流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第七十九話  ずっと君を見ていた

『メニークラウド&ゴロサンダー!』

 クラウドマンの前に小さな雷雲が現れ、雷雲からでた電気のボールがロールとグライドに向かって放たれる。

ロールとグライドはそれをジャンプしてかわす。

 

『ロールアロー!』

『グライドキャノン!』

 

『甘い!!』

 

 ジャンプして後方に着地したロールとグライドは、ロールはアローで、グライドはキャノンでクラウドマンを攻撃する。

しかし、クラウドマンは雷雲を操り、それらを防いだ。

 

『闇の力の恐怖、その身に思い知らせてくれる!! フンッ!』

 クラウドマンは力を込めた両腕を上に掲げるように上げる。 すると、クラウドマンの周囲に多数の小さな雷雲が出現した。 

すると、雷雲がクラウドマンを包み込み、クラウドマンがロールとグライドの目の前から姿を消した。

 

『なっ! あいつは一体どこに・・・!?』

 グライドは辺りをキョロキョロ見渡してクラウドマンを探す。

しかし、メイルとロールはこの状況を一度見ていてクラウドマンがどこにいるか知っていた。

 

「やいとちゃん、クラウドマンはあの雷雲の中にいるわ!」

『前にも、スバル君とのバトルで見たことがあるの。 クラウドマンは自分で作った雷雲をワープして移動できるよ!』

 

「ホント、メイルちゃん!? それじゃ・・・」

『本当ですか! ロールさん、それでは・・・』

 

 

 

 

 

「『クラウドマンはどの雷雲の中に?』」

 やいととグライドは同時にメイルとロールに聞いた。

 

「『えっ?』」

 メイルとロールは同時に顔を青ざめた。 そして、周りにある多くの雷雲を見る。

 

「・・・メイルちゃん、熱斗とスバル君はどうやってクラウドマンを倒したの?」

 メイルの顔を見て何かを悟ったやいとが、やさしく聞く。

 

「クロスマジシャンを使って、クラウドマンごと雷雲を全部吹き飛ばしてた・・・」

 メイルは淡々とした口調でやいとに話す。

 

『熱斗さんとスバルさんにしか出来ない戦法ですね・・・』

 メイルの話をやいとと一緒に聞いていたグライドが力なく話す。

 

『・・・・・・』

 ロールは最早何も言わない。 ただジーっと自分達の周りに浮かぶ雷雲を見つめていた。

 

 

その時、クラウドマンが動いた。

 

 

『クロスサンダー!!』

 クラウドマンの声が電脳世界に響くのと同時に、ロール達の周りの雷雲から十字型に電撃が放出された。

しかし、辛うじてメイルとやいとが『バトルチップ・バリア』をスロットインして、ロールとグライドは電撃を防いだ。

 

『クッ! 外したか!』

 今度はクラウドマンの声がグライドの後ろから聞こえてきた。

ロールとグライドが振り向くと、クラウドマンが二人を睨み付けていた。

 

「グライド、攻撃よ! バトルチップ・メガキャノン、スロットイン!!」

 やいとがバトルチップを送信する。 するとグライドの右腕が赤いキャノンに姿を変えた。

 

『喰らえ!』

 グライドがクラウドマンに向かってメガキャノンを放つ。

しかし、再び雷雲がクラウドマンを包み込む。 クラウドマンを包み込んだ雷雲にメガキャノンは当たったものの、そこにはクラウドマンの姿はなかった。

また別の雷雲の中に隠れたのだろう。

 

「・・・ッ! 雲の中にいるのは分かっているのに・・・!」

 メイルは雷雲をどうにかしようと必死に策を巡らす。 しかし、良い手が思いつかない。

 

(こんな時、熱斗なら・・・)

 メイルは熱斗のネットバトルを思い返す。

 

無鉄砲でお調子者の熱斗、しかし一度ネットバトルを始めると、誰もが驚くようなひらめきでネットバトルに勝利する。

そのひらめきは、相手の持つ能力や特性を逆手に取った奇想天外な戦略であることが・・・・・・

 

その時だった。 メイルの頭の中で何かが引っかかったのは・・・。

 

(相手の能力や特性を、逆手に・・・?)

