流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第八十一話  信念

「バトルチップ・エリアスチール、スロットイン!!」

『でやぁ!』

 ブルースが高速のスピードでコスモマンに斬りかかる。

 

『闇宇宙!』

 コスモマンが自分とブルースの間に、黒い渦のような空間の裂け目を出現させる。

 

『コスモゲート!!』

 渦の中から現れた隕石がブルースに向かって飛んでくる。

 

『チッ!』

 ブルースは足で無理矢理ブレーキをかけると、バックステップで後ろに下がって隕石をかわす。

 

「アレが闇宇宙か」

 炎山は熱斗とデカオから聞いた"スカイバートでの戦い"の話を思い出す。

 

『そう、この闇宇宙こそ、"究極の闇"を生み出した母であり、ゆりかごであり・・・』

 

 

 

『ブルース、お前の墓場だ!!』

 コスモマンが言い終わると同時に、コスモマンの周りに無数の小さな黒い渦が現れた。

 

「『!?』」

『コレを、避けきれるか?』

 黒い渦が一斉にブルース目掛けて飛んできた。

ブルースは持ち前のスピードでかわすが、段々避けきれなくなってきている。

 

『クッ、ならば・・・!』

 ブルースは立ち止まって剣を構えた。

 

斬!!

 

自分に向かってくる闇宇宙の一つを切り裂いた

 

 

 

 

 

ように思えたが、

 

『グァァアア!!』

「ブルースゥ!!」

 闇宇宙を斬ることは出来ず、逆にブルースの右腕が黒い渦の中に飲み込まれてしまった。

 

『おっと、オペレーターも気を付けたほうがいいぞ?』

 コスモマンはそう言うと、頭上を指差した。

 

「・・・ッ!?」

 炎山が上を見上げると、あの紫のスライムが炎山の頭上に降ってきた。

辛うじて避けるが、地面に落ちて飛び散ったスライムの一部が炎山の左足に付着した。

まるで酸を振りかけらたかのように、左足に熱い痛みが走る。

 

「グアゥ・・・!!」

『炎山様!!』

 

『ハハハハ! ナビもオペレーターもそろってマヌケだな!!』

 コスモマンが炎山とブルースを嘲笑う。

 

『炎山様!』

「大丈夫だ。 ブルース、お前は大丈夫か?」

『大丈夫です。 炎山様・・・』

 そうは言うが、膝をつき、失った腕を押さえるブルースは大丈夫には見えなかった。

 

『終わりだ、宇宙のチリにしてくれる! 混沌なる闇よ!』

 コスモマンが頭上に手を掲げる。 すると、コスモマンの頭上に大きな黒い歪みが現れた。

 

『コスモプラネット!!!』

 黒い歪みから出てきた隕石がブルースに浴びせかけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが・・・

 

『なっ!?』

 コスモマンは、目の前で起こった光景が信じられず、思わず声を漏らした。

 

片腕を失い、大きなダメージを受けていたはずのブルースが、自分に向かって来る隕石を全て斬ったのだ。

 

『そんなバカな・・・!?』

『オイ』

 うろたえるコスモマンにブルースが吐き捨てる様に言った。

 

『もう一度だ・・・』

『何?』

 

『もう一度闇宇宙でかかってこい・・・!!』

 ブルースはそう言うと立ち上がる。 さっきまでの大きなダメージを受けて膝をついていた時と違い、静かな"何か"が感じられた。

 

『・・・!!?』

ブルースの言葉にコスモマンは怪訝な顔をしたが、すぐにニヤァっと気持ち悪い笑いをした。

 

『いいだろう。 望み通りにしてやろう!』

 コスモマンは再び両手を頭上に掲げる。 すると、その頭上に黒い渦が現れたが、今までと違い、現れたのはたった一つでとてつもない大きさになっていた。

 

(愚かな! コスモプラネットを斬られたのは驚かされたが、この闇宇宙が斬れないのはさっき身を持って知ったはずだろうに!)

