流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~ 作:フレイムナイト
___ダークチップファクトリー第五層部___
「闇」 この場所を表現するのにそれ以上の表現はない。
もはや明かりと言える物はここには無く、熱斗は暗闇の中を手探りで進んでいた。
「ちっくしょー、真っ暗で何も見えないぜ!」
熱斗は前に進みながらぼやく。
「がんばって熱斗君! こうしている間にも、みんなが闘ってくれているんだから!!」
PETの中からスバルが熱斗を応援する。
「そうだな・・・。 よし、とにかく前に進もう!!」
「その意気だよ、熱斗君!」
『スワロードライブ!!!』
「えっ!?」
「熱斗君避けて!!」
スバルがPETから実体化し、熱斗の腕を掴んで後ろに引っ張る。
その直後、暗闇で何も見えないが、熱斗の立っていた場所から「ドゴォォン!!」と、何かが強くぶつかる音が聞こえてきた。
「な、なんだ!?」
『何かが落ちてきた・・・いや、誰かが突っ込んで来やがったんだ!!』
ウォーロックが音のした方向に『ガルルゥ!』と唸る。
『ハハハ! よく気が付いたな! ウォーロック!』
すると、笑い声と共に男性のような声が聞こえてきた。 スバルは熱斗の前に立つと身構えた。 しかし・・・
(クッ、どこに居るんだ・・・!?)
スバルは聴覚のみを頼りに、敵であろう人物を探す。 熱斗やウォーロックも周りをキョロキョロと見渡す。
真っ暗な空間の中、三人には周りの様子が何も見えないのだ。
『オレがどこにいるか分からなくて、焦っているな』
スバルの右側から誰かが話しかけてきた。 スバルはとっさに自分の右側に向かってパンチを繰り出す。
だがパンチは空振りし、逆にその腕を相手に掴まれてしまった。
「は、放せ! 誰なんだお前は!?」
スバルは、自分の腕を掴んでいる手を振り解こうとしながら問い掛ける。
『オレの名はスワローマン! ダークロイドのスワローマンだ!!』
「スワローマン!? 幽霊屋敷で炎山とブルースがやっつけたダークロイドか!?」
熱斗は炎山から話を聞いていたらしく、スワローマンの名を知っていた。
『伊集院 炎山、ブルース・・・! 奴らから受けた屈辱は必ず返す! だがそれはお前達を倒してからだ!!』
そういうとスワローマンはスバルを熱斗に向けて投げ飛ばした。
「ウワァ!」
「ス、スバル!」
熱斗はいきなりの事ながらも、投げ飛ばされて来たスバルをしっかりと受け止める。
「大丈夫か、スバル?」
「うん、ありがとう熱斗君」
スバルは熱斗に礼を言うと辺りを見渡す。 しかし、周りは相変わらず暗い闇が広がっていて何も見えない。
「クソッ、やっぱり何も見えない!」
『だが、スワローマンはこっちが見えている様に動き回りやがる。あいつにはオレ達が見えるのか?』
『フハハ! その通り!』
暗闇の中からスワローマンの声が聞こえる。
『ブルースに倒され、闇の力で復活したオレは暗闇の中を見る能力「暗視鏡(ナイトビジョン)」の能力を得たのさ!!』
『チッ! 面倒な能力だぜ!』
ウォーロックがスワローマンの能力を聞いて舌打ちする。
『スワローカッター!』
「ぐあぁ!!」
スバルの脇腹をスワローマンの放った衝撃波が斬り付ける。
『まだだ! これで終わりじゃないぞ!!』
スワローマンがそう言い終わった瞬間、暗闇の中から複数の衝撃波がスバル目掛けて降り注ぐ。
「ウワアァァァ!!」
「スバル!」
熱斗がスバルに向かって叫ぶ。
「・・・ッ、グゥ・・・」
スバルは呻き声を上げながら地面に膝をついた。
『止めだ! スワロードライブ!!!』
スワローマンがダメージを受けて動けなくなっているスバルに向かって突進して来た。
『スバル!』
ウォーロックの叫びが暗闇の中響いた。
『ウオッ!!?』
しかし、スバルにスワローマンの攻撃が届くことは無く、スワローマンの驚く声が聞こえてきた。
「えっ?」
「何が起こったんだ?」
スバルと熱斗がキョトンとした顔になる。
『クソッ! 誰だ、剣なんか投げてきやがったのは!!』
スワローマンが叫ぶ。
「剣?」
スバルがスワローマンの「剣」という言葉に反応する。
「忌々しい・・・ムーの力を悪用する愚か者め・・・」
スバルの傍で、スワローマンでも熱斗でも無い声が聞こえてきた。
スバルはその声に聞き覚えがあった。
「ブライ!!?」
「うるさい、星河 スバル・・・」
ブライが迷惑そうにスバルに言い放つ。
「ブライ! どうして君がここに!?」
だがスバルはブライの言葉を無視して問い掛ける。
「言ったはずだ。 オレの目的はムーの力を悪用しているネビュラを叩き潰すことだ」
ブライが淡々とした口調でスバルに話す。
「そ、そうだった・・・てっ、ちょ・・・!?」
スバルの言葉が途切れる。 ブライがスバルをいきなり持ち上げたのだ。
「邪魔だ!!」
ブライがスバルを熱斗に向かって投げ飛ばす。
「ウワァ!!」
「えっ、またかよ!?」
熱斗はまたも投げ飛ばされてきたスバルを受け止める。
『ゴラァ! ブライ!! テメェいきなり何しやがる!!?』
ウォーロックがブライに向かって吠える。
「・・・行け!」
ブライがスバル達に向かってそう告げる。
「えっ?」
スバルはブライのその言葉に自分の耳を疑った。
「オイ! それって、この場は自分に任せろって言ってるのか!?」
熱斗がブライに話しかける。
「勘違いするな! オレはムーの力をくだらない事に使うコイツを叩きのめしたいだけだ!」
ブライが少し声を荒げて熱斗に言い返す。
「えっ? ムーの力?」
「熱斗君、スワローマンはシェードマンみたいにムーの力で作られたブレスレットを使って実体化しているんだよ、きっと」
スバルが熱斗にそう話す。
「・・・行け!」
ブライはもう一度スバル達に先に進むよう言う。
「・・・分かった」
スバルはそう返事すると、熱斗を連れて先に進もうとする。 しかし、途中でその足を止める。
「ブライ・・・ここは任せるよ」
「くだらない事を言うな・・・行け」
スバルとブライはそれだけ言うと互いに背を向けた。
『クッ、行かせるものか!!』
スワローマンがスバル達に向かってスワローカッターを放つ。 しかし、ブライがカッターをラプラスソードで薙ぎ払ってしまった。
『なっ!?』
「残念だが、オレは元より暗闇の中で生きてきた。 光の中よりも暗闇の中のほうがよく見える」
つまり、ブライもスワローマンと同じように暗闇の中でも自由に動けるということだ。
『いいだろう、お前から先に倒してくれる!!!』
「ムーの力を使ったこと、後悔するがいい!!!」