流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第七十七話  Double Diva

「ショックノート!!」

 ハープ・ノートが音符型の電波をシェードマンに向かって放つ。 

 

『フン、そんなスピードの攻撃・・・』

 シェードマンは左右に動くことでショックノートをかわす。 

だが、ハープ・ノートの攻撃に気を取られて、後ろに誰かの気配を感じるのに数瞬遅れてしまう。

 

 シェードマンの後ろを取った人物、それはオカリナソードを構えたアリエル・ウォーティーだった。

 

『キキッ! いつの間に!?』

 シェードマンは慌てて振り返って迎撃しようとするが間に合わない。

 

「オカリナソード!!」

 アリエル・ウォーティーのソードが、シェードマンの体に真横一文字に斬り付ける。

 

 

「ヘヘッ、残念でした! 私はただのおとりだったの♪」

 ハープ・ノートがシェードマンを挑発するかのように舌をぺロッと出す。

 

「・・・!?」

 シェードマンがあっけなく斬られて笑うハープ・ノートと反対に、アリエル・ウォーティーは斬った感触に違和感を覚えた。

 

 

(何、シェードマンの体? まるでゼリーみたいな柔らかい物を斬ったような・・・?)

 アリエル・ウォーティーは地面にフワリと着地すると、自分が斬ったシェードマンを見た。

 

 

『ミソラ! シェードマンはまだ倒されていないわ!!』

 ハープがミソラに向かって叫ぶ。 ミソラはハープの言葉に反射的にアリエル・ウォーティーと同じ場所を見る。

そこには、何事もなかったかのように上空を飛んでいるシェードマンがいた。

 

『えっ! どうして!?』

 アリエルが有り得ないという感じに叫ぶ。

 

「くっ! パルスソング!!」

 ハープ・ノートが今度はハート型の電波をシェードマンに向かって放つ。 しかし、シェ-ドマンはそれを腕で簡単になぎ払ってしまった。

 

『キキキッ! 少しはやるみたいじゃないか、お嬢さん達?』

 シェードマンがハープ・ノートとアリエル・ウォーティーを嘲笑う。

 

「闇の力・・・」

 銀色が苦々しげに呟く。

 

『キキッ! そう! DS(ダークソウル)として甦り、パワーアップした私にはその程度の攻撃など効きはしない!』

 シェードマンは翼をバサバサとはためかせる。

 

 

『今度はこちらの番だ!』

 すると、ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーの周りに、巨大な石のブロックがおびただしい数で出現した。

 

『何よ、この石の塊は!?』

「バトルチップ、ストーンキューブ!」

 ハープと銀色が、自分達の周りに現れた障害物を怪訝そうな目で見る。

 

「あのコウモリ男、どういうつもり?」

 ミソラはシェードマンを睨み付ける。

 

 

『クラッシュノイズ!!』

 シェードマンが超音波をハープ・ノートとアリエル・ウォーティーではなく、自分が出現させたストーンキューブに向かって放つ。

 

『!? どうして私達じゃなくて、あの石を!?』

 アリエルが超音波を目で追いながら考える。 しかし、それはストーンキューブに超音波が当たって直ぐに分かった。

 

 ストーンキューブに当たった超音波は、その場で螺旋状に広がり、近くに置いてあるストーンキューブに再びぶつかる。

そしてまたそのストーンキューブから超音波は広がり、近くのストーンキューブにぶつかって広がる。

それを無限ループのように繰り返して、超音波がハープ・ノートとアリエル・ウォーティーに襲い掛かってきた。

 

「みんな逃げて!!」

 アリエル・ウォーティーが叫ぶ。 しかし、地上にストーンキューブが設置されていない場所がない。

つまり・・・

 

「きゃああぁぁ!!」

「くぁああ!!」

 ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーに超音波が当たった。 大ダメージを食らい、その場にしゃがり込む二人。

 

 

『キキッ! どうかな? 逃げ場のない超音波の味は?』

 

「クッ! この石の塊さえなければ勝機はあるのに・・・!」

『どうにかして、この石無くす方法はないの!?』

 ミソラとハープが恨めしそうにストーンキューブを見つめる。

 

(ストーンキューブを無くす? そうか! あのチップを使えば・・・!)

 銀色は何かを思いつくと懐から一枚のバトルチップを取り出した。

 

 

『キキッ! これも光 熱斗と星河 スバルのおかげだな!』

 

「「えっ?」」

 シェードマンの思いかげない言葉に、ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーの動きは止まった。

 

『この戦法は、あの二人との戦いを参考に作ったものなのだよ』

 

「「・・・・・・」」

 ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーは黙ってシェードマンの話を聞く。

 

『キキキッ! 恨むなら光 熱斗と星河 スバルを恨め! この二人のせいでお前達は今私に倒されそうになっているのだからな!!』

 

 

 

 

 

「「・・・違う!!」」

 ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーがシェードマンを睨む。

 

 

『キキッ!?』

 シェ-ドマンはその目の迫力に思わずたじろいてしまう。

 

「あんたの言っていることは、ぜんぜん違う!!」

「熱斗君とスバル君は、希望を繋げていてくれているの! 私達の願いを、叶える希望を・・・恨むなんてするはずがないでしょ!!」

 ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーはよろめきながらも、でもはっきりとシェードマンに言い放った。

 

『ならばその希望ごと砕け散るがいい!!』

 シェードマンはクラッシュノイズを放つため、腕の翼をはためかせ始める。

 

 

「負けるのはお前よ! バトルチップ・ポルターガイスト、スロットイン!!」

 アリエル・ウォーティーがバトルチップをスロットインした瞬間、その場にあったストーンキューブが全て、シェードマンへと体当たりするかのように吹っ飛んでしまった。

 

