流星のロックマン×ロックマンエグゼ ~願いが希望に変わる時~   作:フレイムナイト

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第七十六話  行って!!

___ダークチップファクトリー 第二層部___

 

 ベルトコンベアが紫色の謎の物体を運んでいる。 おそらく、ダークチップの元になる素材なのだろう。

それを尻目に、熱斗達がネビュラ基地の奥を目指して突き進んでいた。

 

だが、デカオの事が気がかりなのか、熱斗は時々後ろを振り返っていた。

 

「熱斗、デカオ君なら、きっと大丈夫だよ」

 そんな熱斗を気遣い、メイルが熱斗に声をかける。

 

「メイルちゃん、『きっと』じゃない『絶対』だよ! デカオとガッツマンなら絶対ブリザードマンを倒して追いついてくるさ!!」

 熱斗はそう言うとメイルに『大丈夫!』と言って笑って見せた。 メイルもそれに連られて微かに微笑み返す。

 

 

「アッ、あそこ見て!」

 不意に、やいとが前を指差して見るように促す。

やいとが指差す先には、金網の板で作られた階段があり、上に続いている。

 

「奥に続く階段か」

「急ごうぜ!!」

 炎山と熱斗が階段を上ろうとする。

 

 

 

 

 

『クラッシュノイズ!!』

 熱斗と炎山が階段に足をかけた瞬間、熱斗達の真上から甲高い声が響いてきた。

全員が反射的に顔を上げると、紫色のリングが数個、降り注ぐように熱斗達に落ちてきた。

 

「みんなよけろーーー!!」

 炎山が叫ぶ。

 

 

ガッシャーーン!!

 

 

 リングは熱斗達が間一髪で避けた後、床にぶつかり、金網で作られた足場を破壊してしまった。

それにより、上へと続く階段への道が途切れてしまった。

 

 

「メイルちゃん! やいと! 銀色さん!」

 階段の上で、熱斗が取り残されてしまった三人の名を叫ぶ。

 

「私達は大丈夫! 熱斗と炎山君は!?」

 銀色が熱斗に叫び返す。

 

「こっちも大丈夫だ。 だが今のは一体何なんだ?」

 炎山はそこまで言うと再び頭上を見上げた。 そして、紫色の大きな翼が視界に入った。

 

 

『キーキキキ!! 久しぶりだな、侵入者諸君!!』

 紫色の大きな翼の持ち主、実体化したシェードマンが空中で優雅に礼をしてみせた。

 

「シェードマン! お前まで復活していたのか!?」

 

『そう、シェードマンDS(ダークソウル)としてな。 そして・・・』

 シェードマンはそこまで言うと、熱斗達に自分の腕を見せた。

その腕には"ムーの紋章が付いたブレスレット"がはめられていた。

 

「! それって、ロックマンがはめてた、ナビを実体化させるブレスレット!?」

 その事に気が付いた熱斗は思わずシェードマンを指差す。

 

『そう! 今まではダークロックマンしか扱えなかったこのブレスレットの力を、闇の力を得て復活した私にも使えるようになったのだ!!』

 シェードマンは自分の力に酔いしれるかのように熱斗達にブレスレットを見せびらかす。

 

 

「熱斗君、ボクが戦うよ! みんなと一緒に先に進んで!!」

 スバルが熱斗のPETから実体化すると、熱斗に先に進むよう促す。

 

「スバル、それならオレも残るよ! オレがいないとスバルはバトルチップを使えないだろ!」

 熱斗はスバル一人を残して行くことを拒む。 確かに、熱斗がいないとスバルはロックバスターとウォーロックのビーストスイング以外の武器が使えない。

デカオの時と違って一人残すのは危険すぎる。

 

 

「だけど、電脳世界でのバトルとは違うんだよ! 生身の体じゃ危険すぎる!!」

『それにお前は一分でも早く前に進まないといけないだろーが!!』

 スバルとウォーロックが熱斗の提案を却下する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうよ! だから・・・!!」

「スバル君も熱斗君と一緒に行って!!!」

 

 突然、熱斗とスバルが揉めている間にシェードマン目掛けて誰かが攻撃してきた。

 

 

『キキ!?』

 不意を突かれたシェードマンは避ける事ができず、そのまま攻撃が当たってしまう。

 

「ミソラちゃん!」

「銀色さん!」

 メイルとやいとがシェードマンに攻撃をしたミソラと銀色を見る。 ミソラはメイルのPETから実体化しており、銀色はアリエルと電波変換していた。

 

すると、ミソラと銀色は無言でメイルとやいとをそれぞれ担ぎ上げた。

 

 

「きゃっ!?」

「えっ!? ちょ・・!?」

 メイルとやいとを担ぎ上げたミソラと銀色は、階段の上にいる熱斗と炎山を見る。

 

「まさか・・・!?」

「冗談だよな!?」

 その意図に気づいた炎山と熱斗を思わず身構える。

 

 

「熱斗君!」

「炎山君!」

 

 

「「受け取ってーーー!!」」

 そう叫ぶと、ミソラと銀色は、メイルとやいとを熱斗と炎山に投げ飛ばした。

 

「「きゃーーー!!」」

 

「「わっーーー!!」」

 

 飛んでくるメイルとやいとを、熱斗と炎山はそれぞれ抱き留める。

 

「ちょっ、ミソラちゃん! 銀色さん! なんてことするんですか!!?」

 びっくりの余り傍観していたスバルがミソラと銀色に思いっきり叫ぶ。

 

 

「「行って!!」」

 ミソラと銀色が叫ぶ。

 

「・・・!」

 スバルはその目を見て、思わず息を呑んだ。

ミソラと銀色の目には、凡人にでも分かるくらい、強く気高い覚悟が感じられた。

 

 

「スバル君! このダークロイドは私と銀色さんが倒すから、先に行って!!」

『ポロロン、この為に私達は未来からやってきたようなものだしね♪』

 ミソラとハープが、今度はスバル達に先に行くように促す。

 

「ミソラちゃん・・・分かったよ!」

『ハープ! やられんじゃねぇぞ!!』

 スバルとウォーロックがそれを了承する。

 

「熱斗君!」

「銀色さん!」

 熱斗と銀色は互いの名を呼び合うと、互いを見る。

 

「熱斗君、必ず後から追いつくから・・・彩斗をお願い!」

 銀色は必死な声で熱斗に彩斗のことを託そうとする。

熱斗はその願いに無言で頷く。

 

「熱斗、行こう!」

「うん、メイルちゃん!」

 

熱斗、メイル、やいと、炎山、スバルが階段を駆け上がる。 

しかし、ウォーロックだけがその場に留まり、銀色を見る。

 

 

『アリエル!』

『ウォーロック様!?』

 ウォーロックに呼ばれて、アリエルが実体化してきた。

 

 

『・・・信じてるぞ!!』

 ウォーロックはそれだけ言うと、スバル達を追っていってしまった。

 

『ウォー・・・ロック様!』

 アリエルはその言葉を聞いただけで、力が無限に溢れ出てくるかのように思えた。

 

「ウォーロックの信頼に応えないとね、アリエル♪」

『もちろんよ銀色!!』

 

「銀色さん、アリエルちゃん!」

『来るわよ! 気を抜かないでね、みんな!!』

 

 

『キーキキキ!! 小娘共が・・・ひねり潰してくれる!!』

 

「負けないよ! ウェーブバトル、ライド・オン!!」


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