 コスモマンが闇宇宙をブルースに向かって飛ばす。

 

しかし、コスモマンはそこで大きな思い違いをしていた。

さっき"闇宇宙斬れなかったから、今も闇宇宙を斬れない"のではなく、"さっき斬れなかったからブルースは闇宇宙を斬れる"のだ。

 

 

闇宇宙を斬るという意地があるから? ソード使いとしての誇りがあるから? オフィシャルとしての使命があるから?

 

違う。 炎山とブルースが闇宇宙を斬れる理由、それは・・・・・・!

 

 

 

 

 

(感覚を研ぎ澄ませろ・・・!)

(雑念を全て捨て、ただ斬ることだけを考えろ・・・!!)

 

 

(ただ、闇を斬ることだけを!!!)

 

 

プログラムアドバンス・ドリームソード!!!

 

ブルースが緑色に光る巨大な剣を振るう。

その剣と身に纏うは、闇を斬るという絶対的な"信念"!!!

 

次の瞬間、闇宇宙は真っ二つに切り裂かれた。

 

 

『そんな・・・有り得ない!!』

 コスモマンはブルースから逃げるように後ろに後ずさる。

 

「礼を言うぞ、コスモマン。 お前のおかげで闇の力の恐ろしさを身を持って知ることが出来た。 だからこそ・・・・・・」

 炎山はそこで一旦間を置く。

 

「この恐ろしい闇を斬るという信念を強く持つことが出来た」

『終わりだ!』

 ブルースがコスモマンに向かって歩を進める。

 

『ウ、ウワァァアア!!』

 コスモマンが悲鳴を上げながら、最後の悪あがきにコスモプラネットの隕石群を放つ。

 

「ブルース!」

『ハッ!』

 ブルースが隕石群に突っ込む。 しかし、その隕石が何一つブルースに当たることはない。 

なぜなら、闇の力の恐ろしさを身を持って知り、闇そのものを斬るという絶対的な信念を持った今の炎山とブルースに・・・・・・

 

斬れないものなど無いのだから!!!

 

「バトルチップ・エンゲツクナイ、スロットイン!!」

 炎山がバトルチップ・エンゲツクナイをスロットインする。 エンゲツクナイは自分の周り全てをそのクナイで攻撃するソード系のチップだ。

つまり・・・

 

「行け! ブルース!!」

ブルースは残った左腕にクナイを持ち、走りながら隕石を斬り裂いていく。

そして、コスモマンの目の前までやってきた時、クナイを捨て、左腕をブルースソードに変換させた。

 

 

デルタレイエッジ!!!

 

 

三連続の攻撃が一糸狂いないデルタ(三角形)を描き、コスモマンを斬り裂いた。

 

 

『バ、バカな・・・コスモの力が、闇の力がお前達のようなちっぽけな存在に・・・ウ、ウガァァァアア!!』

 断末魔の悲鳴を上げ、コスモマンはそのまま消滅した。

 

『ハッ、ハッ、ハッ・・・クッ!』

 コスモマンの消滅を見届けると、ブルースはその場で片膝を付いた。

無理もない、気丈に振舞って見せたが、実際は右腕を闇宇宙に飲み込まれ、大きなダメージを受けていたのだ。 何ともないはずが無い。

 

「ブルース、プラグアウト!」

 炎山はブルースをプラグアウトさせると、先に進もうと歩を進める。 しかし、傷を負った左足が思うように動かない。

 

「クッ、こんなところで、立ち止まってたまるか・・・!!」

 

 

「ハハハ! そーゆうの嫌いじゃないぜ!」

 突然、炎山の後ろから誰かが声をかけてきた。

 

「誰だ!?」

 炎山は右足を軸にして後ろを振り向く。

 

「さっきのバトル、正にエースに相応しい戦いだったぜ! 伊集院 炎山」

 その人物は親指を立てて炎山をほめた。

 

「キサマ、何者だ?」

 炎山が問いかける。

 

 

 

「そうだな・・・君がオフィシャルのエースなら、オレは遅れてやってきたヒーロー・・・かな?」


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