」

 ダークロックマンとスバルの頬に一筋の汗が伝わる。

 

「プログラムアドバンス!!! ポイズンファラオ!!!」

 次の瞬間、ファラオ像の口から黒い霧が吹きだした。

 

『スバル、毒ガスだ! 絶対息吸うな!!』

「・・・ッ!!」

 ウォーロックの言葉に、スバルは急いで手で口を塞ぐ。

熱斗もダークロックマンも口を塞いで息をしないようにする。

 

『何を考えてるんだ!! ボクやスバルはともかく、生身の人間が少しでもこのガスを吸ったら終わりなんだぞ!!!』

 ダークロックマンが口を塞ぎながらも、熱斗に怒鳴り付ける。

 

(分かってる。 これは"賭け"だ。 この状況を破る為に、お前はきっと"あのクロス・マジシャン"を使うはずだ)

 熱斗はそう考えながら、ダークロックマンを見る。

 

ファラオ像からは、モクモクと黒い霧が吹きだされ、フロア全体に広がろうとする。

 

(熱斗君、本当に何考えてるの!?)

(このままじゃ、全員お陀仏だぞ!)

 スバルとウォーロックは、熱斗が何を考えているか分からず、困惑する。

その時、ダークロックマンの体が黒い光に包まれる。

 

『クロス・マジシャン、Ver.サンシャインマジシャン!!!』

 

 サンシャインマジシャンに変身したダークロックマンは、ファラオ像に向かって手を伸ばす。

 

『パイルドライバー!!』

ファラオ像の周りに、円盤が付いた巨大な装置が現れる。

円盤から極太の光線が放たれ、ファラオ像に浴びせられる。

 

(ダークロックマン、ファラオ像を破壊する気か!?)

(そっか、毒ガスを消すためには、太陽の浄化の力を使うしかないから・・・)

 ウォーロックとスバルがそう考えている間にも、太陽の光を浴びせられたファラオ像はガタガタと揺れ始め、ヒビが入り始めた。

 

そして次の瞬間・・・

 

ガッシャーーン!!

 

ファラオ像は粉々に砕かれた。

 

だが、ファラオ像が噴出した毒ガスはまだ残っている。

 

『ライジングサン!!!』

 ダークロックマンが上空に放った小さな光の球が大きく弾け飛ぶ。 弾け飛んだ光は、毒ガスを包み込むように辺りを照らし、毒ガスを消し去る。

 

『プハッ! し、死ぬかと思った・・・』

「熱斗君、なんでこんな危ない事・・・!」

 

 ドサッ!

 

スバルが言い終わる前に、元の姿に戻ったダークロックマンが膝を付く音が聞こえた。 

ダークロックマンは荒い息をしていて、体に力が入らないらしく、立ち上がれないでいる。

気が付くと周りの空間も、さっきまでの太陽の光は消え、元の暗闇と不気味な光に満たされている。

 

 

「サンシャインマジシャンの所為だ」

 熱斗がダークロックマンに向かって足を進める。

 

『クッ! ボクの体は、もう太陽の力を受け付けない程に闇に染まってしまっていたんだ・・・』

 ダークチップに支配された体は、善のチップを使うことが出来ない。

だが、ダークロックマンはそれにも関わらず、闇を浄化する力・太陽の力のクロス・マジシャンを使ってしまい、体が拒絶反応を起こしてしまったんだ。

 

「クロスマジシャンの弱点・・・それは、」

『使う者との相性によって、力にも毒にもなるって事か・・・』

 スバルの言葉をウォーロックが繋ぐ。

 

「ゴメン・・・これ以外、方法が思いつかなかったんだ」

 ダークロックマンの前でしゃがんだ熱斗が申し訳なさそうに言う。

 

『・・・熱斗君にしては、なかなかの頭脳プレーだったね』

 ダークロックマンは膝を付いたまま、呟くように熱斗に言った。

 

「!? オレにしてはってどうゆう事だよ!?」

 瞬間、熱斗はダークロックマンに噛み付いた。

 

『アハハハハ・・・』

 熱斗の反応にダークロックマンは声を上げて笑った。

それは、熱斗が良く知っているロックマンの笑顔だった・・・。

 

「ロックマン・・・」

『一体何を考えてるんだ?』

 熱斗の言葉を遮り、暗い表情に戻ったダークロックマンが睨みつける。

 

『こんな賭け、失敗する可能性の方が高かったんだ。 なのにどうしてこんなバカな真似したんだ!』

 最後の方を声を荒げて言うダークロックマンに熱斗は静かに話す。

 

「信じてたんだ。 ロックマンならオレ達を助ける為に、絶対サンシャインマジシャンを使うって・・・」

 

『・・・・・・』

 ダークロックマンは何も言わない。 沈黙したまま熱斗の話を聞く。

 

「ロックマン、いや"ダークロックマン"、オレ分かったんだ、お前が何者なのか」

『えっ?』

 

「前に"君がどんなに叫んでも本当のボクの心には届かない"って言ったよな? 

それって、ダークロックマンとして言った事は、本当のお前の気持ちじゃないってことなんじゃないのか?」

 

『ち、違う! ボクは確かに知っているんだ。 光 正がボク達にしたことを! アイツの作ったプログラムの所為でこんなことに・・・』

「そういうこと言ってんじゃない!」

 ダークロックマンの言葉を熱斗の叫びが遮る。

 

「オレが分かったのは、おじいちゃんがした事じゃなくて、お前が"迷っている"って事なんだ!」

 

『!?』

 

「確かに、おじいちゃんがしたことは酷いかもしれない。 でも、どうしてそんな事をしたのか、理由は分かってないんだろ? ロックマンなら、何か理由があったかもしれないって考えたはずだ」

 

『それは・・・!』

 

「人間に戻りたいの? オレに本当の事を話さないままでいいの? 銀色さんの事を自分はどう思っているの? 本当に、本当にオレ達とこんな別れ方していいの!?

ダークロックマン、お前は事実を言うだけで自分の気持ちを話さない。 それは迷っているからじゃないのか? 本当にこれでいいのかって!」

 

『ボ、ボクは・・・』

 

「本当は、こんな事間違っているって分かっているはずだ! ただ、彩斗兄さんの心の痛みにDr.リーガルやガルナが付け込んでいるだけなんだ!」

 

『う、ううう・・・!!』

 

 

「ダークロックマン、お前は憎しみから生まれた存在じゃない。 ロックマンの心の迷いが生み出した、"訴え"だったんだ・・・」

 

 

『訴え・・・事実の先の"真実"を求めるロックマンの心から、ボクは、生まれた?』

 ダークロックマンは自分の手を見つめて呟く。

そんなダークロックマンの両肩を熱斗が掴む。

 

「ロックマン、彩斗兄さん、お願いだよ。 本当の気持ちをオレに教えてくれ・・・!」

 気が付くと、熱斗の頬からは涙が次々と零れ始めていた。

 

『ボクは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おじいちゃんを憎みたくなんかなかった・・・みんなの所に、熱斗達の所へ帰りたい!!!』

 ダークロックマンは・・・ロックマンは絞り出すような声で、熱斗に本当の気持ちを伝えた。


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