流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第八十話   託す剣

___ダークチップファクトリー 第四層部___

 

 熱斗、スバル、銀色、炎山、メイル、、ミソラ、デカオ、やいと・・・。

ネビュラ基地に突入した八人のうち、五人が熱斗達に後を託し、ダークロイドに立ち向かっていった。 そして今やたった三人となってしまった、熱斗、炎山、スバルはダークチップファクトリーの奥へと突き進んでいる。

 

周りのカプセルの中の液体も、第三層部よりも不気味で、さらにドス黒い紫色の液体が泡立っていた。

 

「大分、奥まで来たのかな?」

『アァ、気持ち悪い力をヒシヒシ感じるぜ・・・』

 スバルとウォーロックが周りの様子から、ネビュラ基地の奥に近づいているのを感じる。

 

「・・・・・・光」

 不意に、カプセルの中の液体を見ていた炎山が熱斗に話しかけてきた。

 

「どうしたんだ、炎山?」

「これは、何だと思う・・・?」

 そう言うと、炎山は近くにあるカプセルに手を添えた。

 

「何って、ダークチップの材料・・・だろ?」

 熱斗は、後半部分を若干自信なさげに答えた。

 

「ならば、ダークチップの材料とは、何だ?」

「・・・えっ?」

 熱斗は、炎山の疑問の意味が分からない。

そんな熱斗に構わず、炎山は話を続ける。

 

「前から気になってはいたんだ。 ダークチップは、使ったナビの心を悪に染め、破壊する代わりに凄まじい力を与える。 しかし、一体どうやってそんな力を秘めたチップを作ることが出来たんだ? 科学省の解析では、今の科学では不可能だと言われているのに・・・」

 

「Dr.ガルナが協力したとかは? 未来の技術を教えて」

 スバルが自分の考えを言う。

 

「それは無いと思う。 ダークチップ自体はもう何年も前からネビュラが"裏"でばら撒いていたんだ。 Dr.ガルナがこの時代にやって来たのは、スバル達よりも少し早い位だったんだろ? 時期が合わない」

 

 

『そ、そうか良く分かった・・・』

「ウォーロック、本当に分かってる?」

 スバルがウォーロックを心配そうな目で見る。

 

その時だった。

 

ポターン、ポターン・・・

 

どこからか水が落ちるような音が聞こえてきた。 

 

「? なんだ、水音?」

 熱斗が辺りを見渡す。

 

『!? 熱斗、炎山! そこから離れろぉ!!』

 ウォーロックが叫んだ瞬間、熱斗と炎山の頭上から"何か"が落ちてきた。

 

「「!?」」

 間一髪、熱斗と炎山は避けることが出来た。

熱斗と炎山が居た場所に、ポチャン! と、何か液体のような物が落ちる音がした。

 

「な、なんだ!?」

 見ると、それは紫色の不気味なスライムで、スライムが落ちた床は腐食していた。

 

 

『フフフ、そのスライムは闇の力を帯びている。 迂闊に触ると死に至るぞ』

 その時、どこからか声が聞こえてきた。 炎山はそれが誰の声か分からなかったが、熱斗・スバル・ウォーロックはその声の主が一体誰なのかはっきりと分かっていた。

 

 

「「『コスモマン!!!』」」

『久しぶりだな、光 熱斗、星河 スバル!!』

 

『テメェー! どこに隠れてやがる、出て来い!!』

 ウォーロックがコスモマンに姿を現すよう叫ぶ。

 

『フン! 残念だが、私は他のダークロイド達と違って、お前達と勝負して倒そうなど、欠片も思っていないのだよ』

「なんだと!?」

 

すると、熱斗と炎山の周りに、また複数の紫のスライムが上空から落ちてきた。

 

「クッ! オレ達をスライムで始末する気か!?」

「戦う気なんてサラサラ無いってことかよ!!」

 炎山と熱斗は頭上から落ちてくるスライムを必死で避ける。

 

