流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第八十二話  暗闇の中の敵

___ダークチップファクトリー第五層部___

 

「闇」 この場所を表現するのにそれ以上の表現はない。

もはや明かりと言える物はここには無く、熱斗は暗闇の中を手探りで進んでいた。

 

「ちっくしょー、真っ暗で何も見えないぜ!」

 熱斗は前に進みながらぼやく。

 

「がんばって熱斗君! こうしている間にも、みんなが闘ってくれているんだから!!」

 PETの中からスバルが熱斗を応援する。

 

「そうだな・・・。 よし、とにかく前に進もう!!」

「その意気だよ、熱斗君!」

 

 

 

 

 

『スワロードライブ!!!』

 

「えっ!?」

「熱斗君避けて!!」

 スバルがPETから実体化し、熱斗の腕を掴んで後ろに引っ張る。

その直後、暗闇で何も見えないが、熱斗の立っていた場所から「ドゴォォン!!」と、何かが強くぶつかる音が聞こえてきた。

 

「な、なんだ!?」

『何かが落ちてきた・・・いや、誰かが突っ込んで来やがったんだ!!』

 ウォーロックが音のした方向に『ガルルゥ!』と唸る。

 

『ハハハ! よく気が付いたな! ウォーロック!』

 すると、笑い声と共に男性のような声が聞こえてきた。 スバルは熱斗の前に立つと身構えた。 しかし・・・

 

 

(クッ、どこに居るんだ・・・!?)

 スバルは聴覚のみを頼りに、敵であろう人物を探す。 熱斗やウォーロックも周りをキョロキョロと見渡す。

真っ暗な空間の中、三人には周りの様子が何も見えないのだ。

 

 

『オレがどこにいるか分からなくて、焦っているな』

 スバルの右側から誰かが話しかけてきた。 スバルはとっさに自分の右側に向かってパンチを繰り出す。

だがパンチは空振りし、逆にその腕を相手に掴まれてしまった。

 

 

「は、放せ! 誰なんだお前は!?」

 スバルは、自分の腕を掴んでいる手を振り解こうとしながら問い掛ける。

 

『オレの名はスワローマン! ダークロイドのスワローマンだ!!』

「スワローマン!? 幽霊屋敷で炎山とブルースがやっつけたダークロイドか!?」

 熱斗は炎山から話を聞いていたらしく、スワローマンの名を知っていた。

 

 

『伊集院 炎山、ブルース・・・! 奴らから受けた屈辱は必ず返す! だがそれはお前達を倒してからだ!!』

 そういうとスワローマンはスバルを熱斗に向けて投げ飛ばした。

 

「ウワァ!」

「ス、スバル!」

 熱斗はいきなりの事ながらも、投げ飛ばされて来たスバルをしっかりと受け止める。

 

「大丈夫か、スバル?」

「うん、ありがとう熱斗君」

 スバルは熱斗に礼を言うと辺りを見渡す。 しかし、周りは相変わらず暗い闇が広がっていて何も見えない。

 

 

「クソッ、やっぱり何も見えない!」

『だが、スワローマンはこっちが見えている様に動き回りやがる。あいつにはオレ達が見えるのか?』

 

『フハハ! その通り!』

 暗闇の中からスワローマンの声が聞こえる。

 

『ブルースに倒され、闇の力で復活したオレは暗闇の中を見る能力「暗視鏡(ナイトビジョン)」の能力を得たのさ!!』

 

『チッ! 面倒な能力だぜ!』

 ウォーロックがスワローマンの能力を聞いて舌打ちする。

 

 

『スワローカッター!』

「ぐあぁ!!」

 スバルの脇腹をスワローマンの放った衝撃波が斬り付ける。

 

『まだだ! これで終わりじゃないぞ!!』

 スワローマンがそう言い終わった瞬間、暗闇の中から複数の衝撃波がスバル目掛けて降り注ぐ。

 

「ウワアァァァ!!」

「スバル!」

 熱斗がスバルに向かって叫ぶ。 

 

「・・・ッ、グゥ・・・」

 スバルは呻き声を上げながら地面に膝をついた。

 

『止めだ! スワロードライブ!!!』

 スワローマンがダメージを受けて動けなくなっているスバルに向かって突進して来た。

 

『スバル!』

 ウォーロックの叫びが暗闇の中響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウオッ!!?』

 しかし、スバルにスワローマンの攻撃が届くことは無く、スワローマンの驚く声が聞こえてきた。

 

「えっ?」

「何が起こったんだ?」

 スバルと熱斗がキョトンとした顔になる。

 

『クソッ! 誰だ、剣なんか投げてきやがったのは!!』

 スワローマンが叫ぶ。

 

「剣?」

 スバルがスワローマンの「剣」という言葉に反応する。

 

 

「忌々しい・・・ムーの力を悪用する愚か者め・・・」

 スバルの傍で、スワローマンでも熱斗でも無い声が聞こえてきた。

スバルはその声に聞き覚えがあった。

 

 

 

 

 

「ブライ!!?」

 

「うるさい、星河 スバル・・・」

 ブライが迷惑そうにスバルに言い放つ。

 

 

「ブライ! どうして君がここに!?」

 だがスバルはブライの言葉を無視して問い掛ける。

 

「言ったはずだ。 オレの目的はムーの力を悪用しているネビュラを叩き潰すことだ」

 ブライが淡々とした口調でスバルに話す。

 

「そ、そうだった・・・てっ、ちょ・・・!?」

 スバルの言葉が途切れる。 ブライがスバルをいきなり持ち上げたのだ。

 

「邪魔だ!!」

 ブライがスバルを熱斗に向かって投げ飛ばす。

 

「ウワァ!!」

「えっ、またかよ!?」

 熱斗はまたも投げ飛ばされてきたスバルを受け止める。

 

『ゴラァ! ブライ!! テメェいきなり何しやがる!!?』

 ウォーロックがブライに向かって吠える。

 

 

 

 

 

「・・・行け!」

 ブライがスバル達に向かってそう告げる。

 

「えっ?」

 スバルはブライのその言葉に自分の耳を疑った。

 

「オイ! それって、この場は自分に任せろって言ってるのか!?」

 熱斗がブライに話しかける。

 

「勘違いするな! オレはムーの力をくだらない事に使うコイツを叩きのめしたいだけだ!」

 ブライが少し声を荒げて熱斗に言い返す。

 

「えっ? ムーの力?」

「熱斗君、スワローマンはシェードマンみたいにムーの力で作られたブレスレットを使って実体化しているんだよ、きっと」

 スバルが熱斗にそう話す。 

 

「・・・行け!」

 ブライはもう一度スバル達に先に進むよう言う。

 

「・・・分かった」

 スバルはそう返事すると、熱斗を連れて先に進もうとする。 しかし、途中でその足を止める。

 

「ブライ・・・ここは任せるよ」

「くだらない事を言うな・・・行け」

 スバルとブライはそれだけ言うと互いに背を向けた。

 

『クッ、行かせるものか!!』

 スワローマンがスバル達に向かってスワローカッターを放つ。 しかし、ブライがカッターをラプラスソードで薙ぎ払ってしまった。

 

『なっ!?』

「残念だが、オレは元より暗闇の中で生きてきた。 光の中よりも暗闇の中のほうがよく見える」

 つまり、ブライもスワローマンと同じように暗闇の中でも自由に動けるということだ。

 

『いいだろう、お前から先に倒してくれる!!!』

「ムーの力を使ったこと、後悔するがいい!!!」


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