『キッ! しまった!!』

 シェードマンは慌てて上に飛んで逃げようとするが間に合わない。

 

「これはオマケよ!! バトルカード・ボムライザー、プレデーション!!」

 そこに追い討ちをかけるかのように、ハープ・ノートがバトルカードをプレデーション。 ストーンキューブはシェードマンにぶつかる瞬間、大爆発を起こした。

 

『ぎゃあああああぁぁぁあああ!!』

 シェードマンの断末魔。 そのまま爆風でシェードマンの姿は見えなくなった。

 

 

「やったの!?」

『まだよ!!』

 アリエルが爆風で煙が上がっている場所を指差す。 よく見ると煙の中から黒い人影が見える。

 

『キ、キ・・・よくも、小娘共がぁあぁああ!!』

 煙の中から這い上がるかのようにボロボロのシェードマンが姿を現す。 その形相は悪魔のようだと誰もが言うだろう。

 

 

『闇の力をなめるなぁ!! ビックノイズ!!!』

 シェードマンの渾身の一撃、クラッシュノイズとは比べ物にならない位の巨大な超音波がハープ・ノートとアリエル・ウォーティーに向かって放たれた。

 

 

「まだあれだけの余力を・・・!?」

『あんなの食らったら・・・!』

 銀色とアリエルはビックノイズを防ごうと防御の構えをとる。

しかし、ハープ・ノートはそんなことをせず、一歩前に出るとギターを構えた。

 

「私、いつも肝心のところでスバル君に全部任せちゃって、何も出来なかったかもしれない・・・」

 ミソラはポツンと独り言のように呟く。

 

『ミソラ・・・』

 

「だから、このバトル、負けられない・・・絶対に勝つんだ!!」

 ミソラは目の前に迫ってきているビックノイズを正面から見据える。

 

「パルスソング・フォルテッシモ!!!」

 ハープ・ノートのギターから、ビックノイズと同等の大きさのハート型の音波が放たれる。

 

そして・・・

 

 

ドカァアアアン!!!

 

ビックノイズとパルスソングは空中で衝突すると、轟音と共に相殺されてしまった。

 

 

『バ、バカな・・・私の、私の闇のノイズが・・・あんな小娘に・・・!?』

 切り札の攻撃を破られ、シェードマンの言葉はだんだん片言になっていく。

そして、また同じ隙を作ってしまった。

 

 

「オカリナソード!!!」

『グハァ!!』

 アリエル・ウォーティーがシェードマンを後ろから斬り付ける。

ハープ・ノートのパルスソングに気を取られてシェードマンはアリエル・ウォーティーの存在を忘れてしまっていたのだ。

 

両翼をオカリナソードで切断され、地上に堕ちるシェードマン。

 

『な、何故だ? どうして急に強くなったんだ?』

 

 

「それは、あなたが熱斗君とスバル君の名前を言ったからよ」

 いつの間にか銀色がシェードマンの前に立っていた。 いや、銀色だけではない。

シェードマンの前と後ろには、円盤の付いた巨大な装置が立っていた。

 

『ヒッ!』

 シェードマンはそこでやっと自分の置かれている状況が分かり、悲鳴を上げる。

 

「女の子ってね、好きな人の事を悪く言われる事が一番許せないの」

 銀色が右手を上げる。

 

「あなたの敗因はただ一つ・・・・・・」

 銀色はそこで一旦間を空く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミソラちゃんの目の前でスバル君の悪口を言ったこと」

 銀色が右手を下げる。 そして、パイルドライバーから発射された太陽の光がシェードマンを焼き尽くした。

 

『ぎゃああああああああ!!!』

 シェードマンは太陽の光によって、そのまま消滅してしまった。

 

 

「銀色さん!」

 ハープ・ノートがアリエル・ウォーティーに駆け寄る。

 

「やったね、銀色さん! 私達、ダークロイドを倒したんだ!!」

『ポロロン、アリエルもお疲れ様♪』

 ミソラとハープが銀色とアリエルを労う。

 

『当然! 私と銀色のコンビならダークロイドの一体や二体、どうってことないのよ!!』

 アリエルが胸を張って威張る。

 

「・・・・・・」

 銀色はそんな様子を微笑みながら眺めていた。

 

(銀色さん・・・)

 ミソラは微笑む銀色を見て、銀色がシェードマンに最後に言った事を思い出していた。

 

 

―――「女の子ってね、好きな人の事を悪く言われる事が一番許せないの」

―――「あなたの敗因はただ一つ・・・・・・

    ミソラちゃんの目の前でスバル君の悪口を言ったこと」

 

 

(銀色さん、そう言ってたけど、銀色さんが好きなのはやっぱり・・・・・・)

 

「ミソラちゃん!」

 不意に、考え耽っているミソラに銀色が話しかけてきた。

 

「は、はい!?」

「急いで熱斗君達の後を追いましょう!」

 

「あ、そっか! 早く追いかけないと!」

 ハープ・ノートとアリエル・ウォーティーは急いで先に進もうとする。

 

 

 

 

 

「オイオイ、もう敵を倒しちまったのかよ! つっまんねーーー!!」

「さすがね、ハープ・ノート・・・」

 突然、先に進もうとするハープ・ノートとアリエル・ウォーティーを、後ろから誰かが呼び止めた。

 

慌てて振り返るハープ・ノートとアリエル・ウォーティー。

 

「あなた達は!! どうやってここに!!?」

 ハープ・ノートは自分達を呼び止めた者を見て驚愕する。

 

その二人は・・・・・・


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