『チクショウ! あの野郎一体どこに・・・んっ?』

 ウォーロックは辺りを見渡す。 すると、自分達の頭上にあるスプリンクラーが目に入った。

スプリンクラーからは、紫色の液体・スライムが滴り出ていた。 しかもご丁寧にすぐ近くにプラグイン用の端末が付いている。

 

『オイ! 上を見ろ! この気味の悪いスライムはあそこから出てるぜ!!』

 ウォーロックがスプリンクラーを指差してみんなに教える。

 

「ってことは、コスモマンはあのスプリンクラーの電脳にいるのか!?」

「熱斗君、ボクをあそこにプラグインして!!」

 スバルが自分をプラグインするように促す。

 

 

___???___

 

『フフフ、愚かな・・・』

 

 真っ暗な電脳。 そこでコスモマンが一人ほくそ笑む。

コスモマンは、プラグインしてくるスバルを迎え撃つでなく、そこから逃げようともしない。

 

何故なら、"コスモマンはスプリンクラーの電脳にいない"からだ。

 

『私がスプリンクラーの電脳に居なかったら、奴らはどんな顔をするだろうな?』

 コスモマンはそう言いながら『ハハハハハ!!』と笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そうだな・・・稀に見る滑稽な顔をするのは、まず間違いないだろうな?』

 コスモマンの後ろから、誰かが話しかけてきた。

 

『!!?』

 コスモマンが慌てて後ろを振り向くと、そこにはソードを装備したブルースが立っていた。

 

『今のお前のような顔をして驚くんじゃないか? コスモマン』

 ブルースは驚くコスモマンに向かって、そう嘲笑った。

 

 

「炎山!?」

 熱斗は、自分とは"全く違う機械にプラグインした"炎山に驚く。

 

「まだ気づかないのか? コスモマンが隠れていたのはあの『スプリンクラーの電脳』ではない。 コイツはこの『カプセルの電脳』に隠れていたんだ」

 炎山はそう言うと自分の前にあるカプセルを指差した。

 

「えっ!?」

『どうゆうことだよ、オイ!!』

 スバルとウォーロックも意味がよく分かっていないみたいだ。

 

「ああもはっきりとスライムが出ている所をさらし、挙句ご丁寧に電脳への端末を付けている。 罠と思わないほうがおかしくないか?」

 

「「『ウグッ・・・』」」

 炎山の言葉が熱斗・スバル・ウォーロックの心に突き刺さった。

 

「で、他にオレ達の様子を伺うことが出来て、見つかりにくい所に端末がある機械類と言えば・・・』

 炎山はカプセルを軽く叩く。

 

「このカプセルの電脳しかないだろう?」

 

『ちなみに、あのスライムはカプセルの中にある液体で出来ているのではないか?』

 ブルースがコスモマンに問いかける。

コスモマンは何も答えない。 黙ってブルースを見ている。

 

 

「光、先に行け。 こいつはオレとブルースが斬る・・・!」

 炎山はそれだけ言うと熱斗に背を向けた。

 

「・・・ああ、頼んだぜ!」

 熱斗もそれだけ言うと奥に向かって走っていった。

 

 

___カプセルの電脳___

 

『フッ、貴様らだけで私に適うと思っているのか? あまりダークロイドを舐めて貰いたくないな・・・』

 コスモマンは平静にブルースに話す。

 

だが、返事を返してきたのはブルースではなく、炎山だった。

 

「今まで敵を倒す為だけに剣を振るって来た。 だが、今回は・・・託すために、オレ達は剣を振るう!!!」




___ボツネタ___

熱斗
「コスモマンはあのスプリンクラーの電脳にいるのか!?」

スバル
「熱斗君、ボクをあそこにプラグインして!!」

ウォーロック
『よし、熱斗、スバル、オレの肩の上に乗れ! 肩車でスプリンクラーまで手を伸ばすんだ!!』

炎山
「本気で言っているのか?」

熱斗
「当たり前だろ! ほら、炎山も早くオレの肩の上に・・・」

炎山
「断る」

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