 メイルはそこまで考えると、一枚のバトルチップをPETにスロットインした。

 

 

『フハハハ!! どうした、防戦一方ではないか!?』

 雲の中から姿を現したクラウドマンが、ロールとグライドを嘲笑うように言い放つ。

 

『まだまだです!』

『私達は絶対に負けないんだから!!』

 グライドとロールがクラウドマンに言い返す。

 

『フン! 生意気な・・・だが、これで終わりだ!!』

 すると、クラウドマンの前に巨大な雷雲が現れ、竜巻のようにロールとグライドに向かってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・はずだった。

 

『ぐあああ!!?』

 竜巻と化した雷雲が掻き消え、逆にクラウドマンが電撃に襲われ、悲鳴を上げた。

 

『やったぁ!』

『えっ? これ、どうゆうことなんですか!?』

 喜ぶロールに、グライドは一体何が起こったのか問いかける。

 

「実はね・・・」

 ロールの代わりにメイルがグライドとやいとに説明する。

 

「クラウドマンがエレキストームを使う前に、バトルチップ・ヒライシンをスロットインしていたの!」

「『アッ・・・!!』」

 グライドとやいとがメイルの説明に思わず声を出す。

 

バトルチップ・ヒライシン、相手が電気属性の攻撃をした時、逆に相手にダメージを与えるカウンターチップ。

 

メイルは、クラウドマンが電気属性の攻撃に長けているのを逆手に取って、逆にヒライシンでダメージを与えてやったのだ。

そして、クラウドマンは今、思いがけない攻撃を喰らい、怯んでいる。

 

 

『やいと様、チャンスです! バトルチップを!!』

「OK! バトルチップ・リュウセイグン、トリプルスロットイン!!!」

 やいとがバトルチップをスロットインする。

すると、クラウドマンの真上に、巨大な赤々と燃える隕石が現れた。

 

『ヌナァ・・・!!』

 

『喰らえぇぇぇ!!』

 グライドの叫びを引き金に、巨大隕石はクラウドマン目掛けて降下する。

 

『ぬおぉぉおおおおおお!!!』

 怯んでいたクラウドマンはそれを交わすことが出来ず、隕石の直撃を受けてしまうのだった。

 

土煙が電脳世界に舞う。

 

「やった! すごいよ、やいとちゃん!!」

「メイルちゃんがアイツの動きを止めてくれたからよ! よくあんな状況でヒライシン使うの思いついたわね」

 メイルとやいとは互いの手柄を褒め称える。

 

「・・・うん、あの状況を熱斗ならどうしてただろうって考えて、それで思いついたんだ」

 メイルは下を向いて、恥ずかしそうに答える。

 

「メイルちゃん」

 やいとはそんなメイルを優しい目で見る。

 

『メイルちゃん、メイルちゃんの気持ち、熱斗君にちゃんと伝わってると私思ってるよ!!』

 ロールはそうゆうとニコッと笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キ、キサマらぁぁぁぁ・・・・・・!!』

 

 突如、土煙の中から、怨みに満ちているかのような呻き声が聞こえてきた。

ロールとグライドが見ると、土煙の中に何かの影が見える。

 

次第に晴れていく土煙の中から現れたのは、隕石の直撃を受け、デリート寸前となったクラウドマンだった。

 

 

『お、お前達、生きては帰さん・・・』

 クラウドマンがそう言い終わるのと同時に、クラウドマンの下半身を覆う雷雲がバチバチと電気を発しながら膨らみ始めた。

 

 

『ウォォォォォォォォ!!!』

 

『な、何をしようとしているの!?』

『まさか、自爆する気か!?』

 ロールとグライドはクラウドマンの異常な行動の意図に気づく。

しかし、その時すでに、クラウドマンの雷雲は限界までパンパンに膨れ上がり、今にも爆発寸前だった。

 

『ワーハハハ!! 砕け散るがいい!!』

 クラウドマンの狂喜の叫びが電脳世界に響いた。

 

その瞬間・・・・・・一瞬だった。

 

 

爆発寸前のクラウドマンを黄色い閃光が飲み込んだのは・・・・・・。

 

 

『ぐおおおおぁぁぁあああ!!!』

 クラウドマンの断末魔の声。

 

ロールとグライドはその一瞬の出来事に対応することが出来なかった。

そして、閃光が消えた時、そこにクラウドマンの残骸はどこにも残ってはいなかった・・・。

 

「えっ? これってどういうことなの?」

「分からないわ、メイルちゃん」

 メイルとやいとも、電脳世界での出来事に、ただ呆然とするしかなかった。

 

 

「フー、どうにか間に合ったのかな?」

「これで終わりかよ! つっまんねーの!!」

 不意に、ロールとグライドの後ろから誰かの声が聞こえてきた。

 

ロールとグライドが振り向く。

 

『あ、あなた達は・・・誰?』


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